凍った砂時計 偽りの結婚式
その日、厳かな結婚式が行われた。
市崎ナガレと市崎ルキアの結婚式だった。朽木家ではなく、市崎家で行われた。
他の4大貴族を呼んでの婚礼であるが、ルキアの部下の姿はなく、朽木白哉の姿もなかった。
朽木白哉は、今、睡眠薬を無理やり大量に投与され、ここ数日昏々と眠り続けている。
「ルキアが、市崎ナガレと結婚じゃと?」
呼ばれていた夜一は不審がるが、あまりにルキアが幸せそうな顔をしているので、ルキアが記憶を改竄され、好きでもない相手と結婚式をしているとまで思いつかなかった。
「ルキアよ。その方、一護はどうした」
「一護?ああ、あの死神代行のことか。あやつはもう、知らぬ。私は市崎ナガレの妻、ルキア。ナガレ以外に、慕いもうしているのは、兄様だけ」
「ふむ―—-----市崎ナガレ、貴様、白哉はどうした?」
「朽木白哉様なら、体調を崩されて臥せっておられる」
「ふむ・・・・」
こうして、恙なく婚礼は執り行われ、その夜初夜を迎えた。
「ああ、ナガレ!愛している!」
ナガレの体の下で、ルキアは乱れた。
「早く子供が欲しいですからね。少しちくりとしますが、我慢してください」
ナガレは、何かの注射をルキアに打った。
「これで、あなたは100%私の子を孕む。さぁ、ルキア・・・・・」
「ナガレ!」
口づけしていると、ふとルキアが止まった。
「いち・・・・ご・・・・・」
ボロボロと、涙を零す。
「ち、まだ完全でないか」
記憶置換を使った。
「ああっ、ナガレ!」
その日、ルキアは何度もナガレに抱かれた。そして、ナガレの言う通り、子を孕んだ。
一方、一護はずっと牢に繋がれていた。
傷の手当てはされたが適当で、捨て置かれていた。
「くそ、ルキア、ルキア!白哉!」
「その様子じゃと・・・ルキアは、心から望んで市崎ナガレに嫁いだわけではないようじゃな」
「夜一さん!」
「待っておれ、今ここを出してやる」
「それより、ルキアと白哉を!」
一護は訴えるが、夜一は首を振った。
「もう、手後れじゃ。ルキアは市崎ナガレと婚姻し、初夜を迎えた。白哉の居所が掴めんが、市崎ナガレの手の中にあるのは確実じゃ」
「ルキアが俺以外の男と結婚・・・・・初夜・・・・」
その言葉に、一護は大きなショックを受けたが、痛む傷に手を当てて、立あがる。
「待つのじゃ、一護、そのような身体でどこへいく!」
「決まってるだろ!ルキアを取り戻すんだ!」
夜一が殴りかかると、あっさりと一護は頽れてしまった。
「今は、傷が塞がるのを待て。これ以上、事態は重症化せぬ」
「でも!」
一護の気を失わせて、夜一は一護を牢から出すと、砕蜂の元へ向かった。
「夜一様!この者は、朽木白哉を襲った大罪人では」
夜一は、砕蜂に口づけた。
ごくりと、何かを飲み込まされる。
「夜一様に、それに黒崎一護?どうなっているのだ」
「警邏隊まで手が回っているということは、もはやこれは尸魂界をまきこんだ反乱じゃな」
けれど、今の市崎ナガレは、臥せっている白哉の代わりに、朽木家の当主も兼ねているという。
「元、4大貴族市崎家。そうそう、手を出せる相手ではないのお」
一護は、夜一の元で怪我が癒えるのを待った。
数日間であったが、一護には数十年に感じられた。
「白哉が巻き込まれているのであれば、儂も見ている、というわけにはいくまい。いくぞ、一護!」
「おう、夜一さん!」
市崎ナガレは、朽木邸にいた。
隣には、自分のものにした朽木家の姫、ルキアを侍らせていた。
「ナガレ・・・・私は、何かがおかしいのだ」
「何がですか?」
「眠ると・・・あの、黒崎一護という死神代行と、夜を共にする夢を見るのだ」
「そんなもの、ただの夢です。あなたは市崎ルキア。市崎家の次期当主を産む、愛しい私の妻です」
ルキアの顎に手をかけて、キスを与える。ルキアは幸せそうだった。
「ふふっ、そうだな。貴様以外の男など、おらぬ・・・ああっ。こ、このような場で」
「あなたは私の妻だ。妻を抱くのは夫の権利でしょう」
