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凍った砂時計 家族

ルキアに、待望の子が生まれた。

女児で、苺花と名づられた。

3人目の子もできた。男児で、一音と名づけられた。


「父様、今日も稽古をお願いします」

「ああ、一勇。今日はだめだ」

一勇は8歳になっていた。

「ルキアの誕生日なんだ」

「母様の!」

「母様、誕生日なの?」

苺花は6歳で、一音は2歳だ。

やんちゃな一音を、苺花がしっかりと面倒を見ていた。

ルキアは、護廷13隊の13隊隊長に就任していた。副官は一護だ。

「みんなで、ルキアの誕生日を祝おう!」

バースディケーキを用意して、ルキアが帰ってくるのを待った。一護はこの日のために休暇をとっていた。

アメジストのピアスを、一護は大前田の宝石店から買ってきていた。

ルキアが帰ってくる。

「ハッピーバースディ、ルキア!」

ぱんぱんと、クラッカーをならすと、本当に驚いたようで、じんわりと涙を零し始めた。

「母様、どこか痛いの?」

「違う。お前たちの気持ちが嬉しいのだ」

「ルキア、誕生日おめでとう。これ、誕生日プレゼント」:

「ピアスか。だが、ピアス穴がない・・・・・」

「俺があけてやるよ」

消毒した針で、ピアスのための穴をあけた。

「痛いか?」

「少しだけ。でも、この一護からもらったピアスをつけるためだと思えば、痛みすら甘い」

「母様、僕からも誕生日プレゼント!白哉叔父様とつくったんだ!」

それは、ビーズ細工の指輪だった

拙かったけど、義兄である白哉も一緒に作ってくれたと知って、感動も普通の2倍だった。

「ルキア、一護、おるか」

「はい、白哉兄様!」

「どうしたんだ、白哉!」

「誕生日プレゼントだ」

わかめ大使のパジャマを、一護の分まで渡された。

「おう、俺にまでありがとな、白哉。お前がいなかったら、俺は死神にならず、こんな幸せ、手に入れることができなかった」

「兄は・・・十分ルキアを愛してくれている、子も二人もできたし・・・・・」

「白哉叔父様、私、大きくなったら、叔父様の花嫁になる」

苺花がおませことを言うが、白哉静かに微笑んで、苺花の頭を撫でた。

「そうか。その日を楽しみにしている」

「はい、白哉叔父様!」

白哉は緋真以外の妻を娶る気はなく、朽木家時期当主は、女であるが順番からして苺花だった。

かわいそうだ、一勇には罪人の血は流れているとのことで、当主にはなれないようだ。

もっとも、一勇も自分が罪人の血を引いてると知って、一時期塞ぎこんだが、一護の「お前は俺とルキアの息子だ」という言葉に、徐々に笑みを取り戻し、今では克服していた。

「そういえば、白哉も誕生日近いんだよな。ちゃんと祝うから、その日は休暇とってくれよ」

「兄は・・・・私の誕生日まで、祝うつもりか」

「だって、家族だろ」

もう二度と手に入らないと思っていた、家族団らんの愛が、白哉にも向けられていた。

「ルキア、ケーキ食べよう。白哉にはカラムーチョな」

一勇と、苺花と、一音にもケーキを食べさせた。

「おいしいな」

「ああ、美味いな」

朽木家の料理人に頼んで作ってもらったのだ。

その日の夕飯は豪華だった。ルキアにだけ、白玉餡蜜がついていた。

子供たちも欲しがったが、子供たちには特別に菓子を与えた。

夕飯後の菓子なんて、体に悪いのだが、今日は特別だ。


夜になって、ルキアと一護は褥を共にした。

無論、避妊している。

さすがにこれ以上、子供はいらない。

「ああっ、一護!」

乱れていくルキアを見るのは、一護だけの特権だった。

「ルキア、いくつになっても綺麗だ。とても3児の母親には見えない」

「これでも、食事とか運動に気を配っておるのだ・・・・・・ああ!」

朽木一護。

人間であることを捨てて、家族も友人も捨てた。

でも、それ以上の幸せを手に入れた。

10代後半のままで時を止めた二人は、長い長い死神の寿命を、いつも共に在りながら、すごしていくのであった。


             凍った砂時計

              fin




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