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院生時代の部屋36 アホとプールとポロリと

「プールへ行こう!この間、新しくできた温水プールのレジャー施設のチケットが数枚あるんだよ!」

「へぇ、いいな」

「なぁなぁ、女子も誘っていこうぜ」

「ポロリもあるかもか!?」

京楽は、チケットをとっていく友人たちにもまれながら、ひたすら浮竹を見ていた。

「どう、浮竹も行かない?」

「俺はいい」

「じゃあ、プールは中止ね」

京楽が、チケットを回収していく。

「そりゃねーだろ」

「だめだぞ、変態京楽は浮竹が来ない限り行きそうにもないぞ」

「浮竹、頼む俺たちのための生贄になってくれ!」

「浮竹、頼むよ」

「俺、もうプール一緒に行こうって彼女誘っちゃったんだ」

「俺は・・・・・・・」

はぁ。溜息を零す。常に周囲にいる友人のほとんどが集まって、浮竹にプールに来いと懇願しだした。

「分かった、行くから。それでいいんだろう?」

ニヤリ。

京楽は、明らかにほくそ笑んだ。

何を考えているのか、大体の察しはついた。

そして、プールに行く日になった。

浮竹は、水着をもっていなかったので、新しく通販で買った。それと同じ水着を、京楽も買った。

はっきりいって、色も柄も一緒でややこしかった。

浮竹はあまり泳ぎが得意でないので、浮輪も買った。

「さぁ、いざバカンスへ!」

浮竹の手をとり、私服でサングラスをかけた京楽は、そこらの柄の悪い若者に見えた。ハーフパンツは目に痛い蛍光ピンク。シャツはど派手なアロハ柄。

いやでも人目を引いた。

「はぁ・・・・・」

その日何回目に分からないため息を零して、浮竹は温水プールまで京楽や友達たちとやってきた。

「早速、着換えにいこう浮竹!」

浮竹の手をとって、男性更衣室へ行く。

京楽はすぐにすっぽんぽんになった。

フルチンの京楽は、隙をついて自分の水着と浮竹の水着を交換した。

「あ、忘れ物をした」

そう浮竹が言って、京楽の視線を外した時に水着は元に戻された。

それを着用する。京楽は、自分の水着は浮竹のものだと思っていた。そして細工を加えた水着は浮竹が着ているものと思い込んでいた。

浮竹は、腰にバスタオルを巻いて、変態京楽に見られないように着替えた。

「ぐほっ」

上半身が裸というだけで、すでに昇天しつつあったが、なんとか気力を振り絞って、浮竹の手をとって温水プールに入った。

「きゃははははは」

「やーん」

女性の友人たちの、露わな肌に、浮竹の視線がいく。

「浮竹は、僕だけを見ていればいいんだよ」

さっと視界を京楽で塞がれる。

「何が悲しくて、京楽と泳がねばならんのだ」

浮輪をつけて、京楽を無視してバシャバシャ泳ぎだした。

「ああん、待ってマイスウィートハニー」

その後を、スイスイと泳いで京楽がついてくる。

「今日の京楽、けっこう普通だな」

「ああ。もっと変態行為に出ると思っていたんだが」

友人たちが、こそこそと会話をしだす。

「浮竹、あのウォータースライダーに乗ろう」

「何が悲しくて、京楽とウォータースライダーに・・・・・・」

ぶつぶつ文句を言っていたが、京楽に手を引っ張られるままに、ウォータースライダーの入口まで昇る。

「ひゃっほう!浮竹のポロリがあるよ!」

滑っている途中に、やっぱりこいつと、浮竹は溜息を零した。

ザッパーン。

ぷーるにつくころには、京楽の水着が破けてポロリしていた。

「ええ!?なんで僕の水着がポロリと!?浮竹の水着に細工した僕の水着を着せたはずなのに!」

「そうだと思って、隙を見て再度交換しておいたんだ」

ポロリと露出した京楽の水着は、破けてすでに水着の原型を留めていなかった。

フルチンになった京楽は、前を隠すが、悲鳴があがる。

「きゃあああああああ!変態があああああ!」

「いやあああああ、変質者よおおおお!」

「ポロリしてる!裸よーーー!」

見回りにきていた警備員がやってきて、京楽は捕まった。腰にバスタオルを巻かれて。

浮竹は安堵する。やっぱり水着が交換された時点で、交換しなおしておいて正解だったと。

交換しなかったら、今頃ポロリをしていたのは浮竹だったろう。

ちなみに、浮竹にすごく助けを求めにきていた。

「彼の友人なんだ!水着は手違いなんだ」

「こんなことを、露出の容疑者は言っていますが、彼の友人ですか?」

「いえ、違います」

きっぱりそう言ってやった。

「NO~~~~~!!!」

京楽が連行されていく。

それを見ていた男女の友人が。

「やっぱり出たか、京楽の変態が」

「浮竹君、庇わないのね。でもそこが素敵」

「浮竹、身柄引き取り人になってくれよ?」

「京楽もばかだなぁ。レジャー施設でポロリ作戦だなんて・・・・」


結局、着替えた浮竹は、こってりとしぼられた京楽を迎えに行った。

「これに懲りたら、外でアホな真似はしないことだ」

「はい・・・・・」

しゅんとなって、項垂れた京楽の頭を撫でてやった。

尻尾を振る犬に見えた。京楽が。

触れるだけのキスをすると、すぐに京楽はいつも通りの変態京楽に戻った。

「もっとキスして!あそこにしてもいいんだよ!」

「調子に乗るな」

けつを蹴りあげておいた。

「けつがもげるーーーーー」

一昨日も昨日も、変態京楽だった。今日だけがまともとか、あり得るはずがないと思っていたが、やはり正しかった。

今日も浮竹は頭痛を抱える。

京楽が、次にどんな変態行為に出るか警戒しながら、一日は終わっていくのだった。


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