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ボクだけの翡翠5

浮竹と京楽が付きあいだして、1年が経とうとしていた。

3回生になっていた。

現世に、虚退治に皆で行く実習では、率先して虚に切りかかり、勝利を収めてきた。

そんな実習のある日、浮竹が血を吐いた。それも、虚との戦闘中にだ。

「ぐ・・・・・・・」

「危ない、浮竹!」

京楽は、必死で浮竹を庇った。

「く・・・」

背に、酷い傷を負う。

「京楽、俺のことより虚を!」

「君を、こんなところで死なせてなるもんか!」

京楽は、斬魄刀を握りしめて、浮竹を襲おうとして自分の背中を抉った虚と対峙して、その首を跳ね飛ばした。

「しゃああああああ」

虚は大きな声をあげて、消えていく。

「浮竹、無事かい?」

「俺より、京楽、出血量がやばい。今すぐ、4番隊に見てもらえ!」

念のためにとついてきていた4番隊に、今日は隊長の卯ノ花がいて、助かった。

京楽の背の傷は酷く出血は多かったが、命に別状はなかった。

卯ノ花は、次に浮竹を診た。

「発作が酷くなっていますね?ちゃんと薬を飲んでいますか?」

「最新の薬は高くて・・・前の薬を、服用しています・・・・・・」

「浮竹、お金のことはボクに任せてって言ったじゃない」

前に、お金に困ったことがあったら、京楽が助けると言っていたのだ。

「でも、薬に、お前にまで金を出してもらうのは悪くて・・・・」

甘味物や食事をおごられたり、着るものや装飾品、本や筆・・・・・いろんなものを買ってもらってはいたが、薬だけは自分の金でなんとかしたかった。

そして、なんとかしてきた。

最新の薬に変わり、値段が前の倍以上にはねあがった。

下級生の勉強を見てもらう賃金では、補えなくなっていた。

「いけません。高くても、きちんと最新の薬を飲んでください。あなたの肺の病は特殊で進行しませんが、時折悪化はします。薬を最新のものを飲むように・・・京楽さん、あなたからも言ってあげてください。私の言葉より、あなたの言葉を聞く子のようですから」

「卯ノ花隊長の言う通りだよ。ボクが薬代負担してあげるから、最新の薬を飲んで?」

「でも、それじゃあ俺はお前に与えられるだけで、何も返せない・・・・」

「返す方法はあるよ?」

「どこに?」

「ボクたち、付き合いはじめて1年経ったよね。1年経ったら・・・・・」

言葉の続きを理解して、浮竹は赤くなった。

「すみません、気分が悪いので今日の実習は早退します!」

「あ、浮竹!」

浮竹は、逃げるように現世から尸魂界に戻り、寮の部屋に戻るでもなく、よく京楽が登って寝ている桜の大木によじ登り、横になってみた。

肺の発作は、卯ノ花から渡された最新の薬を飲んで、落ち着いた。

季節は秋。

夏の暑い日光は和らぎ、さんさんと太陽の光が降り注ぐ。

浮竹は、春の次に秋が好きだった。

春は、愛しい相手の名前でもあるから。

春水。

どうすれば、俺はお前に報いることができる?

体を許せば、それでいいのか?

いろんなマイナスの思考がぐるぐる回る。

「好きなだけじゃ、だめなんだな」

分かっていた。

京楽が、浮竹を欲していることを。

付き合って1年が経過したら、体の関係を結んでもいいと言っていた。

でも、怖いのだ。

あの時、5人の男に襲われた時、京楽が助けてくれた。でも、トラウマになっていて、体を許すという行為が怖かった。

「俺は・・・・駄目だ、怖がってばかりじゃ。俺は京楽と付き合っているんだ。俺も、克服しなくちゃ」

「おーい、浮竹!」

ちょうど、京楽が浮竹の霊圧を探り、迎えにやってきた。

「京楽、するぞ」

「え、何を?」

「その・・・・・なにを、だ」

「はい?」

浮竹は言いにくそうに言葉を濁す。

何も分かっていない京楽は、浮竹は体の関係を拒むだろうと思っており、時間をかけて落としていくつもりだった。

「セックスだ、ばか!」

「ええええ!!」

「声がでかい!」

浮竹は、京楽に抱きしめられていた。

「ボクのこと、受け入れてくれるんだ。嬉しい」

「お、俺は初めてだし、その、お前の思うようには・・・・・」

「うん、いいんだ。ぐだぐだになったっていい。失敗で終わってもいい。でも、君を抱くよ」

京楽は、強く浮竹を抱きしめた。

「ボクだけの翡翠・・・・・手に入れた」



君は、ボクだけの翡翠。

君がいれば、他に何もいらない。

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