僕は君の瞳の色の名を知らない9
体を重ねあうようになって2年が経っていた。
5回生になっていた。
浮竹の髪はすでに肩甲骨あたりまで伸びていて、白い髪は風になびくとさらさらと音をたてる。
最近はめんどうなので、後ろで一つにくくっていたりするが、京楽がよく髪は流したままのほうがいいと、髪ゴムをとっていくので、今は髪は肩に流したままだ。
「はぁ・・・・」
浮竹は、今日何度目かになるため息をついていた。
すでに、卒業と同時に3席の死神としての席官入りが二人同時に決まっていた。
授業の内容は、もはや学院の中でだけでなく、実際に死神としての一般隊士に混ざっての虚退治なども含まれていた。
死神統学院を卒業しても、死神にならない者もいる。
浮竹と京楽は死神になる。
斬魄刀ももっているし、卍解まで扱えた。
一般隊士に混ざっていても、特別扱いされた。
「はぁ・・・・・」
「どうしたの。気分でも重いの?」
「・・・あと1年もすれば、学生生活ともおさらばで、こうやってゆっくり時間を過ごすこともなくなくなるのかと思うと、少し億劫でな」
「まぁ、学院生活で怠けた分、働くしかないよね」
「お互い席官入りだしな」
「おまけに3席ときたしね。山じいが関わっているとはいえ、ちょっと出世させすぎだよね」
浮竹と京楽は、山本総隊長にかわいがられていて、卍解も扱えるとのことで将来隊長だと有望視されている人材である。
京楽からキスをされて、浮竹は肩の力をぬいて、くたりと京楽に上半身を預けた。
「もー、本当にどうしたの」
「金がない」
「いつものことでしょ」
「いや切実で・・・・俺の薬代の借金がかさばって、妹が売られそうなんだ。京楽、悪いが借金をしていいか?」
「妹が売られそうだって!?なんでもっと早く言ってくれないの!」
「金額が金額だけに・・・・・」
京楽が聞いた金額は、京楽が思っていた以上の金額だった。
「両親が・・・悪い金貸しや捕まってな。全額返済しないと、妹を借金のかたにもらっていくと・・・・・」
「後で合法で処理しよう。お金はちゃんと用意してあげるから、とりあえずそれを送って妹さんをもっていかれないようにしなきゃ」
「ああ」
京楽に借金はしたくないが、大きな金額なので京楽くらいしか当てがなかった。
「本当は、俺なんだ」
「どういう意味?」
「俺を見たという金貸しのやつが、俺欲しさに、借金の額を釣り上げてきてな。ただ、死神の席官入りが決まっていると知って、俺に一番似ている妹を妾にするといいだした」
「そいつ、殺してもいいかい?」
「やめろ。いくら悪徳でも、殺すのはやりすぎだ」
京楽なら、本当に殺してしまいそうで怖かった。
「じゃあ、借金を肩代わりする代わりに、君を買うよ。僕が」
「は?」
「一晩、100万環で買うよ。夜を」
「お前・・・」
浮竹は顔が真っ赤になるのを、隠せなかった。
「ああ、その条件でいい。死神になって稼ぐまで、借金は返済できそうにないし。合法的に処理できても、借金の額はもともと多いし・・・・」
その日のうちに、金を用意してもらい、実家に送って、妹は売られずにすんだ。
----------------------------------
「ほら、いってごらん?どうしてほしいの」
「お前、最近意地悪だな」
夜の睦みごとの最中、京楽はただ浮竹の反応を楽しむだけでなく、どうしてほしいのかと聞いたり、わざと動かずに浮竹を焦らしたりした。
「お前ので、奥まできてくれ。俺をぐずぐずに溶かしてくれ・・・・」
「よくできました」
くちゅりと音をたてて、京楽が入ってくる。
「あああ!」
入ってくる瞬間の痛みは少なくなったが、その衝撃はまだ慣れない。
「ん・・・・んあ・・・・」
京楽とのキスは好きだった。
頭の中がぐずぐずに溶けていきそうで。
「ん・・・ふあ・・・やっ」
奥を衝かれながら、揺さぶられると頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなる。
ただ、気持ちいい。
それだけが脳内を満たし、そして京楽の存在を認識させる。
「ああ・・・・春水っ!」
