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秘伝の薬湯

恋次が、風邪を引いた。

白哉は、隊首室で寝泊まりしている恋次を連れて、4番隊の救護詰所にきていた。

「ただの風邪ですね。薬だしておきますから、朝昼夕の毎食の後に、薬飲んでくださいね」

副官の病気ということで、特別に診てくれた勇音に礼をいって、白哉は恋次を連れて6番隊の隊首室に戻った。

「ごほっごほっ」

「大丈夫か、恋次。辛いのか?」

「いえ、だいじょぶです。ちょっと咳が止まらなくて・・・ごほっごほっ」

「横になっていろ。今、清家に頼んで、何か消化にいいものをもってきてもらう」

「隊長・・・・あんまり近くにいると、うつりますよ」

「かまわぬ。はやめに風邪薬を飲めば済む話だ」

白哉は、白粥に鮭をいれたものを恋次に渡した。

「一人で食べれるか?」

熱が大分あがってきたのか、恋次は苦しそうにしていた。

「ちょっと、無理っす・・・・・」

「では、口を開け。食べさせてやる」

白哉がそこまで親身になってくれるのが嬉しくて、恋次は口をあけて、朽木兼の病人用の食事を食べた。やはり、美味だった。

なんとか全部食べさせて、薬を飲ませる。

白湯を渡すと、それを恋次は飲みほした。

次に、朽木家秘伝の薬湯を飲ませた。

「苦いです・・・・・」

「我慢して飲め。病気の治りがよくなる」

「はい・・・・・」

薬湯を飲み干して、恋次はベッドの上で寝転びながら、隣に白哉がくるのにびっくりした。

「隊長?」

「ただの添い寝だ。お前も寝ろ」

「隊長・・・・・」

心遣いが嬉しくて、でも風邪をうつしてしまいそうで、逡巡する。

でも、白哉の傍にいたいという欲が勝って、恋次は白哉を抱き寄せた。

「隊長、あったかい・・・・」

「寒いのか?」

「少し」

「もう一枚、毛布をかけよう」

白哉は、一度ベッドから起き上がって、押し入れになおされてあった毛布をもってくると、恋次にかけた。

「ああ、あったかいです・・・・・・」

また、恋次の傍で寝そべる。

恋次は、薬が効いてきたのか、うとうとと微睡みだした。

「そのまま寝ろ。私が傍にいる」

「隊長・・・・愛してます・・・・・」

「私も愛している、恋次。今は、寝ろ」

恋次の意識は、闇に滑り落ちていった。

気づくと、すぐ近くに端正な白哉の顔があって驚いた。

恋次を看病したまま、白哉も眠ってしまったらしい。

睦み合ったわけでもないのに、同じベッドにいるのは少し新鮮だった。

白哉の寝顔を見る。あどけない顔をしていた。動かなければ、精巧につくられた人形のように見えてくる。

静かな寝息が聞こて、それに恋次は安堵する。

風邪薬が効いたのか、朽木家秘伝の薬湯が効いたのか、薬の飲む前より大分楽になっていた。熱はまだあるようで、恋次は白哉を抱き寄せて、また眠りについた。

「ん・・・・朝か?」

白哉が目を開けると、朝の7時だった。

恋次はよく眠っていた。

とりあえず、瞬歩で朽木家に戻り、朝食を食べて、昨日湯あみをしていなかったので、風呂をすませると、清家に頼んでまだ病人用の朝食を用意させて、6番隊の隊首室にきた。

「恋次、起きれるか」

「ああ、隊長、ありがとうございます。また朝食用意してくれたんですか」

「私が風邪をひけば、朽木家の者がいるが、お前は一人だ。私が看病するしかあるまい」

恋人同士なのだ。

そうするのが当たり前だろう。

「今日は一人で食べれるか?」

「あ、はい」

恋次は、病人用とはいえ、豪華な朝食を食べた後、風邪薬を飲んで、朽木家秘伝の薬湯を飲んだ。

薬湯は本当によく効いて、昼には熱も下がってしまった。

「あと、2日ほどおとなしくしていれば大丈夫であろう」

白哉は、濡れたタオルを持ってくると、恋次が着ていた死覇装を脱がせた。

汗もかいていたし、体をふいて清め、新しい死覇装に着替えさせる。

「この調子なら、今日は風呂に入ってもよい」

「何から何まで、すみません」

恋次は、しゅんとしていた。

「私とて風邪くらいひくときはひく。恋次が悪いわけではない」

「仕事、滞ってませんか?」

「私を誰だと思っている」

「すみません、杞憂でしたね。隊長には、ほんとに感謝してます」

「ならば、早くよくなれ」

「はい」

2日ほど隊首室で大人しくして、恋次の風邪も完全に治った。

その間も、白哉からご飯をもらい、薬湯を飲んだ。

「朽木家秘伝の薬湯って、すっごい苦いけど効きますね。けっこうあっさり治った」

「秘伝だからな。何でできているか、私自身しらぬが」

でろでろとした緑色の液体だった。

見るからに苦そうで、実際苦かった。

「仕事の遅れ、取り戻します」

「恋次が寝込んだくらいでは、仕事は遅れたりせぬ。私がいるからな」

インフルエンザで二人してダウンした時は、3席とかに仕事をが圧しかかって随分な目を合わせてしまったが。

何はともあれ、恋次の風邪は治った。

ちなみに、白哉も念のため風邪薬を飲んでいたので、うつることはなかった。


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