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ハローウィン日番谷

「やあ日番谷隊長。ハッピーハローウィン。トリックオアトリート」

浮竹は、10番隊の執務室に訪れていた。

「浮竹隊長」

「ええっ、日番谷隊長が俺のことを隊長と呼ぶなんて!熱でもあるのかい」

日番谷の額に手をあてる。平熱だった。

「少し目上のものを敬おうとしただけでこれか。ええいやめだやめだ。浮竹、おれはガキじゃねぇ、お菓子なんかいるか!」

「甘納豆もあるぞ」

「ぐ・・・・・」

大好物をちらつかされて、日番谷が負けた。

「トリックオアトリート。いたずらされたくなければ、菓子をくれ・・・」

「日番谷隊長のいたずら・・・味わってみたいかも」

興味深々といったかんじの浮竹。

「浮竹、お前もやばいやつだったのか。京楽みたいに」

「京楽と一緒にするな。あのエロ変態魔人がっ!」

浮竹はプンプン怒り出した。

これは、きっと何かで手を出されたんだろうなと、日番谷は思った。日番谷の想像通り、先日浮竹は京楽のトリックオアトリートに、お菓子を投げつけたのになかったことされ、おいしくいただかれしまったのだ。

「自分用のお菓子も何気にあるんだ。一緒に食べよう」

「ここは執務室・・・・・」

「日番谷隊長はいつも仕事ばっかりで、たまには休憩したらどうだ」

「仕事が終わったら、休憩している」

「それじゃあ、仕事がたまった時は?」

「仕事を限界までやってから寝る」

「不健康だ!」

日番谷の手をとって、無理やり長椅子に座らせた京楽は、チョコレートを日番谷の口に放りこんだ。

「甘い・・・・」

こころなしか、眉間の皺が深い日番谷の顔が綻んだ気がした。

「こっちが普通のチョコレート、こっちがアーモンドチョコ、こっちがイチゴチョコ、こっちがホワイトチョコ———」

いろいろ教えているうちに、食べたくなってきた。

「いいよ、好きに食えよ。俺も俺で好きに食うから」

「物ほしそうな目をしていたか?」

「かなりな」

「うーん。年長者失敗だなぁ。でも甘いものが好きだから」

浮竹は、何度か唸りながらも、チョコに手を出して食べていく。

「俺は別にいいから、食いたかったら全部食え」

日番谷は優しい。

スィーツに目のない浮竹に、日番谷のためと与えたものまで食べいいと言ってきた。

だが、これでも年長者。

「気持ちだけもらっておく」

日番谷にあげた分には手を出さずに、自分の分のチョコレートを全部食べてしまった。

「隠れろ!」

浮竹が、日番谷の手をとって、長椅子とテーブルの下に隠れた。

「なんだ?」

「エロ魔人がっ・・・・霊圧消してたのになぜここが分かる!」

言葉から察するに、京楽がきたのだろう。

「いや、浮竹お前の行動パターンばればれだぞ。雨乾堂にいない時は、8番隊のところかこの10番隊の執務室だろうが」

「それはそうだが・・・・」

「おーいいるんだろう浮竹?今なら許してあげるから、出てきなさい」

日番谷は隠れる必要はないと判断して、浮竹と一緒に長椅子とテーブルの下から這い出た。

「日番谷隊長。大人しく、浮竹を渡して」

椅子に座り、とりあえず茶のんだ日番谷。

「浮竹が怒っているぞ。浮竹に何をした」

「え、いや別に―——」

「こいつ、意識がない俺の口に勃起したものをつっこんできやがった」

ブーーーー!

日番谷は、お茶を吹き出した。

「京楽、いくらなんでもそれはないだろ。お前が悪い」

「そんなこというけど日番谷隊長、この子散々誘っておきながら、本番になっていざって時に居眠りを始めたんだよ!」

ブーーーー!

日番谷は、お茶を吹き出した。

「お前ら・・・・もっとまともなことで喧嘩できねーのか」

「え、喧嘩なんてしてないよ」

「ああ、喧嘩なんかしてない」

二人とも、喧嘩ではないというのだ。では、何に怒っているのだろうか。

「ともかく、京楽がそんなことするから噛み切ってやろうとしたんだ」

「そうなの。この子、僕の大事な分身に歯を立てて・・・・・」

ブーーーー!

吹き出すお茶もなくなってきた。

「だから、居眠りしてきた浮竹に構わず行為をしだしたら、切れて殴られたんだよね」

「総合的にみて、お前が悪い・・・・・京楽」

「ええっ、僕だけかい!?」

ざまーみろという顔をして、浮竹は日番谷の背後で舌を出していた。

「浮竹~~~!」

「ぎゃあああああああああああ」

切れた京楽が、浮竹に襲い掛かる。

「だから、ここは10番隊の執務室・・・・・って話をきけー!蒼天に座せ氷輪丸!」

ひゅるるるるる。

遥か彼方まで、二人は飛んで行った。

「やっぱり、一人が平和だな・・・・・」

もう出がらしになってしまったお茶を飲みながら、日番谷は半壊した執務室から、蒼い空を見上げた。













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