始祖なる者、ヴァンパイアハンター9
「でたぁ、ブラックドラゴンだぁ!」
「ひいい、逃げろおおお!!」
「いやああ、まだ、まだ子供がああ!」
「諦めろ!ブラックドラゴンのブレスであんたも焼け死ぬぞ!」
隣国ウルト共和国では、ブラックドラゴンが暴れまわっていた。
人や家畜を襲って、食った。
金銀財宝に目がなく、奪った。
「金銀財宝をため込むという点で、その金銀財宝だけ奪ってリリースするのはどうだろう」
「やめておきなよ。怒り狂って、人間たちの手に負えなくなるよ」
(ブラックドラゴンよ。神代から生きるヴァンパイアの始祖が命じる。大人しく山に帰れ。そうすれば、命だけは助けてやる)
古代語で思念で話かけると、ブラックドラゴンは浮竹と京楽の前に降り立った。
「神代から生きるヴァンパイアの始祖だと?そんな始祖が我に何の用だ」
「単刀直入に言うと、退治させろ」
「ガハハハハ!我は六百年を生きる、ドラゴン!ヴァンパイア如きに、殺されるものか!」
ブラックドラゴンは、古代語で浮竹と京楽に話しかけた。
京楽には古代語の知識はなかったが、浮竹を介して理解できた。
「そのへんでやめといたほうがいいんじゃない、ブラックドラゴン。僕の主は、南のファイアードラゴンを葬っているよ」
「何、ファイアードラゴンだと。かの者は我の中よき友人であった。ヴァンパイアよ、許さぬ」
ブラックドラゴンは、炎のブレスを吐いた。次に、氷のブレスを吐いた。
「ふはははは、焼け焦げたか、それとも凍ったか?」
ブレスの直撃を受けたはずの二人は、京楽が張った血のシールドによって、無事だった。
「我がブレスを受けても平気だと?馬鹿な、ヴァンパイア如き・・・・始祖、始祖だと。始祖とは我が師、神代より生きるカイザードラゴンと同じ、始祖か!」
「そうそう。そのカイザードラゴン、竜帝は、今は南の帝国で皇帝やってるよ。人間化して、人間の中で生きている。君と違って、温厚でドラゴンとして崇められるよりも、人として生きるのが好きで、たまに古城にお忍びで遊びにくるんだ」
京楽の説明に、ブラックドラゴンがその金色の瞳の瞳孔を縦に収縮した。
「笑止!カイザードラゴンはそんな存在ではないわ!」
「え、浮竹、そうなの?たまに遊びにやってくる人って、カイザードラゴンって言ってたけど、全然関係ない人?」
浮竹は、微笑んだ。
「カイザードラゴンと友人なのは本当だ。京楽も、信じられないか。神代から生きるカイザードラゴンが人として生きているなんて」
「そんなことないけど。浮竹の説明通りに話しても、このブラックドラゴンに通用しないよ」
「仕方ない、殺すか」
「待て、始祖よ。我の力を与えよう。始祖である汝は、我と・・・・・」
「エアリアルエッジ」
浮竹は、風の精霊エアリアルに命じて、真空の刃を起こさせると、それでドラゴンの鱗も貫き、首を落としてしまった。
「始祖よ・・・せめて、我が魂を持っていけ」
キラキラと、ドラゴンの魂の結晶が、浮竹の手の中にあった。
「ドラゴンの聖なる魂のオーブ。三大秘宝の1つじゃないか!」
京楽は、浮竹の手の中にある物を見て、その値段にびびっていた。
古城を10個ほど買えるし、200年以上遊んで暮らせる額の秘宝で、神族の皇族の心臓、魂のルビーと並ぶ、三大秘宝の一つであった。
「なんちゅーものもらってるの、浮竹」
「これは・・・・置いておくと、人間同士で醜い争いが起きそうだ。もらって帰るか」
浮竹は、ドラゴンのオーブをアイテムポケットにしまいこんだ。
そして、ドラゴンの巨大な肉体ごと、アイテムポケットに入れた。血の一滴も残さず収納しおえる。
山に移動して、ブラックドラゴンの住処をみつけだして、金銀財宝を全てアイテムポケットにいれて、浮竹は京楽と共にウルト共和国を後にした。
古城のある、ガリア王国の冒険者ギルドの解体工房で、浮竹はブラックドラゴンの遺体を出した。
その場にいた皆が、顎が地面に落ちそうなくらい口をあけて、驚愕していた。
「間違いない。ウルト共和国で暴れまわっていたブラックドラゴンだ。左目に傷がある」
「ドラゴンの眼球は高く売れるんだけどな。1つしかないのは残念だ」
浮竹の言葉に、皆浮竹を見た。
京楽は、ハラハラしていた。
「このブラックドラゴンは、あなたが倒したのですか?」
「ああ、そうだ」
「たった一人で?」
「いや、京楽と二人で」
嘘こけ。一人で倒しただろとツッコミを入れたかったが、京楽は黙っていた。
「ガリア王国の冒険者ギルドにおいて、あなたがたをSランクの冒険者として認定します」
