始祖なる者、ヴァンパイアハンター10
赤子として転生した女帝ブラッディ・ネイは、その親であった少女を洗脳して、赤子を殺させた。
結果、ブラッディ・ネイは皇族の末席にいた少女の肉体に宿り、完全な復活を遂げた。
ブラッディ・ネイは今、ロゼ・オプスキュリテというヴァンパイアの貴族である少女に、夢中になっていた。
ルキアにも夢中であるが、全然振り向いてくれないので、ロゼを寵愛した。
ロゼは、特殊な能力を持っていた。
誰かの相手と、一時的に中身を入れ替えることができるのだ。
それに、ブラッディ・ネイが目をつけた。
愛しい兄を、抱きたい。そんな欲望を、生まれた時から抱いていた。
兄に抱かれるのではなく、抱きたいのだ。
兄妹としての関係は、すでに始祖であった頃から破綻していた。それでも、ブラッディ・ネイが真に愛するのは、実の兄浮竹十四郎、ただ一人であった。
「兄様待っていて。アハハハほんとにすごいね、ロゼ。君はボクの宝物だよ。だから、分かっているよね?隙をついて、兄様と入れ替わるんだよ」
ロゼ・オプスキュリテは、初めて自分を愛してくれる存在に出会い、言われた通りに行動した。
始祖である、浮竹十四郎の元へ行き、何度も通うことで敵対心をなくさせた。
「ロゼ・オプスキュリテと申します。ブラッディ・ネイ様の身の回りの世話を行っています。浮竹様も、何かあればこのロゼ・オプスキュリテに命じてください」
「いや、いいから。君は俺の愚昧の世話をしてくれているんだな」
「ブラッディ・ネイ様の寵愛をいただき、後宮で普段は暮らしています」
「あの愚昧が・・・・。嫌になったら、いつでも俺たちのいる古城においで。もう、友人だろう、俺たち」
ロゼは、頬を染めた。
「そんな、始祖であられる浮竹様とご友人など、恐れ多いです」
「俺は、君のこと、けっこう好きだぞ」
「私も、浮竹様を愛しています」
いい雰囲気を醸し出す二人に、京楽が黙っていなかった。
「ちょと、ロゼちゃん。僕の京楽が好きでも、あげないよ」
「おいおい、ロゼが恐縮してるだろう」
「いいや、はっきり言わせてもらうよ。浮竹は僕のものだ。僕を愛して、僕に抱かれて乱れる。そんな浮竹を、想像できるかい?」
ロゼは真っ赤になったが、臆することなく京楽を見た。
「私は、ブラッディ・ネイ様の御寵愛を一身に受ける身。たとえ始祖の浮竹様の血族であろうと、私の存在を無下にすることは許しません」
「言うねぇ」
京楽は、血の刃を作り出した。
「やめないか、京楽!女の子だぞ!」
「浮竹こそ、分かってないね。あのブラッディ・ネイの寵愛を受ける少女だよ。何をするか分からない」
その言葉通りだった。
光が煌めいた。
その時、その光を見た京楽は、無垢なる者になっていた。
「ボクは、ブラッディ・ネイ。君の主だよ」
まるで刷り込みの現象のように、現れた9代目ブラッディ・ネイに跪き、恭しくその手をとって口づける。
「京楽、しっかりしろ!」
浮竹が叫ぶが、浮竹の言葉は届いていなかった。
「ブラッディ・ネイ・・・・転生していたのか」
「兄様の呪いで、赤子に転生してしまったけど、その母親を洗脳して支配してボクを殺させた。赤子で死ぬなんて、初めての体験だよ。痛かったなぁ。その分、兄様をいじめるけど、いいよね?」
クスクスと、ブラッディ・ネイは笑う。
「さぁ、ロゼ。君も・・・・」
「はい、ブラッディ・ネイ様。あなたの御心のままに」
「なんだ?意識が―――」
浮竹は、気づくとロゼ・オプスキュリテになっていた。
「なんだこれは!」
「ウフフフフ。兄様、かわいいよ、兄様」
「近寄るな!」
「これで、兄様はボクのものだ。兄様、愛してる。ボクに愛されて、ボクの子を孕んで?」
女帝ブラッディ・ネイは同性愛者だ。年端もいかぬ少女か、十代前半の美しい少女を愛して、男の精子なしで、相手を懐妊させることができた。
「さぁ、ロゼ。いや、兄様。大事な血族の京楽を無事返してほしければ、ボクに抱かれて?」
