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媚薬とパンツ王

その日、飲み会があった。

浮竹と京楽は、その飲み会に出た。

なんでも、上流貴族の妻になるために、院生をやめることになってしまった女生徒のお別れ会だった。その少女の名は、浮竹も京楽も知っていた。

まだ少ない女性死神の候補として、席官入りかもしれないと名前があがっていた少女だった。

学院を去るのは悲しいが、華やかな上流貴族の妻としての未来が待っているとあって、少女は幸せそうな顔をしていた。少女は中流の貴族の出身だった。

貴族居住区で、虚に襲われていた将来夫となる人を助けた時に、一目ぼれされたらしい。

何度も熱烈なプロポーズを受けて、ついに学院を退学して妻になることを選んだらしい。

死神は、いつも死と隣り合わせだ。そんなものにならなくて幸せを手に入れれるなら、それにこしたことはないだろう。

「いいなぁ。僕も、虚に襲われいるところを浮竹に助けてもらって、浮竹に一目ぼれして・・・・いや、もうめっちゃくっちゃ惚れてるんだけど、求愛してそれを受け入れてもらえればなー」

ちらちらと、浮竹をみる京楽。

浮竹は、そんな視線のことなど知らずに、果実酒を注文して酒を飲んでいた。

「はははは、京楽・・・・もっと飲めー」

浮竹が絡んできた。

「飲むよ飲むよ。君が飲めというなら泥水でも喜んで飲むよ」

浮竹には珍しく、羽目を外してしまったらしい。

「ほら、飲め飲め」

甘い果実酒かと思うと、喉を焼くような日本酒だった。

「君、こんなの飲んでたの?そりゃ酔うわけか・・・誰が飲ませたの」

「石成」

「ああ、あいつか・・・・・」

最近、浮竹と京楽の友人の輪の中に入ってきて、ことあるごとに京楽から浮竹を奪うみたいに、
行動して、邪魔になっている相手だった。

見目のいい浮竹を狙っているのは、京楽にも分かっていた。

「ん・・・・・・なんか熱い」

「え?熱でもあるの?」

「なんか・・・・へん・・はぁっ」

「ちょっと、浮竹!?」

そのまま、浮竹は眠りこんでしまった。

「僕が、浮竹君を送っていくよ」

石成が、ここぞとばかりに出てくる。

「君、浮竹になんの薬盛ったの」

「いやだなぁ、京楽君。僕はそんなことするような人間じゃないよ」

「分かるんだよね、僕には。浮竹に好意を持つ人間の良し悪しが。君は100%後者だ」

「ちっ、いいから浮竹渡せよ」

「なんの薬盛ったの?」

斬魄刀を手に、石成という男に喉に突き立てる。

「ひっ・・・・・ただの、媚薬だ!」

「ちっ」

今度は、京楽が舌うちする番だった。

「浮竹は連れて帰る」

浮竹を抱き上げて、寮の自室に戻った。

「あ・・・・京楽・・熱い・・・・・」

気が付いた浮竹は、苦しそうにしていた。

「ごめん、君を守り切れなかった」

「どうにかしてくれ・・・変になりそうだ・・・・・」

院生の服の胸元を寛げる。その動きだけで、京楽の心臓の鼓動が大きくなる。

「水を・・・・」

桃の天然水を与えると、コクコクと嚥下していく。その喉の白さにかぶりつきたくなった。

「んっ・・・・変だ・・・・体が熱い・・・・・京楽、まさか酒に何かを入れて・・・?」

「僕じゃないよ。石成のやつだよ。媚薬だって」

「びや・・く・・・・・くそっ」

「辛いでしょ?僕に任せて」

「あっ」

何度かその場所をこすられているだけで、いってしまったらしい浮竹が、甘い声をあげる。

「んあっ」

袴から手をさしいれると、浮竹がびくりと体を強張らせた。

「ぬくだけだから。大丈夫」

「俺だけじゃあ、あれだから・・・・」

お互いの袴の下に手を入れて、いじりあって、浮竹も京楽もイってしまった。

数分がたち、浮竹は湯あみのために風呂場に行ってしまった。

「はー。極楽。僕、もう死んでもいい」

浮竹の手でイかされたという事実は、付き合っていないけど、確実に一歩を踏み出したことになる。

「でへへへへへ」

べろんべろんになってでれている京楽のどたまをかち割るように、浮竹の手刀が飛んできた。

「ぬごっ!?」

「言っとくが、今日のことはノーカウントだからな!俺は薬をもられていた!どうしようもなかった!いいな!」

「浮竹、そんなに照れなくても・・・・」

「ノーカウントだ!」

「わかったよ」

残念ではあるが、薬のせいなので仕方ない。

まだ薬がぬけきっていないのか、浮竹はつらそうだった。

「なんなら、最後までするかい?ノーカウントでいいから」

「しない。さっき風呂場でも抜いてきた。しばらくすればおさまるはずだ」

冷たい水を飲んで、寝転がっていると、そのうち浮竹は酒を飲んだせいもあり眠ってしまった。

「今日を、僕は忘れない。君と歩み出した日だ」

でも、京楽もまたそんなことなど、すぐに忘れ去ってしまうのだが。

何せ、愛しい浮竹のパンツを盗んで被るのに忙しい毎日だ。パンツ王だ。

変態京楽は、媚薬など盛らない。

疑って悪かったと、後日謝罪された。何のことか分からなくて、京楽はぽかんとしていた。

浮竹は覚えているのに、当の京楽が忘れ去ってしまっているので、浮竹ももう完全になかったこととして扱うのだった。

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