「ありがとう」
「早速ですが、このドラゴンの遺体は買い取ってもいいのですか?」
「ああ、もちろんだ。肉は少々いただくが、後は素材となりうるもの全て、後血も売る」
「ありがとうございます。この契約書にサインを」
浮竹は、すぐにはサインせず、魔力を流して呪術的なものがないかを確認してから、達筆な文字で浮竹十四郎と書いた。
「ありがとうございます。しめて金貨3千枚になりますが、よろしいでしょうか」
「新鮮だぞ。3千枚なら、隣国で売る」
「し、失礼しました!金貨5千枚で買い取らせていただきます」
「それならいい」
浮竹も納得がいったのか、ドラゴンの素材を、ステーキにする分の肉の塊をとって、その他の全ての部位を、冒険者ギルドで売り払った。
Sランク冒険者。
ギルドでさざめきが起きる。
「私、Aランクのハーフエルフのミレーネっていうの!一緒にパーティー組まない?」
「パーティーは、相方がいるので組まない」
「そんなこと言わずにさぁ・・・・・」
浮竹に胸を押し付けるハーフエルフに、京楽は殺気に満ちた視線を送った。
「ひっ!あ、あなたの相方、目つきが異常よ!呪われてるんじゃないの!?」
「京楽を馬鹿にするな、人間」
「浮竹、だめだよここで暴力沙汰は。Sランクの冒険者らしく、堂々と振る舞ってればいいんだよ」
「冒険者のランクなんてどうでもいい」
「おい、それは聞き捨てならないな。俺の名は風のヒューイ。Sランク冒険者だ。あんたに、決闘を申し込む!」
「買った」
浮竹は、京楽が静止の声を出す間もなく、決闘を受け入れた。
「では、冒険者ギルドの裏手で、試合をしよう。木刀で試合だ」
「魔法は?魔法は、使っていいのか?」
「ああ、もちろんだ」
「ちょっと、浮竹」
「京楽。人間どもに思い知らせる必要がある。Sランク冒険者となった俺たちの力を」
「だからって、何も決闘を受けなくても・・・・」
数十人が見守る中、決闘は行われた。
みんなどっちに賭けるか勝負していて、大半がヒューイとかいう冒険者に賭けていた。
「さぁ、どっからでもかかってきなさい、お嬢さん」
風が吹いて、浮竹の美しい長い白髪が流れる。
「エアリアルエッジ
マジックブースト
ヘルインフェルノ」
三重に、魔法を詠唱していた。
エアリアルエッジで、相手がもっていた木刀を斬り裂き。
マジックブーストで、身体能力をひきあげて木刀を相手ののど元につきつけ。
ヘルインフェルノで、隣の空間を焼き払い、自分の魔力の高さを見せた。
「ま、負けだ、俺の負けだ!なんなんだ、魔法の三重詠唱だと?魔法使いでもないのに、ありえない!」
「誰が魔法使いなどといった?俺は剣士であると同時に、魔法士だ」
ざわめきが大きくなった。
魔法士。
宮廷にいる、魔法使いがそう呼ばれていた。
もしくは、それに匹敵する者。
「魔法士だという証拠がどこにある!」
「そんなの、いらないでしょ?3重に魔法を使える魔法士なんて、この子以外にいるの?この子以上の魔法の使い手はこの国にいるの?」
京楽の言葉に、シーンと場が静まり返った。
「行こう、京楽」
「でも浮竹、記憶は消しておいたほうが」
「また、冒険者ギルドには厄介になる。いいから行こう。強い魔力の反応が、古城にある。侵入者だ」
浮竹も京楽も、急いで冒険者ギルドを後にすると、認識阻害の魔法をかけてから、ヴァンパイアの証である真紅の翼を広げて、古城へと帰還した。
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「いよーっす。待ってました、京楽さん、浮竹さん」
「なんだ、お前か、恋次」
「いい酒手に入ったんで、一緒に飲もうと思って」
やってきたのは、例のブラックドラゴンがいっていた、カイザードラゴン、始祖のドラゴンが人化した青年であった。
赤い髪に、体中にいれこまれたタトゥーが印象的だった。
「白哉さんに、酒もっていったんだけど「いらぬ、お前が傍にいると心穏やかで過ごせぬ」とか言って追い出された。俺、あの人のこと何度も好きだっていってんのに、いつも振られてる。守護騎士をたまにしてるけど、やっぱり振られる」
恋次は、名を阿散井恋次という。
南のほうの帝国、アバー帝国の皇帝だ。
それが、抜け出して遊びにきたということは、今頃影武者が皇帝をしているのだろう。
アバー帝国では、ドラゴンは神である。その始祖であるカイザードラゴンが人型になった瞬間、人々は恋次を皇帝へと押し上げた。
元々の皇族を処分して。