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それはロゼがくる数日前。
浮竹は、ミミックのポチに餌をやっていた。
「ほーら、ポチの好きなドラゴンステーキだぞ。うわあああ!」
浮竹の叫び声に、慌てて駆け付けた京楽が見たものは、いつものようにミミックに食べられている浮竹の姿だった。
「暗いよ~怖いよ~狭いよ~息苦しよ~。でもなんかいい。ポチの中あったかい」
京楽は、慌てて浮竹を救出した。
「ちょっと、ミミックの中が居心地がいいとか、ポチに食べられすぎて脳みそいかれたの!?」
「京楽も食べられてみれば分かる」
どんと、突き飛ばされて、京楽もポチに食べられた。
「なにこれ・・・まるで真っ暗な闇の中、温泉にひたってるかんじ」
京楽は、自力でポチから脱出した。
「君の言いたいことは分かった。確かにミミックのポチの中は居心地がいいのは認めよう」
「じゃあもっかい食べられる!」
「あ、こら浮竹!」
「暗いよ~怖いよ~狭いよ~息苦しよ~。ああっ、宝石発見!」
ミミックのポチは、ドラゴンステーキを与えられる度に、小粒であるが上質の宝石をくれた。
「今日はエメラルドだ。わーい」
無邪気に喜ぶ浮竹をそれ以上怒れなくて、京楽は頭を抱え込むのだった。
冒険者ギルドに来ていた。
認識阻害の魔法をかけているので、他の皆からは浮竹はエルフの魔法使い、京楽はハーフエルフの剣士に見えた。
Sランクの冒険者ということで、それにあった依頼が舞い込んでくるが、浮竹はCランクの依頼を引き受けた。
内容は「ミミックの異常繁殖!駆除求む!」と書いてあった。
「やっぱり、それ引き受けると思った」
京楽は、ミミックと書かれた依頼書を見た瞬間から、あ、これ絶対浮竹が受けそうと思ったのだ。
「ミミックの駆除?Sランク冒険者さんでしょう?もっと、聖剣入手ができるSランクダンジョンのモンスター討伐依頼を受けたりしませんか?」
「いや、俺はこれがいい。というかこれしか引き受けない。これでいい」
ギルドの受付嬢は、エルフのイケメンに見える浮竹に頬を赤くしながも、その依頼を受けたものとして受理してくれた。
「あの、今度時間が空いている時に、お茶でも・・・・」
京楽は、受付嬢を睨みつけた。
「僕と浮竹はパートナーなんだよ。人生においてもね」
「し、失礼しました!」
受付嬢は、今度こそゆでだこのように真っ赤になって、浮竹と京楽をうっとりと見つめていた。
ヴァンパイアである時のほうが美しいが、認識阻害の魔法で作らせたエルフとハーフエルフの見かけも、浮竹は美しい青年であり、京楽は美丈夫であった。
「浮竹、なんでミミックなの。ポチがいるじゃない」
「世界のミミックは、俺を待っている!」
すでに、自分の世界に入り込んでいる浮竹を引きずって、冒険者ギルドから出た。
Sランク冒険者がCランクの依頼を受けたと、騒ぎになっていたからだ。
「ちょっと待たれよ!某(それがし)は、Sランクの魔剣士。Sランクでありながら、Cランクの依頼を受けるなんて、Cランク冒険者の邪魔をするようなもの!聞けば、以前も同じようにBランクの依頼を受けたとか」
「なんかわいてきたな」
「最近あったかくなってきたからねぇ。いろいろわくんだよ」
「な、某をボウフラのように言うでない!このことは、ギルドマスターに報告して、Sランクであるのかが正しいかを吟味して・・・・・・」
Sランクの魔剣士とやらは、フルチンになっていた。
「なああああ!いやああ、恥ずかしい!」
京楽が、血の刃で魔剣士の服をズタズタに斬り裂いたのだ。
「受付嬢さーん。ここに露出狂のSランク冒険者がいまーす!」
大声で呼ぶと、他の冒険者も一緒になってやってきた。
「きゃあああああ!フルチンよ!」
「フルチンのSランクだ。傑作だなぁ」
浮竹と京楽は、すでにその場にはいなかった。
少し遠い場所から、様子を見ていた。
「某が悪いのではござらん!さっきのSランク冒険者にきっとやられたのでござる!と、とにかく何か着るものを!」
