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奴隷竜とSランク冒険者51

「ルキア、行くぞ」

「ああ、一護」

その日、浮竹と京楽は、一護とルキアを連れてSランクダンジョンに来ていた。

ルキアもSランク冒険者だが、サンシャインドラゴンである一護や、長いことSランク冒険者をやっている京楽、それにフルムーンドラゴンの浮竹との力の差は歴然であった。

それでも、ルキアはめげない。

「ファイアボルト!」

一護が追い立てたモンスターを、ルキアが初級の炎の魔法で仕留めていく。

ルキアも、十分強い。

3人が例外すぎるだけだった。

「一護、私のことはいいのだぞ。もっと奥の階層に行こう」

「だめだ。今日はルキアのレベルアップのために来てるんだ。モンスターを倒しまくるぞ」

LVはルキアが一番低かった。

浮竹と京楽はカンスト近くで、一護も短期間の間に850まであがっていた。

レベルは千が最高だが、選ばれた者だけがレベルの概念をこえて限界突破する。

例えば、ハイエルフの浮竹やインフェルノドラゴンの京楽のように。

「ほら、いったよルキアちゃん」

「はい!エナジーレイン!」

今度は、京楽が追い立てたモンスターを、中級魔法で倒していく。

少しずつだが、レベルがあがってきた。

ダンジョンを下層まで進むと、ラスボスのフロアまできた。

いたのは、人工竜のドラゴノイドだった。

本物のドラゴンほどの強さがないが、強敵であった。

「アイシクルブレス!」

浮竹が氷のブレスを吐いて、まずは動きを鈍らせる。

「うなれ、ドラゴンスレイヤー!」

京楽が、ドラゴノイドの翼を足を切り落とす。

一護は、ルキアにドラゴンの力を分け与えた。

「汝、契約者よ、今ここにドラゴンの力を分け与える。ドラゴニックソウル」

「一護・・・・すまぬ」

ルキアは、一護の契約者である。

契約者に力を分け与えることは、水を飲むことのように簡単だった。

「エターナルアイシクルワールド!」

ルキアが、覚えたての氷の上級魔法をドラゴノイドにぶつけた。

そして、短剣を手に半ば氷像と化したドラゴノイドの中心核、額の魔石を割ると、ドラゴノイドは断末魔の雄たけびをあげて、核となっていた魔石を残して消滅した。

ピロリロリン。

音がいっぱいなって、ルキア一気に4つもレベルがあがった。

「さすが、人工とはいえドラゴンなだけあるね。経験値が膨大だね」

京楽の言葉に、ルキアはすまなさそうな顔をしていた。

「その、よかったのですか。私が倒して経験値をもらって」

「ああ、俺も京楽もドラゴンの20体でも倒さない限りレベルはあがらないだろうから、平気だ」

「浮竹殿・・・・・」

「ほら、宝物庫が開くよ。財宝とって帰ろうか」

京楽が、ごごごごと音をたてて開かれた宝物庫の中に入って、宝箱に一直線につっこんでいく浮竹を止めようとする。

「あああ、ミミックだあああ。暗いよ痛いよ怖いよ」

「あーあ。またミミックに食われてる」

「京楽さん、あれ放置してていいんすか」

「ああ、ミミックは弱いからね。浮竹が倒しちゃうよ」

浮竹は、ミミックに向かってアイシクルブレスを吐くと、ミミックは氷漬けになって消えていった。

そこに残された宝物は魔法書。

ハイエルフの浮竹が書いた、上級魔法であった。

「サタニックユピテルサンダー・・・・・」

4人は、その上級魔法を覚えた。

雷が基本であるが、闇属性も付与されている魔法だった。

浮竹が、ためしにまだ生き残っていた下層のモンスターに使うと、黒焦げになって魔石すら残さなかった。

「これ、ほいほい使うの禁止ね」

京楽がそう言うと、浮竹も一護もルキアも頷いた。

「その、浮竹殿も京楽殿も、ありがとうございました」

「いやいや。財宝は山分けだし、悪くはないよ」

けっこうな量の財宝の半分が、マジックアイテムだ。

売れば相当な金になるが、ルキアは白金貨数千億枚をもっている朽木家の人間だ。それに、婿入りしている一護も姓は黒崎であるが、朽木家の人間であった。

「まぁ、俺たちは別に金はどうでもいいんです。ルキアのレベルあげをしたかったから」

一護は、ルキアの頭をなでる。

「やめよ。人前だぞ」

「別にいいだろ。俺たち結婚してるんだし」

「そうだよ。気にすることないよ。ねぇ、浮竹」

浮竹は、お腹が少し減ったのか、携帯の干し肉を食べていた。

「ぴぎゃ?」

その日は、新月だった。

ボンっと音をたてて、浮竹はちびドラゴンになる。

「ぴぎゃああああ!!」

いきなりちびドラゴンになるものだから、一護もルキアもぽかんとしていた。

「ああ、一護君はまだ新月の日にはドラゴン姿にならないんだね」

「ああ、ドラゴン姿になると巨大すぎるから、ドラゴン化するのを防ぐ魔法を使ってます」

「ぴぎゃああああ」

「え、俺にも教えろ?いや、これはサンシャインドラゴンにしか使えない魔法なので無理っす」

「ぴいいいいいいいい」

本当は、年齢的には子供なので、浮竹はぴいぴいと泣き出した。

「ほら、浮竹、干し肉でも食べてなさい」

「ぴいいい」

ラスボスを倒したことで、帰還のワープポータルに魔力が行き届き、4人はダンジョンから地上に戻っていた。

「ぴいぴい」

浮竹は、干し肉をかじりながら京楽の頭にのっかていた。

「じゃあ、浮竹さん京楽さん、今日はありがとうございました」

「気にすることないよ。財宝は均等に分けたしね」

「ぴいいい」

ルキアは、ちびドラゴンになった浮竹を触りたがっていた。

「ぴい?」

「浮竹殿、その、触ってもよいだろうか?」

「ぴい」

許可を得て、ルキアはふわふわもこもこの浮竹をもふりまくる。

「ああ、最高だ・・・・・・」

「ルキア、それ浮竹さんだからな。そろそろ帰るぞ」

「待て、こんな機会滅多にないんだぞ。一護ももふっていけ!」

「あー、じゃあ俺ももふる」

二人にもふられて、浮竹は不思議そうにサンシャインドラゴンである一護を見つめていた。

「ぴい」

「浮竹さんが希望するなら、俺の血で作ったドラゴン化を防ぐ薬作りましょうか?」

「ぴいいいい」

きらきらした瞳で見つめられて、一護は浮竹用にもっていた薬をいくつかをあげた。

「ぴい」

「浮竹、今日は使わないの?」

「ぴい」

「え、二人がもふりたがってるからこのままでいい?君も変なとこでやさしいね」

一護とルキアは、王都につくまで、浮竹を抱っこしたり持ち上げてみたり、思い切りもふもふするのであった。




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