暗殺やら毒殺やら、いろいろされたが、恋次もまた始祖であるが故に死ねぬ呪いを体にもっていて、死ぬ度に体にタトゥーが付け足される。
もう30回以上は死んでいる計算になるだろうか。
「いやぁ、この前は酒に毒が入ってて死んだから、酒にも毒見役をおいたんすよ。そしたら、みんなばたばた死んで。ああ、これヤバイなって思って、酒に携わった者全員にカイザードラゴンの姿になって真意を聞いたら、みんな気絶しちゃって」
「そりゃあ、ただの皇帝がドラゴンになったら、誰でも驚くだろう」
「一応、カイザードラゴンだって言って何度か変身してみたんスけどね。俺の姿を見たことのない人間は、俺の皇帝の地位を狙って毒殺してこようとするんスよ。別に俺は、皇帝なんてどうでもいいんんだけど。執務は大臣に任せっきりで、名前だけの皇帝っすね」
「アバー帝国では、ドラゴンは神なんだよね?」
「そうっすよ」
「僕と浮竹で、今日の朝隣国ウルト共和国で暴れまわってたブラックドラゴンを退治してしまったんだけど、これって大丈夫なのかな?」
京楽の言葉に、恋次は目を丸くしてから、朗らかに笑った。
「あの悪戯ドラゴンか。何度叱っても、人間や家畜を襲うんスよね。手に負えなくて、殺そうか迷ったけど、同族だから野放しにしておいたら、人間じゃなくってヴァンパイアの始祖に殺されるなんて。まぁ、運が良かったというべきか。強い人間相手だったら、呪術で服従を強いられて、言いなりになるしかない。ドラゴンは束縛が嫌いなんスよ」
「知ってる。お前とは、始祖の時代からの知り合いだ」
「始祖の時代からの知り合いっていっても、あんまり交流なかったし、浮竹さんすぐに休眠に入っちゃうし」
恋次は、そう言って酒を見せた。
戦闘人形たちが、料理を用意して振る舞ってくれた。
「いやぁ、恋次クンのもってきた酒はうまいねぇ」
「そうでしょ、そうでしょ。こんなにうまいのに、白哉さん飲んでくれないんすよね」
「それは、君に下心があるからじゃないの」
「だって、一目ぼれなんスよ。聖女のルキアも好きだけど、兄である白哉さんも好きだ」
「兄妹揃って手に入れようなんて、考えてないよね?」
「できるなら、とっくにそうしてるっスよ。ブラッディ・ネイのせいで、できないけど」
「白哉とルキア君と付き合いたいなら、まずは俺を説得することだ」
一人黙々と飲んでいた浮竹は、目が座っていた。
と思ったら、赤い顔をして服を脱ぎ出した。
「うわぁ、浮竹、何、酔ったの!?いつも酒飲まないから知らなかった。酔うと脱いじゃうんだ。今度利用しよう。でも、今は恋次クンがいるからね?」
「浮竹さん、ちゃんと食ってます?相変らず線細いっすよね」
「うわぁ、恋次クンは見ちゃだめ!目をつぶってて」
「はい」
恋次は言われた通りに目をつぶった。
その間に、半裸になった浮竹に服を着せて、眠り薬を飲ませた。
「ちょっと、浮竹寝かしつけてくるから、戦闘人形のリーダーと飲んでて」
「分かりました」
浮竹は、薬がすぐ効いたのか、スースーと静かな寝息を立てていた。
その軽い体を抱き上げて、寝室までくると、天蓋つきのベッドに寝かせて、毛布と布団をかけた。
戻ってきた京楽が見たものは、酔いつぶれて裸で踊っている戦闘人形のリーダーと、それに拍手喝采を浴びせている恋次の、なんともいえない姿だった。
「いや、戦闘人形って便利っすね。家事もしてくれるし、戦闘もしてくれるし、こうやって酒と酔っ払いの相手もしてくれる」
「いや、この子が特別製だからだよ。他の戦闘人形は、言葉は理解できるけど意思疎通は難しい」
「んー。でも便利っすよね。浮竹さんの血で、作られているんでしたっけ」
「そうだね。浮竹にしか使えない魔法というか、呪術に近いね」
「俺、魔法も呪術もからっきしで。剣の腕だけは、それなりだけど。人型って不便なようで便利で、でも不便」
「どっちなんだい?」
「さぁどっちでしょうね。まぁ、今日はお開きにしましょうか。浮竹さん寝ちゃったみたいだから」
「君も、泊まっていくかい?」
「いや、白哉さんのとこいってきます。この時間だと起きてると思うし」
白哉だけでなく、血の帝国の民は夜行性である。
浮竹と京楽の方が変わっているのだ。通常、ヴァンパイアは夜行性で、闇に生きる者である。浮竹と京楽は、朝に起きて日中に活動した。
「今日こそ、白哉さんを振り向かせてみせる!」
「がんばれ、恋次クン」
そうやって、恋次は白哉に告白し、振られて大ダメージを被ることになるのだった。
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「んー、春水、春水」