浮竹は、魔法を使って近くにあった洗濯ものを干しているロープから、女性の下着のパンツをとると、それをフルチンで必死で股間を隠している魔剣士の頭に被せた。
「いやあああああ!!変態よ、変態だわ!このことは、ギルドマスターに報告させていただきます!」
「某が悪いのではござらん!エルフとハーフエルフのSランク冒険者のしわざでござる!」
「そんな冒険者いたっけ?」
「さぁ?」
認識阻害の魔法は、記憶にも阻害を与える。
「確かに見たのでござる。エルフと・・・エルフ?どんなエルフでござっただろうか。もう一人は人間だったような?あれ?」
結局、そのSランク冒険者は、露出の罪で三日間牢屋に入れられる羽目になるのであった。
「ここが、ミミックが異常繁殖しているダンジョンか」
古城のあるガイア王国から遥か北に来ていた。
空間転移の魔法陣を使い、C級ダンジョンに来ていた。
「少し、寒いな」
北国なので、無論温度が低い。
京楽は、寒がる浮竹に、アイテムポケットから取り出したマフラーを首に巻いてやった。
「すまない、京楽」
「君が風邪ひいたら、看病するのは僕だしね」
それに、むーっと、浮竹が頬を膨らませた。
「始祖だぞ、俺は」
「はいはい。始祖でも風邪ひくんだから、用心にこしたことはないよ」
以前風邪をひいた時、念のためだとルキアの聖なる力で癒してもらい、風邪を治してもらった。
ルキアの力は聖女としては、シスター・ノヴァに匹敵する力をもつ。
さすがにヴァンパイアの死者を蘇らことはできなかったが、重篤な病気でも癒すことができたし、聖女の祈りの聖水で再生できなかったり、いろんなことで再生できない怪我を癒した。
「さぁ、ダンジョンにもぐるぞ!」
「浮竹、これ身に着けといて」
「なんだこのペンダント」
「一度、命を守ってくれる。念のためのものだよ。始祖の君がいくら死なないと言っても、転生しないから、肉体が酷く傷つけば再生するのに時間がかかるから」
「ミミック如きに、殺される俺じゃないぞ」
「はいはい。先進もうか」
ダンジョンの中には、ずらーっと宝箱が並んでいた。
「あ、宝箱!」
「ちょっと、浮竹!」
ミミックに食われながら、浮竹は「ファイアボール」と呪文を詠唱して、ミミックを倒していく。
いつものミミックにかじられるだけの、浮竹ではなかった。
「おし、古代の魔法書ゲット。こっちは魔道具か」
浮竹は、ミミックを複数のファイアボールで倒していく。宝物を残すミミックと、そうでないミミックがいた。
それに、京楽が首を傾げた。
「浮竹、ミミックだよ?君の大好きなミミック」
「ああ。食われた分かったが、ミミックもどきだな。本物のミミックじゃない。本物のミミックは、暗くて狭くて息苦しい。なのに、ここのミミックもどきはかじると舐めてくるんだ。害はあまりないが、本物のミミックと勘違いされそうだから、ミミックもどきはファイアボールで倒す」
「うーん、僕には違いが分からないよ」
「かじられてみればわかる」
どんと、京楽を突き飛ばしてミミックもどきにかじらせた。
「なにこれ。舐めてきた。気持ち悪い」
京楽は、もっていたミスリルの剣でミミックもどきを倒した。
「なんだ、金銀財宝か」
浮竹は、ブラックドラゴンの住処で金銀財宝を大量に入手したので、興味なさげであった。
「金があれば、君の大好きな古代の魔法書や魔道具、古代の遺物が買えるよ?」
京楽は、その金銀財宝を自分のアイテムポケットに収納した。
「それもそうだな!きりきり、金になりそうなもの集めるぞ!」
浮竹の変わり具合に、京楽は苦笑するのだった。
「あ、これは本物の宝箱だ」
3階層まできていた。
モンスターは出たが、雑魚ばかりだった。
「本物の宝箱ってことは、いいもの入ってるってことだよね?」
京楽の言葉に、浮竹は首を傾げた。
「うーん、確かに本物の宝箱のほうがいいもの入ってる時はあるが、ミミックのほうが古代の魔法書やらを出してくれるから、俺はミミックのほうがいいな。あ、鍵かかってる」
