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ハッピーハローウィン(イチルキ

「一護、ハッピーハローウィン。トリックオアトリート、さぁお菓子をよこせ!」

窓から入ってきたルキアは、受験勉強中の一護にそう言った。

「あのなぁルキア、俺は子供じゃねーんだぞ。お前も子供じゃねーじゃねぇか」

「それがなんだ!せっかくのイベントなんだ、楽しもうではないか」

「はぁ・・・・・」

一護は、ルキアがこうくるだろうと思って、コンビニで買ってきていたお菓子をルキアに放り投げた。

美味い棒だった。

「む、これはうまい棒ではないか!最近値上がりしたとはいえこの安さに美味さ・・・・癖になりそうだ」

さっそく食べるルキア。

さくさくとした食感と、美味しい味のハーモニーがたまらない。めんたいこ味だったが、一番好きなのはコーンポタージュ味だった。

「もっとよこせ!」

「あーもう、勉強になりゃしない。ほらよ」

買ってきたお菓子をいれた袋ごと、ルキアに渡した。

「おお、美味い棒がこんなに・・・・チョコやキャンディ・・・きのこの山にたけのこの里・・・・・ふふふふ」

「なにがおかしいんだ」

「貴様は、私の好きなお菓子をよく理解しているな!褒めてつかわそう」

「お前な・・・・・・」

なんでそんなに尊大なんだ。

そうつっこみを入れたかったが、我慢した。

ルキアは、一護の部屋であらかたお菓子を食べつくしてしまうと、一護のベッドに腰かけた。

「なんだよ、帰らねぇのかよ」

「もっと、私にいてほしいのであろう?」

「バッ・・・・何言ってやがる!」

一護は真っ赤になった。

確かに、ここ最近受験勉強が忙しくて、ルキアに会えなかった。

「たまには息抜きをしてもいいではないか」

「俺の志望校、けっこう上なんだよ。もっと成績あげなきゃ、入れねぇ」

今の段階で、合格率60%。

まだ厳しいものがある。だから、受験勉強なんて、らしくもないことを始めたのだ。それは、大戦が終わった証でもあった。

「私は、ただ黙って貴様を見ているだけだ。貴様は好きにしろ」

「あのな」

ルキアを壁側に追いやって、壁をドンと叩いた。

「お前、俺の気持ち知ってるだろ?」

「知っている」

「だったら、煽るような真似するんじゃねぇよ」

「煽っている、と言ったら?」

「俺たちは付き合ってもいないんだぜ」

「そうだな。でもキスもハグもするであろう」

ルキアの桜色の唇に、自分の唇を重ねると、紫紺の瞳は閉じられた、

1分ほど、長い口づけをしていた。

紫紺の瞳が開く。

「少しは、気分転換になったか?」

「気分転換どころかもやもやして、勉強どころじゃねぇよ!」

ルキアに手を出したい。でも、拒否されるのが怖い。

一度ルキアを手に入れてしまったら、こうやって時折会いにくるくらいじゃ我慢できそうになくて。

一護は、このもやもやを追い出したい。

でも傍にルキアがいるので、余計にもやもやが溜まっていく。

「ああもう!今日は勉強は終わりだ」

「そうだ、今日はカレーだそうだぞ。さっき妹たちから聞いた。私は泊まるからな」

「おい、何勝手に決めてんだよ!」

ルキアと同じ部屋で寝る。それがどんなに我慢がいるのか、ルキアは分かっていない。

結局、夕飯のカレーを食べて、お風呂に入って一護のパジャマを着たルキアは、一護のベッドで眠ってしまった。

その額にキスをして、一護も同じベッドで横になった。

「ボディーソープとシャンプーの匂いがする」

ルキアの細い体を抱き締めて、一護も眠りに落ちるのだった。







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