卯ノ花隊長の謎とギックリ腰
「あ。もう無理」
そう言って、浮竹は力尽きた。
「隊長おおおお!!」
海燕が、横になって動かなくなった浮竹にすがりつき、叫んでいた。
「・・・・・何してるの、君たち」
ちょうどその姿を、雨乾堂にやってきて目撃してしまった京楽が、首を傾げていた。
「京楽隊長が無理させるから!」
「え、何を!」
「夜の生活を!」
「え!?」
京楽は、ぎょっとした顔になる。確かに、昨日はしつこく抱いた。
「というのは冗談で・・・・見ての通り、浮竹隊長はああなんで、しばらく夜の生活はなしにしてください」
「ちょっと待って、話の展開がつかめないんだけど」
「あいたたた。重い物をもったら、ぎっくり腰になった」
畳の上に倒れていた浮竹が、ごろりと寝返りをうった。
「ぎっくり腰!?」
確かに、ぎっくり腰だと夜の生活は当分なしだ。
でも、日常生活にも支障をきたすとのことで、浮竹を連れて4番隊にまでいった。
「そうですか。ぎっくり腰に。年ですね」
「卯ノ花隊長は俺より年上・・・・いや、なんでもない」
卯ノ花に回道でぎっくり腰を治してもらいながら、浮竹は痛みが和らいだことで顔色をよくしていた。
「ぎっくり腰は、一度なると癖になりますから。くれぐれもしばらくの間はあまり重い物をもったりしないように」
俺より年上といったことで、にこにこした笑みがさらににこにこと深くなって、その微笑みに慈愛は感じられずに、逃げるように浮竹は京楽に連れられて4番隊を後にした。
「卯ノ花隊長の微笑みが怖い」
「僕も」
多分、卯ノ花を恐れない隊長は少ないと思う。
「それにしても、何をしてぎっくり腰になったんだい?」
「いや、海燕とタンスを移動させようよして」
「そんな重いものもつから・・・・」
「俺も年だなぁ。昔なら、もっと軽く感じたんだが」
「年っていってもまだまだ現役じゃない」
「そうだな」
まだまだ男盛りだ。確かに若くはないが、それでも年をとりすぎたというわけでもない。
雨乾堂に帰ってくると、海燕が転がっていた。
「おい、どうしたんだ!」
「隊長が年だと思って・・・一人でタンス動かそうとしたら、ぎっくり腰になりました」
「はははははは、海燕、ぎっくり腰になった俺を散々年だ年だというから、天罰がくだったんだ」
「隊長。普通、こういう場面は副官を心配するものですよ」
「海燕も仲よくぎっくり腰だ。仕方ないから、4番隊にまで送ってやる」
浮竹は、海燕を連れて4番隊にきた。
「またですか。ぎっくり腰になる方が多いですね」
「すみません」
卯ノ花自ら回道で治してくれた。
「あなたたち13番隊の方々は、ぎっくり腰になるような運命なのかもしれませんね」
にこにこにこ。
その笑顔が怖くて、浮竹も海燕も逃げ出すように、雨乾堂に帰った。
「どうだったの?」
一人留守番をさせられていた京楽が、そう聞くが、浮竹も海燕も卯ノ花の笑顔にやられていた。
「菩薩に見えて修羅だ」
「菩薩に見せかけているだけですよ、あれ」
「卯ノ花隊長のことかい?」
「卯ノ花隊長って、そういえば謎が多いよな。俺たちが隊長になる以前からすでに隊長だったし、その頃からほとんど見かけが変わっていない。妖怪かな?」
その場に卯ノ花がいたら、修羅の顔になっていただろう。
「実は山姥(やまんば)だったりして」
「ありえそうで怖い」
卯ノ花は謎が多い。
「まぁ、ギックリ腰も治ったけど、タンスを動かすのはやめておこう。またぎっくり腰になりそだ」
「そうですね」
3人で何やかんやと騒いでいたら、7時になっていた。
「夕餉もってきます」
海燕は隊舎に戻っていった。
海燕は、それから戻ってこなかった。
どうしたんだと思い、浮竹は京楽と共に隊舎にいくと、腰を押さえている海燕がいた。
「夕食の膳をもとうとしたら・・・・・なりました。ギックリ腰に。ああ、俺も年だ」
「大丈夫か!」
海燕の体を肩に背負い、浮竹も動きをとめてその場に膝をついた。
「どうしたの!」
「ギックリ腰が・・・・・・・」
結局、2人してまた4番隊にいき、ギックリ腰を治してもらった。
卯ノ花は、溜息を零す。
「しばらく、おとなしくしていてください。またギックリ腰になりますよ?」
そう言われて、浮竹も海燕も、しばらくの間大人しくしていた。
浮竹の世話を、3席である仙太郎がしてくれた。
京楽は、ぎっくり腰にならないように日々を過ごす浮竹と海燕にこう言った。
「卯ノ花隊長を山姥なんて言った呪いかもね」
ありそうで怖かった。
1週間ほどしてもうならなかったので、普通の日常が戻ってくる。
「俺、しばらく4番隊にいっても虎鉄副隊長に診てもらう」
「俺もです・・・・・」
卯ノ花烈。
菩薩のような笑みの下に、修羅を宿す4番隊隊長。
回道の腕は確かだし、後方支援に回してこれほど心強い存在はない。
だが、笑みが怖いのだ。
にこにこ微笑んでいるのに、まるで阿修羅がにこにこ笑っているようだと、総合救護詰所でも有名な、隊長であった。
そう言って、浮竹は力尽きた。
