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僕は君の瞳の色の名を知らない7

「十四郎、春水とはうまくやっておるか?」

山じいの問いかけに、浮竹はこくりと頷いた。

「はい先生」

「昨日は、3回は浮竹の中でいったよ」

「誰もそこまで聞いておらんわ!」

京楽は余計なことを言って、山じいからげんこつをもらっていた。

「お主は肺の病もあるし、病弱じゃ。くれぐれも、無理をしないようにの」

「先生、お気遣いありがとうございます」

「これ春水!肉体関係をもつのをやめろとは言わぬが、くれぐれも十四郎に無理はさせるのではないぞ!」

「あ、うん大丈夫。ちゃんといろいろ気をつけてるから」

ただでさえ、受け身の浮竹に負担がかかるのだ。

「そういや山じい、僕が男役で浮竹が女役ってよくわかったね」

山じいは、嫌そうな顔をした。

「受けの春水なぞ、想像したくもないわ」

「酷い!」

顔をばっと手で覆って、泣き真似をするが、山じいにはそれが嘘であるとばれている。

「先生、京楽とはうまく付き合っています。心配には及びません」

「それなら、いいのじゃがな」

でも、京楽の旺盛な性欲にはついていけないので、京楽は浮竹にぶつけるだけぶつけるということをしない。

一度、全てをぶつけられた次の日、高熱を出した。

衰弱しやすい体を衰弱に追いやったせいだ。

その次の日から、京楽は浮竹にますます甘く優しくなった。

体を重ね合わせても、浮竹の快感を先にして、自分だけで果てたりしない。

「さすがに、1日5回の時は意識を失いましたが。性欲魔人でした」

「春水!1日5回じゃと!十四郎の体にそんなに無理をさせたのか!この性欲魔人め」

「いや、最初だけだよ。さすがに次からは限度ってものを知ってやってる」

「弟子の性生活に横やりをやる師匠・・・うう、わしのポジションが」

すっかりひしょげた山じいに、浮竹がお茶を出した。

「粗茶ですが」

茶の道は山じいの本領発揮の場所だ。

浮竹のいれたお茶を飲んで、山じいはほっこりとした。

「うむ、いい茶じゃ。心の温かさが染み出ておる」

「じゃあ、僕のいれた茶も飲んでよ」

京楽が、ドン、と山じいの前に茶をいれた湯のみを置いた。

それを、山じいはぐいっとあおった。

「まずい!心のけがれが出ておる!」

「酷い!」

京楽は、浮竹を抱きしめた。

「浮竹、山じいがいじめる」

「京楽、先生の前でイチャイチャするのはやめろ」

「そんなこといわないでよ浮竹~」

浮竹は、どこから取り出したのか、ハリセンで京楽の頭をはいたいた。

「あいた!」

「では、先生、そろそろ失礼します」

「うむ。また近況報告にきなさい。今度の茶会には十四郎と春水も出るように」

「はい」

「は~い」

京楽は、めんどくさそうに返事をした。

山じいは茶道の道を、趣味で嗜んでいる。

「ねぇ、浮竹、僕って性欲魔人かな?」

「そうだと思うぞ。毎日のように盛ってるじゃないか」

「毎日じゃないよ!確かに若いからムラムラするときはあるけど、基本週1~2でしょ?」

「1回につき何回もしてくるからだ。この性欲魔人が!」

京楽は、浮竹を見下ろして、ちゅっとリップ音を立てて浮竹の頬にキスをした。

「なんだ」

「いや、かわいいなぁと思って。性欲魔人な僕にもついてきてくれる浮竹が。ねぇ、帰ったらしようよ」

「おとついもしたばかりだろう!」

浮竹が、恥ずかしそうに頬を染めた。

「うん。でも、君の恥ずかしがる顔を見てたら、ムラムラしてきた」

「今日だけだからな」

「うわ、ほんとにいいの?」

「嫌なら別にしなくていいんだぞ」

浮竹が、足元の石を蹴り飛ばす。

「むしろしないほうが、俺としてはありがたい・・・・って聞いてるのか」

「聞いてません」

京楽は浮竹を抱き上げると、瞬歩で寮の部屋に戻った。

どさりと、ベッドに押し倒されて、浮竹はため息をもらす。

「はぁ・・・結局こうなるのか」

「ねぇ、僕とこういう関係になったこと、後悔してる?」

「後悔してたら、今ここにいない」

浮竹は、京楽の頬を両手ではさみこんで、噛みつくようなキスを何度も繰り返した。

京楽が、くつくつと喉の奥で笑う。

「一緒にお風呂入ろうか」

「風呂場で盛るなよ」

「分かってるって」



浮竹の瞳が潤んでいた。

その瞳の色の名を知ったら、きっと深く深く溺れるのだろう。




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