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ルキアを攫ってしまおう 高校3年の終わり

高校生活最後の冬がやっきた。

あと4か月したら、ルキアは尸魂界に戻ってしまう。

だから、思いのたけをぶつけようとした。

「ルキア・・・・好きだ」

「ありがとう、一護。だが、私は貴様の思いを受け入れられない。人間と死神・・・・この差はどうあがいても、結ばれぬ」

「それでも好きだ、ルキア」

「その心、嬉しく思う。だが、答えるわけにはいかぬのだ」

何度ルキアを好きといっても、ルキアは首を縦に振ってくれなかった。

それでも、一緒に生活し、一緒のベッドで寝て、一緒に起きて登下校を繰り返す。

まるで恋人同士のようであるが、ルキアは頑なに一護の想いを受け入れてくれなかった。

それでもルキアの傍にいた。

片思いでもいい。そう思いはじめていた。

「恋次と、付き合うことになった」

そう報告されて、目の前が真っ暗になった。

「なぁ、ルキア。俺がお前のこと好きだって知ってるのに、そんな残酷なこというのか?」

「あ、違うのだ一護・・・」

「もう知るか。恋次の嫁にでもなっちまえ!」

その日を最後に、ルキアの姿は現世から消えた。

もうどうでもいいと思った。

大好きなルキア。

一護にとっても友人である恋次と付き合い始めたという。

それでもルキアが好きだった。

気づけば、自分のことを好きと慕ってくれる井上と交際を始めていた。

「ルキア・・・・・・・」

ルキアを思わない日はなかった。

ルキアが去って1年が経ち、2年が経ち、3年が経ち・・・5年が経った。

一護の中では、ルキアの姿はあの日のまま凍り付いて、時を止めていた。

一護は、井上と結婚した。

もう、ルキアのことばかりを考える一護はいなくなっていた。

ある日、ルキアが恋次を伴って会いにきた。

「よお」

「よ」

恋次とは言葉を交わせたがルキアの顔は見れなかった。

「貴様!私を無視とはいい度胸だな!」

顔面に蹴りをくらって、さすがの一護もルキアの方を向いた。

「何しやがる!」

「たわけ、それはこっちの台詞だ!5年ぶりになるというのに、言葉一つ交わさぬとは何事か!」

「一護・・・・報告遅れちまったが、俺たち結婚したんだ」

その言葉は、ストンと一護の胸に落ちてきた。

「ああ。俺も井上と結婚した。もう、黒崎織姫で、井上じゃねーけどな」

「みんな!懐かしいね!」

一緒に住んでいる井上が、恋次とルキアの顔を見て顔を輝かせた。

「結婚、したんだ?」

「ああ」

「おめでとう!」

井上は、心底嬉しそうだった。安堵したのだ。

いつまでもルキアのことを忘れない一護も、これでルキアのことに諦めがつくと。

でも逆だった。

一護の諦めがついていた心に火がついた。

気づくと、ルキアを攫うように家の外に出ていた。

「どうしたんだろう、二人とも」

「積もる話があるんじゃねーか?」

「おい、貴様何処へ行く!」

「誰もいない場所!」

そう言って、浦原のところにいくと、地下室をかりてそこでルキアを向き合った。

「死神として、幸せか?」

「勿論だ」

「俺がいなくて、幸せか?」

「それは・・・・・」

「なぁ、ルキア。恋次と付き合いだしたって言ったときも、嬉しそうじゃなかったな。恋次と結婚したって言ったさっきもだ。本当に、幸せなのか?」

「幸せに決まっておろう!幸せでないといけないのだ!兄様も恋次なら私を託せるとおしゃってくださった!」

「じゃあさ。なんで、そんな泣きそうな顔してるんだ?」

「そんなことは」

ポロリと、一粒の涙がアメジストの瞳から零れ落ちた。

「どうすればよかったというのだ。人間の貴様と結ばれぬことが分かっていながら、好きだと告げろと?」

「やっぱり、ルキアも俺のこと、好きだったんだな」

「たわけ。もう、お互い引き返せないところにまできてしまったのだ」

「なぁ、ルキア。5年だ。お前がいなくなってから5年経って、俺は諦めて井上と結婚した。幸せだと思ってた。でも違うんだ。隣にお前がいない。俺は、未だにお前が好きなんだ、ルキア」

「たわけ!私は恋次の妻だぞ!好きだというなら、攫え」

「そうする」

一護は。

ルキアを連れて、行方をくらませた。

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