「無理やり壊す?」
「いや、俺にはこれがある」
浮竹が懐から取り出したのは、針金だった。
それを鍵穴につっこんで、カチャカチャさせると、カチリと音をたてて宝箱が開いた。
「うわ、毒ガスだ!京楽を、息を止めろ!」
中には、毒ガスの罠があった。
「キュア!」
浮竹は、毒ガスを通常の空気に転換した。
「ふう、危なかった」
「浮竹、鍵穴をあけるスキルって、盗賊のだよね。どこで身につけたの、そんなの」
「何、8千年も生きていると、いろいろ身につくものだ」
浮竹は、何気に錬金術の金クラスの資格をもっていたりする。
京楽の知らない、浮竹の姿はまだまだありそうだった。
「中に入ってたのは・・・エリクサーか。これは貴重だ。ちょっと古くなってるけど、錬金術士に高く売れるだろう」
エリクサーは、別名神の涙と呼ばれた。どんな呪いも、ステータス異常も治してくれる、神の薬であった。
最高クラスである、ミスリル級の錬金術士が、金をかけて一生に数度くらいしか作り出せない、奇跡の薬だ。
浮竹は、それを懐にしまった。
結局、ミミックは3階層までで、それ以上はでなくなった。
4階層、5階層と進んで、5階層でケルベロスと会った。
「ボスか。ケルベロスは炎の属性だ。京楽、気をつけろ、火を吐くぞ!」
「あおーーーん!!!」
仲間を呼ぶケルベロスの三つの頭をかいくぐって、アイスエンチャントで氷をまとわせたミスリル製の剣で、京楽はケルベロスの心臓を突き刺していた。
どさりと、ケルベロスが倒れる。
ケルベロスの遠吠えでかけつけてきた雑魚モンスターを倒して、浮竹は京楽の頭を撫でた。
「ケルベロスは、最近貴族の女性に人気の毛皮だからな。心臓を刺して即死させれば、毛皮の傷みが少ない・・・んっ」
もっと撫でてと意思表示してくる京楽の頭を撫でていると、京楽が口づけしてきた。
「こんな場所で・・・・・」
「うん。キスだけだから」
「んっ・・・」
舌を絡めあってから、離れた。
「ケルベロスは、肉はまずくて食えないが、とにかく毛皮が高く売れる。あと、血は錬金術の材料になるし、爪は牙は武器の材料になる」
「うん」
京楽は、すでに疲れているようだった。
ここまでくるのに、50回ほどは浮竹はミミックに食われて、それを救出してきたのだ。疲れていても仕方ないだろう。
「今回は、この5階層で引き上げるか。これ以上潜ってもミミックは出なさそうだし、Cクラス冒険者の邪魔になるだろうしな」
5階層までのモンスターは、全部倒してきた。
素材になりそうなモンスターは、片っ端からアイテムポケットに収納した。
ダンジョンウォークという、ダンジョン脱出専門の魔法を使ってダンジョンを抜けると、外は雪が積もっていた。
「雪か。そうか、だからあんなに寒かったんだな」
ダンジョンの中の温度は一定に保たれているが、ダンジョンの外では雪が降っていた。
雪ではしゃぐ浮竹を、温かい目で京楽は見守った。
ガイア王国に戻り、冒険者ギルドの解体工房で、ケルベロスの遺体を見せると、受付嬢が顔を引きつらせた。
「これは・・・・懸賞金のかかっていた、ユニークボスのケルベロスですね。通常Sランクのダンジョンのボスとして登場するので、懸賞金がかかっています。遺体の状態もいい。高めに買い取らせていただきます」
懸賞金の報酬として、金貨2百枚をもらった。雑魚のモンスターで金貨8枚、ケルベロスの買取金が金貨40枚だった。
ドラゴンの素材が、どれほど高価であるか、京楽もようやく理解した。
「ねぇ、たまには人間社会のレストランに行かない?」
報酬金でほくほくの二人は、そんな会話をしていた。
「たまにはいいか」
「僕は、前から君を連れて行きたいレストランがあったんだよ。ちょっと高いけど、いいでしょ?」
「金は腐るほどあるから、いいぞ」
確かに高級なレストランで、オーダー見るとどれも金貨3枚以上からした。
適当に、魚介類を中心としたメニューを注文する。
