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ルキアと一護

現世での時間は過ぎていく。

いよいよ、6月になった。

6月1日、朽木一護は、朽木ルキアと現世で結婚式を挙げる。

「ごめんね、ごめんね、朽木さん。あの時は本当にごめんなさい」

泣いて、謝る井上を、ルキアはなだめながら謝罪を受け取った。

「もういいのだ、井上。私が井上の立場なら、同じようなことしていたかもしれぬ」

午前中に集まったメンバーで、スピーチをする相手は一護の父親に決まった。本当は、白哉もやりたがっていたのだが、口下手だし、ただおめでとうとしか言いそうにないし、他に言うことといったらルキアの素晴らしさを延々と語りそうで。

「さぁ、ルキア様、こちらへ・・・・」

結婚式の係の者の中には、朽木家の家人も交じっていた。

ルキアは、純白のウェディングドレス、長いウェディングヴェールに、色鮮やかな蒼薔薇をいれたブーケを持って現れた。腕を組んで歩くのは、白哉だった。

一護も、正装して現れた。

「汝、朽木ルキア、健やかなる時も病める時も、朽木一護を愛し、伴侶として生きることを誓いますか?」

「誓います」

「汝、朽木一護、健やかなる時も病める時も、朽木ルキアを愛し、伴侶として生きることを誓いますか?」

「誓います」

二人で神父の前で近いあい、キスをした。

世界が静寂に包まれる。

やがて、指輪の交換をした。

一護がお金をはたいて買ったものだった。白哉ならもっと豪華なものを用意できただろうが、一護の気持ちを汲んでくれたのだ。

ルキアから一護へ。一護からルキアへ。

井上、石田、茶虎が、友人としてスピーチする。

そして、黒崎一心こと一護の父親がスピーチをしていると、白哉が立ち上がった。

「散れ、千本桜」

桜の花びらは、誰も傷つけることなく、ルキアを中心に渦巻いた。

「幸せになれよ、ルキア!」

「ああ、恋次もな!」

「一護、幸せになってね。ルキアを頼むわよ」

「ああ、乱菊さん」

「幸せにな、二人とも・・・・・・・」

「ああ、ありがとう冬獅郎」

尸魂界からやってきたメインメンバーは、主に白哉もいれて4人だった。あとは、むこうの式でも顔を出してくれた夜一と浦原、それに涙を流している席官たち数人も、尸魂界からわざわざきてくれた。

「朽木隊長、お幸せに!」

ルキアは、すでに13番隊の隊長であった。

「すまぬ、皆も息災であるように」

ルキアは、涙を零していた。

白哉の桜の雨が、式場を包み込んだ。

「うわぁ、幻想的」

井上が振袖姿でその花びらを見上げる。

石田も茶虎も、袴をはいて正装していた。

「お幸せに、二人とも」

「む、幸せに」

石田も茶虎も、簡潔に祝いの言葉を述べた。スピーチで十分話してくれたので、それで充分だった。

双子の妹もきている。一護が、大学を卒業したら現世を去ることに、最後まで抵抗していた双子であった、最終的には分かってくれた。

「俺はぁぁあぁ、ルキアちゃんを家族だと思っていますうう、それが一護なんかと結ばれるのは、真咲~~~~~!!!」

一心は、涙を流しまくって、スピーチになりはしなかった。代わりに、白哉がスピーチする。

「私は、妻を娶ったが、僅か5年で亡くしてしまった。一護とルキアには、私と妻であった緋真の分まで幸せになってほしいと願っている」

「兄様・・・・・・・」

ルキアは、尸魂界の婚姻でも涙を流しまくったが、今回も涙を流しまくった。

やがてケーキ入刀をして、朽木家が味付けをした食事が運ばれてくる。

「んーおいしい。流石朽木家ね」

松本は、尸魂界の婚礼の時も飲み食いしたが、朽木家の味を気に入っているようだった。

ルキアと一護は、その近すぎる距離に、ちょっと恥ずかしそうにしていた。二度も結ばれることに、幸せをかみしめまくっていたが。

もう、籍は入れてるので、黒崎ではなく朽木一護だ。この結婚式が終わると同時に、涅マユリの薬を飲むことを承諾している。

人間をやめて、死神代行から、本物の死神になるのだ。大学には、義骸でいくことになる。

一護が手配していた式場を、白哉が追加で金を出すかんじになって、豪華な結婚式になった。蒼薔薇なんていう珍しいものは、京楽総隊長が手配してくれた、尸魂界にだけさく本物で、染料を使用していなかった。
1本で数十万する蒼薔薇を、ブーケにしているだけで、数百万はかかっている。ウェディングドレスもウェディングヴェールも、レンタルの予定だったが、小柄なルキア用にと、白哉が人を雇ってつくらせた。金糸銀糸の刺繍が美しく、宝石も縫い込まれていた。

