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京楽に任されば安心でもそれが一番危険だった

時は院生時代。

京楽は、一人のんびりと二人用の寮の部屋を使うはずだった。

そこで、山じいが、面倒をみてやってほしいと、一人の同い年の少年を紹介した。

「春水、この子は体が弱い。お主が、面倒を見てやってほしい」

「嫌だよ。めんどくさい」

相手の顔も見もせずに、断った。

「しかしのう・・・・体が弱い上に見た目がいいので、この前同じ寮の部屋になったうつけ者が十四郎に手を出そうとしてなぁ。春水、お主くらいしか、安心して頼める相手がいないのじゃ」

そう言われて、はじめて相手の顔を見た。

少女かと思った。かなりの美少女。

でも、まとう凛とした雰囲気や幼さを残しながらも佇む空気から、彼が少年であると分かった。

ぼけーと見惚れていると、山じいに頭をどつかれた。

「これ春水、返事をせぬか」

「ああ、うん。いいよ。面倒見てあげる。同じ寮の部屋でいい」

「そうかそうか。春水になら、安心して任せられる。よかったのお、十四郎」

山じいは、十四郎という少年の頭を撫でて、去っていった。

「俺は浮竹十四郎という。よろしく」

「僕は京楽春水。よろしくね」

今思えば、それは運命だった。

浮竹は肺を病んでおり、時折酷い発作をおこして、入院した。また、体が弱く、よく熱を出した。

その看病を、京楽は率先して行った。

そして、刷り込むようにキスやハグを覚えさせた。

「んん・・・・」

京楽の腕の中で、浮竹は苦し気に身を捩る。

酸素を求めて開く口に唇を重ねた。

「あ、京楽・・・・・」

「春水って呼んで。十四郎」

「春水・・・・」

かわいそうに。

同じ寮の部屋にならなければ、京楽の魔の手から逃げられたかもしれないのに。京楽は、自分でそんなことを思った。

甲斐甲斐しく世話をやく京楽に、浮竹はすっかり懐いてしまった。

キスをしても、拒絶しない。

始めは嫌がっていたが、一度キスをすると、その行為が好きになり、浮竹はよく京楽にキスを強請ってきた。

「ねぇ」

2回生になっていた。

「僕と、試しに寝てみない?」

「え?」

「せっくす、してみない?」

浮竹は、顔を真っ赤にさせた。

「お前は、俺が気味悪くないのか。こんな白い髪の・・・・おまけに病弱で、発作で血を吐くし、おまけに同じ男だし、その他いろいろ問題が・・・・」

「うん。全部わかってる。でも、全部すっとばして、君とせっくすしたいんだ。君のことが好きだから」

浮竹はまた真っ赤になった。

「俺も京楽が好きだ」

「じゃあ、一度せっくすしてみよう。無理そうなら、時間をかけて落としていくよ」

京楽は女遊びが激しい。

はじめは冗談かと思った。

「俺は、女じゃないんだぞ。お前が通っている廓にいるとしたら、色子だ」

「うん。最近、君のことしか頭になくって、女の子の裸見てもたたないんだ」

「なっ・・・・・」

浮竹は言葉をなくす。

「君のあられもない姿を想像して、女の子抱いてたけど、いい加減うんざりしてきた。女の子を使って、一人で抜いてるようなものだから」

「京楽・・・」

「君が嫌じゃなければ、一度セックスしてみようよ」

「でも、俺は男だし、女の子のようには・・・・」

浮竹の逡巡する言葉に、京楽が続ける。

「世の中には色子もいるでしょ。男同士でも、セックスはできるよ。むしろ、最近廓にいくと色子を買って話を聞いているんだ。男同士で気持ちよくなる方法、教えてもらった」

「だからって、何故俺なんだ?」

首を傾げてくる浮竹がかわいすぎて、京楽は鼻血を出しそうになった。

「いや、君が好きだから」

「本当に?」

「うん」

「俺も好きだが、恋愛感情なのか分からない」

「そんなこと後回しでさ。とりあえず、セックスしてみようよ」

京楽に押し切られて、浮竹は頷いていた。

「分かった・・・・」

「最初は辛いからもしれないから、これ飲んで?」

「なんだ、これは」

「軽い媚薬だよ。感じやすくなれる。痛みも忘れてしまう。ちょっと体が熱くなるようなかんじになるけど、体に害はないから」

「飲んだ方がいいのか?」

「乱れる君を見たい。飲んで欲しいな」

「分かった」

浮竹は、京楽から受け取った軽い媚薬という液体を飲んだ。

その日の夜、浮竹はがちがちに固まっていた。その体をほぐすように、浮竹の好きなキスを何度も繰り返すし、輪郭を愛撫していると、浮竹の体から力が抜けていった。

「あっ・・・・・」

花茎に手をかけられて、羞恥のあまり逃げようとする浮竹をおさえこんで、しごく。

性欲があまりない浮竹であるが、直接の刺激は強すぎて、媚薬のせいかあっという間にいってしまった。

「ああ!」

白い液体を、京楽は口にして飲み込んだ。

「京楽!」

「指、いれるよ」

この日のために、潤滑油を用意しておいた。

「ああ!」

つぷりと指を入れられることにも反応するようで、指を折り曲げて前立腺を刺激すると、浮竹の花茎はたらたらと透明な蜜を零した。

「いれるよ。力抜いて」

「ひあああああ!」

引き裂かれる----------*。

でも、痛みは感じなかった。

それが媚薬のせいだというのに、浮竹は気づいていなかった。

