卒業
「うわーん、別れたくないよう、黒崎君」
井上が、わんわん泣いていた。
一護は無事、志望校に合格し、4月からは大学生だ。
その日は、卒業式だった。
ルキアが、現世にいられる最後の日。
「卒業おめでとう、ルキア」
「貴様もおめでとう、一護」
ルキアは、死神に戻るが、進路先は家の家業を手伝うことになっていた。
桜はまだ咲いていない。
高校の卒業式は、桜の季節よりも少し早い。少しだけ長い春休みを迎えて、それが終わったら、大抵の者が大学生になる。一部はもう就職だ。
「桜・・・・咲いてたらよかったのにな」
「仕方なかろう。桜の咲く時期に、また一護に会いにいく」
「ああ、待ってる。ずっと待ってるから」
石田も、茶虎も、井上も大学に進学する。石田は将来医師として、茶虎はプロボクサーとしてという、しっかりとした夢があった。
井上と一護くらいが、まだぼんやりとこうなりたいかもしれない、という程度の夢を抱いていた。
一護は、できれば翻訳家になりたいと思っていた。
なので、国際系の大学を受験して合格した。英語の成績はいい。
「帰ろうか、家に」
「ああ」
友人たちに別れを告げて、一護とルキアは手を握りしめあいながら、帰宅した。
その日の夜は、最後なのでたくさん話した。
たくさん抱擁しあった。たくさんキスをした。
やがて、次の日になり、義骸を脱いで死覇装の死神姿になったルキアが、穿界門の中へ消えていく。
「メール送るから!返事くれよな!」
「ああ、分かっている!」
ルキアは尸魂界に戻ってしまった。
一護は、少し寂しい想いを抱えたまま、けれど霊力をなくした時は1年と7か月も耐えたのだ。
今は伝令神機でメールのやりとりもできる。
(愛してる、ルキア。どんなに離れていても、心はお互い一つだ)
(もう早速、寂しいのか?貴様も寂しがり屋だな)
(悪いかよ。この3か月、ずっと毎日お前といたんだ。寂しくなるの、当たりまえだろう)
(正直、私も少し寂しい。だが、私はこれから尸魂界の復興を手伝っていかねばならぬ。もう時間だ、返信はまた今度にする)
そのまま、メールは途絶えた。
大学が始まった。
桜の花が咲く季節、約束通りルキアがやってきた。
「ルキア!」
「一護!」
大学の、桜の木の下で、抱き締めあった。キスをした。
ちらちらと散っていく桜の下で見たルキアは、長袖のワンピースにフリルのついたコートを羽織っていた。
かわいいと思った。
背中には、チャッピーの鞄。
「メールの連絡がないから、来てくれないのかと思った」
「たわけ。メールではなく、ちゃんと貴様と言葉を交わしたかったからだ」
入学式も終わった大学は、新入生であふれかえっていた。けっこう大きめの大学に入学したので、大学のキャンバスも広い。
「俺、今日は授業あるから・・・お前も一緒に受けるか?」
「ああ」
尸魂界ではやっと復興のメドが経ってきたらしい。ユーハバッハとの大戦は大きな爪痕を瀞霊廷に残し、特に1番隊あたりは焦土となって何も残らなかったらしい。
住民の避難は完了していたので、住民への被害は少なかったが、死神の実に過半数が死んだ。
山本元柳斎重國、卯ノ花烈、浮竹十四郎。
3人の死は、瀞霊廷に大きな衝撃を与えた。
特に、山本元柳斎重國は総隊長であるだけあって、戦時中に走った衝撃は計り知れず、一護も言葉をなくしたほどだ。
「尸魂界、今大変なんだろ?こっちにきて大丈夫なのか?」
「確かに大変だが、総隊長より特別の許可をいただいている。非番の日は、こちらにきてもいいように取り計らってもらっていて、その分通常の仕事は大変だが、今のところなんかなっておる」
その言葉に、一護はほっとした。
英語の授業をルキアと一緒に受けた。少人数制だったので、無理かと思ったら、そんなことに使っていいのかと思う記憶置換を使って、ルキアは生徒の一人として教室で認識された。
「ではここを・・・朽木ルキアさん。解いてください」
「え?」
ルキアは真っ青になった。
英語は得意にちんぷんかんぷんで、テストの点はいつも10点くらいだった。
教科書もないので、教授が訝しみだす。
「おやぁ?何故教科書がないのですか。そもそも朽木さんは・・・・おや?そんな生徒、いたかな・・・・・」
「失礼しました!」
ルキアは逃げ出した。一護も、トイレといって、ルキアの後を追った。
