隠していた想いの果てに
「なぁ、ルキア」
「なんだ」
高校3年生の冬。
冬休みになっていた。
本来なら、ルキアはここにはいない。尸魂界で、13番隊の副隊長として大戦の後の復興を手伝わなければいけない身の上だった。
一護の我儘だった。
どうか、ルキアを高校卒業まで現世にいさせてほしいと。
ユーハバッハを倒した尸魂界の英雄に、京楽は渋い顔をしながらも、ルキアが現世に残ることを承諾してくれた。
それにルキアは驚きだけで。
何故、一護がそんなことを言い出したのか、ほんのりと胸の中では分かっていた。でも、知らないふりをしていた。
これからも知らないふりをするつもりだった。
デートというわけでもなく、暇なので冬の海にきていた。
ざぁんざぁんとなる海が綺麗だった。
「お前、綺麗だよな」
「は?」
「ばーか。冗談だ」
「このたわけ!」
怒りだしたルキアを、そっと抱き留める。
「一護?」
「春になって、現世を去る前に、伝えたいことがある」
「言うな!」
「なんでだよ。まだ何を言うかもわかってねぇじゃねぇか」
「分かっておる。気づいておるのだ」
「ルキア・・・・」
「やめろ、一護。私は死神、貴様は人間・・・・・この埋められぬ溝が」
ざぁんざぁんと、おしては引き返す波の音だけがした。
一護は、ルキアにキスをしていた。
目を見開くルキア。アメジストの瞳から、ぽろりと涙が零れた。
「貴様はずるい・・・・・」
「ルキア、お前のことがどうしようもないくらいに好きなんだ。俺の手をとってくれ!俺と生きよう!」
ルキアは、その手を払いのけるはずだった。
だが、抱き締められてまたポロポロとアメジストの瞳から涙を零した。
「私は死神・・・・貴様は人間。それでも・・・・それでも・・・・・」
ルキアは、一護の手をとっていた。
「大好きだ、ルキア」
「私も貴様が大好きだ、一護」
ざぁんざぁんと、おしては引き返す冬の海が、とても幻想的に見えた。
それからの日々は、いつもと違った。冬休みがあけて、学校が始まった。
お互い恋人同士として振る舞った。
黒崎家でも、学校でも。
「ねー、一護、もしかして朽木さんと付き合ってるの?」
たつきの質問い、一護は
「ああ」
とだけ答えた。
その答えを聞いて、井上が泣きだした。
「ちょっと、織姫、屋上いこう」
井上が、一護を好きなのは、一護自身も気づいていた。でも、井上ではだめなのだ。
ルキアでないと、だめなのだ。
「一護、貴様・・・井上が泣いていたぞ」
「俺たちが付き合っているっていったら、泣きだした」
「井上は・・・・そうか、お前のことを」
「気の毒だから身を引こうなんて思うなよ」
「たわけ。私も貴様のことを好いておると言っておるであろう。誰に反対されても・・・たとえ、恋次や兄様に反対されても、貴様と別れるつもりはない」
一護は、ルキアを連れて人気のない廊下にきた。
そして、思いっきり抱き締めた。
「ああもう、こんな学校でそんな嬉しいこと言われても、なかなか抱き締めたりキスしたりできねーじゃねぇか」
「たわけ、貴様学校でなど・・・」
スリルはあった。でも、それを楽しむつもりはない。
「ルキア・・・卒業しても、こっちにきてくれよな?」
「当たり前だ。私の彼氏、なのだろう?会いにいくに決まっておる」
その日は、二人手を繋ぎながら、ゆっくりと帰った。
家につくと、いつものように一護の部屋で過ごした。
好きだと言って、抱き締めたりキスしたりする以外は、前と変わらない。
ただ、密着すると温度が気になる。
ルキアは、疲れたのかベッドに横になっていた。同じベッドで、一護もルキアを腕の中に抱いて、横になる。
「なぁ」
「なんだ」
「こんな甘い日々も、あと2か月ちょっとで終わりなんだな」
「そうだな」
卒業式まであと2か月と少し。
おまけに、一護には大学受験が控えている。勉強はもうできるだけやったので、後はその日を待つだけだ。
「ルキア、好きだ」
「知っておる」
抱き寄せてくる腕は、けれどまだ互いにキスとハグ、それ以上には進めないでいた。
黒崎家だから、というのもある。
一護の父親や妹たちがいるこの家で、体を重ねる勇気などなかった。
「俺、大学生になったら一人暮らししようと思ってるんだ。そしたら・・・・なぁ、その、なんでいうか・・・・」
「いいぞ。抱きたいのであろう?」
その言葉に、一護は真っ赤になった。
「なんで分かってるんだよ!」
「だって、お互い好きで恋人同士なら、自然な関係であろう。貴様も男だ。こんな私に劣情を抱く者がいるのは珍しいが、そんな気になってしまうであろう。私とて、我慢しているのだ、一護」
ルキアが、甘く囁いてくる。
「貴様を、私のものにしたい、一護」
「ルキア・・・・」
唇が重なった。
舌と舌が絡み合う深い口づけと、ふれるだけの浅い口づけを繰り返す。
「ああ、もう。その気になっちまう。我慢だ我慢」
一護は、ルキアと付き合う以前からずっと我慢していた。
キスやハグができるようになって喜んでいたのだが、それ以上に進みたくなった自分に戸惑いを覚えているのも確かだ。
「なぁ。もう1回言ってくれ。好きだって」
「何千回、何万回でも囁いてやる。好きだ、一護」
高校3年の終わり。一護とルキアの交際はスタートした。
「なんだ」
高校3年生の冬。