「あれ、起きてたの、十四郎」
同じベッドで眠ろうとした京楽は、薬を飲ませて先に寝かせたはずの浮竹が起きているので、少し驚いた。
「俺には、薬はあまりきかない。そういう体質なんだ。多分、強めの薬を飲ませただろう」
「うん。ちゃんと寝てほしかったから」
「2時間で目が覚めた。暇だ春水。恋次君はもう帰ってしまったのか?」
「白哉クンを振り向かせてみせるって、意気込んで血の帝国に向かう地下の空間転移魔法陣で、行ってしまったよ」
「あーあ。きっと振られるだろうなぁ」
「なんで分かるの?」
「白哉には想い人がいる」
「え、マジなの」
「ああ。緋真という、ヴァンパイアの皇族の末席にいる姫君だ」
「ああ、知ってる。ルキアちゃんとよく似た子でしょ」
「恋次君、盛大に振られるだろうなぁ」
「じゃあ、せめて僕たちは仲良くしないと」
服の裾から入り込んできた手に、浮竹が京楽を抱きしめた。
「好きだ、春水。酒を飲んでいた時の記憶がふっとぶから、俺は普段酒を飲まないんだ」
「おまけに脱ぐしね」
「ああ、それもあるから、普通は酒は飲まない」
酒の勢いのせいか、京楽はいつもより強引だった。
「あ、あ、あ・・・・・・・」
浮竹の衣服を脱がしながら、自分も裸になった。
「んんっ」
胸の先端を甘噛みして、舌で舐め転がす。反対側は指でつまみあげた。
「あ!」
もう百年以上も睦み合ってきたせいで、浮竹の弱点など知り尽くしている。
浮竹の勃ちあがったものを手でしごいて、口に含んで奉仕すると、浮竹は薄い精子を京楽の口の中に放っていた。
昨日、睦み合ったばかりであった。
「このまま続けるよ。いいかい?」
「好きにしろ。体にスイッチが入った。責任はとれ」
浮竹の体全体を愛撫して、耳を甘噛みして囁いた。
「大好きだよ、十四郎」
潤滑油の力もかりて、ぬるりと中に入り込んできた指を、浮竹は知らない間に締め付けていた。
「十四郎、力抜いて」
「んっ・・・・・ああ!」
前立腺をこりこりと刺激されて、浮竹のものはまた勃ちあがっていた。
その根元を、京楽は紐で戒めた。
「やああ、いきたい!やだ、春水!」
「我慢しようね?いっぱい我慢した後でいくと、すごく気持ちいいから」
「やあ!」
指が抜きされて、京楽のものがズズっと入り込んでくる。
その熱さに、浮竹は先走りの蜜をダラダラ零していた。
「やあ、いきたい、いきたい」
「もうちょっと待って」
浮竹のいい場所ばかりを突き上げると、京楽は涙を零す浮竹の涙を吸い上げて、結腸に向かってごりっと押し込んだ。そのまま射精した。
「あああああ!!!」
浮竹を戒めていた紐をとってやると、勢いよく精子が飛び出した。
京楽は、いっている最中の浮竹の首に噛みついて、血を啜る。
「いやあああ!変になる、やあああ!!!」
二重の快楽に、浮竹は京楽の下で乱れた。
そして、ぐったりとなる。
その体に覆いかぶさって、口づける。
「君は僕のものだ、十四郎。この甘い体は、僕だけのもの」
「あ、春水、愛してる。もっと、ちょうだい?春水のザーメン、もっといっぱい欲しい。胎が疼くんだ。お前の子種が欲しいと」
「淫乱だね、春水は」
「お前のせいだ」
「そうだね。僕が、十四郎の体をこんなにしちゃった。責任とるから、いっぱい受け止めて、孕んでね?」
「あ、あ、ああああ!もれる、もれる!」
潮をふいた浮竹は、おもらしをしたと勘違いして、泣いていた。
「潮をふいただけだよ、十四郎。きもちよくなっちゃったんだね」
「やああ、もうや!春水、春水」
「僕はここにいるよ」
ぐちゃぐちゃと、熱で浮竹の内部を犯しながら、また噛みついて血を啜ってやった。
「ああああ!」
浮竹はまたいっていた。もう出すものもなく、たまに潮をふいて、後はオーガズムでいくだけだった。
「や、もう限界・・・」
浮竹は、薄くなっていく意識の狭間で、京楽の顔をしっかりと脳裏に焼き付ける。
「君は、僕のものだ」
最後の一滴まで、浮竹に注ぎこんで、京楽は満足した。
もう、浮竹の意識はなかった。
「だから、そんなに怒らないでよ。君も感じてたじゃない」
「潮吹きだなんて、おもらししているようで嫌なんだ!」
「ただ感じちゃってるだけだから、大丈夫だよ」
「嫌なものは嫌だ。2週間は、もう京楽とはセックスしない」
「そんなぁ」
禁欲令を出されて1週間もしないうちに、京楽が浮竹を抱いてしまったのは、また別のお話。
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「君の名は?」