「十四郎・・・・ああ、僕だけのものだ・・・」
胎の奥が疼いた。
女ではないのに。奥まで満たされたい。
京楽が胎の奥で熱を弾けさせるのと同時に、浮竹も熱を放っていた。
「はぁ・・・今日で3千万環。3億環まで遠い・・・・・」
1日100万環で買われて、30回睦みあって、借金は2億7千万環まで減った。合法的に処理しても、3億環の借金、現世でいえば3億円の借金が残った。
京楽の出した提案に乗ったが、3億環までは遠いが、この調子なら卒業までに2億環の前半まではもっていけそうだった。
後は地道に稼いで返すか、死神家業をしながら夜を買ってもらうかだ。
借金がなくなれば、夜なんて買ってもらわなくていいから、普通に求め合うときに体をつなげればいい。
今は買われているせいもあって、なんだか不思議な気分だ。京楽のことは好きだが、対等の立場じゃない気がして、ちょっと苦しい。
それを口にすると、京楽は困ったように笑って、抱きしめてきた。
「君を買うなんて、ただの口実だよ。借金なんて、ちゃらにしてもいい」
「だめだ。ちゃんと返す。働くか、もしくは夜を買ってもらって」
「君は変なところで頑固だね」
「恋人に、いつまでも借金しておくなんて、嫌だろう、普通。だからって、借金をなしにしてもらうには、あまりにも金額が多い」
「僕にとっては、そんなにとびぬけた額じゃないし、君のためならむしろ喜んで金なんて出すけどね」
「京楽、キスしろ」
「なんだい。どうしたの」
「お前とのキスは好きだ。んん・・・・・ふあっ」
咥内を舌でまさぐられて、声が漏れた。
「ふあ・・・・んっ・・・・」
舌を絡ませあいながら、唾液を飲み込む。
キスも深くなればなるほどに、何も考えられなくなる。
「んっ・・・・・」
浮竹は、緑の瞳を開いた。
そうだった。この色だった。
翡翠。
それが、君に送ってきた宝石であり、君の瞳の色の正体。
僕は君の瞳の色の名を知らないと思っていた。
本当は、初めから知っていたんだ。
君の瞳の色は翡翠。
翡翠。
それが、僕が知る君の瞳の色の名前。
5回生になっていた。
浮竹の髪はすでに肩甲骨あたりまで伸びていて、白い髪は風になびくとさらさらと音をたてる。
最近はめんどうなので、後ろで一つにくくっていたりするが、京楽がよく髪は流したままのほうがいいと、髪ゴムをとっていくので、今は髪は肩に流したままだ。
「はぁ・・・・」
浮竹は、今日何度目かになるため息をついていた。
すでに、卒業と同時に3席の死神としての席官入りが二人同時に決まっていた。
授業の内容は、もはや学院の中でだけでなく、実際に死神としての一般隊士に混ざっての虚退治なども含まれていた。
死神統学院を卒業しても、死神にならない者もいる。
浮竹と京楽は死神になる。
斬魄刀ももっているし、卍解まで扱えた。
一般隊士に混ざっていても、特別扱いされた。
「はぁ・・・・・」
「どうしたの。気分でも重いの?」
「・・・あと1年もすれば、学生生活ともおさらばで、こうやってゆっくり時間を過ごすこともなくなくなるのかと思うと、少し億劫でな」
「まぁ、学院生活で怠けた分、働くしかないよね」
「お互い席官入りだしな」
「おまけに3席ときたしね。山じいが関わっているとはいえ、ちょっと出世させすぎだよね」
浮竹と京楽は、山本総隊長にかわいがられていて、卍解も扱えるとのことで将来隊長だと有望視されている人材である。
京楽からキスをされて、浮竹は肩の力をぬいて、くたりと京楽に上半身を預けた。
「もー、本当にどうしたの」
「金がない」
「いつものことでしょ」
「いや切実で・・・・俺の薬代の借金がかさばって、妹が売られそうなんだ。京楽、悪いが借金をしていいか?」
「妹が売られそうだって!?なんでもっと早く言ってくれないの!」
「金額が金額だけに・・・・・」
京楽が聞いた金額は、京楽が思っていた以上の金額だった。
「両親が・・・悪い金貸しや捕まってな。全額返済しないと、妹を借金のかたにもらっていくと・・・・・」
「後で合法で処理しよう。お金はちゃんと用意してあげるから、とりあえずそれを送って妹さんをもっていかれないようにしなきゃ」
「ああ」
