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ルキアと恋次

ルキアと恋次は、尸魂界で子供の頃からの知り合いだ。幼馴染というか、一緒に孤児として流魂街で育った。

同じく一緒に育っていた仲間たちは、皆死んでしまった。

ルキアと恋次には霊力があった。最悪の生活から抜け出すために、真央霊術院に入り、死神となることをめざした。

恋次は特進クラスだった。ルキアは普通のクラスだが、学院に入り数年して、朽木家の養子として、真央霊術院を卒業せずに死神となった。

恋次の力は認められていた。

一方のルキアも、志波海燕という当時の13番隊副隊長に鍛えられて、実力をつけていった。

そんな年月が50年以上が過ぎた。

恋次は6番隊の副隊長として、ルキアは13番隊の隊長代理及び副隊長として、また強くなっていった。

大戦を生き延び、2年が経った。

「ルキア!俺のたい焼き返せ!

「ふふふ、とれるものならとってみろ」

ルキアは、恋次の大好物であるたい焼きを奪い、悪戯めいた瞳で走っていた。

障害物をひょいひょいと避けて、通っていくのはルキアの小柄な体のほうが有利だった。

でも、恋次のほうが走るスピードは速い。

がしっと掴まれて、ルキアが降参の声をあげた。

「降参だ、恋次。たい焼き、うまかった」

「ああ、2個少ねぇ!」

恋次は袋の中のたい焼きを数えて、5つあったのが3つになっていて、ルキアの頭をぽかりと殴った。

「上流貴族の姫君だろうが。他人のものを取るような真似すんな!」

「だって、相手が恋次だったから、つい」

悪戯した後のルキアは、きらきらしていてとても可愛かった。

「ぐ・・・・しっかりしろ、俺」

「恋次?」

「な、なんでもねぇ」

そう言って、恋次はルキアと歩きながらたい焼きを口にした。

「白あんも捨てがたいんだよなぁ・・・」

「恋次、あんこがついているぞ」

「え、どこだ」

「もっとこっちによれ」

ルキアの顔のほうまで顔を近づける。

ぺろりと、ルキアが恋次の頬についていたあんこを舐めとってしまった。

「な、な、な・・・・」

恋次は顔を真っ赤にして、ルキアを見る。

「どうした?」

「お前、何考えてんだ!」

「いや、普通に恋次が好きだなと思って。ああ、恋愛感情でだぞ」

「な、な、な・・・・・・」

更に真っ赤になる恋次。

「どうした恋次、顔が茹蛸のようだぞ」

「好きな相手に好きって言われて、照れてるだけだ」

「そうか、好きな相手に好きと・・・・・ええええ!!!」

今度はルキアが叫んだ。

「れ、恋次、貴様いつから私のことを・・・・」

「ガキの頃から」

「私も、子供の頃から好きだった。最初は家族愛、友人愛であった。大戦が起る以前あたりから、貴様が恋愛感情で好きなのだと自覚した。ただ、恋次は私のことなど興味ないだろうと、冗談で告白したのだが・・・・・・・」

「今更、冗談にするなよ?」

恋次に、ぐいっと抱きしめられた。

すでにたい焼きを食べ終えてしまった恋次は、ルキアに口づけた。

ほんのりとあんこの味がした。

「れ、れ、れ、恋次」

ルキアは真っ赤になって小さくなった。

元から小さいのに、縮こまってしまって、恋次が動揺する。

「き、キスいやだったか?」

「いや、そういうわけではないのだが・・・・ひたすらに恥ずかしい」

二人がキスをする現場を、偶然居合わせた日番谷が見ていた。

「ひ、日番谷隊長!」

恋次が、名を呼ぶ。

「なんだよ。なんもいわねーよ」

「日番谷隊長はキスとかしたことありますか」

「んなもん、子供の頃に経験済みだ」

「ぐふっ・・・・」

恋次とルキアはさっきのがファーストキスだった。

日番谷は興味ないとばかり去ってしまった。ここに松本がいたら、面白可笑しく騒ぎ、死神の間で恋次とルキアのことが噂で流れてしまうだろう。

「乱菊さんがいなくてよかったぜ・・・・・・」

「それは同意見だ・・・松本副隊長がいたら、今頃伝令神機で写真とられて、いろんな人にメールで写真を送られているところだ」

二人して、安堵した。

「というわけで、私は恋次のことが好きなのだが、貴様も私のことが好きだと理解してもいいのだな?」

「ああ。俺もルキアのことが好きだ」

「では、早速兄様に報告に参ろう」

朽木家に向けて、恋次の手をとると、恋次が叫んだ。

「えええええええええ」

「なんだ、何か後ろめたいことでもあるのか」

「なんで付き合うのに隊長の許可がいるんだ」

「兄様がおっしゃっていたのだ。誰でもいいから、好きになった相手は必ず連れてこいと」

義妹ラブな白哉のことだ。

いろいろ言われそうだが、ルキアと付き合えるならそれでもいいかと思った。

「よし、今から隊長のところにいくぞ」

「その意気だ、恋次!」

いざ、白哉のいる朽木邸にくると、恋次はドキドキしだした。それはルキアも同じだ。

「兄様、只今戻りました」

「恋次が一緒なのか」

「隊長、このたびは誠にお日柄もよろしく・・・」

「恋次、しっかりせぬか!」

脇腹を肘でつつくルキア。

「隊長、俺ルキアのことが好きです。愛してます。お付き合いすることを許可してください!」

緊張しすぎて、口調がおかしくなっていたが、誠意は届いたようだった。

「ルキアとか・・・・よかろう。そこらの死神より、恋次のほうがよほど信頼がおける」

流石上官と副官だけあって、お互いの性格とかいろいろ知っている。

白哉の許しを得て、二人してほっとする。

「恋次、今日は泊まっていけ」

「え、いいんすか隊長」

「たまには良いだろう。いずれ、義弟になるかもしれぬのだし」

「に、兄様、気が早すぎます」

ルキアの言葉に、恋次は真剣にルキアとの結婚を視野に入れ出した。

「ただこれだけは言っておく。幸せにできなければ、奪い返す」

「に、兄様・・・・・」

じんわりと涙をためるルキアを押しのけて、恋次は言う。

「絶対、幸せにしてみせます」

まだ、お互い先ほど告白したばかりなのだが。

そんなことも忘れて、ルキアと恋次は白哉の許しを得たと、心から喜ぶのであった。



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