「京楽春水」
「君の主は?」
「ブラッディ・ネイ」
「あははは、ねぇ兄様!兄様、愛しい者を奪われるってどんな気持ち?」
「ブラッディ・ネイ!お前は!」
浮竹の体は、十代のヴァンパイアの少女になっていた。
「ボクの子供、産ませてあげる、兄様。ボクの子供、孕んで?」
「ブラッディ・ネイ。何処までも、愚かな俺の妹よ・・・・・」
「アハハハハハ、愛してるよ兄様、兄様!」
実に妹に体を好き勝手されて、浮竹は目を閉じた。
京楽を無事取り戻すためなら、妹に服従してもいい、と。
「ひいい、逃げろおおお!!」
「いやああ、まだ、まだ子供がああ!」
「諦めろ!ブラックドラゴンのブレスであんたも焼け死ぬぞ!」
隣国ウルト共和国では、ブラックドラゴンが暴れまわっていた。
人や家畜を襲って、食った。
金銀財宝に目がなく、奪った。
「金銀財宝をため込むという点で、その金銀財宝だけ奪ってリリースするのはどうだろう」
「やめておきなよ。怒り狂って、人間たちの手に負えなくなるよ」
(ブラックドラゴンよ。神代から生きるヴァンパイアの始祖が命じる。大人しく山に帰れ。そうすれば、命だけは助けてやる)
古代語で思念で話かけると、ブラックドラゴンは浮竹と京楽の前に降り立った。
「神代から生きるヴァンパイアの始祖だと?そんな始祖が我に何の用だ」
「単刀直入に言うと、退治させろ」
「ガハハハハ!我は六百年を生きる、ドラゴン!ヴァンパイア如きに、殺されるものか!」
ブラックドラゴンは、古代語で浮竹と京楽に話しかけた。
京楽には古代語の知識はなかったが、浮竹を介して理解できた。
「そのへんでやめといたほうがいいんじゃない、ブラックドラゴン。僕の主は、南のファイアードラゴンを葬っているよ」
「何、ファイアードラゴンだと。かの者は我の中よき友人であった。ヴァンパイアよ、許さぬ」
ブラックドラゴンは、炎のブレスを吐いた。次に、氷のブレスを吐いた。
「ふはははは、焼け焦げたか、それとも凍ったか?」
ブレスの直撃を受けたはずの二人は、京楽が張った血のシールドによって、無事だった。
「我がブレスを受けても平気だと?馬鹿な、ヴァンパイア如き・・・・始祖、始祖だと。始祖とは我が師、神代より生きるカイザードラゴンと同じ、始祖か!」
「そうそう。そのカイザードラゴン、竜帝は、今は南の帝国で皇帝やってるよ。人間化して、人間の中で生きている。君と違って、温厚でドラゴンとして崇められるよりも、人として生きるのが好きで、たまに古城にお忍びで遊びにくるんだ」
京楽の説明に、ブラックドラゴンがその金色の瞳の瞳孔を縦に収縮した。
「笑止!カイザードラゴンはそんな存在ではないわ!」
「え、浮竹、そうなの?たまに遊びにやってくる人って、カイザードラゴンって言ってたけど、全然関係ない人?」
浮竹は、微笑んだ。
「カイザードラゴンと友人なのは本当だ。京楽も、信じられないか。神代から生きるカイザードラゴンが人として生きているなんて」
「そんなことないけど。浮竹の説明通りに話しても、このブラックドラゴンに通用しないよ」
「仕方ない、殺すか」
「待て、始祖よ。我の力を与えよう。始祖である汝は、我と・・・・・」
「エアリアルエッジ」
浮竹は、風の精霊エアリアルに命じて、真空の刃を起こさせると、それでドラゴンの鱗も貫き、首を落としてしまった。
「始祖よ・・・せめて、我が魂を持っていけ」
キラキラと、ドラゴンの魂の結晶が、浮竹の手の中にあった。
「ドラゴンの聖なる魂のオーブ。三大秘宝の1つじゃないか!」
京楽は、浮竹の手の中にある物を見て、その値段にびびっていた。
古城を10個ほど買えるし、200年以上遊んで暮らせる額の秘宝で、神族の皇族の心臓、魂のルビーと並ぶ、三大秘宝の一つであった。
「なんちゅーものもらってるの、浮竹」
「これは・・・・置いておくと、人間同士で醜い争いが起きそうだ。もらって帰るか」
浮竹は、ドラゴンのオーブをアイテムポケットにしまいこんだ。
そして、ドラゴンの巨大な肉体ごと、アイテムポケットに入れた。血の一滴も残さず収納しおえる。
山に移動して、ブラックドラゴンの住処をみつけだして、金銀財宝を全てアイテムポケットにいれて、浮竹は京楽と共にウルト共和国を後にした。
古城のある、ガリア王国の冒険者ギルドの解体工房で、浮竹はブラックドラゴンの遺体を出した。
その場にいた皆が、顎が地面に落ちそうなくらい口をあけて、驚愕していた。
「間違いない。ウルト共和国で暴れまわっていたブラックドラゴンだ。左目に傷がある」