「うーん。浦原のところで買った記憶置換は、効能がいまいちだな」
「そんなもんに頼らずに、素直に待ってればよかったのに」
「貴様の傍に、少しでも長くいたかったのだ」
「そっか・・・この食堂で、悪いが待っててくれ。カレーでも食っとけ。金はあるよな?」
「背中のリュックに200万いれておる」
「おい、それ生徒の前で見せるなよ。ったく、白哉と一緒で金銭感覚ずれてるんだから。俺は授業の続きに出てくる。将来の夢のための一歩なんだ」
「そうか!では行ってこい!」
ルキアは、一護を見送った。
「さて・・・・・」
ルキアは、カレーを注文して、美味しそうにほうばった。
一護は30分程で授業を終え、ルキアのところにきた。
2杯目のカレーを食べているルキアに苦笑しつつ、一護もカレーを注文した。
一護はエビフライつきのカレーを頼んでいた。ルキアがじーっと、一護のエビフライを見つめているものだから、溜息を零しつつ、エビフライをルキアの皿にのせた。
「すまんな!」
「食い意地だけは一人前だな」
「うるさい」
また、この何気ない日常が、たとえ1日だけとはいえ戻ってきて、一護は安心する。
一護は、もう一人暮らしを始めていた。金はないので、将来ためて返すという約束で、父親である一心から、金をかりてアパートをかりた。バイトもしている。大学の授業料は、一心が「息子の教育を最後まで見届けるのが親の責任だ」といって、全額負担してくれるらしかった。
私立だったので、正直バイトで金をためても、食費くらいしか稼げそうになかった。将来仕事を得ても、奨学金を返すのは辛いところだったので、父親の言葉に甘えた。
「次の授業は、クラス制じゃないから、普通にでれるぞ」
「そうか」
昼飯を食べ終えて、次は日本歴史の授業だった。
ルキアと隣同士で、授業を受けた。ルキアが、伝令神機で一護にメールを打つ。一応授業中なので、私語は厳禁だった。
(実は、明日も現世にいれるのだ。今日は授業が終わったら、貴様のアパートに泊まってもよいか?)
(ああ、かまわねーよ。ただし、一人暮らしようだから狭いぞ)
(狭いのはあの一護の部屋の押し入れで慣れておる)
「ぶっ・・・・」
一護が吹き出した。
(笑うな、愚か者)
(はいはい。夕食は何がいい?)
(カレーは昼に食べたし・・・・ハヤシライスがいい)
(分かった)
授業が終わり、一護はルキアと買い物をして帰った。
夕食は、ルキアの希望通りハヤシライスにした。そして特別にデザートに白玉餡蜜の材料を買い、デザートとして出すと、ルキアは顔を輝かせてそれを食べた。
「うまい。一護の作る料理は、うまいな」
何度か、高校時代手料理を作って、ルキアに食べさせたことがあった。反対にルキアが作ることもあったが、簡単なものしか作れなかっし、料理は得意ではなさげだった。
一護は、今ラーメン店でバイトしていた。その前は中華料理店。大戦のあと、なんでも屋のうなぎ屋をやめたのだ。
「ルキアとこうして、日常を過ごせるのって幸せだな」
「ああ、私もだ」
その日、二人は初めて体を重ねた。
「ルキア・・・綺麗だ」
白い肌も露わなルキアは美しかった。肌はすべすべで、手に吸い付いてくるかのようだった。
僅かな膨らみしかもらぬ胸を優しくもんで、先端を口に含むと、ルキアは甘い痺れをかんじた。
「ああっ・・・・」
秘所を手で弄ると、濡れていた。
「もうこんなに濡れてる」
「あ、いうな・・・ああ!」
秘所の奥のほうの天井をくちゅくちゅとこすってやると、ルキアはびくんと体を痙攣させた。
いってしまったのだ。
「ああああ!」
はぁはぁと荒い息をつくルキアに口づける。
「俺のものだ、ルキア」
秘所に、一護は侵入した。
「あ、あ、あ・・・・・」
秘所の浅い部分をこすりあげて、前立腺ばかりを刺激して、陰核を手でつまむと、またルキアはいった。
「あああ!」
「何度でもいけ、ルキア」
「ああっ一護」
何度もルキアの中を突き上げて、一護はルキアの中に欲望を放った。
「愛してる、ルキア」
「私も、愛している・・・たとえ、何があっても・・・・・」
一護は、知らなかった。
ルキアが、すでに婚姻していたことを。ルキアの中に、一護とのものでない新しい命が宿っていることも。
井上が、わんわん泣いていた。
