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奴隷竜とSランク冒険者47

最近、メデューサの出没が増えているらしく、冒険者ギルドでも対策をとろうとしていた。

なんでも、呪詛によるものらしく、人がメデューサになってある時は理性を失い、ある時は人の記憶をもったまま彷徨い。

どちらにせよ、解呪補法が分からぬため、見つけ次第駆除処分であった。

エリクサーを与えるような真似は、冒険者ギルドはしない。大神官を呼んで解呪させることも。

「でじゃな、お前たちを呼んだわけじゃ」

「ふむ。人間が呪いでメデューサにか。俺のフルムーンキュアなら、確かに治せるな」

「そうじゃろう、そうじゃろう。頼む、十四郎、冒険者ギルドでも、これ以上元人間だったメデューサを殺したくないのじゃ。メデューサのいる地図渡すので、順番に解呪していってくれ」

「これ、ボクはいらなくない?石化の魔法にかかるかもしれないし」

「大丈夫だ。俺の加護で、状態錠無効化スキルがある。メデューサの蛇に睨まれても、石化はしない」

「そうなの。なんか特別扱いで嬉しいね」

「これ、春水。よいか、十四郎はな・・・・・」

くどくどとはじまった山じいの、ギルドマスターの話を適当に聞き流して、2人はメデューサのいる地図を目印に、各地を回った。

「助けてくれ!メデューサになってしまったんだ」

「へぇ、この呪い男性でもかかるんだ」

男性のメデューサが、浮竹と京楽に救いを求めにきて、石化をかける。

それを、2人は状態異常無効化で流す。

「フルムーンキュア」

浮竹が魔法をかけると、男性は人間に戻った。

「やった!人間に戻った!ああ、なんてお礼を言えばいいのか!」

「それより、君は誰に呪いをかけられたんだい」

京楽が聞くと、男性は首を傾げた。

「フードを目深にかぶった男性だった。多分、まだ若い」

「情報をありがとう。これは、解毒剤だ。もしも、まだ体のどこかに異常が出たら飲んでくれ」

浮竹は、男性に解毒債を与えた。

「行こう、京楽」

「うん」

そうして20か所ばかり周り、メデューサを人に戻し、人に戻ったことで石化していた人々も元に戻っていった。

やがて、20か所の地図を見ると、北の方角に進んでいることが分かる。

「ためしだ。先回りしてみよう。呪いの犯人を見つけよう」

「そうだね。このまま放置しておけない」

浮竹と京楽は、ステアの町という、地図でいうと次の地点の町にきていた。

「どいつもこいつも、幸せそうな顔しやがって・・・・あの方からもらったこの薬で、めちゃくちゃにしてやる」

そんな物騒な声をたまたま聞いて、浮竹はフードを目深に被った男性とすれ違う。

「ふん、綺麗な顔しやがって。その長い白髪を蛇にしてやる」

男は、何かの液体を浮竹にかけた。

「な・・・なんでだ!なぜ、何もおきない!」

「それは、この子がフルムーンドラゴンで状態異常無効化のスキルを持ってるからだよ」

京楽が、すれ違いざまに答えた。

「誰だ、お前ら!」

「そういう君こそ誰さ。無差別にメデューサになる呪いの薬をふりまいて。今まで何人の人間が犠牲になったと思ってるんだい」

「知るか!この世をメデューサだらけにしてやるのさ!俺を振ったあの女も、あの女も、花街の娼婦も、みんなメデューサにしてやった。おもしろいことに、この薬なら男でもメデューサになることがわかった!」

「そうか。じゃあ死ね。アイシクルブレス」

浮竹は、珍しく怒っていた。

なんの罪もない人々をメデューサにして、石化させてきた男を、アイシクルブレスを吐いて氷づけにした。

「京楽」

「はいさ」

京楽が、魔剣ドラゴンスレイヤーで氷像となった男の首を切り飛ばす。

「退治した証に、首を持って帰ろう」

「途中でとけたりしないだろうね。スプラッタはやだよ」

「永久凍土と同じブレスにしておいた。永久に溶けない」

「まぁ、顔があれば誰が後ろについているかも分かるだろうし」

こうして、浮竹と京楽は、メデューサ退治を終わらせた。

ハイエルフの浮竹とインフェルノドラゴンの京楽もまた、メデューサが出没したからと、動いていたらしい。

こちら側の大陸のほうが被害が甚大で、浮竹と京楽はまだ石化が解けていない人はいないか各地を見回って、朝になってやっと王都に戻ってきた。

「はぁ。しばらく、もう外でぐるぐる回るような仕事はしたくないね」

「同感だ。ドラゴン姿で飛び回るのは疲れた」

冒険者ギルドにいくと、早朝なのにギルドマスターの山じいは起きていた。

「おお、解決してくれたらしいの。連絡が入っている」

通信魔法で、ギルドマスターに事件は片付いたと報告しておいたのだ。

「これは報酬金の白金貨2千枚じゃ。本当にご苦労じゃったな」

「今後、こういう依頼はなしにしてよね」

「まぁ、京楽、そういうな。困っている人を助けるのも、冒険者の仕事だ」

「とりあえず、お風呂に入って食事して寝よう。徹夜で眠いよ」

「そう言われたら、腹が減ってきた。昨日の夜以降何も口にしてないから」

よく食べる浮竹は、空腹を訴えた。

「朝でもやってる店に入って、食べてから帰ろうか。流石に徹夜あけで料理をたくさするまでの気力がないや」

「ああ、じゃああの三つ星レストランがいい」

白金貨が何枚も飛ぶようなレストランであるが、24時間営業していてとてもおいしいと有名だった。

浮竹と京楽は、氷漬けの犯人の首をギルドマスターに渡して、そそくさと冒険者ギルドを後にするのであった。



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