「だが、このような、誰かも分からぬ場で・・・・」
「ルキア、あなたのお腹の中には、小さい小さい大切な市崎家の次期当主である、私の子が宿っています」
その言葉に、ルキアは愛おしそうに自分の平らな腹を撫でた。
「男であろうか、女であろう?」
「100%妊娠するようにしたので、男の子です」
「そうか。名は・・・一勇というのはどうだ?」
「悪くありませんね。それにしましょう」
ナガレは、幸せそうにルキアを抱き寄せた。
「愛していますよ、ルキア」
それは、既視感。デジャヴ。
「どこかで、このよなことを何度も行ったような・・・・・・・いち・・・・ご・・・・助け・・・・・」
「ちっ、完全には記憶を改竄できないのですか。厄介ですね」
何度も記憶置換を使う。
「そういえば、あなたはそんな安っぽいアメジストの首飾りをずっとしていますね」
「それは*- ----------がくれたから、大切にしている。あ、--------とは、誰であろう?」
「そのような安物、渡しなさい。捨てて、市崎家にふさわしい首飾りをつけてあげましょう」
「いらぬ!この首飾りだけは、絶対に手放さぬ。例え、ナガレの頼みでも」
「ちっ・・・・まぁいいでしょう。あなたはこのまま、私と睦みあい、子を産めばいのですから」
その言葉に、ポロポロとルキアは涙を零した。
「あれ?嬉しのに、何故涙など・・・・・・」
ポロポロポロ。
涙は止まらない。まるで、ルキアの心の傷が泣きだしたように。
「不快ですね。今日は、別々に寝ましょう。また明日、たっぷりとかわいがってあげます」
ナガレは、部屋の奥へと消えてしまった。
「・・・・いち・・・ご・・・許して・・・・・くれ・・・・・いちごおおおお」
誰の名かも分からない。
もう、ルキアの中に死神代行、黒崎一護はいない。愛しているはずの一護はいない。
でも、誰のものかもわからぬ名をずっと呟いて、一護が買ってくれたアメジストの首飾りを握りしめながら、ずっと泣き続けるのであった。
市崎ナガレと市崎ルキアの結婚式だった。朽木家ではなく、市崎家で行われた。
他の4大貴族を呼んでの婚礼であるが、ルキアの部下の姿はなく、朽木白哉の姿もなかった。
朽木白哉は、今、睡眠薬を無理やり大量に投与され、ここ数日昏々と眠り続けている。
「ルキアが、市崎ナガレと結婚じゃと?」
呼ばれていた夜一は不審がるが、あまりにルキアが幸せそうな顔をしているので、ルキアが記憶を改竄され、好きでもない相手と結婚式をしているとまで思いつかなかった。
「ルキアよ。その方、一護はどうした」
「一護?ああ、あの死神代行のことか。あやつはもう、知らぬ。私は市崎ナガレの妻、ルキア。ナガレ以外に、慕いもうしているのは、兄様だけ」
「ふむ―—-----市崎ナガレ、貴様、白哉はどうした?」
「朽木白哉様なら、体調を崩されて臥せっておられる」
「ふむ・・・・」
こうして、恙なく婚礼は執り行われ、その夜初夜を迎えた。
「ああ、ナガレ!愛している!」
ナガレの体の下で、ルキアは乱れた。
「早く子供が欲しいですからね。少しちくりとしますが、我慢してください」
ナガレは、何かの注射をルキアに打った。
「これで、あなたは100%私の子を孕む。さぁ、ルキア・・・・・」
「ナガレ!」
口づけしていると、ふとルキアが止まった。
「いち・・・・ご・・・・・」
ボロボロと、涙を零す。
「ち、まだ完全でないか」
記憶置換を使った。
「ああっ、ナガレ!」
その日、ルキアは何度もナガレに抱かれた。そして、ナガレの言う通り、子を孕んだ。
一方、一護はずっと牢に繋がれていた。
傷の手当てはされたが適当で、捨て置かれていた。
「くそ、ルキア、ルキア!白哉!」
「その様子じゃと・・・ルキアは、心から望んで市崎ナガレに嫁いだわけではないようじゃな」
「夜一さん!」
「待っておれ、今ここを出してやる」
「それより、ルキアと白哉を!」
一護は訴えるが、夜一は首を振った。