一護は無事、志望校に合格し、4月からは大学生だ。
その日は、卒業式だった。
ルキアが、現世にいられる最後の日。
「卒業おめでとう、ルキア」
「貴様もおめでとう、一護」
ルキアは、死神に戻るが、進路先は家の家業を手伝うことになっていた。
桜はまだ咲いていない。
高校の卒業式は、桜の季節よりも少し早い。少しだけ長い春休みを迎えて、それが終わったら、大抵の者が大学生になる。一部はもう就職だ。
「桜・・・・咲いてたらよかったのにな」
「仕方なかろう。桜の咲く時期に、また一護に会いにいく」
「ああ、待ってる。ずっと待ってるから」
石田も、茶虎も、井上も大学に進学する。石田は将来医師として、茶虎はプロボクサーとしてという、しっかりとした夢があった。
井上と一護くらいが、まだぼんやりとこうなりたいかもしれない、という程度の夢を抱いていた。
一護は、できれば翻訳家になりたいと思っていた。
なので、国際系の大学を受験して合格した。英語の成績はいい。
「帰ろうか、家に」
「ああ」
友人たちに別れを告げて、一護とルキアは手を握りしめあいながら、帰宅した。
その日の夜は、最後なのでたくさん話した。
たくさん抱擁しあった。たくさんキスをした。
やがて、次の日になり、義骸を脱いで死覇装の死神姿になったルキアが、穿界門の中へ消えていく。
「メール送るから!返事くれよな!」
「ああ、分かっている!」
ルキアは尸魂界に戻ってしまった。
一護は、少し寂しい想いを抱えたまま、けれど霊力をなくした時は1年と7か月も耐えたのだ。
今は伝令神機でメールのやりとりもできる。
(愛してる、ルキア。どんなに離れていても、心はお互い一つだ)
(もう早速、寂しいのか?貴様も寂しがり屋だな)
(悪いかよ。この3か月、ずっと毎日お前といたんだ。寂しくなるの、当たりまえだろう)
(正直、私も少し寂しい。だが、私はこれから尸魂界の復興を手伝っていかねばならぬ。もう時間だ、返信はまた今度にする)
そのまま、メールは途絶えた。
大学が始まった。
桜の花が咲く季節、約束通りルキアがやってきた。
「ルキア!」
「一護!」
大学の、桜の木の下で、抱き締めあった。キスをした。
ちらちらと散っていく桜の下で見たルキアは、長袖のワンピースにフリルのついたコートを羽織っていた。
かわいいと思った。
背中には、チャッピーの鞄。
「メールの連絡がないから、来てくれないのかと思った」
「たわけ。メールではなく、ちゃんと貴様と言葉を交わしたかったからだ」
入学式も終わった大学は、新入生であふれかえっていた。けっこう大きめの大学に入学したので、大学のキャンバスも広い。
「俺、今日は授業あるから・・・お前も一緒に受けるか?」
「ああ」
尸魂界ではやっと復興のメドが経ってきたらしい。ユーハバッハとの大戦は大きな爪痕を瀞霊廷に残し、特に1番隊あたりは焦土となって何も残らなかったらしい。
住民の避難は完了していたので、住民への被害は少なかったが、死神の実に過半数が死んだ。
山本元柳斎重國、卯ノ花烈、浮竹十四郎。
3人の死は、瀞霊廷に大きな衝撃を与えた。
特に、山本元柳斎重國は総隊長であるだけあって、戦時中に走った衝撃は計り知れず、一護も言葉をなくしたほどだ。
「尸魂界、今大変なんだろ?こっちにきて大丈夫なのか?」
「確かに大変だが、総隊長より特別の許可をいただいている。非番の日は、こちらにきてもいいように取り計らってもらっていて、その分通常の仕事は大変だが、今のところなんかなっておる」
その言葉に、一護はほっとした。
英語の授業をルキアと一緒に受けた。少人数制だったので、無理かと思ったら、そんなことに使っていいのかと思う記憶置換を使って、ルキアは生徒の一人として教室で認識された。
「ではここを・・・朽木ルキアさん。解いてください」
「え?」
ルキアは真っ青になった。
英語は得意にちんぷんかんぷんで、テストの点はいつも10点くらいだった。
教科書もないので、教授が訝しみだす。
「おやぁ?何故教科書がないのですか。そもそも朽木さんは・・・・おや?そんな生徒、いたかな・・・・・」
「失礼しました!」
ルキアは逃げ出した。一護も、トイレといって、ルキアの後を追った。
「うーん。浦原のところで買った記憶置換は、効能がいまいちだな」