「ドラゴンの眼球は高く売れるんだけどな。1つしかないのは残念だ」
浮竹の言葉に、皆浮竹を見た。
京楽は、ハラハラしていた。
「このブラックドラゴンは、あなたが倒したのですか?」
「ああ、そうだ」
「たった一人で?」
「いや、京楽と二人で」
嘘こけ。一人で倒しただろとツッコミを入れたかったが、京楽は黙っていた。
「ガリア王国の冒険者ギルドにおいて、あなたがたをSランクの冒険者として認定します」
「ありがとう」
「早速ですが、このドラゴンの遺体は買い取ってもいいのですか?」
「ああ、もちろんだ。肉は少々いただくが、後は素材となりうるもの全て、後血も売る」
「ありがとうございます。この契約書にサインを」
浮竹は、すぐにはサインせず、魔力を流して呪術的なものがないかを確認してから、達筆な文字で浮竹十四郎と書いた。
「ありがとうございます。しめて金貨3千枚になりますが、よろしいでしょうか」
「新鮮だぞ。3千枚なら、隣国で売る」
「し、失礼しました!金貨5千枚で買い取らせていただきます」
「それならいい」
浮竹も納得がいったのか、ドラゴンの素材を、ステーキにする分の肉の塊をとって、その他の全ての部位を、冒険者ギルドで売り払った。
Sランク冒険者。
ギルドでさざめきが起きる。
「私、Aランクのハーフエルフのミレーネっていうの!一緒にパーティー組まない?」
「パーティーは、相方がいるので組まない」
「そんなこと言わずにさぁ・・・・・」
浮竹に胸を押し付けるハーフエルフに、京楽は殺気に満ちた視線を送った。
「ひっ!あ、あなたの相方、目つきが異常よ!呪われてるんじゃないの!?」
「京楽を馬鹿にするな、人間」
「浮竹、だめだよここで暴力沙汰は。Sランクの冒険者らしく、堂々と振る舞ってればいいんだよ」
「冒険者のランクなんてどうでもいい」
「おい、それは聞き捨てならないな。俺の名は風のヒューイ。Sランク冒険者だ。あんたに、決闘を申し込む!」
「買った」
浮竹は、京楽が静止の声を出す間もなく、決闘を受け入れた。
「では、冒険者ギルドの裏手で、試合をしよう。木刀で試合だ」
「魔法は?魔法は、使っていいのか?」
「ああ、もちろんだ」
「ちょっと、浮竹」
「京楽。人間どもに思い知らせる必要がある。Sランク冒険者となった俺たちの力を」
「だからって、何も決闘を受けなくても・・・・」
数十人が見守る中、決闘は行われた。
みんなどっちに賭けるか勝負していて、大半がヒューイとかいう冒険者に賭けていた。
「さぁ、どっからでもかかってきなさい、お嬢さん」
風が吹いて、浮竹の美しい長い白髪が流れる。
「エアリアルエッジ
マジックブースト
ヘルインフェルノ」
三重に、魔法を詠唱していた。
エアリアルエッジで、相手がもっていた木刀を斬り裂き。
マジックブーストで、身体能力をひきあげて木刀を相手ののど元につきつけ。
ヘルインフェルノで、隣の空間を焼き払い、自分の魔力の高さを見せた。
「ま、負けだ、俺の負けだ!なんなんだ、魔法の三重詠唱だと?魔法使いでもないのに、ありえない!」
「誰が魔法使いなどといった?俺は剣士であると同時に、魔法士だ」
ざわめきが大きくなった。
魔法士。
宮廷にいる、魔法使いがそう呼ばれていた。
もしくは、それに匹敵する者。
「魔法士だという証拠がどこにある!」
「そんなの、いらないでしょ?3重に魔法を使える魔法士なんて、この子以外にいるの?この子以上の魔法の使い手はこの国にいるの?」
京楽の言葉に、シーンと場が静まり返った。
「行こう、京楽」
「でも浮竹、記憶は消しておいたほうが」
「また、冒険者ギルドには厄介になる。いいから行こう。強い魔力の反応が、古城にある。侵入者だ」
浮竹も京楽も、急いで冒険者ギルドを後にすると、認識阻害の魔法をかけてから、ヴァンパイアの証である真紅の翼を広げて、古城へと帰還した。
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「いよーっす。待ってました、京楽さん、浮竹さん」
「なんだ、お前か、恋次」
「いい酒手に入ったんで、一緒に飲もうと思って」
やってきたのは、例のブラックドラゴンがいっていた、カイザードラゴン、始祖のドラゴンが人化した青年であった。
赤い髪に、体中にいれこまれたタトゥーが印象的だった。
「白哉さんに、酒もっていったんだけど「いらぬ、お前が傍にいると心穏やかで過ごせぬ」とか言って追い出された。俺、あの人のこと何度も好きだっていってんのに、いつも振られてる。守護騎士をたまにしてるけど、やっぱり振られる」
