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京楽と浮竹と海燕と さくらさくら

また、花見にいくことになった。

今度は、朽木邸ではなく、山の中にある浮竹と京楽だけしか知らない、秘密の場所だった。

そんな場所に連れて行ってくれると言われて、海燕は逡巡した。

「二人だけの秘密の場所でしょう?俺なんかに教えていいんですか?」

そういうと、浮竹は笑った。

「お前だから、知っておいて欲しいんだ」

素直に、嬉しかった。

上官である浮竹には慕われていういることは知っていたが、秘密の場所まで連れてってもらほどであるのだと知って、喜んだ。

「ただし、海燕は酒はほどほどにな。酔うとキス魔になるんだから」

この前、朽木邸で浮竹と京楽に愛を告げて、キスをしたと知った時、人生が真っ暗になた。

泥酔するほど飲んだのは、あの時が初めてだった。京楽の強い酒を飲まされて、そのアルコール度の高さにやられて、泥酔した。

ただ酔うだけならいいが、キス魔になるなど、自分でも未だに信じられないくらいだが、浮竹と京楽が二人してはめてくることはないだろう。

「じゃあ、果実酒だけ用意しておきましょう。料理は、どうせ京楽隊長に任せればいいはずですから」

花見にいく前日、仕事が終わって浮竹の姿が消えた。

何処にいるのだろうと、探したら調理場にいた。

なんでも、簡単な弁当を作るらしい。浮竹隊長の手料理って、やばそうな気がしたが、たとえどんなに不味くても美味しいとうだけの自信はあった。

翌日。

瞬歩で1時間以上走って、ようやくその場所に辿り着いた。

「わぁ・・・・・」

海燕は、その光景が綺麗すぎて、瞬きするのを忘れていた。

何処までも続く、薄いピンク色の絨毯。

何百本という単位で咲く桜の花たちは、風に花びらを散らせていきながら、浮竹と京楽と海燕を出迎えてくれた。

シートを広げて、そこに座る。

ちらちらと降ってくる桜の雨が、とても綺麗だった。

満開を過ぎている。

あと1週間もすれば、散ってしまうだろう桜に、今だけ感謝を覚えた。

「とりあえず、ご飯にしようか」

京楽の手には、京楽お抱えの料理人が作った重箱の弁当箱があった。

「その、俺も作ったんだ。料理なんて久しぶりだし、美味いかどうか分からないが、たべてくれ」

やや小さめの弁当箱に、色彩豊かなおかずと、ちらし寿司が入っていた。

「これは僕のものだよ!」

奪い取っていく京楽に、海燕が言う。

「あんただけ独り占めはずるい!俺も隊長の手料理食べてみたい」

「二人とも、仲よくしろ」

二人とも頭を軽く浮竹に殴られた。

「器をとってくれ」

言われた通りにすると、京楽と海燕の分ほぼ均等に分けてくれた。

「む・・・・これは!」

かっと、京楽が目を見開く。

「これは!」

海燕も目を見開いた。

どんなに不味くても美味しいと言える自信があった。でも、偽りなしに美味かった。本当に浮竹が作ったのかと疑念を抱くほどに。

卵焼きはだしを使われおり、砂糖の加減が絶妙だった。

他のおかずも美味しく、ちらし寿司もお酢の加減がちょうどよく美味しかった。

「やあ、まるで料理人が作ったような味だねぇ。流石だね、浮竹。前も君の手料理食べたことあるけど、全然衰えていない」

「え、京楽隊長今までにも浮竹隊長の手料理食べたことあるんですか」

「あたりまえでしょ。付き合い始めて何百年が経ったと思ってるの」

確かに、そんな長い人生の間なら、浮竹の手料理を何度か口にしたことくらいありそうだ。

「隊長の手料理まじで美味いです」

「ありがとう、京楽、海燕。作った甲斐があったってもんだ。伊達に、8人兄弟の長男をしてきたわけじゃあないぞ。腹をすかせた妹や弟たちに、よく料理を作ってやったんだ。死神統学院に入る前は、小さめの飯屋で、食事をつくるバイトをしたことがある」

「ああ、俺の出た学院は真央霊術院っていうんですけど、確か昔は死神統学院って名前だったんですよね?」

「そうだぞ」

浮竹は、京楽家お抱えの料理人が作ってくれたという弁当を口にしていた。

「んーやっぱり、京楽家の料理人の味はすごいな。俺にはむりだ、こんな味」

「まぁ材料が高級品なのもあるけどねぇ。浮竹のも悪くなかったよ」

京楽は、重箱の弁当の中身を食べながら、さっそく高級酒を飲みだした。

海燕も、初めてだが京楽家お抱えの料理人が作ったという、弁当を口にした。

「美味い・・・・」

「そうだろう。これは京楽家の料理長が作った奴だな」

「浮竹、そんなことまでわかるの?」

京楽が驚いていた。

「京楽家の料理長は海老をつかった料理が得意だからな。海老の天ぷらにエビフライにえびの姿焼き・・・・・・」

「ああ、そういうえばそうだねぇ」

確かに弁当は海老が多かった。

「いや、美味くてはしがとまらない」

「量は十分あるから、急ぐことはないよ」

「桜も見ながら、ゆっくり食べよう」

浮竹も、果実酒を飲みだした。

海燕も、果実酒を飲みだす。

おはぎももともと、浮竹が好きだったから、好きになったのだ。果実酒も、浮竹が好きなせいで、海燕も気づくとよく飲むようになっていた。

一度甘いお酒にはまると、ビールなんかの苦いのは苦手になった。

日本酒も飲むが、日本酒よりはカクテル系とか、果実の味のする酎ハイなんかが好きだった。

果実酒の中身は、たまに赤ワインだったりすることもある。

今日は、赤ワインだった。

それを浮竹はけっこう派手に飲んでいく。

海燕は遠慮がちの飲んだので、酔うことはなった。

泥酔とまでいかないが、浮竹は酔っぱらってしまった。

「おうおうおうおう、海燕、俺の酒がのめないかー?」

「浮竹、もうそこらへんでやめておいたら」

京楽が、浮竹の手の中から酒をとりあげた。

「おうおうおうおう京楽、俺から酒をとりあげるとはいい度胸だ」

「今日は絡んでくるのか・・・・・こんなのは初めてだねぇ」

京楽は、面白そうそうに寄った浮竹を介抱した。

「ほら、僕の膝に横になって」

素直に横になる浮竹。

「ごろにゃーん」

今度は猫になりだした。

浮竹は酔うとよく饒舌になったり、周りに構わず京楽といちゃつきだすが、こんな酔い方は初めて見る。

「京楽好きだ。ちゅーしてくれ」

あ、いつもの酔い方だ。

そう思っていたら、京楽が浮竹とディープキスをしていた。

海燕も慣れているので、そんな程度では何も言わない。

「俺を抱いてくれ・・・・・」

ぶーーーーー。

海燕は飲んでいた赤ワインを吹き出した。

「ここじゃだめだよ。海燕君がいるからね」

「じゃあ、帰ってから」

「いいとも」

そう言って、浮竹は眠りだした。

その約束を守る浮竹ではない。酔っていた時にいった言動など大抵覚えていないのだ。

だから、帰ってから京楽に抱かれて、浮竹はへそを曲げて拗ねるのだった。





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