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好きから始まる物語 狂った歯車

その日から、一護はルキアと同棲を始めた。

井上の荷物は全部まとめて、井上の家の前に置いてきた。

井上とは、もう終わった。

スマホで電話をかけても、井上は出てこなかった。井上は、そのまま大学にも姿を現さず、心配した一護が一度家を訪ねても、留守のようだった。

「今日は休みだけどラーメン家のバイトがあるから。家で大人しく待っててくれ」

「何時に終わるのだ?」

「夜の8時だ」

「では、7時頃に迎えにいく。ついでに、貴様の作ったラーメンも食べてやろう」

「おう、来いよ。空座町の駅の隣にある」

地図を渡した。

ルキアが現世にきて、2か月が経とうとしていた。

井上は大学を辞めた。

一護は心が痛んだが、どうしようもなかった。

井上は、今は田舎で暮らしてているという。はっきりと別れを承諾してくれたわけではないが、もう井上とは終わった。

「ルキア、かわいい・・・・」

ルキアを抱き締めると、腕の中でルキアはくすぐったそうにしていた。

「くすぐったいぞ、一護」

「おっと、バイトに遅れる。じゃあな、ルキア。夜の7時に、俺のバイト先で」

「ああ。頑張れよ、一護」

一護は、4回生のためが授業がゼミと少しの教科だけで、大学に行くのは週に3回だった。あとの残りの日にはバイトを入れていた。

ルキアと、もっと時間を一緒に過ごしたかったが、一護にも生活がある。

ルキアの分まで食費や光熱費が増えたことは痛かったが、その分はルキアが朽木家からもってきた大金で賄えた。

一護がバイトしなくても生きていけるようにすると言われたが、申し訳なさ過ぎて断った。

ルキアと・・・・いつか、尸魂界に戻るかもしれないが、ルキアと過ごしていく1日1日が大切で、宝物のようだった。

「井上・・・・大丈夫かな」

時折、大学を辞めてしまった井上のことが気になったが、もう過ぎてしまったことだ。

井上の友人・・・特にたつきからが「お前、最低のくず男だ」と言われて殴られた。

本当のことなので、そのまま殴られた。

井上は、一度だけ姿を見せてくれた。

たつきが一護を殴るのを

「止めて!黒崎君が悪んじゃないの!全部全部、朽木さんのせいなの!」

といって止めた。

「ルキアは悪くねーよ。悪いのは俺だ、井上」

「ううん、黒崎君は朽木さんに騙されてるだけ。きっと何か、薬でもつかったんでしょ、朽木さん。涅隊長あたりから、何かもらったに決まってる」

「井上・・・・・」

どんどん醜くくなる井上を見ていられなくて。

「お別れだ」

最後に、キスをして、井上と別れた。

「ずっと、待ってるよ、黒崎君。どうせ朽木さんはいつか尸魂界に帰るんだから。そしたら、迎えにきてね」

井上は、最後まで一護の話を聞かず、井上にとっては別れは一時的なものになっていた。


「あーそろそろ7時か」

客が入ってくのも少なくなってきた。

ふと、ルキアの姿を見つけて、微笑む。

「ルキア!」

「む、一護・・・・貴様、ラーメン店の従業員の姿も似合っているな。かっこいいぞ」

「なんだ、一護の彼女か?」

店長が、ルキアを見た。

「ああ、そう店長」

「井上って子はどうしたんだ?」

「別れた」

「別れて、こんな綺麗な子と交際か。若いっていいな」

「店長まだ30代じゃないですか、十分若いです」

一護の言葉に機嫌をよくしたのか、店長はルキアの飯をおごってくれた、

「ふーん、朽木ルキアちゃんっていうのか。恰好からして、どこかのいいとこのお嬢さんでしょ」

ルキアは否定しなかった。

ワンピース姿ではあるが、どこか気品があって、やっぱり4大貴族の朽木家の姫君なんだなと、思った。

「ルキア、俺が作ったんだ。絶対おいしいから、残すなよ」

ルキアに、豚骨ラーメンと炒飯を出した。

ルキアは、恐る恐るはしを動かしたのだが、すぐに止まらなくなった。

「お、おかわり・・・・」

どんだけ食べるだろ思いつつも、今度は味噌ラーメンを単品で出してやると、それも完食してしまった。

「ルキアちゃん、いい食べっぷりだね」」

「美味しかったぞ、一護!食べすぎた・・・・・」

満腹で苦しそうなルキアに苦笑する。

その日から、一護がバイトのある日は、終わる8時まで店にいて、ラーメンを食べていくようになった。

「貴様の作ったラーメンは、朽木家の料理人にでも驚くだろうほどに美味かった」

「おう、ありがとな」

「これなら、毎日食べてもいい」

「太るなよ?」

「たわけ、ちゃんと運動もしておるし、食べても太らぬ体質なのだ!」

その日の夜も、手を繋いで帰った。

家に帰る途中、黒づくめの姿の、女らしき影が、一護とルキアの跡をつけているのに、2人とも気づいていた。

「貴様、何者だ!」

「黒崎君。あんまり襲いから、迎えにきたよ♪」

「な、井上!?」

その手には、キラリと光るサバイバルナイフがあった。

「危ない、ルキア!」

ルキアを庇うと、一護の腕に傷ができた。

「あは、黒崎君、ダニは駆除しなきゃ」

「破道の4、白雷!」

 「三天結盾、私は拒絶する!」

ばちっと、ルキアの放った鬼道を塞がれた。

「あはははは、朽木さん死んで?・・・・・」

グサリと。

血を流すルキア。

その胸には、井上が持っていたサバイバルナイフが光っていた。

「ルキアーーーーーーーー!」

「あはははは、私、治せるけど治してあげない。死んで?朽木さん♪」

すぐに救急車が呼ばれた。

目撃していた人が多数いて、井上は殺人未遂の罪で捕まった。

ルキアは、自分に回道をかけたが傷は深く、手術が行われた。無事に成功し、集中治療室に運び込まれ、ルキアが井上に刺されたということは浦原の耳にまで届き、4番隊から山田花太郎が治療のために派遣された。

山田花太郎の回道の腕は確かで、ルキアは意識を取り戻した。

「大丈夫かルキア!」

記憶置換で、ルキアが入院していたことを皆に忘れてもらった。

「ああ、なんとか・・・・」

完全ではないが、ほとんど傷は癒えていた。

「後は、自然治癒に任せるしかありません」

「花太郎、ほんとにありがとう」

「いえいえ、ルキアさんのためなら、この身が砕けても回道しに来ます!」

山田花太郎は、尸魂界に戻っていった。

ルキアは、一護の部屋に帰宅して、療養することになった。

「まさか、井上があんな行為に出るなんて・・・・」

井上は、10代ではない。

しかるべき法的処置がほどこされるであろう。

浦原も、流石は今回ばかりはどうしようもなく、ルキアが相手なので記憶置換で別人を刺したということにして、現世の法に任せた。

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