恋次は、名を阿散井恋次という。
南のほうの帝国、アバー帝国の皇帝だ。
それが、抜け出して遊びにきたということは、今頃影武者が皇帝をしているのだろう。
アバー帝国では、ドラゴンは神である。その始祖であるカイザードラゴンが人型になった瞬間、人々は恋次を皇帝へと押し上げた。
元々の皇族を処分して。
暗殺やら毒殺やら、いろいろされたが、恋次もまた始祖であるが故に死ねぬ呪いを体にもっていて、死ぬ度に体にタトゥーが付け足される。
もう30回以上は死んでいる計算になるだろうか。
「いやぁ、この前は酒に毒が入ってて死んだから、酒にも毒見役をおいたんすよ。そしたら、みんなばたばた死んで。ああ、これヤバイなって思って、酒に携わった者全員にカイザードラゴンの姿になって真意を聞いたら、みんな気絶しちゃって」
「そりゃあ、ただの皇帝がドラゴンになったら、誰でも驚くだろう」
「一応、カイザードラゴンだって言って何度か変身してみたんスけどね。俺の姿を見たことのない人間は、俺の皇帝の地位を狙って毒殺してこようとするんスよ。別に俺は、皇帝なんてどうでもいいんんだけど。執務は大臣に任せっきりで、名前だけの皇帝っすね」
「アバー帝国では、ドラゴンは神なんだよね?」
「そうっすよ」
「僕と浮竹で、今日の朝隣国ウルト共和国で暴れまわってたブラックドラゴンを退治してしまったんだけど、これって大丈夫なのかな?」
京楽の言葉に、恋次は目を丸くしてから、朗らかに笑った。
「あの悪戯ドラゴンか。何度叱っても、人間や家畜を襲うんスよね。手に負えなくて、殺そうか迷ったけど、同族だから野放しにしておいたら、人間じゃなくってヴァンパイアの始祖に殺されるなんて。まぁ、運が良かったというべきか。強い人間相手だったら、呪術で服従を強いられて、言いなりになるしかない。ドラゴンは束縛が嫌いなんスよ」
「知ってる。お前とは、始祖の時代からの知り合いだ」
「始祖の時代からの知り合いっていっても、あんまり交流なかったし、浮竹さんすぐに休眠に入っちゃうし」
恋次は、そう言って酒を見せた。
戦闘人形たちが、料理を用意して振る舞ってくれた。
「いやぁ、恋次クンのもってきた酒はうまいねぇ」
「そうでしょ、そうでしょ。こんなにうまいのに、白哉さん飲んでくれないんすよね」
「それは、君に下心があるからじゃないの」
「だって、一目ぼれなんスよ。聖女のルキアも好きだけど、兄である白哉さんも好きだ」
「兄妹揃って手に入れようなんて、考えてないよね?」
「できるなら、とっくにそうしてるっスよ。ブラッディ・ネイのせいで、できないけど」
「白哉とルキア君と付き合いたいなら、まずは俺を説得することだ」
一人黙々と飲んでいた浮竹は、目が座っていた。
と思ったら、赤い顔をして服を脱ぎ出した。
「うわぁ、浮竹、何、酔ったの!?いつも酒飲まないから知らなかった。酔うと脱いじゃうんだ。今度利用しよう。でも、今は恋次クンがいるからね?」
「浮竹さん、ちゃんと食ってます?相変らず線細いっすよね」
「うわぁ、恋次クンは見ちゃだめ!目をつぶってて」
「はい」
恋次は言われた通りに目をつぶった。
その間に、半裸になった浮竹に服を着せて、眠り薬を飲ませた。
「ちょっと、浮竹寝かしつけてくるから、戦闘人形のリーダーと飲んでて」
「分かりました」
浮竹は、薬がすぐ効いたのか、スースーと静かな寝息を立てていた。
その軽い体を抱き上げて、寝室までくると、天蓋つきのベッドに寝かせて、毛布と布団をかけた。
戻ってきた京楽が見たものは、酔いつぶれて裸で踊っている戦闘人形のリーダーと、それに拍手喝采を浴びせている恋次の、なんともいえない姿だった。
「いや、戦闘人形って便利っすね。家事もしてくれるし、戦闘もしてくれるし、こうやって酒と酔っ払いの相手もしてくれる」
「いや、この子が特別製だからだよ。他の戦闘人形は、言葉は理解できるけど意思疎通は難しい」
「んー。でも便利っすよね。浮竹さんの血で、作られているんでしたっけ」
「そうだね。浮竹にしか使えない魔法というか、呪術に近いね」
「俺、魔法も呪術もからっきしで。剣の腕だけは、それなりだけど。人型って不便なようで便利で、でも不便」
「どっちなんだい?」
「さぁどっちでしょうね。まぁ、今日はお開きにしましょうか。浮竹さん寝ちゃったみたいだから」
「君も、泊まっていくかい?」
「いや、白哉さんのとこいってきます。この時間だと起きてると思うし」
