堕天使と天使22
「人を襲う人狼が出るんだ。しかも、ミスリルゴーレムの護衛つきの」
冒険者ギルドのギルドマスターである男の娘は、浮竹と京楽に依頼を出した。
ミスリルゴーレムは、ミスリルでできており、硬くて普通の刃物や魔法は通じない。
人狼が出る場所は人里離れた村で、夜の月のない晩に決まって出没して、人をすでに10人は殺害しているらしい。
「場所も遠いし、君たちに行ってもらいたい」
「ああ、分かった」
「頼んだよ」
「人狼かぁ。普通は人は襲わないんだけどね。しかもミスリルゴーレムの護衛つきとか・・・・どんな人狼なんだろうねぇ」
「少女だそうだ」
ギルドマスターは、そう言って言葉を紡ぐのをやめた。
「少女か。いかに幼くても、人に害を成すのであれば駆除するしかないな」
浮竹はあまり気乗りしなかったが、依頼はこなすようだった。
「じゃあ、月のない晩は3日後だよ。移動に丸1日かかるから、もう今からでも出発して、襲撃に備えよう」
藍染は、いつ目覚めるかも分からぬ眠りについており、市丸ギンもこのところ出没していない。
力を奪われた、浮竹の父である大天使長ミカエルは力を取り戻し、今のところ問題はいつ藍染と市丸が襲撃してくるかの問題で、それ以外はなかった。
「じゃあ、もう今日の夜に出発しよう。移動に1日かかるらしいから、休憩を挟んで1日と少しだな」
「僕がずっと車を運転するよ。一週間くらい眠らなくても平気だからね」
「それはだめだ。俺が許さない。京楽には万全の体制でいてほしい」
「分かったよ。じゃあ、間を挟みながら、休憩しつつ移動で」
浮竹と京楽は、車ではなくアイテムポケットに、食料と水、毛布などを入れた。
何かあるか分からないので、回復用のポーションも準備していた。
「じゃあ、移動しよう」
「ああ」
眠くなるだろうに、ヒーリング系の音楽を鳴らしながら、京楽の運転する車は猛スピードで走り出す。
浮竹は、アイテムポケットから取り出した小説を読みながら、京楽の運転に身を任せていた。
休憩を挟んで仮眠して、1日と少しばかり。
人狼の出るという村についた。
「ああ、あなたが退治人の・・・・・・」
「はい、依頼を受けてきました」
「お願いします!もう10人も殺されているんです!お金はなんとかかき集めました!」
それでも、金貨40枚くらいだった。
貧しい村のようで、普通に冒険者ギルドに依頼するには倍以上の金貨500枚はいる。
そんな内容の、依頼だった。
冒険者ギルドのギルドマスターは、謝礼額が低い仕事で、人が死んだりするような案件を回してくる。
まぁ、浮竹と京楽は祓い屋というか退治屋として動いており、依頼の報酬金額が少ない依頼でも受けた。
「明日、月のない晩になります。村のどこかにいれば、襲われるんです。とにかく血の匂いに敏感で、この前の駆除に失敗した冒険者さんは、豚の血をまいておびき寄せていました」
「じゃあ、俺たちにも豚の血を工面してくれないか。おびき出して確実に、息の根を止める」
「はい、用意しますので、今日は村長の家で休んでください。明日の晩に備えて」
「分かったよ。村長の家はどっちかな?」
「あの丘の上にあります」
村人は、村長の家を指さした。
浮竹と京楽は、村長の家で1日厄介になった。
「さて、夜になったよ、浮竹。豚の血を、村の外れにまこうか」
「ああ、そうだな。念のため村人には村の外に避難してもらったし」
2人は、豚の血を村の外れにまいて、時を待った。
深夜の3時頃になり、かさかさと草むらが動いた。
人外の気配を察知して、浮竹が動く。
「カラミティファイア!」
「きゃあ!」
それは、本当に少女というにも幼い襲撃者だった。
