忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 28 29 30 12

卒業

「うわーん、別れたくないよう、黒崎君」

井上が、わんわん泣いていた。

一護は無事、志望校に合格し、4月からは大学生だ。

その日は、卒業式だった。

ルキアが、現世にいられる最後の日。

「卒業おめでとう、ルキア」

「貴様もおめでとう、一護」

ルキアは、死神に戻るが、進路先は家の家業を手伝うことになっていた。

桜はまだ咲いていない。

高校の卒業式は、桜の季節よりも少し早い。少しだけ長い春休みを迎えて、それが終わったら、大抵の者が大学生になる。一部はもう就職だ。

「桜・・・・咲いてたらよかったのにな」

「仕方なかろう。桜の咲く時期に、また一護に会いにいく」

「ああ、待ってる。ずっと待ってるから」

石田も、茶虎も、井上も大学に進学する。石田は将来医師として、茶虎はプロボクサーとしてという、しっかりとした夢があった。

井上と一護くらいが、まだぼんやりとこうなりたいかもしれない、という程度の夢を抱いていた。

一護は、できれば翻訳家になりたいと思っていた。

なので、国際系の大学を受験して合格した。英語の成績はいい。

「帰ろうか、家に」

「ああ」

友人たちに別れを告げて、一護とルキアは手を握りしめあいながら、帰宅した。

その日の夜は、最後なのでたくさん話した。

たくさん抱擁しあった。たくさんキスをした。

やがて、次の日になり、義骸を脱いで死覇装の死神姿になったルキアが、穿界門の中へ消えていく。

「メール送るから!返事くれよな!」

「ああ、分かっている!」

ルキアは尸魂界に戻ってしまった。

一護は、少し寂しい想いを抱えたまま、けれど霊力をなくした時は1年と7か月も耐えたのだ。

今は伝令神機でメールのやりとりもできる。

(愛してる、ルキア。どんなに離れていても、心はお互い一つだ)

(もう早速、寂しいのか?貴様も寂しがり屋だな)

(悪いかよ。この3か月、ずっと毎日お前といたんだ。寂しくなるの、当たりまえだろう)

(正直、私も少し寂しい。だが、私はこれから尸魂界の復興を手伝っていかねばならぬ。もう時間だ、返信はまた今度にする)

そのまま、メールは途絶えた。


大学が始まった。

桜の花が咲く季節、約束通りルキアがやってきた。

「ルキア!」

「一護!」

大学の、桜の木の下で、抱き締めあった。キスをした。

ちらちらと散っていく桜の下で見たルキアは、長袖のワンピースにフリルのついたコートを羽織っていた。

かわいいと思った。

背中には、チャッピーの鞄。

「メールの連絡がないから、来てくれないのかと思った」

「たわけ。メールではなく、ちゃんと貴様と言葉を交わしたかったからだ」

入学式も終わった大学は、新入生であふれかえっていた。けっこう大きめの大学に入学したので、大学のキャンバスも広い。

「俺、今日は授業あるから・・・お前も一緒に受けるか?」

「ああ」

尸魂界ではやっと復興のメドが経ってきたらしい。ユーハバッハとの大戦は大きな爪痕を瀞霊廷に残し、特に1番隊あたりは焦土となって何も残らなかったらしい。

住民の避難は完了していたので、住民への被害は少なかったが、死神の実に過半数が死んだ。

山本元柳斎重國、卯ノ花烈、浮竹十四郎。

3人の死は、瀞霊廷に大きな衝撃を与えた。

特に、山本元柳斎重國は総隊長であるだけあって、戦時中に走った衝撃は計り知れず、一護も言葉をなくしたほどだ。

「尸魂界、今大変なんだろ?こっちにきて大丈夫なのか?」

「確かに大変だが、総隊長より特別の許可をいただいている。非番の日は、こちらにきてもいいように取り計らってもらっていて、その分通常の仕事は大変だが、今のところなんかなっておる」

その言葉に、一護はほっとした。

英語の授業をルキアと一緒に受けた。少人数制だったので、無理かと思ったら、そんなことに使っていいのかと思う記憶置換を使って、ルキアは生徒の一人として教室で認識された。