やってきた料理はどれも新鮮で、美味しかった。
「なかなか美味いな。味は覚えた。今度から、戦闘人形が再現してくれるだろう」
「君の戦闘人形って、ほんとに便利だね」
「俺もそう思う」
そんなこんなで、浮竹はエリクサーを入手していた。
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「さぁ、愛し合おう兄様」
「やっ」
ブラッディ・ネイにキスをされていた。
縮こまっった、浮竹の舌を、ブラッディ・ネイの舌が絡み、吸い上げていく。
実の妹の唾液は、とてつもなく甘かった。
ぼっと、ロゼ・オプスキュリテの体が火照るのが分かった。
「やめっ」
「やめないよ、兄様。ああ可愛いよ、兄様。ずっとそのままならいいのに。残念ながら、ロゼの精神交換は時間制御があるから」
柔らかな胸を、もみしだかれた。
先端をつままれると、全身に稲妻が走ったような感覚を覚えた。
「いやっ」
トロトロと蜜を零す女体の秘所に、ブラッディ・ネイの指が入ってくる。
「ああああ!!!」
陰核をつまみあげられて、浮竹は女の体でいっていた。
はぁはぁと、荒い息をついて、エリクサーのことを思い出した。
「京楽に、何をした」
「別に命の別状はないよ。ただ、混乱を与えて、ボクが主になっていることにしただけ」
浮竹はロゼ・オプスキュリテの体で、魔力を拳にこめた。
「さぁ、愛し合おう。続きをするよ、兄様。ぐっ!」
魔力をこめた拳で、ブラッディ・ネイの鳩尾を打つ。
ブラッディ・ネイは意識を失った。
「あ、ブラッディ・ネイ様!」
駆けつけてくる自分の体の懐からエリクサーを出して、まずは口移しで京楽のませた。
「あれ、僕は何を?」
「よかった、元に戻ったんだな」
「君はロゼ?何故、浮竹の匂いを・・・・・・」
「説明は後だ。こっちにきなさい、ロゼ・オプスキュリテ」
「はい・・・・・」
「この能力は、自分で解けるか?」
「できません」
「呪いの一種だな・・・・。エリクサーだ、飲め」
「でも」
「始祖の名によって名じる」
「はい・・・・・・」
浮竹の体のロゼは、エリクサーを一口、口にした。同時に、ロゼの姿の浮竹が、エリクサーを口にする。
お互いの体がぱぁぁぁと輝いて、精神は肉体を移動して、元に戻っていた。
「どういうこと、浮竹」
浮竹は京楽に、全てを説明した。
「ブラッディ・ネイにはしばらく謹慎させる」
浮竹は、ブラッディ・ネイに戒めの魔法を使うと、拘束した。
「ん・・・兄様?なーんだ、元に戻っちゃったのか、つまんなーい」
「ブラッディ・ネイ。反省しろ」
「嫌だね。ボクは、ボクのやりたいようにするし、好きなように生きる」
「ライトニング!」
「ぎゃあああああああああ!!!」
ブラッディ・ネイは感電していた。
ぱちぱちと火花が弾ける。
「く、兄様、魔法で無理やりボクを屈服させるつもり?その気になれば、ボクは自害して次のブラッディ・ネイになるよ」
「転生を続ける呪いか。呪いに呪いをかける」
浮竹は、蝙蝠の血やらトカゲの尻尾やらを取り出して、混ぜ合わせると薬を作った。
「飲め、ブラッディ・ネイ。一カ月転生を封じる薬だ。飲まないなら、10年間転生を封じる呪いをかける」
「えー。仕方ないなぁ。まぁ、それで兄様の気が収まるなら」
ブラッディ・ネイは飲むふりをした。
浮竹は眉を顰めて、中身を口にすると口移しでブラッディ・ネイに飲ませた。
「にがーい」
そう言って、ブラッディ・ネイは再び意識を失った。
「ロゼ・オプスキュリテ」
「はい!」
「始祖の名において命じる。ブラッディ・ネイを血の帝国の王宮の牢に入れて、1カ月監禁すること」
「でも、私の力では・・・・」
「白哉」
「ここにいる」
「浮竹、いつの間に?」
「ロゼに体を支配される一瞬の隙に、式を放っておいた」
白哉は、つい今しがた到着したばかりで、呼吸が乱れていた。
「ブラッディ・ネイが浮竹に何かしたのか」