8歳くらいの、女の子んお人狼だった。
「おのれ、冒険者か!この前みたいに、血祭にあげてやる!コウ、おいで!」
クルルルルーーーー。
機械音を出して、ミスリル製のゴーレムが現れた。コウという名前らしく、まずは京楽に襲いかかってきた。
「シャイニング!」
「きゃあ!」
人狼の少女の目を潰して、ミスリル製のゴーレムを、京楽は地獄の炎で溶かす。
「ヘルファイア!」
ドロドロと溶けていくコウを察知して、人狼の少女は叫んだ。
「おのれ、母様を辱めて殺し、父様を拷問して殺し・・・・この村の連中を庇うか!一緒に殺してくれる!」
「ちょっと待って!その、母様と父様というのは・・・・・・」
「死ね!」
人狼の少女は、浮竹の首をへし折った。
へし折ったように見えた。
実物を伴う幻影だった。
浮竹は、蔦の魔法で人狼の少女をぐるぐる巻きにして捕らえた。
「おのれ。こうなれば、共に死ね!ダークネスサンクチュアリ!」
「危ない、浮竹!」
京楽は、浮竹を庇って右手をなくした。
「京楽!」
「大丈夫、後で再生するから」
人狼の少女は、自分もダメージを被り、息も絶え絶えだった。
「君、名前は?」
「アスラン」
「この村の人に恨みがあるのか?」
「この村の若い連中が、母様を慰み者にして殺し、愉悦のために父様を拷問して、人狼の肉は不老だという伝説を信じて食べた。復讐をして、何が悪い!」
「そんな・・・・・・・」
浮竹は、京楽のなくなった右腕をとりあえず止血して、人狼の少女に回復の魔法をかけるが、効かなかった。
「これは闇の禁忌。そう簡単には治せない。私はもうすぐ死ぬ。でも、その前にお願いだ、母様と父様を殺した連中の罪を、贖うようにして」
「分かった。それが真実なら、罪を贖わせよう」
「ありがとう。これで、安心して私も母様と父様の元にいける」
「アスラン!」
知り合ったばかりのアスランは、安らかな顔で死んでいった。
「夜が明けたら、村の連中を魔法で尋問しよう。アスランが言っていたことが本当だったら、警察に引き渡そう」
「うん、そうだね」
浮竹は、京楽のなくなった右腕の傷にキスをして、命の炎を燃やして再生させた。
「ゴッドヒール」
「自分で再生できるのに」
「いや、酷い呪詛がかかっていた。命の火を燃やさなければ再生できないだろう」
「浮竹、僕のために寿命が短くなったの?」
「天使も堕天使も長い時を生きる。少しくらい短くなっても平気だろう」
「そんなのやだよ!」
京楽は叫んだ。
そして、浮竹を抱きしめた。
「君は僕のものだ。君の命の火も、僕のものだ・・・・・・」
「んっ」
貪るような激しいキスを受けて、浮竹は京楽の背に手を回した。
「こういうのは、全て終わってからにしてくれ」
「うん、分かった」
結局、村の若い連中を、嘘を見破る魔法で尋問すると、アスランの母親と父親を殺したのは事実であると分かり、警察を呼んで捕縛してもらい、殺しに関わった村人の大半が豚箱いきとなった。
報酬の金は払ってもらえなかったが、浮竹も京楽も、仕方ないとして受け入れた。
「アスラン、かわいそうだったね」
「でも、復讐でも人殺しはだめだ」
「そうだね」
報酬金の代わりに、村長のお宝の魔石を、京楽はしっかりともってきていた。
冒険者ギルドに売ると、金貨200枚になった。
「村長だけ贅沢してたっぽいからねぇ」
「まぁ、村長も事件に関わって豚箱いきだしな」
浮竹は、京楽のしでかしたことに目をつぶった。
「ねぇ、全部終わったよ。続き、してもいい?」
「あ、寝室で・・・・・」
「もう待てないよ」
京楽に押し倒されて、浮竹は目を閉じるのであった。