「そんなもんに頼らずに、素直に待ってればよかったのに」
「貴様の傍に、少しでも長くいたかったのだ」
「そっか・・・この食堂で、悪いが待っててくれ。カレーでも食っとけ。金はあるよな?」
「背中のリュックに200万いれておる」
「おい、それ生徒の前で見せるなよ。ったく、白哉と一緒で金銭感覚ずれてるんだから。俺は授業の続きに出てくる。将来の夢のための一歩なんだ」
「そうか!では行ってこい!」
ルキアは、一護を見送った。
「さて・・・・・」
ルキアは、カレーを注文して、美味しそうにほうばった。
一護は30分程で授業を終え、ルキアのところにきた。
2杯目のカレーを食べているルキアに苦笑しつつ、一護もカレーを注文した。
一護はエビフライつきのカレーを頼んでいた。ルキアがじーっと、一護のエビフライを見つめているものだから、溜息を零しつつ、エビフライをルキアの皿にのせた。
「すまんな!」
「食い意地だけは一人前だな」
「うるさい」
また、この何気ない日常が、たとえ1日だけとはいえ戻ってきて、一護は安心する。
一護は、もう一人暮らしを始めていた。金はないので、将来ためて返すという約束で、父親である一心から、金をかりてアパートをかりた。バイトもしている。大学の授業料は、一心が「息子の教育を最後まで見届けるのが親の責任だ」といって、全額負担してくれるらしかった。
私立だったので、正直バイトで金をためても、食費くらいしか稼げそうになかった。将来仕事を得ても、奨学金を返すのは辛いところだったので、父親の言葉に甘えた。
「次の授業は、クラス制じゃないから、普通にでれるぞ」
「そうか」
昼飯を食べ終えて、次は日本歴史の授業だった。
ルキアと隣同士で、授業を受けた。ルキアが、伝令神機で一護にメールを打つ。一応授業中なので、私語は厳禁だった。
(実は、明日も現世にいれるのだ。今日は授業が終わったら、貴様のアパートに泊まってもよいか?)
(ああ、かまわねーよ。ただし、一人暮らしようだから狭いぞ)
(狭いのはあの一護の部屋の押し入れで慣れておる)
「ぶっ・・・・」
一護が吹き出した。
(笑うな、愚か者)
(はいはい。夕食は何がいい?)
(カレーは昼に食べたし・・・・ハヤシライスがいい)
(分かった)
授業が終わり、一護はルキアと買い物をして帰った。
夕食は、ルキアの希望通りハヤシライスにした。そして特別にデザートに白玉餡蜜の材料を買い、デザートとして出すと、ルキアは顔を輝かせてそれを食べた。
「うまい。一護の作る料理は、うまいな」
何度か、高校時代手料理を作って、ルキアに食べさせたことがあった。反対にルキアが作ることもあったが、簡単なものしか作れなかっし、料理は得意ではなさげだった。
一護は、今ラーメン店でバイトしていた。その前は中華料理店。大戦のあと、なんでも屋のうなぎ屋をやめたのだ。
「ルキアとこうして、日常を過ごせるのって幸せだな」
「ああ、私もだ」
その日、二人は初めて体を重ねた。
「ルキア・・・綺麗だ」
白い肌も露わなルキアは美しかった。肌はすべすべで、手に吸い付いてくるかのようだった。
僅かな膨らみしかもらぬ胸を優しくもんで、先端を口に含むと、ルキアは甘い痺れをかんじた。
「ああっ・・・・」
秘所を手で弄ると、濡れていた。
「もうこんなに濡れてる」
「あ、いうな・・・ああ!」
秘所の奥のほうの天井をくちゅくちゅとこすってやると、ルキアはびくんと体を痙攣させた。
いってしまったのだ。
「ああああ!」
はぁはぁと荒い息をつくルキアに口づける。
「俺のものだ、ルキア」
秘所に、一護は侵入した。
「あ、あ、あ・・・・・」
秘所の浅い部分をこすりあげて、前立腺ばかりを刺激して、陰核を手でつまむと、またルキアはいった。
「あああ!」
「何度でもいけ、ルキア」
「ああっ一護」
何度もルキアの中を突き上げて、一護はルキアの中に欲望を放った。
「愛してる、ルキア」
「私も、愛している・・・たとえ、何があっても・・・・・」
一護は、知らなかった。
ルキアが、すでに婚姻していたことを。ルキアの中に、一護とのものでない新しい命が宿っていることも。
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