「ああ、したとも。嫌なことをな。ということで、こいつを持って帰って、王宮の牢屋に入れておいてくれ。これは、始祖の名による懲罰書だ」
ブラッディ・ネイの体を受け取り、懲罰書を確認すると、白哉はブラッディ・ネイとロゼと共に帰ってしまった。
「ねぇ、浮竹・・・・・・・」
「京楽、今回のことは不測事態で・・・・・・」
にーこっりと、京楽は微笑んだ。
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「やぁ、もういかせてぇ!」
「だめだよ。そんな簡単にいかせたら、罰にならないでしょ?」
浮竹のものの根元を、魔力の通ったヒモが戒めていて、精液を出すことを許さななかった。
浮竹は目隠しをされていた。
京楽が突き上げる度に、びくんと体を反応させる。
「君がブラッディ・ネイなんかにいかされたなんて、僕が怒って当然でしょう?」
「あれは、ロゼ・オプスキュリテの体だった!」
「でも、精神は浮竹のものでしょ?」
「やぁっ!」
最奥の結腸をこじあけられて、どくどくと京楽は精液を注ぎ込んだ。
「やぁ、いきたい、いきたい。外してぇ」
「だーめ。最後の最後にとってあげるから」
「ああああ!!!」
真っ白な太ももに噛みついて、京楽は浮竹の血を啜った。
「あああ!」
弾けさせれない熱に、体がどうにかなりそうだった。
吸血による快楽を与えられながらも、これが実の妹のに好きなようにされた罰なのかと、遠のく意識の狭間で思う。
「あ・・・ああ・・・・・・」
目隠しは、いつもより快感を多く浮竹に与えた。
「やっ、もう限界!」
浮竹が、自分で戒めを外そうとするが、京楽の魔力が通っているせいでとれない。
「とってぇ、お願い、春水、春水」
かわいく啼く浮竹に、京楽は浮竹にディープキスをしながら、戒めを解いてやった。
「ああああああああああ!!!」
びくんびくんと、体がはねる。
大量の白い精液をシーツに零しながら、浮竹はいっていた。
「吸血、するよ?」
「やぁぁぁ、だめえぇっ」
いっている最中の吸血行為は、本当に気が狂いそうな快楽を浮竹に与える。
浮竹は、それが怖かった。浮竹がいっている最中に血を吸われることを嫌いだと承知の上で、京楽は浮竹の喉笛に噛みついて、血を啜った。
「ああ、甘い。君の血は、誰よりも甘い」
「あああ!京楽、おぼえ、て、ろ・・・・・・・・・・」
そうして、浮竹は意識を失った。
京楽は、正座をさせられていた。
「ごめんってば」
「謝れば済むと、思っているのか」
ぷんすかと怒る、意識を取り戻した浮竹が、衣服を着て最初にしたのは、京楽へのビンタだった。
根元を戒められて、目隠しをされたことがよほど気にくわなかったらしい
「2週間の禁欲と、俺への吸血禁止だ」
ぷりぷりと怒る浮竹は可愛かったが、いかせん京楽には重すぎる罰だった。
「そんなぁ。ああ、君の好きなミミックのいっぱいいるダンジョンへ行こう」
「何、ミミックがいっぱいだと?」
早速顔色を変える浮竹に、京楽はしめしめと思いながら、浮竹と一緒に朝食をとり、シャワーを浴びてから、二人でSランクのダンジョンにこもるのであった。
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「聖女、井上織姫」
「はい」
「汝を、第15代目の使者として、血の帝国に派遣します」
人間社会もまた、変わっていく。
「血の帝国はもう、脅威ではない。血の帝国からの使者もいる」
にこにこと、血の帝国の使者は和やかに笑んでいた。その名を、呼ばれて「彼」は顔をあげた。
「始祖、浮竹十四郎」
「はい」
「井上織姫との婚姻を、ここに認めるものとします」
真っ白な長い髪をもつ美しい始祖は、ゆっくりと頷いた。
「彼」は井上織姫を抱きよせた。
「始祖の名において、彼女を血族として、愛することを誓います」
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