京楽ホイホイ
室内に、でかいごきぶりほいほいのようなものがあった。
「ふっ、浮竹、こんなもので僕をひっかけようだなんて・・・クンクン・・・この匂いは、浮竹のぱんつ!やっほう!」
ぺたり。
「あああーーー」
べたべた。テープ状になっているそこがべたべたしていると分かっても、浮竹のパンツがそこにあると知って歩みを止める京楽はいない。
「あああ、まるでゴキブリほいほいにかかったゴキブリの気分だよ!」
浮竹はというと、すやすやとまだ寝ていた。
時計を見る。
朝の7時だった。
9時から授業が始まるので、8時半頃までは浮竹は起きない。
「浮竹助けてーーー!」
浮竹は耳栓をしていた。
こうなるのが分かっていて、あらかじめしておいたのだ。
やがて8時20分頃になって浮竹が起き出す。
「ふあ~」
京楽ホイホイにかかった京楽を放置して、顔を洗って歯を磨く。
「うわーん。浮竹助けてー」
「ああ、京楽いたのか」
耳栓をとって、助けを求める京楽を、仕方なくべりべりと京楽ほいほいから外す。
「お前はまた俺のパンツに直進していったのか。こんなに分かる罠を前に」
「だってそこに浮竹のパンツがあったら被りたくなるんだもん!」
重度の変態であるために、浮竹のパンツを被ることくらいは平気でする。
「お前もこりないやつだな。この前の京楽ホイホイのエサは、俺の隠し撮りした半裸の写真だったな。お前のコレクションとかいうやつ」
この前も、浮竹は京楽ホイホイを設置していた。
その時のエサは京楽が買収して隠し撮りさせていた写真だった。体育の時に、各自動きやすい服装をするのが常だった。その時の着換えの時の写真だった。
「(*´Д`)ハァハァ浮竹のパンツ被りたい・・・・・・」
「自分のパンツでも被ってろ!」
洗濯して取り入れたものの中から、京楽の派手な勝負パンツをもってきて、それを京楽の頭にかぶせた。
「(*´Д`)ハァハァ・・・・・なんか、このまま浮竹に悪戯したい気分」
にじりにじり。
京楽は、自分のパンツを被ったまま、浮竹との距離をつめる。
「こっちにくるな変態!」
「まぁそう言わずに・・・・・・」
さっと、瞬歩でいなくなる京楽。京楽は瞬歩を最近使えるようになった。浮竹はまだ使えない。
「くそ、卑怯だぞ!」
さっと浮竹の後ろにきて、浮竹の尻を撫でだした京楽に、浮竹は股間を蹴り飛ばした。
「あうち!僕の息子が大変なことにいいいい」
「その息子とやら、使えないように捩じり切ってやろうか?」
ボキボキと指の関節を鳴らす浮竹。
「はう。ごめんなさい」
自分のパンツを頭からとって、浮竹に謝る。
土下座状態だった。
「おい京楽・・・・・」
「(*´Д`)ハァハァ浮竹の生足・・ぺろぺろ」
「この変態が!」
足の甲をなめられて、浮竹は京楽の顔を蹴り上げた。
「ああ、いい蹴り・・・・・・」
鼻血を出して、京楽は倒れた。
「もう知るか。学校に行くからな。好きなだけ伸びていろ」
浮竹は、気絶した京楽を残して学院に登校した。
「(*´Д`)ハァハァ・・・・浮竹のパンツの海・・・・・・」
浮竹が、鬼道を練習している間、京楽は寮の自室で、とりこまれた洗濯物から浮竹のパンツを盗み、しっかり鍵をかけて封印してある浮竹グッズのうちの、浮竹パンツコレクションをだして、そのパンツの海にダイブした。
しょっちゅうパンツがなくなるのが、浮竹の悩みだった。
寮の同室の変態が盗むのだと訴えたことがあるが、上流貴族の京楽家の人間がそんなことをするはずはないと、一蹴された。
盗んだパンツを取り戻しても、いろいろと妄想とナニに使ったせいで、もうはきたくない。
なので、浮竹は京楽から衣装代を出してもらっていた。主にパンツを買うのに使う。
新しいパンツを買う→京楽が盗む→衣装代をもらって新しいパンツを買う→京楽が盗むとこの悪循環が続いているせいで、いっこうに浮竹のパンツは増えない。
増えるどころか、減っている。
たまに京楽の手に余るほど買って、やっとまともな量のパンツになった。
「また、注文しとくか・・・・・・」
ネットで、パンツを大量に注文する。50枚。
これも、京楽からもらった衣装代から出す。
結局のところ、手元に残るは10分の1なので、50枚注文してそれを吐いたかを確認してから盗むのだから、性質が悪い。
「はぁ・・・・・・京楽ほいほい、また設置しとくか」
今度は少々泣きが入っても助けてやらないことにする。
浮竹の苦労は絶えない。
変態京楽がいる限り、貞操の危機はあるし、いろんな変態行為に悩まされる。
だが、不思議と京楽と縁を切ろうとは思わなかった。
それが、浮竹が知らない間に京楽に抱いた思いからきていることを、本人は知らなかった。
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