「ルキア・・・・幸せになろうな?」

「ああ、一護・・・・・・」

最後に、ブーケを投げた。それは、井上の手の中に落ちた。

「嬉しい!」

数百万もするブーケだとは、流石に思わないだろう。

結婚式が終わり、二次開場に移る。

ルキアはマーメイドワンピースを着ていた。一護は、まだ正装のままだ。

二次開場は、ホテルの広場で行われた。立食形式で、酒などが用意されてあった。

一護たちは未成年なので、ノンアルコールの酒を飲んでいた。

「このカクテル、甘くてうまいな」

ルキアが気に入ったカクテルも、ノンアルコールだった。

「もっと飲むか?」

「一護、貴様も飲め」

尸魂界では、一護も酒を飲んだが、現世では法律で禁止されているのでノンアルコールの飲料ばかり飲んでいた。

ノンアルコールなのに、雰囲気で酔ったのか、ルキアは一護に絡みだした。

「そもそも、貴様がかっこいいから悪いのだ!兄様のようになれとは言わぬが、もっと朽木家の者として威厳を持て」

「いや、無理いうなよ」

絡んでくるルキアがかわいくて、啄むようにキスを繰り返していると、白哉の冷たい霊圧に気づく。

「兄は、こんな場所でルキアに手を出すのか?」

「き、キスくらいいいだろ」

「ふむ・・・・・・・」

洋風の結婚式に慣れていない白哉は、スピーチとか結婚式場の拡大、ルキアのためのウェディングドレスとウェディングヴェール、それにブーケなど、いろいろ手配してくれた。

「現世には籍を残していいのか?」

「だめだ。いつまでも死なない人間の籍など、残せるわけがなかろう」

白哉の言葉に、一護はあと数年したら、本当に家族とお別れなのかと少し寂しい気分を味わったが、その代わりにルキアと居れるのだ。

その日、ルキアは一護とホテルに泊まった。

避妊具なしで、体を繋げ合った。
お互い、ぐずぐずに溶けだしてしまいそうだった。何度も貪りあった。

「もしも、子供ができたら名は決めてあるのだ」

「へぇ、どんな?」

「女の子なら苺花、男の子なら一勇だ」

「男の子の名前もいいけど、女の子の名前いいな。俺の名前が入る」

「恋次と相談して決めたのだ」

「恋次は、最後まで祝福してくれたな。お前を泣かせると、とるって言ってたけど、実際そういう行動はとらなかったしな」

一度、井上のことでルキアを泣かした。でも、恋次は手を出してこなかった。

「恋次のことも好きだ、私は。家族だからな」

「まぁ、俺が双子の妹を好き、なようなもんだろ?」

「そうだな。だが、一護、貴様の存在が泣ければ私は恋次と結婚していたであろう」

「俺も、ルキアがいなかったら、きっと井上と結婚してた」

「お互い、別の道を歩んでいたかもな」

「そうだな」

今は、ルキアと結ばれたことに感謝し、愛し合おうと思った。




やがて時はめぐる。

一護は、大学を卒業し、死神として尸魂界で暮らすようになった。

朽木家で寝泊まりをして、ルキアの傍に在った。

真央霊術院の教師として、あるいは一番隊の死神として、日々を過ごしていく。

朽木家の一員ではあるが、元が死神代行の黒崎一護であるだけに、友人で戦友である死神たちからの扱いは、今までと変わらなかった。

「おはようルキア!なんで起こしてくれなかったんだ!学校に遅れちまう!教師なのに!」

「たわけ、何度も起こしたわ!あと5分、あと5分と何度もいうから、そうしたまでだ!」

「ルキアのあほ!」

「なんだと、一護のぼけ!」

「二人とも、朝は静かにするように・・・・・」

「はい、兄様」

「おう、白哉」

結局、一護は義兄になる白哉を義兄様と呼ばず、白哉と呼び捨てのままだった。

もうそれに慣れたので、白哉も何も言わない。

浦原が尸魂界にいろいろなものをもちこんで、尸魂界の歴史も変わろうとしてた。

朝食に、パンが普通に並ぶようになった。

TVなども見れるようになったし、エアコン、洗濯機、掃除機と現世では普通にあったが、尸魂界にはなかったものが普及しはじめていた。

時代は変ろうとしていた。


時は廻る。世界は廻る。

ルキアと一護は、常に傍にいた。もう、二人を引き裂くものはない。

死神となった一護は、ルキアと同じ時を生きる。

ただ、永遠のような時間を、共に。          

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