「体が、熱い・・・・・」

「今、楽にしてあげるから。僕の背中に手を回して。爪を立ててもいいから」

「あああ!」

突きあげられる度に、少し長くなった白髪が宙を舞う。

「どう?いい?」

「あ、もっと・・・・」

「十四郎、好きだよ」

「ああ!春水!」

ぐちゃぐちゃになった結合部から、浮竹の太腿にお互いの体液が混じったものが伝う。

それをタオルでふきとって、行為を再開させた。

「うんんん!」

ぴちゃりと、舌が絡まるキスをされて、浮竹は妖艶に微笑んだ。

「あ、そこ、きもちいい・・・・」

「ここかい?」

前立腺がある部分を突き上げて抉ってやると、浮竹は体を痙攣させて二度目の熱を放っていた。

「ん・・・・・」

京楽も、浮竹の腹の奥に、熱を弾けさせていた。

「春水・・・・キスして?」

「十四郎はかわいいね」

キスを何度も繰り返した。

後ろから突き上げると、浮竹はまた熱を放ったが、媚薬のせいかまだいけるようだった。

「んん・・・・・」

最奥を突きあげられて、浮竹の体が痙攣する。

またいったのだ。

京楽は、自分でも性欲の強い男だと自負しているが、今の浮竹を満足させるまでもちそうになかった。

浮竹の最奥に欲望を叩きつけて、それからまた何度か突き上げていってしまうと、もう何もでなくなった。

「あ・・・まだ、体が熱い・・・・・」

「軽いはずの媚薬だったんだけどねぇ。騙されたかな?」

京楽は、浮竹のものを口にふくんで、なめあげると、浮竹は「体が熱い」と繰り返して、いってしまい、お互いもう何もでなくなった。

「んー。初めて男の子抱いたけど、浮竹のせいか想像以上に気持ちよかった。女の子とするの比じゃないね」

「俺は・・・きもちよかった。薬のせいだろうけど・・・・・・」

「いや、薬のせいだけじゃないよ。元々、男でも感じれる部分はあるからね」

「俺がおかしいんじゃないのか?」

「君は普通だよ。僕だって、もしも君みたいに抱かれたら同じ言葉を言うと思う」

「抱かれるひげもじゃのお前は、想像できない」

浮竹が笑った。

その笑みだけで、心はぽかぽかした。

「お風呂、いこっか。立てる?」

「なんとか」

二人で、少し広めの風呂に入り、髪と体を洗って、浮竹の中にだしたものをかきだして、湯を浴びて風呂からあがった。

「まだ、体が熱いんだ・・・・」

「我慢できる?」

「ああ」

「お違い、もう何もでないからね。指でいかせれるけど、するかい?」

「いや、いい。我慢できるから」

「ごめんね。軽い媚薬のはずが、少しきつかったみたいだ」

「でも、そのお陰で気持ちよかった。別にいい」

浮竹は、京楽とセックスしたことを後悔したわけじゃないようだった。

「僕としては、今後も時折でいいから君とセックスしたいんだけど、いいかな?」

「あまり、激しくなければ・・・・薬とかもぬきで」

浮竹は、赤くなりながら小さく呟いた。

「ねえ、順序が逆になちゃったけど、僕たち付き合おう」

「恋人同士になるのか?」

「そうだよ。君を傷物にしてしまった責任はとらないと」

「俺は、別に傷物になったわけでは・・・・・・・」

「一般的な考え方から、君は僕のせいで傷物になっちゃったんだよ」

浮竹は、少しぽかんとしてから、口を開いた。

「そうか。なら、責任をとってくれ」

「うん。責任をとるから、僕だけを見てね。僕だけを好きになって」

「京楽は・・・・俺だけを見れるのか?俺だけを好きになれるのか?女遊びは?」

「女遊びはやめる。もともと君を想像して抱いてたからね」

そうして、二人は付き合いだした。

ある日、山じいが、二人の様子が親密すぎておかしいと様子を見に来たが、見たのは浮竹と京楽のキスシーンだった。

「お主ら、何をしておるのじゃ!こりゃ春水、面倒を見てやれと言ったが、手を出せと言った記憶はないぞ!」

「ああごめん、山じい。山じいの紹介で、惚れて僕のものにしちゃった」

「じ、十四郎・・・・・・」

「すみません、先生。京楽と付き合っています。肉体関係ありで」

山じいは、ぶっ倒れた。

「山じい!」

「先生!」

「うーーーん。春水に任せれば大丈夫だと思ったのに、なんということじゃ。お主たちの子を見るのが、わしの未来の楽しみじゃったのに・・・・」

「それはまじでごめん、山じい。でも、僕はフリーでも結婚する気はなかったよ」

「俺も、こんな体です。結婚する気はありません」

「うーーんうーーん」

山じいは、その日一日中うなされた。

なんとか自力で一番隊の隊首室にくるなり、ベッドにつっぷして意識を失い、うなされ続けて、翌日になってまた二人の元を訪れた。

「どうしたんだい、山じい」

「春水、十四郎、別れる気はないのだな」

「ないよ」

「ありません」

「よう分かった。二人とも、仲よくするのじゃぞ。わしから子を見る夢を奪ったのじゃ。いつまでも仲睦まじくしておらんと、流刃若火が、火を吹くからの」

「怖い怖い」

「大丈夫です、今のところ順調です」

その関係が、数百年に渡って続くとは、その時の二人は知る由もなかった。

だが、山じいの言う通り、いつまでも仲睦まじくいたのだった。

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