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小説掲載プログ
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パンツ仮面再び現る

「フーフー」

朝起きると、パンツ仮面がいた。

浮竹のパンツを首まで被り、目と口のところに穴をあけたパンツを被っている京楽のことだ。

浮竹のパンツの匂いをかぎたいのか、鼻のところに穴はあいていないので、ふーふーと息が荒く聞こえた。

「ふあ~~」

浮竹は、パンツ仮面を見ても動揺することなく、欠伸をしていた。

京楽の朝は早い。

浮竹が起きる1時間前には起きて、浮竹の干しているパンツを盗んだり、保管している実用のパンツを手で洗ったり。

浮竹が起きるまで、その寝顔を見守って一人でぐふぐふと笑うのだ。

「はぁ。今日は休みだな」

「そうだね。そうだ、下町に行って甘味屋にでもいかない?」

「それはいいな。でも、その前にそのパンツ仮面をなんとかしろ」

「素敵でしょ、このパンツ仮面」

「変態だ」

「うん、僕は変態だよ」

「パンツ仮面をやめない限り、俺はお前を冷たくあしらうし、キスもハグもさせてやらない」

「パンツ仮面、廃業します!」

そういってパンツをとるが、廃業は絶対嘘だ。実用用のたんすに、パンツ仮面用のパンツを大事そうにしまう京楽の行動からして、嘘と丸わかりだ。

まぁ、そんな京楽が今に始まったことではないので、浮竹も慣れてしまっているので、京楽と一緒に下町にまで出かけて、甘味屋に入った。

おはぎとぜんざいと白玉餡蜜を3人前食べた。あとは、みたらし団子に桜餅も食べた。

「食べすぎだよ」

今日は、お腹が減っていたのか、いつもより多めに食べていた。

浮竹の胃はどうなっているんだろうと思いながら、勘定を払う。

「あ”、お金忘れた」

「おい」

浮竹は、一銭ももっていない。

このままでは、食い逃げになってしまう・・・・・と思ったら、常連だったのでつけがきいた。

それでは迷惑だからと、砂金の入った袋を出す。

何故そんなものを持ち歩いているのかは知らなかったが、上流貴族のぼんぼんだから遠慮することはないと、店の主事は砂金の袋をもらい、にまにましていた。

きっと、浮竹が食べた分の10倍を食べても、おつりがでるだろう。

「まぁ、京楽だしな・・・・」

そのまま、金もないのに下町をぶらつき、暇をつぶした。

この時代、娯楽は少ない。

本屋にいって、立ち読みをする。別に欲しい本はなかったが、京楽が読んでいる本を見ると、「衆道とは」という本を見ていたので、引いた。

確かに、浮竹も京楽も男だ。男同士ですること衆道と呼び、今現在の現世は戦国時代。主従の中に衆道が混じっているのも確かだ。
現世では衆道は当たり前のことで、尸魂界でもその風潮があるのか、花街なんかでは陰間茶屋や普通の廓でも色子を扱っていたりした。

「ねえ、一度花街にいってみない?」

「別にいいが・・・金はないんだろう?」

「ああ、馴染の店があってね・・・そこでは、金は後払いでいいんだよ」

誘われるままに、花街に出かけた。

廓に上がらされて、酒と高そうな飯を御馳走になる。

「どういう思惑だ?」

「これ着て!一生のお願い!着てくれなきゃ、襲う」

それは、値のはりそうな女ものの打掛だった。

「嫌だと言ったら?」

「まじで襲う」

はぁはぁと、息も荒く、目も血走っていて、これはやばいと思った。

仕方なく、その打掛を手に奥の座敷にいくと、遊女たちに囲まれた。

「これが、京楽の旦那の想い人でありんすか」

「かわいいでありんす」

「さぁ、今着ている服はぬいで、これを・・・・」

下着は男もののままでよかったが、遊女のきる着物を着せられて、最後に打掛を羽織り、肩までの長さの髪を三つ編みにして、金細工の髪留めで留める。

「あら、かわいいでありんす。髪がもっと長ければ、もっとに似合うでありんすに」

まるっきり、色子か遊女のような恰好だった。

その姿で京楽の前にくると、京楽は鼻血を吹き出した。

「おい、京楽」

「けけけけけ、けしからん!」

ぱしゃりと、写真をとられた。

「ポーズつけてー」

もうやけくそで、適当にポーズをつけると、京楽はぱしゃぱしゃと写真をとっていった。

「満足か?」

甘味物をおごってもらった手前、返せるとしたらこれくらいだ。

「もうちょっと、胸元をはだけてご主人様って言ってくれると、昇天する」

このさいだから、胸元どころか、肩も露出させて、太もももちらつかせて「ご主人様」と、すごく甘えた声を出してやった。

京楽は、すごい量の鼻血を出して倒れた。

「ちょろいな」

ちょろい。

そう思った。

この程度で鼻血を出すなら、本当にそういう関係になっていざ本番となると、どうなるのかと思ってしまう。

まぁ、この変態とそういう関係に陥るとしても、数年先であろうが。

京楽の懐を探ると、やっぱり浮竹のパンツを持っていた。

それで、鼻血まみれの京楽をふいて、元の衣服に着替えて、一人で酒を飲んでいた。

「はっ・・・・ここは天国?」

「お前の頭の中はいつでも天国だろう」

「あっ、着替えちゃたのか。でも写真はばっちりとれたし、僕は満足だよ」

女のものの打掛を、ばさりと京楽に渡す。

「高いんだろう、これ?」

「うん。普通の家が一軒買える」

「京楽の鼻血で汚れなくてよかったな」

「はっ、これは大事な僕の浮竹のパンツ。そうか、鼻血をぬぐってくれたのかい。ありがとう」

打掛をだめにして、弁償しろと言われたら、京楽に身売りするしかない。

そんなことにならなくてよかったと、浮竹は思った。

「またこんな高い着物、どうしたんだ?」

「将来、嫁にくる相手のためにしつらえられたものだよ。僕には浮竹だけだから、浮竹に着て欲しかったんだ」

「そうか。言っとくが、俺はお前の嫁にには行かないからな」

「またまたぁ。浮竹のお父さんとお母さんからは、浮竹をもらっていい許可まであるんだよ」

いつの日だったか、帰郷に京楽がついてきて、両親に「息子さんをください」といって、許可をもらっていたのを思い出す。

父も母も、のほほんとした人だから、相手が上流貴族であると知って、その身を預けても大丈夫だろうと思ったのだろう。

「お前が嫁にくるなら、考えてやってもいい」

「え、僕が白無垢を着れば、浮竹は結婚してくれるのかい!?」

「いや、やっぱいやだからいいわ」

本当に、もじゃもじゃなのに白無垢を着そうで嫌だった。

少し酔っぱらたのかもしれない。

頬をほんのり朱色に染めた浮竹を連れて、寮まで戻る。京楽の手にしなだれかかっている状態で、その時の記憶があまりなかった。

次の日、ついに京楽と浮竹ができたという噂が広がって、浮竹は怒るのであった。





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