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墓参りと報告

「明日、緋真の墓参りに行こうと思うのだ。一緒にくるか?」

「え。隊長、俺もいっていいんですか?」

「緋真に報告したいのだ。愛しい者ができた、と」

恋次は、泣きそうな顔をしていた。

「隊長が、そこまで俺のこと・・・・・」

「泣くな、見苦しい」

「泣いてません。これは汗です」

白哉は、緋真が好きだった梅の花と白百合を手に、朽木家の墓に入る。

廟堂になっていて、歴代の朽木家当主とそれに連なる者たちが眠っていた。

華美だが、静かで寂しい空間だった。

「緋真、去年は墓参りにきてやれずにすまぬ。私には、新しく愛しいと思う者ができたのだ。阿散井恋次。私の副官だ」

「緋真さん、隊長は俺がもらいました!」

白哉は、そんなことを言いだす恋次の赤い髪をひっぱった。

「いたたたた、なんすか」

「貴様は・・・・まぁいい。緋真の墓前だ。緋真、私は男だが、同じ男である恋次を愛している。そなたが生きていたら、なんというであろうな?」

「隊長は俺のものなので、諦めてもらいます」

「いたたたた!!!」

今度は、鳩尾に白打をくらい、恋次はその場で蹲った。

「全く、私は何故、このような愚かな男を好きになったのであろうか」

「あ、ひどいっす」

恋次は、白哉を背後から抱きしめた。

「あんたはもう、一人じゃない。俺がいる」

「恋次・・・・・」

墓前なので、それ以上はしなかった。

帰り道で、白哉は恋次にキスを何度もされた。

「緋真さんのこと、忘れろって無理でしょうけど、生きている間は俺のことを見て、俺のことを考えてください」

「ん・・・・・」

触れるだけの啄むようなキスをされて、白哉は青い空を見上げる。

緋真。

すまぬ、私は今、この男が愛しい。

この男を愛している。

でも、そなたのことも変わりなく愛している。

緋真。

どうや、安らかに。

恋次は、物憂げな表情で青い空を見上げる白哉を、抱きしめる。

「まだ、寒いでしょう。もう少し、上着着てこればよかったすね」

「寒さなど、鍛錬でなんとでもなる」

「暑さもっすか?」

「無論だ」

「帰りましょう」

「そうだな。緋真、またくる」

遠ざかった墓所を振り返りながら、白哉は恋次の愛で包まれて、心がぽかぽかするのを感じていた。

穏やかに、緩やかに。

時は過ぎていくが、恋次との恋はまだ続いている。

きっと、この恋に終わりはないのだろう。

そう思うのだった。



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