「隊長おおおお!!」
海燕が、横になって動かなくなった浮竹にすがりつき、叫んでいた。
「・・・・・何してるの、君たち」
ちょうどその姿を、雨乾堂にやってきて目撃してしまった京楽が、首を傾げていた。
「京楽隊長が無理させるから!」
「え、何を!」
「夜の生活を!」
「え!?」
京楽は、ぎょっとした顔になる。確かに、昨日はしつこく抱いた。
「というのは冗談で・・・・見ての通り、浮竹隊長はああなんで、しばらく夜の生活はなしにしてください」
「ちょっと待って、話の展開がつかめないんだけど」
「あいたたた。重い物をもったら、ぎっくり腰になった」
畳の上に倒れていた浮竹が、ごろりと寝返りをうった。
「ぎっくり腰!?」
確かに、ぎっくり腰だと夜の生活は当分なしだ。
でも、日常生活にも支障をきたすとのことで、浮竹を連れて4番隊にまでいった。
「そうですか。ぎっくり腰に。年ですね」
「卯ノ花隊長は俺より年上・・・・いや、なんでもない」
卯ノ花に回道でぎっくり腰を治してもらいながら、浮竹は痛みが和らいだことで顔色をよくしていた。
「ぎっくり腰は、一度なると癖になりますから。くれぐれもしばらくの間はあまり重い物をもったりしないように」
俺より年上といったことで、にこにこした笑みがさらににこにこと深くなって、その微笑みに慈愛は感じられずに、逃げるように浮竹は京楽に連れられて4番隊を後にした。
「卯ノ花隊長の微笑みが怖い」
「僕も」
多分、卯ノ花を恐れない隊長は少ないと思う。
「それにしても、何をしてぎっくり腰になったんだい?」
「いや、海燕とタンスを移動させようよして」
「そんな重いものもつから・・・・」
「俺も年だなぁ。昔なら、もっと軽く感じたんだが」
「年っていってもまだまだ現役じゃない」
「そうだな」
まだまだ男盛りだ。確かに若くはないが、それでも年をとりすぎたというわけでもない。
雨乾堂に帰ってくると、海燕が転がっていた。
「おい、どうしたんだ!」
「隊長が年だと思って・・・一人でタンス動かそうとしたら、ぎっくり腰になりました」
「はははははは、海燕、ぎっくり腰になった俺を散々年だ年だというから、天罰がくだったんだ」
「隊長。普通、こういう場面は副官を心配するものですよ」
「海燕も仲よくぎっくり腰だ。仕方ないから、4番隊にまで送ってやる」
浮竹は、海燕を連れて4番隊にきた。
「またですか。ぎっくり腰になる方が多いですね」
「すみません」
卯ノ花自ら回道で治してくれた。
「あなたたち13番隊の方々は、ぎっくり腰になるような運命なのかもしれませんね」
にこにこにこ。
その笑顔が怖くて、浮竹も海燕も逃げ出すように、雨乾堂に帰った。
「どうだったの?」
一人留守番をさせられていた京楽が、そう聞くが、浮竹も海燕も卯ノ花の笑顔にやられていた。
「菩薩に見えて修羅だ」
「菩薩に見せかけているだけですよ、あれ」
「卯ノ花隊長のことかい?」
「卯ノ花隊長って、そういえば謎が多いよな。俺たちが隊長になる以前からすでに隊長だったし、その頃からほとんど見かけが変わっていない。妖怪かな?」
その場に卯ノ花がいたら、修羅の顔になっていただろう。
「実は山姥(やまんば)だったりして」
「ありえそうで怖い」
卯ノ花は謎が多い。
「まぁ、ギックリ腰も治ったけど、タンスを動かすのはやめておこう。またぎっくり腰になりそだ」
「そうですね」
3人で何やかんやと騒いでいたら、7時になっていた。
「夕餉もってきます」
海燕は隊舎に戻っていった。
海燕は、それから戻ってこなかった。
どうしたんだと思い、浮竹は京楽と共に隊舎にいくと、腰を押さえている海燕がいた。
「夕食の膳をもとうとしたら・・・・・なりました。ギックリ腰に。ああ、俺も年だ」
「大丈夫か!」
海燕の体を肩に背負い、浮竹も動きをとめてその場に膝をついた。
「どうしたの!」
「ギックリ腰が・・・・・・・」
結局、2人してまた4番隊にいき、ギックリ腰を治してもらった。
卯ノ花は、溜息を零す。
「しばらく、おとなしくしていてください。またギックリ腰になりますよ?」
そう言われて、浮竹も海燕も、しばらくの間大人しくしていた。
浮竹の世話を、3席である仙太郎がしてくれた。
京楽は、ぎっくり腰にならないように日々を過ごす浮竹と海燕にこう言った。
「卯ノ花隊長を山姥なんて言った呪いかもね」
ありそうで怖かった。
1週間ほどしてもうならなかったので、普通の日常が戻ってくる。
「俺、しばらく4番隊にいっても虎鉄副隊長に診てもらう」
「俺もです・・・・・」
卯ノ花烈。
菩薩のような笑みの下に、修羅を宿す4番隊隊長。
回道の腕は確かだし、後方支援に回してこれほど心強い存在はない。
だが、笑みが怖いのだ。
にこにこ微笑んでいるのに、まるで阿修羅がにこにこ笑っているようだと、総合救護詰所でも有名な、隊長であった。
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