冒険者ギルドのギルドマスターである男の娘は、浮竹と京楽に依頼を出した。
ミスリルゴーレムは、ミスリルでできており、硬くて普通の刃物や魔法は通じない。
人狼が出る場所は人里離れた村で、夜の月のない晩に決まって出没して、人をすでに10人は殺害しているらしい。
「場所も遠いし、君たちに行ってもらいたい」
「ああ、分かった」
「頼んだよ」
「人狼かぁ。普通は人は襲わないんだけどね。しかもミスリルゴーレムの護衛つきとか・・・・どんな人狼なんだろうねぇ」
「少女だそうだ」
ギルドマスターは、そう言って言葉を紡ぐのをやめた。
「少女か。いかに幼くても、人に害を成すのであれば駆除するしかないな」
浮竹はあまり気乗りしなかったが、依頼はこなすようだった。
「じゃあ、月のない晩は3日後だよ。移動に丸1日かかるから、もう今からでも出発して、襲撃に備えよう」
藍染は、いつ目覚めるかも分からぬ眠りについており、市丸ギンもこのところ出没していない。
力を奪われた、浮竹の父である大天使長ミカエルは力を取り戻し、今のところ問題はいつ藍染と市丸が襲撃してくるかの問題で、それ以外はなかった。
「じゃあ、もう今日の夜に出発しよう。移動に1日かかるらしいから、休憩を挟んで1日と少しだな」
「僕がずっと車を運転するよ。一週間くらい眠らなくても平気だからね」
「それはだめだ。俺が許さない。京楽には万全の体制でいてほしい」
「分かったよ。じゃあ、間を挟みながら、休憩しつつ移動で」
浮竹と京楽は、車ではなくアイテムポケットに、食料と水、毛布などを入れた。
何かあるか分からないので、回復用のポーションも準備していた。
「じゃあ、移動しよう」
「ああ」
眠くなるだろうに、ヒーリング系の音楽を鳴らしながら、京楽の運転する車は猛スピードで走り出す。
浮竹は、アイテムポケットから取り出した小説を読みながら、京楽の運転に身を任せていた。
休憩を挟んで仮眠して、1日と少しばかり。
人狼の出るという村についた。
「ああ、あなたが退治人の・・・・・・」
「はい、依頼を受けてきました」
「お願いします!もう10人も殺されているんです!お金はなんとかかき集めました!」
それでも、金貨40枚くらいだった。
貧しい村のようで、普通に冒険者ギルドに依頼するには倍以上の金貨500枚はいる。
そんな内容の、依頼だった。
冒険者ギルドのギルドマスターは、謝礼額が低い仕事で、人が死んだりするような案件を回してくる。
まぁ、浮竹と京楽は祓い屋というか退治屋として動いており、依頼の報酬金額が少ない依頼でも受けた。
「明日、月のない晩になります。村のどこかにいれば、襲われるんです。とにかく血の匂いに敏感で、この前の駆除に失敗した冒険者さんは、豚の血をまいておびき寄せていました」
「じゃあ、俺たちにも豚の血を工面してくれないか。おびき出して確実に、息の根を止める」
「はい、用意しますので、今日は村長の家で休んでください。明日の晩に備えて」
「分かったよ。村長の家はどっちかな?」
「あの丘の上にあります」
村人は、村長の家を指さした。
浮竹と京楽は、村長の家で1日厄介になった。
「さて、夜になったよ、浮竹。豚の血を、村の外れにまこうか」
「ああ、そうだな。念のため村人には村の外に避難してもらったし」
2人は、豚の血を村の外れにまいて、時を待った。
深夜の3時頃になり、かさかさと草むらが動いた。
人外の気配を察知して、浮竹が動く。
「カラミティファイア!」
「きゃあ!」
それは、本当に少女というにも幼い襲撃者だった。
8歳くらいの、女の子んお人狼だった。
「おのれ、冒険者か!この前みたいに、血祭にあげてやる!コウ、おいで!」
