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卯ノ花隊長と華道

卯ノ花。

4番隊の隊長であり、回道の一番使い手であり、怪我人や病気の者を癒してくれる。

そんな卯ノ花は、華道が好きだった。

同好会を開いて、華道を趣味としていた。

そんな華道の席に、場違いの浮竹と京楽がいた。

救護詰所で話をしている間に、華道も面白そうだという話になり、特別に出席することになったのだ。

「足が痺れそうだ」

「僕も」

普段正座のすることのない二人は、すでに音をあげていた。

やがて花が配られる。

カスミソウ、白百合、赤薔薇、なんかよくわからない黄色の花と、緑の葉っぱだった。

浮竹は、迷いもせずにぱちりと茎をきって、剣山にさしていく。

豪快としかいえないような、できばえだった。

一方の京楽は、バランスを考えて活けていた。

「あらあらお二人とも、生け花に性格がでていらっしゃいますね」

卯ノ花が、楽しそうに二人が活けた花を見る。

「浮竹隊長、剣山にさせばいいというものではありませんよ。もっとバランスを考えないと「

「そ、そうだな」

「京楽隊長、少し花が地味に見えてしまいますね。花が主役なので、緑はそこまで飾ることはありません」

「そうかな」

「では、食べましょうか」

「「は?」」

浮竹と京楽は顔を見合わせ合う。

「あら、お伝えしいなかったでしょうか。今回の白百合は菓子でできています。勿論本物の白百合ですが、成分はお菓子です」

そう言って、卯ノ花はむしゃりと白百合を口にした。

茫然としている二人の前で、他の華道に出席した者も、白百合を食べて茶を口にしていた。

「京楽・・・・食べれると思うか?」

「みんな食べてるんだから、食べれるんじゃないの?」

勇気を振り絞って、二人は白百合を口にしてみた。

でも、本当の花だった。

「ふふふ、ひっかかりましたね。いつも救護詰所で騒ぐお返しです」

「卯ノ花隊長、すまない。次からはもっと静かにする」

「僕も」

「分かっていただければいいのです。さぁ、この白百合をどうぞ。食べれます」

渡された白百合を逡巡したが口にした。

ふたりと、甘い優しい味がした。

「いつも華道の花って食べれるのか?やちるちゃんがよく華道を見に行くついでに花を食べていると言っていたが」

「そうですよ、浮竹隊長。活けるだけだとつまらないですからね。毎回1種類は食べれる菓子の味のする花をいれています」

「風雅なのかどうなのか分からないとこだね」

京楽が口を開く。

活けた花をそのまま飾っっておくのが華道の基本なのだが。

卯ノ花の華道は、少し違うようだった。

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