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好きなものは好き15

「ハッピーバースデー!一護!」

家に帰宅すると、ルキアがそう言って出迎えてくれた。

「一護、誕生日おめでとう」

「ああ、もうそんな時期か・・・・・」

ルキアは、エプロンを着ていた。

「なんか、台所がすごいことになってるんだが」

なんかいろいろ零れていたり落ちていたり、とにかく散らかっていた。

「貴様へのバースデーケーキを作ったのだ!ちょっと見てくれは変かもしれないが、味はまぁまぁだぞ」

チョコレートケーキだった。

「ルキア、この前もチョコレートケーキ作ってたよな。あん時はすげー苦かったけど・・・どれどれ」

味見をすると、ちゃんとチョコの味がする普通のケーキだった。

「けっこう美味いじゃねーか」

「そうであろう。私とて、やればできるのだ。誕生日プレゼントもあるのだぞ!」

「お、なんだ?」

「私とお揃いのチャッピーのリュックサックだ!」

「お、おう。ありがと」

いらねぇと、心の中で叫んだ。

ルキアは、そのチャッピーのリュックサックに一護の荷物を詰めていく。

「おい、何してんだ」

「月曜から、貴様はこのリュックで大学に行くのだ」

「まじかよ。簡便してくれよ」

「私とお揃いなのだぞ!使わぬのは許さぬ!」

「わーったよ」

ルキアの愛に根負けする。

はじめは友人たちにからかわれるだろうが、慣れてしまえばいいだけだ。



チョコレートケーキを食べて、台所を片付けて、ちゃんとした夕飯を作って食べて、風呂に入って出るともう時計は11時をさしていた。

「明日は休みだし、ゆっくりするか」

「だめだ!尸魂界でも貴様の誕生会をするのだ!」

「えー?めんどくせぇ」

「尸魂界を救った英雄の誕生日だぞ。京楽隊長から、その日でなくともいいから連れてこいと言われているのだ」

「仕方ねーなぁ」

その日は、いつものようにルキアを胸に抱きしめる形で眠って、朝になってルキアは一護を起こした。

「んー。あと10分・・・」

「たわけ!今日は貴様のバースディパーティーを尸魂界で用意してあるのだ!起きろ!」

なかなか起きない一護に、肘鉄を食らわせると、寝癖のついた髪で一護が起きた。

「あー。誕生日会か・・・・子供の頃、思い出すな」

まだ母の真咲が生きていた頃、よくバースデイパーティーをしてもらった。

母がなくなってからは、妹たちが祝ってくれた。

さすがに中学生になる頃にはプレゼントをもらうくらいで、バースディパーティーはなかった。

大学生にもなって、バースディパーティーとは、ちょっと重い気もするが、祝ってもらえるのは正直にうれしい。

「さぁ、いくぞ一護」

ルキアは一護の手をとって、穿界門をくぐる。

尸魂界にいき、瀞霊廷に出向くと、ぱんぱんと、クラッカーの嵐に見舞われた。

「お誕生日おめでとう、一護君」

「京楽さん・・・・」

「今日は君が主役だよ。現世でも酒が飲める年齢になっているんだろう?みんなで飲んで食べて騒ごうじゃないか」

みんな、騒ぐ口実が欲しいのだろう。

瀞霊廷は大分復興したが、まだ大戦の傷跡を色濃く残している。

「おう、今日は飲むぞー!」

一護が、生ビールのジョッキを手に飲みだすと、みんな歓声をあげて飲み始めた。

一護に、次々と誕生日プレゼントが渡されていく。

白哉からは、鍵を渡された。

「なんだこれ?」

「兄の屋敷だ。瀞霊廷に新たに作った、兄とルキアの屋敷だ」

「おいおいおい、そんな高価なもん受け取れねぇよ!それに俺は現世にいる生活のほうが長いから、こっちくるのはたまになんだぞ」

「いずれ、兄は、尸魂界にくるのそうであろう」

「何十年先の話だよ」

「死神にとっては、それほど長くない時間だ」

一護は、結局白哉から鍵を受け取った。

「ルキア、夏休みになったら、二人でその屋敷とやらに住むか」

「いいのか、一護?」

ルキアが、目をきらきらさせている。

まるで、新婚のようだと、小声で言っていた。

「どうせ、大学の夏休みはバイト入れて終わりの予定だったけど、せっかくだから、夏休みの間だけでも一緒に住もうぜ」

バイトしないと金がないので、借りている家の家賃とかは全て白哉が負担してくれるらしい。

「尸魂界に住むのも、悪くないかもな」

「そうだぞ。尸魂界はよい場所だ」

ルキアの笑顔が、眩しかった。

誕生日も過ぎて、大学は本格的な夏休みに突入した。9月の末まで休みだ。

「行くか、ルキア」

「うむ」

白哉が建ててくれた屋敷には家具なども全て揃っており、使用人も何人かいた。

二人で、新居の寝室の真新しい畳の上で寝転がってごろごろする。

ルキアと、いつか結婚しよう。

そう思う一護であった。




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