クルルルルーーーー。
機械音を出して、ミスリル製のゴーレムが現れた。コウという名前らしく、まずは京楽に襲いかかってきた。
「シャイニング!」
「きゃあ!」
人狼の少女の目を潰して、ミスリル製のゴーレムを、京楽は地獄の炎で溶かす。
「ヘルファイア!」
ドロドロと溶けていくコウを察知して、人狼の少女は叫んだ。
「おのれ、母様を辱めて殺し、父様を拷問して殺し・・・・この村の連中を庇うか!一緒に殺してくれる!」
「ちょっと待って!その、母様と父様というのは・・・・・・」
「死ね!」
人狼の少女は、浮竹の首をへし折った。
へし折ったように見えた。
実物を伴う幻影だった。
浮竹は、蔦の魔法で人狼の少女をぐるぐる巻きにして捕らえた。
「おのれ。こうなれば、共に死ね!ダークネスサンクチュアリ!」
「危ない、浮竹!」
京楽は、浮竹を庇って右手をなくした。
「京楽!」
「大丈夫、後で再生するから」
人狼の少女は、自分もダメージを被り、息も絶え絶えだった。
「君、名前は?」
「アスラン」
「この村の人に恨みがあるのか?」
「この村の若い連中が、母様を慰み者にして殺し、愉悦のために父様を拷問して、人狼の肉は不老だという伝説を信じて食べた。復讐をして、何が悪い!」
「そんな・・・・・・・」
浮竹は、京楽のなくなった右腕をとりあえず止血して、人狼の少女に回復の魔法をかけるが、効かなかった。
「これは闇の禁忌。そう簡単には治せない。私はもうすぐ死ぬ。でも、その前にお願いだ、母様と父様を殺した連中の罪を、贖うようにして」
「分かった。それが真実なら、罪を贖わせよう」
「ありがとう。これで、安心して私も母様と父様の元にいける」
「アスラン!」
知り合ったばかりのアスランは、安らかな顔で死んでいった。
「夜が明けたら、村の連中を魔法で尋問しよう。アスランが言っていたことが本当だったら、警察に引き渡そう」
「うん、そうだね」
浮竹は、京楽のなくなった右腕の傷にキスをして、命の炎を燃やして再生させた。
「ゴッドヒール」
「自分で再生できるのに」
「いや、酷い呪詛がかかっていた。命の火を燃やさなければ再生できないだろう」
「浮竹、僕のために寿命が短くなったの?」
「天使も堕天使も長い時を生きる。少しくらい短くなっても平気だろう」
「そんなのやだよ!」
京楽は叫んだ。
そして、浮竹を抱きしめた。
「君は僕のものだ。君の命の火も、僕のものだ・・・・・・」
「んっ」
貪るような激しいキスを受けて、浮竹は京楽の背に手を回した。
「こういうのは、全て終わってからにしてくれ」
「うん、分かった」
結局、村の若い連中を、嘘を見破る魔法で尋問すると、アスランの母親と父親を殺したのは事実であると分かり、警察を呼んで捕縛してもらい、殺しに関わった村人の大半が豚箱いきとなった。
報酬の金は払ってもらえなかったが、浮竹も京楽も、仕方ないとして受け入れた。
「アスラン、かわいそうだったね」
「でも、復讐でも人殺しはだめだ」
「そうだね」
報酬金の代わりに、村長のお宝の魔石を、京楽はしっかりともってきていた。
冒険者ギルドに売ると、金貨200枚になった。
「村長だけ贅沢してたっぽいからねぇ」
「まぁ、村長も事件に関わって豚箱いきだしな」
浮竹は、京楽のしでかしたことに目をつぶった。
「ねぇ、全部終わったよ。続き、してもいい?」
「あ、寝室で・・・・・」
「もう待てないよ」
京楽に押し倒されて、浮竹は目を閉じるのであった。
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