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好きなものは好き6

その日は、ただの土曜なのにバースディケーキが用意されてあった。

「どうしたのだ、これは」

「お前なぁ、自分の誕生日も忘れたのかよ」

「あ・・・・・」

そういえば、今週の火曜が誕生日だった。

「ま、金曜の夜から月曜の朝までしか現世にいられないお前を、リアルタイムで祝ってやれなかったが・・・・・誕生日おめでとう、ルキア」

ぽろりと。

ルキアは、涙を零した。

「ル、ルキア?」

「兄様にも恋次も祝われたのに・・・・何故か、貴様に祝われると、涙が溢れてくるのだ」

「それは、心から嬉しいってことだ」

ルキアの頭を撫でて、よしよしとすると、ルキアは抱き着いてきた。

「一護・・・・・!」

「ほら、泣き止めよ。俺はどっかにいったりしないから」

切ったバースディケーキは、ケーキが美味いという店で予約注文していたもので、とても美味しかった。一護も食べた。

チョコレートが好きな一護らしい、チョコレートケーキのバースディケーキだった。

「ここのチョコケーキ美味いんだよなぁ」

「貴様の好物だものな、チョコレート」

「チョコレートケーキのバースディケーキ嫌だったか?」

「そんなことはないぞ!美味かったし、嬉しかった!」

「そっか。誕生日プレゼントもあるんだ」

うさぎの形をした、アップリケのついたマフラーとニット帽子と手袋だった。

「まだまだ、寒いからな」

「チャッピーか!」

「いや、チャッピーじゃねぇんだけど、一応うさぎ。今年はうさぎ年だしな」

「これはみんなチャッピーだ!」

ルキアは目をきらきらさせて、それを身に着けた。

「うむ、あったかい」

「暖房つけてるからな。外に出るときに使えよ」

「ありがとう、一護!」

抱き着いてくるルキアに押し倒された。

「あと、もう1つ贈りたいものがある・・・・・」

「なんだ?」

首を傾げるルキアが愛らしくて、ちょっと見惚れていたけれど、小さな包みを一護はとりだした。

中をあけると、宝石をいれる箱がでてきた。

「え・・・・」

「バイトの給料入ったから。約束してた、エンゲージリング。ただのホワイトゴールドだけど・・・・」

とてもシンプルな指輪だった。

ルキアの手をとって、その細い指に指輪をはめた。サイズはぴったりだった。ルキアが寝ている間に、指のサイズを図っていたのだ。

一護は、自分で自分の分をはめようとすると、ルキアに拒まれた。

「一護の分は、私がつける」

一護の少し大きな手をとって、その指にホワイトゴールドの指輪をはめた。

「大事にするから、一緒に生きてくれるか」

「ああ、一緒に生きよう。お前が死する時まで。死すれば、魂魄と共に尸魂界で、千年を共に・・・・」

「ルキア、愛している」

「私も、愛している」

そのまま唇が重なった。

二人は、ベッドにもつれあいながら倒れた。

そのまま、指を天井の明かりに透かして見せる。

「そうだ、これ安かったから・・・・」

アメジストをつないでできたブレスレットを、一護はルキアの右手首につけた。

「アメジストか。私の瞳の色と一緒だとよく言われる。この宝石は好きだ」

「ま、5千円くらいのグレードの低い石の集まりだけどな」

「グレードや値段など、関係ないのだ。貴様が選んで私に贈ってくれたことに意味があるのだ」

ルキアは、またぽろぽろと涙を零した。

「ルキア?」

「幸せすぎて、怖い」

「幸せのどこが怖いんだ」

「もしも今、一護を失えば私は生きていけぬ」

「どこにもいったりしねーよ。ずっと傍にいるから。まぁ、火曜~木曜はあえねぇけど」

ルキアは、こくりと頷いて、一護の胸に顔を埋めた。

「こそばゆい」

「幸せをかみしめているのだ。少し我慢しろ」

ルキアの髪をゆっくりと撫でて、頭も撫でた。

「一護の傍は心地よいな・・・・・」

ルキアはトロンとした目つきで一護を見つめてきた。

一護は冷静に冷静にと、心がけてはいるが、ルキアにスイッチが入ってしまった。

「一護が欲しい・・・・・」

細い体を密着させて、腕に胸が当たるようにする。

「貴様が欲しい・・・・」

「ルキア・・・」

一護も男だ。恋人に欲しいと言われて、逃げるような男じゃない。

「前みたいに、優しくするから・・・・」

「酷く扱ってもいい。一護になら、私は・・・・・」

「そんなの、俺が嫌だ。ルキアには感じてほしい。気持ちよくなってもらいたい」

「一護」

「ルキア」

互いの名を何度か読んで、お互いの服を脱がせあった。

ルキアは相変わらず真っ白な肌で、数回体を重ねたが、新雪のような肌の色だった。

それを、一護が自分色に染め上げていく。

「ルキア、痛かったら言えよ」

「今まで痛かったことなどない」

初めての時だって、痛みより快楽が勝っていた。

もう数回体を重ねているので、一護が入ってくるのにも慣れた。

「好きなだけしてよいから」

「ああもう、かわいいこというなよ」

ルキアを抱き締めた。

キスをする。

そして夜は更けていくのだった。






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