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凍った砂時計 始まりの関係

現世にいれるまで、あと1か月。

ルキアと一護の距離はますます縮まっていく一方だった。

クラス中で話題になった。

一護の家から、ルキアが出てくるところを見られたせいで、親の許可をもらって婚約しているという噂が流れたが、二人は肯定も否定もしなかった。

手を繋いで、登下校を繰り返し、学校の中でも常に一緒にいた。

付き合う前から二人の距離は近かったが、その距離はもっと縮まっていた。

「黒崎のやつ、朽木さんと付き合ってるんじゃない?」

たつきのその言葉に、井上がいう。

「何言ってるの。黒崎君は人間だし、朽木さんは死神だよ?付き合っても別れが見えてるんだから、きっと付き合ってないよ」

それは、井上の願望。

井上は一護のことが好きだった。

藍染のところに連れていかれた時、命をはってまで助けにきてくれて、愛されていると思った。

でも、あの頃からも一護の視線の先にいるのはルキアで・・・・・・。

「朽木さん、次体育だよ。移動しよ」

体育は男女別々なので、一護は名残惜しそそうにルキアと別れた。

「ねぇ、朽木さん。黒崎君のこと、同おもっるの」

「別に何も」

嘘をついた。

「信じていいんだよね?」

「井上?」

「私、黒崎君が好き」

「井上・・・・・・」

でも、こればかりは譲れない。

一護はもう、ルキアのものだ。

その会話は、バスケットボールが始まるのと同時に打ち切られた。

「どうしたんだ、ぼーっとして」

放課後、椅子の上でぼーっとしているルキアを、一護が心配した。

「いや、そろそろ一度、尸魂界に戻らねばと思って」

「おい、もう戻っちまうのかよ!?」

「案ずるな、ただ様子を見に行くだけだ。すぐに帰ってくる」

「それなら、いいんだけど・・・・なぁ」

「なんだ」

「卒業しても、こっちにこいよ。俺たち、付き合ってるんだから」

「分かっておる。休暇の日はちゃんと現世にくる」

「約束だからな」


世界が軋む。

音を立てて。


一護とルキア。出会いは突然、別れもあり、また戻ってきた。激しい戦いがあった。互いに生きているのが疑わしい時があった。

手に入れた平穏な生活を満喫するが、僅か4か月。

与えられた時間は少なかった。

一護は、ルキアの後をばかりを見て、ルキアばかりを見ていた。ルキアも、一護の後ばかりを見て、一護ばかりを見ていた。

学校の放課後、誰が来るかも分からない教室で互いを抱き締めあい、キスをした。

「ん・・・・・」

触れるような優しいものから、舌が絡むよな激しいものまで。

「ふあ・・・・・・いちご・・・・・」

「ルキア、かわいい・・・・」

一護は思う。

ルキアを手に入れることができるなら、なんでもするのにと。

付き合っていると言っても、死神と人間だ。その差は大きすぎる。

いつか、ルキアを置いて俺はいってしまう。よぼよぼになった時、ルキアは今のように愛していると言ってくれるだろうか。

不安ばかりが募って、ルキアを抱き締める手に力がこもってしまった。

「一護、痛い・・・・・」

「あ、ごめんルキア!」

すぐに離して、頭をなでてやると、気持ちよさそうにルキアはアメジストの瞳を細めた。

買ってやった、アメジスのペンダントをいつもルキアは身に着けいた。一応、記憶置換で優等生で頭がよく、朽木家という大財閥のお嬢様と生徒や先生に記憶させているので、アメジストのペンダントのことで怒られたことはなかった。

「家に帰ろう、ルキア」

「ああ・・・・」

手を繋いで、歩き出す。

あまり遠くないその距離を、ゆっくりと歩いた。

黒崎家に辿り着く。

「一兄、ルキアちゃんお帰り。一兄、ルキアちゃんとイチャこらするのはいいけど、せっかく大学進学がきまったんだから、ほどほどにしなよ」

「ルキアは・・・卒業したら、実家に帰るんだ」

「え、ほんとなのルキアちゃん」

夏梨の言葉に、ルキアは戸惑いの表情を出す。

「で、でも土日には黒崎家に遊びにくるから!」

「それでも寂しい~~~」

遊子も、寂しそうな顔をした。

「今日はルキアちゃんの大好きなカレーだよ!エビフライもついてるの!誕生日なんでしょ!白玉餡蜜もあるよ!」

「あ、ルキアの誕生日・・・・俺、何も用意してない」

「貴様には、この前アメジストのペンダントをもらった。あれが誕生日プレゼントだと思っている」

「そっか。誕生日おめでとう、ルキア。生まれてきてくれてありがとう」

「ありがとう、一護」

「ほらほら、妹たちの目のある場所でいちゃつかないの!」

その日、ささやかなルキアのバースディパーティーが開かれた。遊子が買ってきたケーキを、一護と一護の家族全員とルキアで分けて食べた。

おいしかった。


世界は軋む。

音を立てて。

砂時計は凍る。

まるで、ルキアの斬魄刀のように。


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