奴隷竜とSランク冒険者10
「寒い・・・・・・・」
「どうしたの、浮竹」
「ふらふらする・・・・・」
浮竹は、Sランクダンジョン攻略の途中でそう言って、京楽にもたれかかってきた。
「こりゃ、風邪かなぁ。ダンジョン攻略は中止だね」
浮竹を背負って、京楽は帰還スクロールを使い、地上に戻るとそのまま高級宿に帰る。
「大丈夫?」
「あつい・・・・体が、あつい・・・・」
「あちゃー、熱あるね。今、薬屋にいって熱さましと風邪の薬買ってくるね」
部屋を去って行こうとする京楽の服の裾を、ぞっと掴む。
「一人は、嫌だ・・・・・・」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから」
「やだ・・・一人は、や」
「仕方ないねぇ。スリープ」
眠りの呪文をかけて、浮竹を寝かせると、京楽は熱さましと風邪薬を買いに外に出ていくのだった。
まどろみの夢の中で、浮竹は夢渡りをしていた。
『どうしたんだ、ドラゴンの俺?』
「あ・・・・一人は、いや、だ・・・・」
『傍にあの京楽はいないのか?』
「薬を買いに行くって・・・・・」
『よしよし。俺がいるから、寂しくないぞ?』
青年は、浮竹の頭を優しく撫でる。
「あったかい・・・・・おちつく」
浮竹は、青年に抱きしめられて、すうすうと眠りについた。
『夢の中でも眠っちゃうのか。俺は傍にいるから、安心しておやすみ』
「ん・・・・・」
まどろみから目覚めると、京楽がいた。
「きょうら・・・・く?」
「ああ、目が覚めた?おかゆ、食べれそう?」
「食欲ない・・・・・・」
いつもならたくさん食べる浮竹だが、風邪の時ばかりは食欲はでないようであった。
「数口でもいいから食べて。薬効きやすくするために。はい、あーん」
「ん・・・・・」
優しい味のおかゆを、数口食べて、浮竹はギブアップした。
「もう、無理・・・・」
「うん、がんばったね。はい、これ熱さましと風薬」
「薬は苦いからいやだ」
「そんなこと言わないで飲んで。子供用の甘い薬にしておいたから」
京楽が、苦笑しながら浮竹に水の入ったコップを渡す。
浮竹は、しぶしぶ薬を飲んだ。
「甘い・・・・・・」
「ね?甘い薬にしてあげたから、ちゃんと1日3回のんでね?」
「うん・・・・・・」
熱を出した浮竹は素直で、京楽の手を握ってくる。
「傍に、いてくれ。お前がいないと、寂しい」
「いつもがこんなに素直なら、嬉しいんだけどねぇ」
京楽は、なかなか寝付けないでいる浮竹に、再びスリープの魔法をかけて寝かせると、傍で本を読みだした。
浮竹のおでこには、冷えピタシートをはっておいた。
「ん・・・」
数時間して、浮竹が目覚める。
「あ・・・・きょうらく、どこ?」
「僕はここにいるよ。ちゃんと君の傍にいるから」
「きょうらく・・・・・・好き」
「うん。僕も大好きだよ」
浮竹は、まどろみと覚醒を繰り返す。
丸1日がたち、少し熱が下がったので、お粥をまた食べさせた。
今度は完食した。
「うん、大分元気になってきたね。熱はまだあるみたいだけど」
「京楽、傍にいて」
「うん。寝汗かいて気持ち悪いでしょ?体、ふいてあげる」
浮竹は、パジャマを脱がされて京楽に体をふいてもらった。
「京楽、いつもより優しい」
「そりゃ、病人だしね、今の浮竹は。それより、ドラゴンでも風邪ひくって知って、ちょっとびっくりしてる」
「ドラゴンだって風邪をひく時はひく」
風邪薬を飲んで、横になる。
スリープの呪文をかけることもなく、浮竹は自然に薬の効果で眠ってしまった。
浮竹が風邪をひいて3日目。
風邪は見事に治り、今度は京楽が風邪をひいた。
「お粥作った」
「その黒転げがおかゆ・・・・ああああ」
「食え!」
「はひ」
「薬は、俺の残りの分でいいな?」
「うん。このおかゆ、苦くて辛くてしょっぱいよ」
「愛情の味だ。文句言わずに食え。食って薬飲まないと、治らないぞ」
「分かってるよ」
ちなみに、京楽は熱を出した上に腹痛もやってきた。浮竹のおかゆのせいであった。
「ねぇ、お粥に何いれたの」
「マンドレイク」
「それ、錬金術に使うやつ・・・・・おなかいたい・・・・・・」
