京楽の誕生日
「よお、京楽」
その人は、向日葵の花束をもって、8番隊隊舎を訪れた。
「これ、誕生日プレゼント。あとこれとこれとこれも誕生日プレゼント。誕生日おめでとう、京楽」
新しい財布やら、筆やら、判子やらが黒檀の机の上に置かれた。
「ありがとう。君からもらえるなら、言葉だけでも嬉しいのに。この向日葵、早いね。時期的にはまだ紫陽花でしょ?」
「現世から取り寄せた。紫陽花の花より、お前は向日葵みたいに元気に咲いていると思って」
「気を遣ってもらって悪いね」
「いや、俺も毎年いろいろもらってるからな」
京楽が浮竹に渡す誕生日プレゼントは、どれも高価なものばかりで、浮竹は館の鍵を渡された時など、受け取るのを拒否したほどだ。
上流貴族でも上のほうから数えたほうが早い京楽は、金使いが荒いわけではないが、浮竹のこととなるとぽんっと金を出す。
向日葵を受け取って、京楽は笑みを零した。
「太陽の時期だね。もう夏かぁ」
まだ梅雨はあけていない。
それでも、もう太陽は随分と高くなり、気温も30度を超える日々が続いていた。
「今年も暑くなりそうだね」
「ああ」
浮竹は、向日葵の花を花瓶に活けた京楽の膝に寝ころんだ。
「浮竹?」
「京楽・・・・好きだ」
そっと、京楽の頬に手を添えて、触れるだけのキスをしてきた。
「僕は、期待してもいいのかな?君をもらっていいと・・・・・・」
「仕事が全部終わって、夜になったら、な」
京楽は、ばりばり仕事を始めた。
溜まっていた仕事をあらたか片づける頃には、浮竹は眠っていた。
最近伏せっていて、比較的調子いい今日にやってきてくれたのだが、額に手をあてるとほんのりと熱かった。
「無理、しちゃったんだろうね」
京楽の誕生日だからと、微熱で外出したのがあだとなったのだろう。
ちゅっと、リップ音を立ててキスをする。
「ありがとう、浮竹」
浮竹を抱き上げて、自分の館に瞬歩で戻ると、布団をしいて浮竹を寝かせて、額に冷えたタオルを置いた。
「君が傍にいてくれるだけで、僕は幸せだよ」
浮竹の隣に布団をしいて、京楽は浮竹の白い髪に口づけした。
夜はゆっくりと更けていく。
結局、浮竹を抱けなかったが、そんなことはどうでもいいのだ。
一緒にいられる。傍にいられる。
それだけで、満足なのだ。
何百年と一緒に居続けて。
これからも、一緒にいれることを願おう。
その人は、向日葵の花束をもって、8番隊隊舎を訪れた。
「これ、誕生日プレゼント。あとこれとこれとこれも誕生日プレゼント。誕生日おめでとう、京楽」
新しい財布やら、筆やら、判子やらが黒檀の机の上に置かれた。
「ありがとう。君からもらえるなら、言葉だけでも嬉しいのに。この向日葵、早いね。時期的にはまだ紫陽花でしょ?」
「現世から取り寄せた。紫陽花の花より、お前は向日葵みたいに元気に咲いていると思って」
「気を遣ってもらって悪いね」
「いや、俺も毎年いろいろもらってるからな」
京楽が浮竹に渡す誕生日プレゼントは、どれも高価なものばかりで、浮竹は館の鍵を渡された時など、受け取るのを拒否したほどだ。
上流貴族でも上のほうから数えたほうが早い京楽は、金使いが荒いわけではないが、浮竹のこととなるとぽんっと金を出す。
向日葵を受け取って、京楽は笑みを零した。
「太陽の時期だね。もう夏かぁ」
まだ梅雨はあけていない。
それでも、もう太陽は随分と高くなり、気温も30度を超える日々が続いていた。
「今年も暑くなりそうだね」
「ああ」
浮竹は、向日葵の花を花瓶に活けた京楽の膝に寝ころんだ。
「浮竹?」
「京楽・・・・好きだ」
そっと、京楽の頬に手を添えて、触れるだけのキスをしてきた。
「僕は、期待してもいいのかな?君をもらっていいと・・・・・・」
「仕事が全部終わって、夜になったら、な」
京楽は、ばりばり仕事を始めた。
溜まっていた仕事をあらたか片づける頃には、浮竹は眠っていた。
最近伏せっていて、比較的調子いい今日にやってきてくれたのだが、額に手をあてるとほんのりと熱かった。
「無理、しちゃったんだろうね」
京楽の誕生日だからと、微熱で外出したのがあだとなったのだろう。
ちゅっと、リップ音を立ててキスをする。
「ありがとう、浮竹」
浮竹を抱き上げて、自分の館に瞬歩で戻ると、布団をしいて浮竹を寝かせて、額に冷えたタオルを置いた。
「君が傍にいてくれるだけで、僕は幸せだよ」
浮竹の隣に布団をしいて、京楽は浮竹の白い髪に口づけした。
夜はゆっくりと更けていく。
結局、浮竹を抱けなかったが、そんなことはどうでもいいのだ。
一緒にいられる。傍にいられる。
それだけで、満足なのだ。
何百年と一緒に居続けて。
これからも、一緒にいれることを願おう。
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