「もう、手後れじゃ。ルキアは市崎ナガレと婚姻し、初夜を迎えた。白哉の居所が掴めんが、市崎ナガレの手の中にあるのは確実じゃ」
「ルキアが俺以外の男と結婚・・・・・初夜・・・・」
その言葉に、一護は大きなショックを受けたが、痛む傷に手を当てて、立あがる。
「待つのじゃ、一護、そのような身体でどこへいく!」
「決まってるだろ!ルキアを取り戻すんだ!」
夜一が殴りかかると、あっさりと一護は頽れてしまった。
「今は、傷が塞がるのを待て。これ以上、事態は重症化せぬ」
「でも!」
一護の気を失わせて、夜一は一護を牢から出すと、砕蜂の元へ向かった。
「夜一様!この者は、朽木白哉を襲った大罪人では」
夜一は、砕蜂に口づけた。
ごくりと、何かを飲み込まされる。
「夜一様に、それに黒崎一護?どうなっているのだ」
「警邏隊まで手が回っているということは、もはやこれは尸魂界をまきこんだ反乱じゃな」
けれど、今の市崎ナガレは、臥せっている白哉の代わりに、朽木家の当主も兼ねているという。
「元、4大貴族市崎家。そうそう、手を出せる相手ではないのお」
一護は、夜一の元で怪我が癒えるのを待った。
数日間であったが、一護には数十年に感じられた。
「白哉が巻き込まれているのであれば、儂も見ている、というわけにはいくまい。いくぞ、一護!」
「おう、夜一さん!」
市崎ナガレは、朽木邸にいた。
隣には、自分のものにした朽木家の姫、ルキアを侍らせていた。
「ナガレ・・・・私は、何かがおかしいのだ」
「何がですか?」
「眠ると・・・あの、黒崎一護という死神代行と、夜を共にする夢を見るのだ」
「そんなもの、ただの夢です。あなたは市崎ルキア。市崎家の次期当主を産む、愛しい私の妻です」
ルキアの顎に手をかけて、キスを与える。ルキアは幸せそうだった。
「ふふっ、そうだな。貴様以外の男など、おらぬ・・・ああっ。こ、このような場で」
「あなたは私の妻だ。妻を抱くのは夫の権利でしょう」
「だが、このような、誰かも分からぬ場で・・・・」
「ルキア、あなたのお腹の中には、小さい小さい大切な市崎家の次期当主である、私の子が宿っています」
その言葉に、ルキアは愛おしそうに自分の平らな腹を撫でた。
「男であろうか、女であろう?」
「100%妊娠するようにしたので、男の子です」
「そうか。名は・・・一勇というのはどうだ?」
「悪くありませんね。それにしましょう」
ナガレは、幸せそうにルキアを抱き寄せた。
「愛していますよ、ルキア」
それは、既視感。デジャヴ。
「どこかで、このよなことを何度も行ったような・・・・・・・いち・・・・ご・・・・助け・・・・・」
「ちっ、完全には記憶を改竄できないのですか。厄介ですね」
何度も記憶置換を使う。
「そういえば、あなたはそんな安っぽいアメジストの首飾りをずっとしていますね」
「それは*- ----------がくれたから、大切にしている。あ、--------とは、誰であろう?」
「そのような安物、渡しなさい。捨てて、市崎家にふさわしい首飾りをつけてあげましょう」
「いらぬ!この首飾りだけは、絶対に手放さぬ。例え、ナガレの頼みでも」
「ちっ・・・・まぁいいでしょう。あなたはこのまま、私と睦みあい、子を産めばいのですから」
その言葉に、ポロポロとルキアは涙を零した。
「あれ?嬉しのに、何故涙など・・・・・・」
ポロポロポロ。
涙は止まらない。まるで、ルキアの心の傷が泣きだしたように。
「不快ですね。今日は、別々に寝ましょう。また明日、たっぷりとかわいがってあげます」
ナガレは、部屋の奥へと消えてしまった。
「・・・・いち・・・ご・・・許して・・・・・くれ・・・・・いちごおおおお」
誰の名かも分からない。
もう、ルキアの中に死神代行、黒崎一護はいない。愛しているはずの一護はいない。
でも、誰のものかもわからぬ名をずっと呟いて、一護が買ってくれたアメジストの首飾りを握りしめながら、ずっと泣き続けるのであった。
PR
- トラックバックURLはこちら