「生まれるのか!?」
「そうそう・・・ってそんなわけないでしょ。ちょっとトイレ行ってくる」
「支えなくて平気か?」
「大丈夫、大分よくなったし、一人で歩けるよ」
京楽は、よろよろとよろけながらも歩く。
浮竹は、そんな京楽をお姫様抱っこした。
「ちょ、浮竹!?」
「俺だって力はあるぞ。トイレまで連れてく」
「うん、ありがと」
「何か変なものでも食ったのか?」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は曖昧に微笑む。
「薬の消費期限が、ちょっと古かったみたい」
トイレから出てくると、浮竹はまた京楽をお姫様抱っこした。
「それは大変だ。急いで、新しい薬を・・・・・って、俺一人じゃ外出しちゃいけないんだった」
「大丈夫、寝てれば直に治るから」
「そうか。子守唄をうたってやる」
ベッドに寝かしつけた京楽に、浮竹は優しい旋律の子守唄を歌い出した。
以外と綺麗な声で、京楽はその子守歌に耳を傾けながら、眠りに落ちていく。
「早く、よくなれよ」
京楽も、3日ほどで治り、念のためと京楽は浮竹と一緒に病院にいき、完治しているのを確かめてもらって、予備用に風薬を買った。
「ドラゴンでも風邪ひくと、辛いものだな」
「風邪ひくドラゴンってはじめて見た」
「俺は人型をとるからな。人の病もうつりやすい」
「とにかく、お互い治ってよかったね」
京楽の言葉に、浮竹は頷く。
「この前、放棄したダンジョン探索の続きをしよう」
「ああ、そんなに走り回っちゃだめだよ。一応病み上がりなんだから」
「平気だ。ドラゴンは病にかかっても、治りやすい」
「確かに、けっこう重症に見えた割には治るの早かったね」
「京楽も治るの早かった。なぜか腹痛も起こしてたけど」
「腹痛も風邪のせいだよ」
「そうか」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は冷や汗を垂らしながら、浮竹が台所に立つを禁じようと思うのだった。
「どうしたの、浮竹」
「ふらふらする・・・・・」
浮竹は、Sランクダンジョン攻略の途中でそう言って、京楽にもたれかかってきた。
「こりゃ、風邪かなぁ。ダンジョン攻略は中止だね」
浮竹を背負って、京楽は帰還スクロールを使い、地上に戻るとそのまま高級宿に帰る。
「大丈夫?」
「あつい・・・・体が、あつい・・・・」
「あちゃー、熱あるね。今、薬屋にいって熱さましと風邪の薬買ってくるね」
部屋を去って行こうとする京楽の服の裾を、ぞっと掴む。
「一人は、嫌だ・・・・・・」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから」
「やだ・・・一人は、や」
「仕方ないねぇ。スリープ」
眠りの呪文をかけて、浮竹を寝かせると、京楽は熱さましと風邪薬を買いに外に出ていくのだった。
まどろみの夢の中で、浮竹は夢渡りをしていた。
『どうしたんだ、ドラゴンの俺?』
「あ・・・・一人は、いや、だ・・・・」
『傍にあの京楽はいないのか?』
「薬を買いに行くって・・・・・」
『よしよし。俺がいるから、寂しくないぞ?』
青年は、浮竹の頭を優しく撫でる。
「あったかい・・・・・おちつく」
浮竹は、青年に抱きしめられて、すうすうと眠りについた。
『夢の中でも眠っちゃうのか。俺は傍にいるから、安心しておやすみ』
「ん・・・・・」
まどろみから目覚めると、京楽がいた。
「きょうら・・・・く?」
「ああ、目が覚めた?おかゆ、食べれそう?」
「食欲ない・・・・・・」
いつもならたくさん食べる浮竹だが、風邪の時ばかりは食欲はでないようであった。
「数口でもいいから食べて。薬効きやすくするために。はい、あーん」
「ん・・・・・」
優しい味のおかゆを、数口食べて、浮竹はギブアップした。
「もう、無理・・・・」
「うん、がんばったね。はい、これ熱さましと風薬」
「薬は苦いからいやだ」
「そんなこと言わないで飲んで。子供用の甘い薬にしておいたから」
京楽が、苦笑しながら浮竹に水の入ったコップを渡す。
