忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 1617 18 19 20 21 22 2324 25 26 27 28 29 30 12

君はアメジスト 婚約者

「い、いきなり何を言っておるのだ!」

「だから、お前は隣国の大貴族で王家の血も受け継いでいるし、妻を娶れと周りがうるさかったから、お前を婚約者にした」

「突然すぎるであろう!会って、まだ1日しか経っておらぬのだぞ!」

「俺の婚約者になるの、嫌か?」

一護が、真面目な表情でルキアの顔をぞのきこむ。

「アメジスト」

「なんだ?」

「お前の瞳の色、アメジストだな」

「それを言うなら、貴様の髪は太陽のようだ」

ルキアは思ったことをそのまま口にしたのだが、一護は嬉しそうだった。

「今日から、俺の婚約者で寵姫だ。他に寵姫を娶るつもりはない。お前を正妃として迎え、大切にする」

「近い!顔が、近い!!!」

ルキアは、真っ赤になって、一護から離れた。

「俺の正妃になるの、嫌か?」

「いや、願ってもないことだが・・・・奴隷として送られてきた時点で、後宮にいれられて慰み者にされて、捨てられると思っていた」

「大貴族朽木の姫を、そんな風に扱ったら、周囲がうるせーしな」

「姫を本気で娶るつもり?」

「姫を泣かせると、容赦しないからな」

京楽と浮竹は、いつでも一護に襲いかかれる位置にいた。

「浮竹、京楽、攻撃する必要はない。一護の命令にも従うようにしてくれ」

「姫が、それを望むなら」

「ボクも、姫がそれを望むなら、そうするよ」

そうして、4人は朝食の席につき、ルキアは数日ぶりのまともな食事で、浮竹も京楽も似たような境遇だったため、おかわりをしてしまった。

「よく食うなぁ」

「奴隷商人のやつ、食費をけちって干し肉と硬いパンしかよこさぬのだ。こんな暖かな食事、数日ぶりだ」

ルキアと浮竹と京楽はよく食べた。

「じゃあ、昼からは礼儀作法とこの国の文字と歴史の勉強だ」

「礼儀作法はいらぬ。朽木家に生まれて、幼い頃から叩き込まれておる」

「そうか。じゃあ、文字と歴史の勉強な。偉い学者さん雇ってるから、困らせないようにな」

「じゃあ、ボクと浮竹は姫の部屋でくつろいでいるよ」

「ああ、京楽と二人きりになりたい」

この浮竹と京楽は、獣人で男同士であるが、結婚していて番であった。

「その、声は控えるつもりだが、あまり部屋には近づかないでくれよ?」

「あんたら、そうか。できてるのか。獣人はけっこうそういうの多いって聞くしな」

浮竹は真っ赤になった。京楽と一緒に歩いてルキアに与えられた部屋に戻っていく。姫の護衛も担当するので、姫の部屋で一緒に寝起きするのが昔からの、これからも同じ習慣であった。


「で、貴様は何故ここにいる」

「え、俺も歴史のおさらいしようと思って」

「ただ単に、私といたいだけであろう!」

冗談のつもりで言ったのだが、一護は頬を赤くした。

「わりぃかよ。一目ぼれなんだ」

「へ?」

「だから、お前に一目ぼれしたんだっつーの!」

「貴様、私のようなちんちくりんは好みでないと言っていたであろう!巨乳の美女がいいと!」

「ああ、あれ嘘。俺、貧乳派。お前、すっげータイプ」

「誰が貧乳だああああ!!!」

ルキアのアッパーは華麗に決まり、歴史を教えている講師の学者はおろおろするばかり。

「いってえええ。何も殴ることないだろ」

「貧乳って言った!」

「だってそうだろ?おっぱいないじゃん」

「私がどれほど気にしていると思っておるのだ!」

「あ、それ以上身長は伸びてもいいけど、胸は大きくならねーようにな」

「もっかい殴られたいかああああ」

一護は、ルキアの頭をわしゃわしゃと撫でて、部屋の外に出てしまった。

「一護?」

「執務があるから、また後でな」

「ああ・・・・この国の王は、引退しているのであったな。一護が王になるまで、あと数週間もあるまい・・・・・・」

ルキアの言葉通り、3週間後には一護が王になる戴冠式が予定されていた。

その隣に、ルキアが並ぶのだ。

想像しただけで、真っ赤になる。

一護は、いやな奴ではない。好きだと言ってくれた。正妃にして、他に寵姫を娶ることはないと言ってくれた。

「兄様・・・・・・」

心に残るものは、隣国で離ればなれになってしまった、兄のこと。

他の貴族の奸計にはまり、ルキアを奴隷としてクロサキ王国に送り込むことで、大貴族であることを許された。

ルキアの兄は、静かで冷静だが、実は妹思いだ。

浮竹と京楽という護衛の獣人をつけてくれたのも、兄の白哉だった。

「兄様は、元気にしておられるだろうか」

その日の歴史の授業は、祖国を思う気持ちに翻弄されて、あまり頭に入らなかった。

3時になり、お茶の時間になる。

睦みあったらしい浮竹と京楽が、情事の痕を匂わせている以外は、普通だった。

茶菓子にはシフォンケーキとチョコレートクッキー。

紅茶はアッサムの高級品。

流石に王族なだけあって、いい茶器を使っていたし、出された朝食もだが、お菓子もおいしかった。一流のシェフを雇っているのだろう。

「ルキア、はいあーん」

「自分で食べれるわ、痴れ者が!」

「えー。つまんねーじゃん。じゃあ、浮竹さんあーん」

浮竹は、突然のことに驚きながらも、口を開けた。

その口に、チョコレートクッキーを放り込む。

「ん、うまい」

「浮竹さんってかわいいなぁ」

「ちょっと一護君、浮竹はボクのものだよ。あんまり、ちょっかいかけないでくれるかな」

威嚇してくる京楽が面白くて、一護は浮竹を甘やかす。

「貴様、正妃になる寵姫の前だぞ!浮気か!」

「ふふ、ルキア、嫉妬してくれたのか?」

「な、誰が嫉妬などするか!」

ルキアは真っ赤になって、叫ぶ。

「私は、まだ貴様の正妃ではない。婚約者の寵姫であって、他の気に入った寵姫ができたのなら、私のことなど気にせず、側室として迎えるといい」

「お前は、本当にそれでいいのか?」

「わ、私は・・・・・・」

ルキアの声が小さくなり、涙を零した。

「不安なのだ。いきなり奴隷にされて、王族の慰み者になると思っていた。だが、違った。でも、目の前にある未来が本当のものか分からなくて、不安なのだ」

一護は、ルキアを抱きしめた。

「幸せにする。だから、俺と結婚してくれ」

「だああああああああ!!!」

リミットブレイク。

ルキアは、一護を見事に背負い投げするのであった。


拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/15)
(11/15)
(11/13)
(11/13)
(11/13)
"ココはカウンター設置場所"