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好きから始まる物語 人間として

朽木家で、白哉はルキアと一護のほうを向いた。

「ルキアのことを、幸せにすると誓えるか?」

「誓う。命に代えても」

「一護・・・・」

ポロポロと、アメジストの瞳から涙が零れていく。

「ルキア。人として・・・死神の長き命も、この尸魂界も、家族も。何もかも捨てれるか?」

「兄様。一護と共にいれるなら、このルキア。死神を辞めてもかまいません」

「その言葉に、偽りはないな?」

「はい」

「おい、白哉!」

一護が口をはさみそうになるが、それを白哉が制した。

「兄は黙っておれ。これは、ルキアと私の問題だ」

「兄様」

「この私と、今生の別れになるとしても?」

「それは・・・・」

ルキアが少し逡巡する。

白哉を愛しているルキアには、酷なことだろうが、ルキアは涙を流しながら頷いた。

「はい、兄様。それでも、一護を選びます」

「よく分かった・・・・今日をもって、朽木ルキアは朽木家より追放とする。人間になる薬を与えて、現世に永久追放とする!」

「おい、そりゃあんまりだろ!」

「よいのだ、一護。こうするしかないのだ。私は4大貴族、朽木ルキア。それが、ただの人間と結ばれるなど・・・・・・こうするしか、ないのだ」

「でも・・・・」

「兄が、この傷ついたルキアを癒すのだ」

「そんなこと、言われなくても分かってる!」

次の日、ルキアは白哉と一護が見守る中、人間になる薬を飲んで義骸に入った。何度やっても、義骸からは抜け出すことはできなかった。鬼道はかろうじで使えるようであったが、現状は一護に死神の力を託して義骸に入っていた頃に近かった。

「何があるか分からぬ故、死神としての霊圧は残す。鬼道は使えるであろうが、もう二度と斬魄刀である袖白雪には触れることはできぬであろう」

袖白雪は、ルキアの目の前にあった。

「袖白雪・・・・長いこと、世話になった」

袖白雪はリィィィンと音を立てた。

まるで、主との別れを悲しむように。

「空座町に大規模な記憶置換を行った。今日から、朽木ルキアは黒崎ルキアだ。婚姻はまだだが、籍を入れていると認識させた」

「兄様、何から何までありがとうございます」

「念のため、ルキアにはこの伝令神機を渡しておく。死神でなくとも使えるタイプのものだ」

なんだかんだいって、白哉もルキアと別れるのが惜しいのだ。

伝令神機でやりとりをするつもりなのだろう。

「さぁ、現世へ・・・・・・」

白哉の声で、穿界門が開けられる。

「兄様、お元気で!」

「白哉、いろいろとありがとな!」

穿界門が閉じられる。

もう二度と帰ってこないルキアを思い、白哉はしばらくの間そこから動くことができなかった。

ルキアには、大金をもたせておいた。今頃、現世ではちょっとした騒動になっているかと思うと、白哉は少しだけ微笑んだ。


現世に帰ってきた。

一護はアパートではなく、一戸建ての家で暮らしているということになっていた。

一括返済で、家を買った少し金持ちと認識されていた。

「どういうことだよ、これ」

「兄様が、私の身を心配して、貧乏暮らしなどせぬようにと・・・・」

「はぁ!?」

白哉と、そんな会話しているシーン見ていなかったのだが、ふとルキアの伝令神機を見ると、白哉からの着信でいっぱいだった。

「白哉のやつ・・・追放とか言っときながら、やっぱお前には甘いんだな」

「た、たわけ!兄様のお陰で、アパートの狭い家から一戸建ての広い家に住めるのだぞ!」

「俺は、前のアパートでもよかったけどな。掃除とか大変そうだ」

「それなら、問題ありません」

尸魂界でルキアの面倒を朽木家で見ていたちよが、現世の新しい黒崎家に派遣されていた。

「ちよが、これからもルキア様の面倒を見させていだたいます」

「ちよ!」

「おい、俺の存在も無視しするんじゃねぇよ!」

「恋次!?」

「隊長に言われて、ちょくちょくお前らの様子見てこいって言われた」

「兄様・・・・・」

ルキアは微笑んだ。

「白哉のやつ、今生の別れとか嘘ばっかじゃねぇか!」

「でも、私は護廷13隊13番副隊長を辞めてしまったのだ・・・いろいろ、兄様には迷惑をかけることになる」


ちよは、週に2回家事の手伝い、主に掃除と洗濯の手伝いに来てくれるだけで、ルキアと一護の仲を壊すよなことはしなかった。

大学を、一護は卒業した。

一護は出版社に就職して、自宅でドイツ語の翻訳家として働いていた。

「一護、おやつの時間だ!白玉餡蜜を食え!」

「お前、また白玉餡蜜作ったのかよ!おとついもそれ食っただろ!」

「文句を言わずに食え」

無理やりスプーンを持たせられた。

「はい、あーん」

ルキア、平気な顔でそういう。

「あーん」

一護は口を開けた。

白玉餡蜜をこれでもかとつっこまれた。

「げっふごっふ・・・殺す気か!?」

「白玉餡蜜で死ねるなど、本望ではないか!」

「何処がだ!」

「おい、俺がいるの忘れてねーか?」

「なんだ恋次、いたのかよ」

「俺は空気か何かか!?」

恋次は、このバカ夫婦を見るのが日常になっていた。ルキアに想いを寄せていた頃が懐かしい。

結局、ルキアと一護は式を挙げなかった。

だが、ルキアの指にも一護の指にも、アメジスとがあしらわれたエンゲージリングが光っていた。

新婚旅行には、ドイツに2週間いってきた。

ルキアは初めて見る異国にはしゃぎまくっていた。恋次は、よく黒崎夫婦の家の出入りをしていた。そして、見たことを、白哉に告げると、白哉も穏やかな顔になった。

「もうそろそろいいんじゃないっすか?」

「そうだな」

ルキアと一護は、白哉に呼び出された。

そして、突然何かの注射を打たれた。

「あ・・・死神としての力がもどっています、兄様!」

「え、なんか俺もなんか本物の死神になってるんだけど!どういうことだよ、白哉!」

「黒崎一護、黒崎ルキア。本日をもって、現世永住の死神として、空座町赴任の死神とする!」

「はぁ!?」

一護は、わけがわからない顔をしていた。

白哉が、結局ダメだったのだ。義妹が死ねば、元死神であるから、その魂は尸魂界に戻ってこない。ただ、霊子に還るだけ。
一護の魂は尸魂界にくるが、ルキアは散ってしまう。

そんなこと、白哉に耐えれるわけがなかった。

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