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ポッキーの日

「11月11日、今日は何の日でしょう!」

「京楽の死ぬ日」

雨乾堂で、ごろごろしながら、旅行のパンフレットを見ていた浮竹が、そう言った。

「酷い!僕は死なないよ!」

「んー。温泉にいきたい・・・・・・」

浮竹が見ていた旅行のパンフレットを、京楽がとりあげた。

「それはまた今度にして、じゃーーん!ポッキーの日です」

京楽は、背後にもっていたポッキーを浮竹の前に置いた。

「ポッキーだな」

「うん、ポッキーだね」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

しばしの沈黙。

「で?」

「え、いや、ポッキーの日だからこの通りポッキーを取り寄せたんだよ」

ポッキーの入った段ボール箱が3つほどあった。

「ちょっと、買いこみすぎじゃないか?」

「うんそうだね。でも、君のとこと僕のとこの一般隊士にも1人1個配るから、これくらいの量になっちゃうんだよ」

「京楽サンタか」

「いや違うから。クリスマスにはまだ早いよ」

「でも、今年もあるんだろう、京楽サンタ」

京楽は、サンタクロースに化けていろいろと自分の隊や他の隊長副隊長にプレゼントを配ったりする。ちなみに去年は浮竹もサンタクロースをして、日番谷にお菓子のセットをプレゼントしたら、お返しだと養命酒を送られた。

「養命酒か・・・・・やるな、日番谷隊長め」と言っていた記憶がある。

「どうせだから、ポッキーゲームでもしようじゃない」

「いいぞ」

端と端をくわえて、ポリポリ食べていく。

浮竹は、途中でポキンと折った。

「ああ、何故に!?」

「チョコまみれのキスは、なんかいやだ」

「じゃあ、普通に食べよっか」

ぽりぽりぽりぽり。

その音しか消こえなくなった。

「なんか、思ったより暇だね」

「一般隊士に配るんだろう。俺も手伝うから、用意しろ」

「ああ、そうだった。日付が変わるまでに配り終えないと」

京楽と浮竹は、まだなんとかぎりぎり隊舎にいた死神たちにポッキーを配って行った。

浮竹は、途中で10番隊の執務室により、日番谷に超巨大ポッキーを渡していた。

「おい、こんな巨大なの食えるか!」

「1日少しずつ食べていけば、3か月くらいできっと食べ終えるから!」

浮竹はその辺は適当であった。

京楽家で特別に作らせた超巨大ポッキー。

日番谷の氷輪丸と同じくらいの長さがある。それが5本。

けっこうな金がかかった。でも、受け取らされた日番谷は、全然喜んでくれなかった。

まぁいいかと思いながら、席官にポッキーを渡しておく。

中には、男死神であったが、愛の告白と間違えだす阿呆まででてきた。

「はぁ・・・・3時間かかった」

もう帰ってしまった平隊士は無視して、席官の家におしかけて、ポッキーを渡した。

「七緒ちゃんで最後だった・・・・はぁ、瞬歩こんなに使ったの久しぶりで・・・・」

二人とも、ぜぇぜぇと息が荒かった。

「やっぱ年かな?」

「そうかもな」

若い頃は、これくらいの距離の瞬歩を重ねても息はあがらなかった。

「あ、浮竹にはこれを」

苺味のポッキーを渡された。

「俺はお前からもらったポッキーしかないぞ。お返しなんてできない」

「君の体でいいから・・・・・おぶ!」

張り倒された。

「ポッキーのお返しが俺の体なんて、安すぎだ」

「じゃあ、キスで」

「ん・・・・・・」

触れるだけの口づけを数回かわして、離れた。

そして、浮竹は雨乾堂で京楽の存在を忘れて、また旅行のパンフレットを見だした。

「どこか、いきたいところでもあるの?」

「んー。草津の湯にいってみたいんだが、現世だから無理だろうな」

「現世かー。それはちょっと難しいね」

隊長副隊用クラスが現世に赴く時、限定封印を受けていくのが習わしだ。

藍染の反乱の時は限定封印なしだったが、空間凍結があったからこそだった。

「どこか、似たような温泉を探しておくよ。二人で、旅行にいこう」

「ああ、それもいいな」

旅行代なんて出す金はない。京楽に払わせてしまえと思いながら、パンフレットを放りだして京楽と一緒にごろごろするのだった。



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