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嫌な教師

「次の授業はさぼるか」

珍しく、真面目な浮竹が京楽を誘って授業をさぼるといいだした。
それに違和感を感じて京楽は浮竹に詰め寄った。

「何か理由でもあるのかい?」

「その・・・・先生が、いやな目で俺を見てくるんだ。放課後とかになると呼び出されて、体を触ってくる・・・・・」

「セクハラじゃないか!」

京楽は、浮竹を心配そうに見た。

「僕が、言おうか?」

「いや・・・ただの、気のせいかもしれないし」

浮竹の無防備さに、京楽はやりきれない思いを浮かべた。

「君は無防備すぎるんだよ。この前も上級生に襲われそうになっていたね」

「あれは、自分でなんとかした」

もう少し浮竹の対応が遅れていたら、京楽が上級生をのしていただろう。

「相手は先生だから・・・・暴力で解決するのも問題があるし」

「僕がいくよ」

「しかし・・・・・・・」

「君に手を出す奴は、僕が許さない」

京楽と浮竹が付き合っていた。去年の2回生の秋に、想いを告げ合った。

それから京楽の存在もあり、今までのように男性から告白されることは少なくなったが、そんな目で見てくる奴が多くなった。

放課後になり、その先生に浮竹は呼び出されていた。

「どうして僕の授業をさぼったのかな?」

顎に手がかけられる。

浮竹は我慢した。

臀部を触られた。

それも我慢した。

抱き寄せられて、キスされそうになって、浮竹は距離をとった。

「いけない子だ。お仕置きが必要だね」

伸びてくる手に、やってきた京楽が、その手をはたいた。

「なっ・・・・・なんだね君は」

「それはこっちの台詞だよ。僕の浮竹に何しようとしているの」

「別に私は何も・・・・・」

「全部見てたよ。山じいに訴えるから。首だね」

「生徒の分際で、先生に逆らうつもりか!」

殴りかかってくる教師を、京楽は殴り返していた。

「ちょ、京楽落ちつけ!」

「やっちゃった・・・・停学1週間ってとこかなぁ」

伸びた教師をそのままに、元柳斎のところにいくと、今までのセクハラを訴えた。

「ふーむ。腕のよい教師だったが・・・・そういうわけなら、置いておくわけにはいかんな。退職してもらうか」

「その教師殴っちゃったんだけど」

「いつもなら停学1週間といいたいところだが、十四郎を守ったのであろう?」

「そうだよ」

「あの教師を雇ったのは儂じゃ。責任は儂がもとう」

その少し後で、教師がやってきた。浮竹と京楽がいる前で、京楽がいかに暴力をふるったかないことまで元柳斎に訴えた。

「元柳斎先生!この先生が言っていることは嘘です」

「浮竹君。何をいっているんだね。僕が君に手を出しただって?言いがかりも甚だしい」

「山じい」

「分かっておる。お主を、今日をもって解雇とする」

「なっ・・・・・」

教師は顔を真っ赤にさせて、浮竹を見た。

「この淫乱が!元柳斎殿、この生徒はあの生徒とできているんですよ!」

京楽を指さす。

「それがなんじゃ。それくらい、儂とて知っておるわ」

元柳斎は、愛しい教え子ができていることくらい、すでに知っていた。

「この!」

逆上して、浮竹に殴りかかろうとした教師を、元柳斎は恐ろしいほど早い動きでのしてしまった。

「十四郎、嫌な目にあわせてしもうたな。すまぬ」

「そんな元柳斎先生が謝ることはありません!」

結局その教師は首になり、浮竹と京楽の前に出てくることは二度となかった、

復讐心に燃えて、刃物をもって潜んでいのを元柳斎が見つけ、厳しい処分を言い渡したらしい。

これからも、浮竹に手をだそうとするやつがいれば、消えてもらおうと京楽は思うのであった。


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