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愛している君に

「愛しているよ・・・・・」

京楽は、冷たくなっていく浮竹の体を抱いていた。

「君の神掛のお陰で、世界は無事に在れた。お疲れさま。そして、永遠におやすみ・・・・・・」

浮竹の冷たい唇に、キスをする。

ぽたぽたと、隻眼の瞳から涙が流れて、浮竹の頬に落ちる。

でも、浮竹がもう目を開けることは、永遠にない。

「分かっていたんだ。君が神掛をすることを。ボクは君を愛していながら、むざむざ君を失う結果になると分かっていながら、放置した。ごめんね」

浮竹が生きていたら、「気にするな」と言い出しそうだった。

「最後のお別れだよ。さぁ、君の遺骨は家族の元に戻すから、ボクは君の白髪をもらうけど、いいよね?」

斬魄刀で、一房の髪を切って、白い布でくるんで懐にいれる。

「さぁ、最後の舞台だ。みんなに、見送ってもらおう」

浮竹を抱き上げて、京楽は弔いの準備をするために、移動する。



浮竹の棺には、白ユリがたくさん咲いていた。

「さよならだね、浮竹・・・・・」

皆が見ていると分かっているので、もう京楽自身の別れはすませた。

「う、浮竹隊長・・・」

「浮竹隊長!!」

「なんで、浮竹隊長が!!」

ルキアをはじめとして、13番隊の席官たちが、泣いて浮竹の死を悲しんだ。

「さぁ、みんなでお別れを言おう」

「今まで、ありがとうございました、浮竹隊長!どうか、安らかに」

ルキアが涙をボロボロ零しながらそう言うと、皆また泣き始めた。

「まったく、隊長の死程度でこんなに泣くなんて、13番隊はひ弱ばかりなのかネ」

「まぁ、そう言ってやらないで、涅隊長」

京楽が、諫める。

「さよなら、浮竹。たくさんの思い出を、ありがとう」

浮竹の死に顔は、安らかだった。

体をとりまいていたミミハギ様の黒は消えてしまい、白い髪と肌に戻っていた。

棺の扉が塞がれて、そのまま荼毘に付される。

浮竹の体が焼いて骨になっていくのを、京楽は黙って見ていたのだが。

「・・・・浮竹」

ぽつりと、涙がこぼれた。

「ああ、ボクは総隊長なのに・・・ははは、皆に示しがつかないね」

浮竹の遺骨は、一部を浮竹の遺族である家族の元に返された。

斬魄刀と遺骨の大部分は、雨乾堂を取り壊して建てた浮竹の墓に埋葬された。



「やあ、浮竹。ボクは今日も元気だよ」

しばらくの間、京楽は毎日のように浮竹の墓に、浮竹に会いに行った。

それも時間の経過と共に、月に1回になっていた。

やがて、時はさらに過ぎる。

「久しぶりだねぇ、浮竹。今度、ルキアちゃんが君の後を継いで、13番隊隊長になることが決まったよ。時間が経つのは早いねぇ」

京楽は、懐にいつも浮竹の遺髪を持っていた。

遺品はいろいろあって、あげた翡翠の簪も持ち歩いていた。

「いつか、ボクもそっちに行くから、それまでは、ボクやボクの仲間たちを見守っていてね?」

浮竹。

あの時、浮竹を止めていたら、世界はなかった。

けれど、本当は止めたかった。

君の死は、ボクの心に大きな穴をあけた。

多分、この傷は一生塞がらない。

浮竹・・・・・・


愛してる。

昔も、今も、この先もずっとずっと。

どうか、安らかに。


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