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初夜

院生の秋。

想いが通じあい、二人は付き合いだした。

桜の木の下で告白しあった。

それから数か月後。

その晩、一緒に食堂で食事をした。安い上のボリュームがあるのだが、食の細い浮竹には全部を食べきれなくて、残した分を京楽が食べた。

寮に備え付けられていた風呂で、身を清める。

やがて、夜になって。



「これだけは譲れないよ」

京楽は、珍しく頑固だった。

「俺にも、譲れないものがある」

浮竹も、それに似て頑固だった。

寮の部屋は、京楽が浮竹の弱い体の世話をするためといって、相部屋の相手とかなり前に部屋を交換されていた。

狭くも広くもない、寮の室内には二人きり。

おまけに隣の部屋の院生は、故郷に帰郷中なのだ。

声が漏れても大丈夫だからと、今日が選ばれた。

二人は、自分のベッドの上で正座していた。

「今日、”初めてをしてもいい”って言ったよね?」

「ああ、確かに言った」

「じゃあ、なんで嫌がるの」

「お前が俺を抱こうとするからだ」

浮竹は、顔を真っ赤にしながらそう言った。

「だって、君と僕は想いが通じあって・・・・抱きたいと思うのは、自然じゃないの?」

「そうかもしれないが・・・・なんで、俺が抱かれる側なんだ?」

浮竹は、不満を京楽にぶつけた。潤滑油とか、もう用意はばっちりな中、二人の意見は拮抗して先に進めないでいた。

しばしの沈黙の後、喉の渇きを覚えた。

「喉、乾いてるでしょ」

「どうしてわかった?」

「緊張して、僕も喉が渇いたから」

供えつけの小さな冷蔵庫から、スポーツドリンクを出してそれを、京楽は浮竹に放り投げた。

「ありがとう」

浮竹は、それを受け取って中身を飲んでいく。

「お前でも、緊張することがあるんだな」

「そりゃそうだよ。愛する君と初夜をむかえようとしているんだから」

その言葉に、浮竹は真っ赤になって顔を手で覆い、ベッドの上でごろごろしだした。

「恥ずかしいから、口にするな!」

ひとしきりごろごしたところで、京楽の手が伸びてきた。

「綺麗な髪がほつれるよ」

浮竹は、照れると顔を手で覆ってごろごろする。その謎な行動を今までも何度も見てきたので、不審には思わなかった。

「そんなに照れてるの?」

「当たり前だ!」

この前、浮竹のためにと買い与えた翡翠の櫛で、肩より長くなった髪を梳いていくと、浮竹は頬を染めて、京楽を見た。

今日、初めてを・・・・初夜というものを、体験するのだ。

「君は僕を抱きたいと思うの?」

そう言われて、浮竹は焦った。

「思わないけど、俺が抱かれる側なんて納得がいかない!」

「じゃあ、僕を抱くかい?それでも、僕はいいよ。君と一つになれるなら、僕が抱かれる側でもいいよ」

さぁ好きにしろと、浮竹の前にやってきた。

浮竹は、京楽に口づけた。おずおずと舌をさしいれて、京楽の首筋を吸いあげる。

でも、そこで止まってしまった。

「どうしたの」

「ここから先、どうすればいいのか分からない」

「教えてあげようか?」

京楽の悪戯めいた黒い瞳に、浮竹はため息を零した。

「もう、俺が抱かれる側でいい」

「言ったね!それじゃあさっそくいただきます・・・・・」

「加減しろよ!」

京楽は、緊張して硬くなっている浮竹の体をほぐすように、甘い口づけを何度もしてきた。

「んうっ」

舌が入ってくる。口内を蹂躙されて、京楽の舌は浮竹の舌を追いかける。お互いの舌を絡ませあう深い口づけをして、京楽は離れて行った。

つっと、引き抜かれた舌が銀の糸をひいていて、恥ずかしさに浮竹は目を閉じた。

全身にキスの雨が降る。輪郭を確かめるように動く京楽の手が、衣服をはだけていく。

「あっ」

胸の先端をかじられ、爪をたてられると、ピリリとした衝撃がおそってきた。

「んっ・・・・・」

「ここ、感じるかい?」

「知るか・・・・」

横を向いた浮竹の太ももを肩に乗せた。

「なっ」

太ももの内側に、痕を残した。

京楽が浮竹の服を脱がしていく。負けじと、浮竹も京楽の衣服を脱がした。

淡い人工灯の下で、細いがしなやかな筋肉をもつ浮竹の裸体が露わになる。

「あまり、見るな」

「無理だよ」

京楽は、熱をもってたちかけていた浮竹の花茎に手を伸ばす。

「何をっ!」

「一度、いっておいたほうが楽になるから」