冬休みになっていた。
本来なら、ルキアはここにはいない。尸魂界で、13番隊の副隊長として大戦の後の復興を手伝わなければいけない身の上だった。
一護の我儘だった。
どうか、ルキアを高校卒業まで現世にいさせてほしいと。
ユーハバッハを倒した尸魂界の英雄に、京楽は渋い顔をしながらも、ルキアが現世に残ることを承諾してくれた。
それにルキアは驚きだけで。
何故、一護がそんなことを言い出したのか、ほんのりと胸の中では分かっていた。でも、知らないふりをしていた。
これからも知らないふりをするつもりだった。
デートというわけでもなく、暇なので冬の海にきていた。
ざぁんざぁんとなる海が綺麗だった。
「お前、綺麗だよな」
「は?」
「ばーか。冗談だ」
「このたわけ!」
怒りだしたルキアを、そっと抱き留める。
「一護?」
「春になって、現世を去る前に、伝えたいことがある」
「言うな!」
「なんでだよ。まだ何を言うかもわかってねぇじゃねぇか」
「分かっておる。気づいておるのだ」
「ルキア・・・・」
「やめろ、一護。私は死神、貴様は人間・・・・・この埋められぬ溝が」
ざぁんざぁんと、おしては引き返す波の音だけがした。
一護は、ルキアにキスをしていた。
目を見開くルキア。アメジストの瞳から、ぽろりと涙が零れた。
「貴様はずるい・・・・・」
「ルキア、お前のことがどうしようもないくらいに好きなんだ。俺の手をとってくれ!俺と生きよう!」
ルキアは、その手を払いのけるはずだった。
だが、抱き締められてまたポロポロとアメジストの瞳から涙を零した。
「私は死神・・・・貴様は人間。それでも・・・・それでも・・・・・」
ルキアは、一護の手をとっていた。
「大好きだ、ルキア」
「私も貴様が大好きだ、一護」
ざぁんざぁんと、おしては引き返す冬の海が、とても幻想的に見えた。
それからの日々は、いつもと違った。冬休みがあけて、学校が始まった。
お互い恋人同士として振る舞った。
黒崎家でも、学校でも。
「ねー、一護、もしかして朽木さんと付き合ってるの?」
たつきの質問い、一護は
「ああ」
とだけ答えた。
その答えを聞いて、井上が泣きだした。
「ちょっと、織姫、屋上いこう」
井上が、一護を好きなのは、一護自身も気づいていた。でも、井上ではだめなのだ。
ルキアでないと、だめなのだ。
「一護、貴様・・・井上が泣いていたぞ」
「俺たちが付き合っているっていったら、泣きだした」
「井上は・・・・そうか、お前のことを」
「気の毒だから身を引こうなんて思うなよ」
「たわけ。私も貴様のことを好いておると言っておるであろう。誰に反対されても・・・たとえ、恋次や兄様に反対されても、貴様と別れるつもりはない」
一護は、ルキアを連れて人気のない廊下にきた。
そして、思いっきり抱き締めた。
「ああもう、こんな学校でそんな嬉しいこと言われても、なかなか抱き締めたりキスしたりできねーじゃねぇか」
「たわけ、貴様学校でなど・・・」
スリルはあった。でも、それを楽しむつもりはない。
「ルキア・・・卒業しても、こっちにきてくれよな?」
「当たり前だ。私の彼氏、なのだろう?会いにいくに決まっておる」
その日は、二人手を繋ぎながら、ゆっくりと帰った。
家につくと、いつものように一護の部屋で過ごした。
好きだと言って、抱き締めたりキスしたりする以外は、前と変わらない。
ただ、密着すると温度が気になる。
ルキアは、疲れたのかベッドに横になっていた。同じベッドで、一護もルキアを腕の中に抱いて、横になる。
「なぁ」
「なんだ」
「こんな甘い日々も、あと2か月ちょっとで終わりなんだな」
「そうだな」
卒業式まであと2か月と少し。
おまけに、一護には大学受験が控えている。勉強はもうできるだけやったので、後はその日を待つだけだ。
「ルキア、好きだ」
「知っておる」
抱き寄せてくる腕は、けれどまだ互いにキスとハグ、それ以上には進めないでいた。
黒崎家だから、というのもある。
一護の父親や妹たちがいるこの家で、体を重ねる勇気などなかった。
「俺、大学生になったら一人暮らししようと思ってるんだ。そしたら・・・・なぁ、その、なんでいうか・・・・」
「いいぞ。抱きたいのであろう?」
その言葉に、一護は真っ赤になった。
「なんで分かってるんだよ!」
「だって、お互い好きで恋人同士なら、自然な関係であろう。貴様も男だ。こんな私に劣情を抱く者がいるのは珍しいが、そんな気になってしまうであろう。私とて、我慢しているのだ、一護」
ルキアが、甘く囁いてくる。
「貴様を、私のものにしたい、一護」
「ルキア・・・・」
唇が重なった。
舌と舌が絡み合う深い口づけと、ふれるだけの浅い口づけを繰り返す。
「ああ、もう。その気になっちまう。我慢だ我慢」
一護は、ルキアと付き合う以前からずっと我慢していた。
キスやハグができるようになって喜んでいたのだが、それ以上に進みたくなった自分に戸惑いを覚えているのも確かだ。
「なぁ。もう1回言ってくれ。好きだって」
「何千回、何万回でも囁いてやる。好きだ、一護」
高校3年の終わり。一護とルキアの交際はスタートした。
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