「ではここを・・・朽木ルキアさん。解いてください」

「え?」

ルキアは真っ青になった。

英語は得意にちんぷんかんぷんで、テストの点はいつも10点くらいだった。

教科書もないので、教授が訝しみだす。

「おやぁ?何故教科書がないのですか。そもそも朽木さんは・・・・おや?そんな生徒、いたかな・・・・・」

「失礼しました!」

ルキアは逃げ出した。一護も、トイレといって、ルキアの後を追った。

「うーん。浦原のところで買った記憶置換は、効能がいまいちだな」

「そんなもんに頼らずに、素直に待ってればよかったのに」

「貴様の傍に、少しでも長くいたかったのだ」

「そっか・・・この食堂で、悪いが待っててくれ。カレーでも食っとけ。金はあるよな?」

「背中のリュックに200万いれておる」

「おい、それ生徒の前で見せるなよ。ったく、白哉と一緒で金銭感覚ずれてるんだから。俺は授業の続きに出てくる。将来の夢のための一歩なんだ」

「そうか!では行ってこい!」

ルキアは、一護を見送った。

「さて・・・・・」

ルキアは、カレーを注文して、美味しそうにほうばった。

一護は30分程で授業を終え、ルキアのところにきた。

2杯目のカレーを食べているルキアに苦笑しつつ、一護もカレーを注文した。

一護はエビフライつきのカレーを頼んでいた。ルキアがじーっと、一護のエビフライを見つめているものだから、溜息を零しつつ、エビフライをルキアの皿にのせた。

「すまんな!」

「食い意地だけは一人前だな」

「うるさい」

また、この何気ない日常が、たとえ1日だけとはいえ戻ってきて、一護は安心する。

一護は、もう一人暮らしを始めていた。金はないので、将来ためて返すという約束で、父親である一心から、金をかりてアパートをかりた。バイトもしている。大学の授業料は、一心が「息子の教育を最後まで見届けるのが親の責任だ」といって、全額負担してくれるらしかった。

私立だったので、正直バイトで金をためても、食費くらいしか稼げそうになかった。将来仕事を得ても、奨学金を返すのは辛いところだったので、父親の言葉に甘えた。

「次の授業は、クラス制じゃないから、普通にでれるぞ」

「そうか」

昼飯を食べ終えて、次は日本歴史の授業だった。

ルキアと隣同士で、授業を受けた。ルキアが、伝令神機で一護にメールを打つ。一応授業中なので、私語は厳禁だった。

(実は、明日も現世にいれるのだ。今日は授業が終わったら、貴様のアパートに泊まってもよいか?)

(ああ、かまわねーよ。ただし、一人暮らしようだから狭いぞ)

(狭いのはあの一護の部屋の押し入れで慣れておる)

「ぶっ・・・・」

一護が吹き出した。

(笑うな、愚か者)

(はいはい。夕食は何がいい?)

(カレーは昼に食べたし・・・・ハヤシライスがいい)

(分かった)

授業が終わり、一護はルキアと買い物をして帰った。

夕食は、ルキアの希望通りハヤシライスにした。そして特別にデザートに白玉餡蜜の材料を買い、デザートとして出すと、ルキアは顔を輝かせてそれを食べた。

「うまい。一護の作る料理は、うまいな」

何度か、高校時代手料理を作って、ルキアに食べさせたことがあった。反対にルキアが作ることもあったが、簡単なものしか作れなかっし、料理は得意ではなさげだった。

一護は、今ラーメン店でバイトしていた。その前は中華料理店。大戦のあと、なんでも屋のうなぎ屋をやめたのだ。

「ルキアとこうして、日常を過ごせるのって幸せだな」

「ああ、私もだ」

その日、二人は初めて体を重ねた。

「ルキア・・・綺麗だ」

白い肌も露わなルキアは美しかった。肌はすべすべで、手に吸い付いてくるかのようだった。

僅かな膨らみしかもらぬ胸を優しくもんで、先端を口に含むと、ルキアは甘い痺れをかんじた。

「ああっ・・・・」

秘所を手で弄ると、濡れていた。

「もうこんなに濡れてる」

「あ、いうな・・・ああ!」

秘所の奥のほうの天井をくちゅくちゅとこすってやると、ルキアはびくんと体を痙攣させた。

いってしまったのだ。

「ああああ!」

はぁはぁと荒い息をつくルキアに口づける。

「俺のものだ、ルキア」

秘所に、一護は侵入した。

「あ、あ、あ・・・・・」

秘所の浅い部分をこすりあげて、前立腺ばかりを刺激して、陰核を手でつまむと、またルキアはいった。

「あああ!」

「何度でもいけ、ルキア」

「ああっ一護」

何度もルキアの中を突き上げて、一護はルキアの中に欲望を放った。

「愛してる、ルキア」

「私も、愛している・・・たとえ、何があっても・・・・・」

一護は、知らなかった。

ルキアが、すでに婚姻していたことを。ルキアの中に、一護とのものでない新しい命が宿っていることも。



拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/27)
(11/26)
(11/25)
(11/25)
(11/22)
"ココはカウンター設置場所"