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ボクだけの翡翠5

季節は夏になった。

長期夏季休暇に、尸魂界にはない現世の海にいくことになった。

浮竹と京楽で、夏の熱帯気候の沖縄に近い無人島にやってきた。

「ここの気候なら、大丈夫だと思ったんだけど・・・・」

浮竹は、夏に弱い。

よく倒れる。

遊びにきたのに、早速太陽の熱にやられてパラソルの下でカキ氷を食べながらなんとか涼んで、体調を戻そうとしていた。

「京楽、もう大丈夫だ。回道もかけたし、泳ごう」

「本当に大丈夫かい?無理してない?」

「せっかく現世の海にこれたんだぞ。泳がないと勿体ない!」

浮竹は、珊瑚礁の海の中を潜っていく。

その後をおって、京楽も海の中に潜る。

海の中は鮮やかな熱帯魚たちが泳いでいた。

「ん・・・・・・」

海の中で、口づけされて、ゴポリと空気の泡が浮かんでいく。

「んう」

周囲には、熱帯魚。

浮竹は限界になり、酸素を求めて海面に出た。京楽もその後を続く。

「な、京楽!海の中でキスなんてするな!」

「だって、君が綺麗だったから」

エメラルドグリーンの海に、翡翠の瞳は綺麗で綺麗で、泣きそうなほどに綺麗だった。

「キスする時は、普通にしろ」

キス自体には、怒っていなかった。

食べ物はあまりもってきていなかったので、釣り道具を出して魚を釣り、焼いて食べた。

貝やら魚やら、それにもってきた野菜を焼いて、バーベキューをした。

「こんな夏も、いいな」

「そうでしょ。絶対、思い出に残る」

「尸魂界にいても、熱いだけだからな。夏季休暇は課題を出されるが、すでに終わってしまった。2学期の授業再開まで、暇だったので誘ってくれて嬉しかった」

「あの課題の量、もう全部終わらせたの?まだ夏休みはじまって1週間とそこらだよ」

「簡単だったぞ?ちゃんと授業に出て、予習復習をしていれば、解ける問題ばかりだ」

京楽は、よく授業をさぼった。

浮竹に連れられて、授業に出る時もあるが、寝ていて授業の内容など頭に入っていなかった。

でも、鬼道や剣の稽古には毎度顔を出した。

京楽の剣の腕は凄く、もう特進クラスである浮竹と京楽のクラスで相手になる者は、浮竹くらいしかいなかった。

毎度、浮竹と本当の死闘のような、稽古試合を繰り広げる。

京楽と浮竹を目にかけている山じいの目に狂いはなく、将来絶対に隊長クラスまで上り詰めるだろうと、教師たちや試合を見にきた卯ノ花隊長などに、そう言われていた。

夜になり、真っ暗になる。

浮竹は夜目が効くので、枯れ木を集めて火を起こし、灯りにした。

「ああ、星が綺麗だね」

「本当だ。尸魂界の空にも星はあるが、現世の星はまるで落ちてきそうなほどに輝いているな」

「あ、流れ星だよ」

「え、どこだ!?」

その日は、ラッキーなことに流星群の降る日だった。

たくさんの流れ星を見ながら、京楽は浮竹の隣に座る。浮竹は、京楽と手を繋ぎながら、京楽の肩に頭を乗せて、もたれかかった。

「綺麗だね」

「うん、綺麗だな」

「あ、翡翠色の流れ星・・・・・・」

京楽が、流れ落ちていった星に手伸ばす。

「翡翠、好きだな?」

「君の瞳の色だからね。君は、ボクだけの翡翠だ」

「は、恥ずかしい奴」

浮竹は赤くなって、京楽の胸で顔を隠した。

「もう、寝ようか。明日は浜辺で遊ぼう」

「そうだな」

その夜は、お互い疲れていたのかすぐに眠ってしまった。

「起きろ、京楽、朝だぞ」

「んー。なんか、甘い匂いがする」

「パイナップルという果実だ。朝はこれですまそう」

見た目はとげとげしいかったが、調理器具をもってきていたので、ナイフで半分に切ると、食欲をそそる甘い匂いがした。

「ん、これ甘酸っぱい。酸っぱいようで、甘味が強いね。おいしい」

「尸魂界にも、探せばあると思うぞ。とりあえず、お腹いっぱいになるまで数がいるから、もう少しとってきてくれ。群生地を教える」

京楽は、パイナップルを5つほどとってきた。

それを全部切り分けて、平等に・・・・のつもりだったが、甘いものが好きな浮竹のために、3対2になるように分けた。

「すまん。お前の分まで食べてしまって」

「いいよ。君は食が基本細いから、甘いものをたくさん食べるのはいいことだよ

太陽が真上に昇りきる前に、砂浜でお城をつくったりした。

昼は、ヤドカリを焼いて食べた。

「もう少し滞在したいけど、ボクたちのような存在がいると、虚が集まる。虚をおびき出す前に、尸魂界に帰ろうか」

「そうだな。いくら無人島といっても、近くに大きな島国があるんだろう。虚が出るかもしれない」

念のためもってきていた、斬魄刀を撫でる。

二人は、まだ2回生だというのに浅打から、己の斬魄刀を作り出し、対話できるようになっていた。

「帰ろうか。尸魂界に」

「ああ、帰ろう」

砂浜は、誰もいなくなったけれど、立派な城が残されるのだった。

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