忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 27 28 29 30 12

兎年だから

「・・・・何をそんなに見ている」

「な、なんでもありません!」

恋次がじっと見ていたのは、白哉の頭の上にある兎耳だった。

なんでも、ルキアが一護に飲ませようとしていた薬いりのお茶を、間違って飲んでしまったらしい。涅マユリの薬で、解毒剤はなく、3日もすれば自然と消えるとのことで。

でも、真面目な白哉は病欠でもないので、その程度のことで仕事は休まないと言って、出てきたのだ。

6番隊の皆が、白哉の兎耳を見ていた。

ああもう。

隊長は俺のなのに。

恋次は不満たらたらだった。確かに、兎耳を生やした隊長は愛らしい。でも、元から整った顔立ちで目立つのに、更に目立って、女死神でなく男死神からもくる視線が鬱陶しかった。

6番隊の隊士を集めての連絡は終わり、白哉が執務室に向かって歩きだす。それにつられて、たくさんの隊士たちが動いた。

「あの、朽木隊長その耳は本物ですか?」

「よかったら触らせて・・・・」

ギロリと、氷の眼差しで睨まれて、一般隊士たちは動けなくなっていた。

席官数名は、白哉の言動に慣れているので、3席の理吉などは平然と白哉を受け入れていた。

以前、猫耳を生やしてやってきたことがあった。あれは、一護がルキアに飲ませようとした茶を、間違えて飲んだせいだった。

一護とルキアは、思いあっているのはいいが、たまに互いに変な薬を飲ませようとする。それを間違って、とばっちりで白哉が薬を飲んでしまうことが多い。

一度、一護とルキアに文句を言おうと決めた。

「そんなにこの耳が気になるのか」

「はい」

兎耳は真っ白で、内側がピンク色だった。

「特別だ。触ってもよい」

「ほんとですか!」

恋次は喜んだ。

さっそくと、白哉の背後に回る。

「思ったより、冷たいですね」

兎耳の外側は、ふわふわの毛でおおわれていたが、思ったほど体温がなかった。もっと暖かいものだと勘違いしていたので、不思議に思った。

「うさぎは汗をかく機能が発達していない。細かな血管が行き渡った耳を外気にさらし、放熱して体温を調節している。だから、少し冷たくて当たり前なのだ。冷たすぎるのは体温が下がっている証だから、気をつけねばならぬが」

「隊長、物知りですね!」

「子供の頃・・・兎を飼っていた」

「隊長が!」

今からでは、想像もできない。

子供の頃の隊長もかわいかったんだろうなぁと、想像する恋次。

もふもふしていると、白哉が言う。

「もういいだろう、いい加減にしろ恋次」

「いや、もう少しだけ・・・骨ないし、なんかすべすべしてきもちいい・・・・」

「んっ・・・・・」

「え?隊長?」

恋次の聞き間違いかと思った。

「もういいであろう、耳をあまり触るな」

「もう少し・・」

「ん・・・あっ・・・・」

君間違いではなかった。白哉は、兎耳を触られて感じていたのだ。

「隊長、きもちいいですか?」

こりこりしている兎耳を、撫でまわすと、白哉は真っ赤になった。

「も、もうやめろ。恋次!」

怒られて、恋次はぱっと兎耳から手を離した。

その代わり、白哉を抱き締める。

「恋次、仕事中だ・・・・」

「少しくらい、いいじゃないっすか・・・」

白哉を抱き締めて、唇を重ねると、白哉の兎耳がぴこぴこと動いた。

深く口づけると、また動いた。

「隊長の兎耳、一緒に動くんですね。すっげーかわいい」

「あ、勝手に・・・・」

恋次は、兎耳をかじった。

「ひゃっ」

「隊長?感じた?」

「このたわけが!」

まるで、ルキアのような台詞だ。

白哉は真っ赤になって、恋次を払いのけた。

「兎耳がとれるまで、接触禁止だ!」

「ええ、まじですか」

けれど、その言葉もむなしく、白哉は結局次の日恋次おいしくいただかれてしまうのであった。






拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/26)
(11/25)
(11/25)
(11/22)
(11/21)
"ココはカウンター設置場所"