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京浮と朽木家

「京楽、白哉のところにいってくる」

「あ、待って、僕も行くから」

「お前がいても、楽しいことなんて何もないぞ」

「それでも心配だからついていくよ」

二人で、白哉のいる朽木邸に向かった。

「何用だ?」

白哉は、書道をしていた。

「健康第一」と書かれていた。

「う、その書かれた文字いいな。くれないか」

「これか?欲しいなら、浮竹、兄が勝手にもっていけ」

「うん」

白哉から、達筆の「健康第一」という書をもらって、浮竹は雨乾堂に飾ろうと思った。

「白哉、この前いってた盆栽がこれなんだが」

浮竹は、わざわざ盆栽を持ってきていた。

浮竹の趣味で、腕自体は相当に悪い。さっぱりなのだ。

「俺としてはここの枝とか全部切りたいんだが」

「それは・・・なかなか値段のしそうな代物だ。今のままがいい。むだに剪定しないほうがよい」

「そうか!白哉がそう言うなら、間違いないな。この盆栽は、今度の瀞霊廷盆栽祭りに出すことにしよう」

なんの祭りそれ・・・・京楽は思った。

「ねぇ、浮竹、それだけのために来たの?」

「え、ああそうだぞ。だから、きても楽しいことなんて何もないと言っただろう」

「あ、隊長!」

「お、朽木じゃないか。現世から帰ってきたのか?」

「はい。一護のところに行っておりましたが、本日帰還しました」

ルキアは、今は13番隊の副隊長で、浮竹の副官である。

長いこと、海燕以外に副官を置かなかった浮竹であったが、実力をどんどんとつけていくレルキアなら副官にしてもいいと思っていた。

そのことを何度か白哉に話したが、白哉も「あれにその実力があるというなら、何もいうまい」といって、ルキアが副官になることを黙認してくれた。

昔は、席官にするなと、強くプレッシャーをかけてきていたが、白哉も変わった。

ルキアの実力を認め、そしてルキアとの冷めきっていた仲も、雪解け水のように少しづつ歩みよっていった。

結果、ルキアに対して少し甘すぎる義兄となった。シスコンというやつだ。ルキアはルキアで、兄様ラブのブラコンになってしまった。

お互い、専用の伝令神機をもっている。

「わかめ大使、食べていっていいか?」

「食堂においてある。好きなだけ食べて、好きなだけ持って帰るとよかろう」

「朽木家は広いからなぁ。食堂はどっちだっけ」

「私が案内します。こちらへ」

ルキアが、浮竹の手をとって案内してくれた。

「ルキアちゃんは、一護君と何処まで進んでるの?」

京楽の言葉に、ルキアが真っ赤になって否定する。

「ま、まだ好きと伝えあったばかりで、その、進展といえばキスをしたくらいで・・・・」

「へぇ、あの奥手のルキアちゃんが一護君とキスまで!朽木隊長が知ったら、卒倒するかもね」

「あ、兄様は私と一護が付き合っているのを知っています」

「へぇ。黙認してるのかい」

ルキアが首を横に振る。

「結婚前提で付き合うなら、構わないと・・・・・」

「一護君が死神化するの?それともルキアちゃんが人間に?」

「多分、一護が死神化するかと・・・・・」

食堂についた。

「私と一護は、これからなのです!」

「うん、そうみたいだね」

「おい京楽、あまり朽木をからかうなよ」

「それでは、失礼します」

「朽木、京楽の言うことはあまり気にしないように」

「はい、隊長!また明日、職場で!」

今日は日曜だった。

週末の土日になると、ルキアは一護に会いに、現世へと赴いた。

「わかめ大使、けっこうあるな」

10個くらい食べて、後は持って帰ろうということになった。

浮竹は盆栽を手にしていたので、袋につめて背中に背負う。京楽も、もてるだけもって、朽木家を後にする。

「朽木隊長といい、ルキアちゃんといい、慕われてるねぇ」

「何、長年の付き合いだからな。白哉とは100年近い付き合いだし、朽木も隊に入って30年以上は経過している」

「僕の周囲には、慕ってくれる子なんていないから、ちょっと羨ましいな」

「伊勢がいるじゃないか」

「七緒ちゃんは、慕っているっていうかいつも怒ってるよ」

「お前が仕事しないからだ。ちゃんと仕事をして上司らしいふるまいをしていれば、そのうち慕ってくれるんじゃないか」

「いやー、あの七緒ちゃんが・・・・それないと思うなぁ」

どさりと、荷物を雨乾堂に降ろす。

けっこうな量のわかめ大使が、畳の上に広がった。

「まずは盆栽を置いてこよう」

白哉に剪定する必要がないと言われたので、そのままの形を維持することにした。

「それより、瀞霊廷盆栽祭りって何?」

「え、ああ。その名の通り、盆栽を出品しあって、いろんな層から票をもらって、1位になったたら、金一封。3位まで、賞金がでる。なにも賞金目当てじゃないが、せっかく手塩にかけて育ている盆栽だ・・・・上位に入ってほしい」

「浮竹って、盆栽そんなに腕よかったっけ」

「自慢だが、からっきしだ!」

朗らかに笑う浮竹。

その笑顔が眩しくて、京楽は気づくと浮竹を抱き締めていた。

「京楽?」

キスをされた。触れるだけのキスだ。

「どうしたんだ、京楽?盛ってるのか?」

「いやいや。ただ、君の笑顔が眩しくてね」

「変な奴だな」

浮竹は笑う。

その笑顔が、京楽は好きだった。




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