京楽に借金はしたくないが、大きな金額なので京楽くらいしか当てがなかった。
「本当は、俺なんだ」
「どういう意味?」
「俺を見たという金貸しのやつが、俺欲しさに、借金の額を釣り上げてきてな。ただ、死神の席官入りが決まっていると知って、俺に一番似ている妹を妾にするといいだした」
「そいつ、殺してもいいかい?」
「やめろ。いくら悪徳でも、殺すのはやりすぎだ」
京楽なら、本当に殺してしまいそうで怖かった。
「じゃあ、借金を肩代わりする代わりに、君を買うよ。僕が」
「は?」
「一晩、100万環で買うよ。夜を」
「お前・・・」
浮竹は顔が真っ赤になるのを、隠せなかった。
「ああ、その条件でいい。死神になって稼ぐまで、借金は返済できそうにないし。合法的に処理できても、借金の額はもともと多いし・・・・」
その日のうちに、金を用意してもらい、実家に送って、妹は売られずにすんだ。
----------------------------------
「ほら、いってごらん?どうしてほしいの」
「お前、最近意地悪だな」
夜の睦みごとの最中、京楽はただ浮竹の反応を楽しむだけでなく、どうしてほしいのかと聞いたり、わざと動かずに浮竹を焦らしたりした。
「お前ので、奥まできてくれ。俺をぐずぐずに溶かしてくれ・・・・」
「よくできました」
くちゅりと音をたてて、京楽が入ってくる。
「あああ!」
入ってくる瞬間の痛みは少なくなったが、その衝撃はまだ慣れない。
「ん・・・・んあ・・・・」
京楽とのキスは好きだった。
頭の中がぐずぐずに溶けていきそうで。
「ん・・・ふあ・・・やっ」
奥を衝かれながら、揺さぶられると頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなる。
ただ、気持ちいい。
それだけが脳内を満たし、そして京楽の存在を認識させる。
「ああ・・・・春水っ!」
「十四郎・・・・ああ、僕だけのものだ・・・」
胎の奥が疼いた。
女ではないのに。奥まで満たされたい。
京楽が胎の奥で熱を弾けさせるのと同時に、浮竹も熱を放っていた。
「はぁ・・・今日で3千万環。3億環まで遠い・・・・・」
1日100万環で買われて、30回睦みあって、借金は2億7千万環まで減った。合法的に処理しても、3億環の借金、現世でいえば3億円の借金が残った。
京楽の出した提案に乗ったが、3億環までは遠いが、この調子なら卒業までに2億環の前半まではもっていけそうだった。
後は地道に稼いで返すか、死神家業をしながら夜を買ってもらうかだ。
借金がなくなれば、夜なんて買ってもらわなくていいから、普通に求め合うときに体をつなげればいい。
今は買われているせいもあって、なんだか不思議な気分だ。京楽のことは好きだが、対等の立場じゃない気がして、ちょっと苦しい。
それを口にすると、京楽は困ったように笑って、抱きしめてきた。
「君を買うなんて、ただの口実だよ。借金なんて、ちゃらにしてもいい」
「だめだ。ちゃんと返す。働くか、もしくは夜を買ってもらって」
「君は変なところで頑固だね」
「恋人に、いつまでも借金しておくなんて、嫌だろう、普通。だからって、借金をなしにしてもらうには、あまりにも金額が多い」
「僕にとっては、そんなにとびぬけた額じゃないし、君のためならむしろ喜んで金なんて出すけどね」
「京楽、キスしろ」
「なんだい。どうしたの」
「お前とのキスは好きだ。んん・・・・・ふあっ」
咥内を舌でまさぐられて、声が漏れた。
「ふあ・・・・んっ・・・・」
舌を絡ませあいながら、唾液を飲み込む。
キスも深くなればなるほどに、何も考えられなくなる。
「んっ・・・・・」
浮竹は、緑の瞳を開いた。
そうだった。この色だった。
翡翠。
それが、君に送ってきた宝石であり、君の瞳の色の正体。
僕は君の瞳の色の名を知らないと思っていた。
本当は、初めから知っていたんだ。
君の瞳の色は翡翠。
翡翠。
それが、僕が知る君の瞳の色の名前。
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