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ルキアを忘れた一護 13番隊への所属

一護は、井上と一緒に生活をしだした。

籍はまだ入れいないが、そのうち入れて結婚式を挙げるつもりだった。

井上に話を聞くと、石田も茶虎も他界していて、尸魂界にきても現世の記憶があって、真央霊術院に進み、死神となったそうだ。

それぞれ、茶虎は6番隊に、石田は10番隊に配属されているそうだ。

石田は滅却師であるから、死神になるのは始め反対していたのだが、滅却師をそのまま放置するわけにもいかないという尸魂界の掟にのっとり、仕方なく死神になったらしい。

「石田に茶虎かー。懐かしいなぁ。今度会いに行こうかな」

「ねぇねぇ、黒崎君はもう死神だけど、隊首会に呼ばれてるんでしょ?」

「え、ああ。京楽さんが、尸魂界の恩人がやってきたーってめっちゃ嬉しそうだった。今日の午後から、隊首会に出る。俺はどこに配属されるんだろうな・・・井上と同じ4番隊がいいけど、俺には治癒能力とかないからな」

やがて、一護は隊首会に呼ばれた。

大戦を経験した後からもう65年以上はたっているので、その当時の隊長副隊長とは違う面子もいた。

「知らない子には紹介しておこう。この子が、黒崎一護君。尸魂界を二度にわたって救ってくれた英雄だよ」

「いや、京楽さん、俺はそんなんじゃないから」

照れながら、一護が笑う。

「そうだねぇ・・・・ルキアちゃんと仲がよいから、13番隊に配属しよう」

「あの京楽さん」

「ん、どうしたんだい?」

「俺には、その朽木ルキアさんに関する記憶がないんだ。なんでか知らないけど・・・覚えてないんだ。白夜のことは分かるが、朽木ルキアさんのことが全然記憶にない」

「それは本当なの?」

京楽の問いかけに、皆同じ思いだった。

「あんだけ朽木と仲良かったじゃないか!」

日番谷がそう言い、白哉が眉根を寄せた。

「あんなに愛し合っていたであろう・・・・」

「いや、まじで記憶がないんだ。なぁ、朽木ルキアさん」

「まず、その朽木ルキアさんという言い方をやめろ。ルキアでいい」

「じゃあ、ルキア」

ルキアは、皆の視線を集めたが、なんとか冷静を保っていた。

「一護の中に私に関する記憶がないのは本当だ。何故かは分からぬが・・・とにかく、一護には私のことを思い出してもらいたい。13番隊の配属で問題ないなら、13番隊へ」

「そういうことなら、13番隊へは必須事項だね。黒崎一護君には、そのうち4場隊と12番隊の隊長に診てもらうことにしよう」

「げ、涅マユリに!?」

「げ、とはなんなんだネ!失礼な小僧だ。私は12番隊隊長だ。今の君より身分が上であることを、忘れないでくれたまえヨ」

涅マユリは、不機嫌そうだった。その毒々しい姿は、相変わらずだった。

「では、13番隊の空いているのは・・・6席だったか」

「はい、京楽総隊長」

「では、ここに黒崎一護君、君を13番隊の6席に任命するものとする」

「じゃあ、俺の上司はルキアさん・・・・じゃなくって、ルキア?」

「そうだ。貴様は卍解も使えるだろうし、戦闘では問題ないだろうが、普段の死神の業務を覚えてもらう。何せ、真央霊術院に通っていないのだ。死神として知識をつけてもらわねば」

「わーったよ」

一護は、ぶっきらぼうに言った。

また、ズキリとルキアの心が泣き出した。

ルキアのことを忘れたといって、尸魂界にやってきて、もう1週間になる。

その間に、一護は井上にとられてしまっていた。

だが、今のルキアに二人の仲を切り裂く権限はない。一護は、とても幸せそうな顔をしていたのだ。それは本来、ルキアに向けられるべき表情であった。

「では、明日から9時前には13番隊の隊舎にくるように」

「わーったよ、ルキア」

「貴様・・・井上の家に、一緒にずっと住んでいるのか?」

「ああ、そうだぜ。今度、籍をいれることになっている」

「そうか・・・・・」

ルキアは、拳を握りしめた。

泣いてはいけない。ここでまた泣いたら、一護に変に思われる。

「ルキア」

「なんだ」

「なんだかなー。昔、こうやってあんたの名前を呼んでた気がするんだ」

「それは、気がするではなく、実際に呼んでいたのだ。私と貴様は、貴様が他界する少し前まで、時折一緒に過ごしていた」

「うーん。実感がわかねぇ。まぁ、今日のところは井上の家に帰るわ。結婚式にはルキアも呼ぶからきてくれよ。俺の隊長さん」

去っていった一護に、ぽたりぽたりと、涙が零れていく。

「貴様の、結婚式を見届けろと・・・そんな残酷なことを、貴様は平気でいうのだな・・・」

ああ、黒崎一護を愛するんじゃなかった。そう思ったが、もはや愛してしまったものは仕方ないのだ。

体の関係まであった。

かなりディープな関係だったと思う。

「一護・・・貴様が、恋しいよ・・・・」

ぽたりぽたりと、滴っていく涙は、当分の間止まりそうになかった。


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