そういって、手でしごきあげ、先端を口に含む。全体をなめあげて、舌で鈴口を刺激していたら、自慰もあまりしたことない浮竹は、京楽の口の中に気づけば精を放っていた。

「京楽っ」

浮竹は、一度いったことによる快感で、どろどろに溶けそうだった。

京楽は、指を潤滑油で濡らして、浮竹の蕾につぷりと侵入される。

「なっ」

「男同士だとここを使うんだよ。浮竹も知ってるでしょ?」

知識として知っていたが、そんな場所に京楽を入れられるのかと思うと、眩暈がしそうだった。

もうはちきれんばかりに熱をもった京楽のそれの大きさに、息をのむ。

「んっ・・・・・なんか、変・・・・」

指が、浮竹の前立腺をこすりあげた。

「ここ、気持ちいでしょ?」

「んうっ」

何度もそここばかりをすりあげていると、浮竹の熱がまた頭をもたげた。

「若いいからね。もう一度いくかい?」

「お前と一緒にいきたい」

「言ってくれるね」

浮竹は、ペロリと自分の唇を舐めた。

京楽は、自分の欲望に潤滑油をぬりこんで、指でほぐしてトロトロになっているそこに宛がい、一気に貫いた。

「ああっ!」

あまりの痛さに、浮竹は涙を零した。

「ごめん、痛いでしょ。しばらく、馴染ませるから」

しばらく京楽が動かなかった。

「息はいて、力抜いて・・・・・」

「あっ・・・・・」

一度引き抜いて、前立腺をこすりあげるように突き上げる、浮竹の口から艶っぽい声が漏れた。

「んあっ」

「ここ、いいでしょ?こうされるの、きっと好きになる」

前立腺ばかりを突き上げてきて、男が後ろで感じれるということを、初めて身をもって知った。

「ああんっ」

何度も突き上げていると、京楽の額から汗が流れて、浮竹の頬を濡らした。

「俺ばかり気遣わなくていいから・・・・・・こい」

「わかったよ」

浮竹の最奥を貫いて、京楽は果てた。若いので、熱はまだ収まらない。

「んっ」

いれられたまま揺さぶられて、浮竹は生理的な涙を零した。それを口で吸いあげて、内部を角度を変えて抉りながら、浮竹とキスをした。

「あ、キスもっと・・・・」

浮竹は、京楽とのキスが好きだった。

強請られるままに何度も口づけた。

「君の中で全部をぶちまけていいかい?」

「嫌だといっても、するんだろう?」

「そうだね。僕もけっこうきついから・・・・君の中が良すぎて、我慢ができない。一緒にいこう」

「ああああああっ!」

前立腺をすりあげて、最奥を貫かれて京楽は精液を浮竹の腹の奥に散らした。同時に、浮竹のは花茎を手でこすりあげて、浮竹も京楽の手の中に射精していた。

「はー」

京楽が、長い息をはいて、満足げにどさりと身を横たえた。

「きもちよかった?男相手は初めてなんだけど」

「最初は痛かったけど、けっこう気持ちよかった・・・・・」

恥ずかしそうに、浮竹は隣の京楽をみた。

「よかった・・・・・・」

二人の恋人は、何度も口づけをかわして、濡れたタオルで体をふいて、浮竹の中にはきだした欲望をかきだして、ベッドに横になった。

「初夜に、浮竹を確かにいただいたよ」

「腰が痛い・・・・・・」

「初めてなのに、加減できなくてごめんね」

「俺も満足したから、別にいい・・・・」

お互いを抱き締めあって、一つのベッドで眠りについた。



「ということがあってだな」

「前の続きかよ!しかもまた18禁かよ勘弁しろよ!」

日番谷は、京楽の独白を顔を真っ赤にして聞いていた。

一方浮竹は。

長椅子の上で、顔を手で覆いながらゴロゴロしていた。

「あれ、何やってんだ?」

「照れてるんだよ・・・あの子、照れるとああいう行動起こすから」

「不思議生物だな・・・・・って松本ぉ!めもるなぁ!」

「無理です隊長!」

「松本ぉ!鼻血をふけー!」

「あらやだあたし、鼻血を・・・・・・」

「乱菊ちゃん、いいこと教えてあげようか」

「え、なんですか京楽隊長」

ごにょごにょと耳打ちをされて、松本は鼻血の海に沈んだ。

「日番谷隊長も聞くかい?」

「聞くかーーーーー!蒼天に座せ氷輪丸ーーーーー!!」

京楽は、ごろごろ未だに照れている浮竹を肩に担いで、10番隊の執務室から去っていく。

残されたのは、鼻血の海に沈んだ松本と、荒い呼吸をする日番谷だけだ。

「あのおっさんども・・・・毎度毎度、情事のことまで俺に教えやがって・・・・・・」

それでも話を遮らず、最後まで聞く俺ってもしかして優しい?とか思う日番谷だった。



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