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好きなものは好き4

ルキアが大好きだ。

大切にしたい。でも、めちゃくちゃにもしたい。相反する感情が押し寄せてきて、一護は目を開けた。

アパートの自室だった。

腕の中には、ルキアの細い体と体温があった。

「ルキア・・・・」

「ん・・・・」

腕の中で、ルキアは気持ちよさそうに眠っていた。

金曜の夜にきたときは、徹夜が続いたそうで、倒れかけていた。

なんとか食事と湯あみをすませて、早めに一護と、一護のベッドで横になった。一護はそれが8時頃だったので、さすがに3時間ほど眠れず、ルキアの寝顔をずっと見ていたが、それだけで幸せな気分になれた。

「ルキア・・・大好きだ」

「いち・・・ご?」

ルキアがぼんやりと覚醒と眠りの狭間を漂っている。

それが大分気持ちいいのだろう。

とろんとした目つきで少し目をあけたかと思うと、また目をつむって眠りにつく。

ルキアを抱き締める腕には力をこめず、休日なので好きなだけルキアを寝かせることにした。

もう、朝の10時を回っていて、普通ならルキアも起きる時間なのだが、しばらくの間激務が続いて睡眠時間をとれなかったせいか、まとめて眠るように、長い時間寝ていた。

一護も、いい加減起きないとと思って、そっと離れようとすると、ルキアが一護の手をひっぱった。

「いちご・・・もう少し、このままで・・・・・」

浅い眠りの狭間を漂っていたルキアは、寝ぼけ気味だが覚醒したようだ。

「このまま、抱いていればいいのか?」

「ああ。貴様が辛くなければ・・・この体勢は、安心するのだ」

体温を共有できるからと、小さく付け足す。

「貴様の鼓動の音がする・・・・」

「それはルキアだって同じだろ」

二人で、ベッドの上でお互いを抱き締めあったまま、寝転んでいた。

「腹減らねぇ?」

「ん・・・少し、すいた」

しばらくの間ベッドの上でごろごろしていたが、昼前の11時になり、流石に起きねばと、ルキアを起こして一護も起きた。

「昼飯、炒飯でいいか?」

「なんでもいい・・・・・」

一護が作ったものはなんでも美味い。それを知っているので、なんでもいいと言うのだ。

「私は、昼飯ができるまでもう少し横になっておく。貴様の残り香のするベッド、悪くない・・・・・・・」

ルキアは、今日は一日をだらだらすると決めたようで、一護の炒飯ができるまで、ベッドの上で寝転がっていた。

今日の昼のメニューは、炒飯と中華スープ、それに杏仁豆腐だった。

「ほら、ルキアいい加減起きろ」

「んーーー・・・・」

また、眠りの海を漂っていたルキアは、一護の腕をとった。

「キスしてくれれば、起きる」

「お前なぁ・・・・」

「おとぎ話のお姫様は、王子様のキスで目覚めるのだ」

一護は、溜息をつきながらも、ルキアに啄むようなキスをした。

「もっと・・・・」

せがまれて、何度も口づけを交わしあった。

「んっ」

朝から、盛りそうな勢いで、一護は顔を洗いにいった。

ルキアも顔を洗って、テーブルに置かれた二人分の昼食を見る。スプーンを手に、まだ顔を洗っている一護を置いて食べだした。

「中華もうまいな。現世は、本当に美味い物が多い」

美味しそうに食べるルキアに、一護も作ってよかったと思った。

「今日は、家でごろごろするのか?」

「ああ。大戦の復興の処理が一気にきて、体も酷使したので、ゆっくり休養したい」

「マッサージでもしようか?」

「おお、それはいいな。肩が凝っておるのだ。揉み解してくれ」

昼食を食べ終わり、後片付けを終えた一護が、ベッドにうつぶせで横になったルキアにまたがって、まずは肩を揉みだした。

「んっ。そうだ、そこがいい。きもちいい・・・・・・」

「けっこう凝ってるな・・・・・・」

「ん・・・ああ、きもちいい・・・・」

肩を揉んだ後に、腰を揉みだすと、ルキアは本当にきもちよさそうにしていた。

ぐっぐっと力をこめて揉んでいると、ルキアは満足したようだった。

「もういい。今度は貴様が横になれ。私が揉んでやる」

「肩凝ったりあんましてねぇんだけどな」

「それでも、筋肉は使うから多少の疲労はあるはずだ」

肩をもんでいくと、一護も気持ちいいと感じた。

「ああ、いいなこれ。普通に揉みほぐし30分コースとったら、3千円もするんだよな。こうやって、お互いを揉んでいればただだ・・・・」

つい、貧乏気味なので、お金の換算をしてしまう。

ルキアの分の食費は、ルキアが出していた。

ルキアがアパートを借りているお金や学費、生活費の資金援助をしようかと言ってきたが、断った。

食費は流石に生活が苦しくなるので、もらっているが、彼女に全部お金を出させるなんて、男の風上にも置けないようなことはしない。それが一護のポリシーだ。

土日は、ルキアといれる日なのでなるべくバイトを入れないようにしていた。

次の日の日曜は、ルキアを連れて実家にまで戻った。

「一兄!」

「お兄ちゃん!」

遊子と夏梨は、年頃で彼氏とかもいるらしい。まだ高校生だが。

「ルキアちゃん、久し振り!」

「ああ、遊子と夏梨も元気でいたか?」

「お父さんはああああ、ルキアちゃんがこのまま嫁にくればいいと思っている!」

一心が涙ながらにルキアを抱き締めた。

「一心殿・・・・・」

「ルキアとは、結婚前提で付き合ってるから」

「一護!」

「俺はそのつもりで付き合っている」

「おおおお、ルキアちゃんは是非現世でも結婚式を挙げてほしい。尸魂界でも結婚式を挙げるかもしれないが!」

まだまだ、先の話なのに、一心は真咲の大きな遺影に式場はどこがいいだろうなどと、語りかけていた。

「俺の部屋にいこうぜ」

「ああ、分かった」

一護の部屋は、そのままにされてあった。

高校時代の学生服が、ハンガーにかかっていた。

「懐かしいな、この景色も。この窓から、いつも私は出入りをして・・・・押し入れで寝泊まりをしていた」

「最初の頃はな」

「日番谷隊長の先遣隊となった私は、再びこの部屋で生活をしだした。あの頃には、もう同じベッドで眠っていたな」

「お互い、好きとかそんなのぬきで、寝てたよな」

今も同じベッドで眠っているが、その頃から今と同じように眠っていたのを思い出す。

「そうだな。恋次と同じように接していた」

「恋次ともああやって寝てたのか?」

「真央霊術院に入るまでの話だ」

「そうか」

一護は、ルキアを抱き締めて、とさりとベッドに寝転がった。

「いつか、結婚してくれるか?」

「ああ、いいぞ」

一生に一度あるかないかの告白だったが、案外あっさりだった。

「給料入ったら、エンゲージリングでも買うか。あんま高いのは買えねぇけど。ホワイトゴールドの指輪くらいなら、ペアで買えるだろ」

「私が、金を出そうか?」

「こういうのは、男が出すんだ。ルキアは何もしなくていい」

「そうか・・・なんだか、眠くなってきた・・・・」

「寝てもいいぞ」

「うむ・・・少しだけ、寝る・・・・・」

スースーと寝息をたてだしたルキアに、よほど疲れてたいたんだなと、一護はルキアを抱き締めながら、ルキアを大切にしようと、改めて誓うのであった。



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