浮竹は、しぶしぶ薬を飲んだ。
「甘い・・・・・・」
「ね?甘い薬にしてあげたから、ちゃんと1日3回のんでね?」
「うん・・・・・・」
熱を出した浮竹は素直で、京楽の手を握ってくる。
「傍に、いてくれ。お前がいないと、寂しい」
「いつもがこんなに素直なら、嬉しいんだけどねぇ」
京楽は、なかなか寝付けないでいる浮竹に、再びスリープの魔法をかけて寝かせると、傍で本を読みだした。
浮竹のおでこには、冷えピタシートをはっておいた。
「ん・・・」
数時間して、浮竹が目覚める。
「あ・・・・きょうらく、どこ?」
「僕はここにいるよ。ちゃんと君の傍にいるから」
「きょうらく・・・・・・好き」
「うん。僕も大好きだよ」
浮竹は、まどろみと覚醒を繰り返す。
丸1日がたち、少し熱が下がったので、お粥をまた食べさせた。
今度は完食した。
「うん、大分元気になってきたね。熱はまだあるみたいだけど」
「京楽、傍にいて」
「うん。寝汗かいて気持ち悪いでしょ?体、ふいてあげる」
浮竹は、パジャマを脱がされて京楽に体をふいてもらった。
「京楽、いつもより優しい」
「そりゃ、病人だしね、今の浮竹は。それより、ドラゴンでも風邪ひくって知って、ちょっとびっくりしてる」
「ドラゴンだって風邪をひく時はひく」
風邪薬を飲んで、横になる。
スリープの呪文をかけることもなく、浮竹は自然に薬の効果で眠ってしまった。
浮竹が風邪をひいて3日目。
風邪は見事に治り、今度は京楽が風邪をひいた。
「お粥作った」
「その黒転げがおかゆ・・・・ああああ」
「食え!」
「はひ」
「薬は、俺の残りの分でいいな?」
「うん。このおかゆ、苦くて辛くてしょっぱいよ」
「愛情の味だ。文句言わずに食え。食って薬飲まないと、治らないぞ」
「分かってるよ」
ちなみに、京楽は熱を出した上に腹痛もやってきた。浮竹のおかゆのせいであった。
「ねぇ、お粥に何いれたの」
「マンドレイク」
「それ、錬金術に使うやつ・・・・・おなかいたい・・・・・・」
「生まれるのか!?」
「そうそう・・・ってそんなわけないでしょ。ちょっとトイレ行ってくる」
「支えなくて平気か?」
「大丈夫、大分よくなったし、一人で歩けるよ」
京楽は、よろよろとよろけながらも歩く。
浮竹は、そんな京楽をお姫様抱っこした。
「ちょ、浮竹!?」
「俺だって力はあるぞ。トイレまで連れてく」
「うん、ありがと」
「何か変なものでも食ったのか?」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は曖昧に微笑む。
「薬の消費期限が、ちょっと古かったみたい」
トイレから出てくると、浮竹はまた京楽をお姫様抱っこした。
「それは大変だ。急いで、新しい薬を・・・・・って、俺一人じゃ外出しちゃいけないんだった」
「大丈夫、寝てれば直に治るから」
「そうか。子守唄をうたってやる」
ベッドに寝かしつけた京楽に、浮竹は優しい旋律の子守唄を歌い出した。
以外と綺麗な声で、京楽はその子守歌に耳を傾けながら、眠りに落ちていく。
「早く、よくなれよ」
京楽も、3日ほどで治り、念のためと京楽は浮竹と一緒に病院にいき、完治しているのを確かめてもらって、予備用に風薬を買った。
「ドラゴンでも風邪ひくと、辛いものだな」
「風邪ひくドラゴンってはじめて見た」
「俺は人型をとるからな。人の病もうつりやすい」
「とにかく、お互い治ってよかったね」
京楽の言葉に、浮竹は頷く。
「この前、放棄したダンジョン探索の続きをしよう」
「ああ、そんなに走り回っちゃだめだよ。一応病み上がりなんだから」
「平気だ。ドラゴンは病にかかっても、治りやすい」
「確かに、けっこう重症に見えた割には治るの早かったね」
「京楽も治るの早かった。なぜか腹痛も起こしてたけど」
「腹痛も風邪のせいだよ」
「そうか」
君のおかゆのせいとは言えなくて、京楽は冷や汗を垂らしながら、浮竹が台所に立つを禁じようと思うのだった。
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