白哉だけでなく、血の帝国の民は夜行性である。
浮竹と京楽の方が変わっているのだ。通常、ヴァンパイアは夜行性で、闇に生きる者である。浮竹と京楽は、朝に起きて日中に活動した。
「今日こそ、白哉さんを振り向かせてみせる!」
「がんばれ、恋次クン」
そうやって、恋次は白哉に告白し、振られて大ダメージを被ることになるのだった。
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「んー、春水、春水」
「あれ、起きてたの、十四郎」
同じベッドで眠ろうとした京楽は、薬を飲ませて先に寝かせたはずの浮竹が起きているので、少し驚いた。
「俺には、薬はあまりきかない。そういう体質なんだ。多分、強めの薬を飲ませただろう」
「うん。ちゃんと寝てほしかったから」
「2時間で目が覚めた。暇だ春水。恋次君はもう帰ってしまったのか?」
「白哉クンを振り向かせてみせるって、意気込んで血の帝国に向かう地下の空間転移魔法陣で、行ってしまったよ」
「あーあ。きっと振られるだろうなぁ」
「なんで分かるの?」
「白哉には想い人がいる」
「え、マジなの」
「ああ。緋真という、ヴァンパイアの皇族の末席にいる姫君だ」
「ああ、知ってる。ルキアちゃんとよく似た子でしょ」
「恋次君、盛大に振られるだろうなぁ」
「じゃあ、せめて僕たちは仲良くしないと」
服の裾から入り込んできた手に、浮竹が京楽を抱きしめた。
「好きだ、春水。酒を飲んでいた時の記憶がふっとぶから、俺は普段酒を飲まないんだ」
「おまけに脱ぐしね」
「ああ、それもあるから、普通は酒は飲まない」
酒の勢いのせいか、京楽はいつもより強引だった。
「あ、あ、あ・・・・・・・」
浮竹の衣服を脱がしながら、自分も裸になった。
「んんっ」
胸の先端を甘噛みして、舌で舐め転がす。反対側は指でつまみあげた。
「あ!」
もう百年以上も睦み合ってきたせいで、浮竹の弱点など知り尽くしている。
浮竹の勃ちあがったものを手でしごいて、口に含んで奉仕すると、浮竹は薄い精子を京楽の口の中に放っていた。
昨日、睦み合ったばかりであった。
「このまま続けるよ。いいかい?」
「好きにしろ。体にスイッチが入った。責任はとれ」
浮竹の体全体を愛撫して、耳を甘噛みして囁いた。
「大好きだよ、十四郎」
潤滑油の力もかりて、ぬるりと中に入り込んできた指を、浮竹は知らない間に締め付けていた。
「十四郎、力抜いて」
「んっ・・・・・ああ!」
前立腺をこりこりと刺激されて、浮竹のものはまた勃ちあがっていた。
その根元を、京楽は紐で戒めた。
「やああ、いきたい!やだ、春水!」
「我慢しようね?いっぱい我慢した後でいくと、すごく気持ちいいから」
「やあ!」
指が抜きされて、京楽のものがズズっと入り込んでくる。
その熱さに、浮竹は先走りの蜜をダラダラ零していた。
「やあ、いきたい、いきたい」
「もうちょっと待って」
浮竹のいい場所ばかりを突き上げると、京楽は涙を零す浮竹の涙を吸い上げて、結腸に向かってごりっと押し込んだ。そのまま射精した。
「あああああ!!!」
浮竹を戒めていた紐をとってやると、勢いよく精子が飛び出した。
京楽は、いっている最中の浮竹の首に噛みついて、血を啜る。
「いやあああ!変になる、やあああ!!!」
二重の快楽に、浮竹は京楽の下で乱れた。
そして、ぐったりとなる。
その体に覆いかぶさって、口づける。
「君は僕のものだ、十四郎。この甘い体は、僕だけのもの」
「あ、春水、愛してる。もっと、ちょうだい?春水のザーメン、もっといっぱい欲しい。胎が疼くんだ。お前の子種が欲しいと」
「淫乱だね、春水は」
「お前のせいだ」
「そうだね。僕が、十四郎の体をこんなにしちゃった。責任とるから、いっぱい受け止めて、孕んでね?」
「あ、あ、ああああ!もれる、もれる!」
潮をふいた浮竹は、おもらしをしたと勘違いして、泣いていた。
「潮をふいただけだよ、十四郎。きもちよくなっちゃったんだね」
「やああ、もうや!春水、春水」
「僕はここにいるよ」
ぐちゃぐちゃと、熱で浮竹の内部を犯しながら、また噛みついて血を啜ってやった。
「ああああ!」
浮竹はまたいっていた。もう出すものもなく、たまに潮をふいて、後はオーガズムでいくだけだった。
「や、もう限界・・・」
浮竹は、薄くなっていく意識の狭間で、京楽の顔をしっかりと脳裏に焼き付ける。
「君は、僕のものだ」
最後の一滴まで、浮竹に注ぎこんで、京楽は満足した。
もう、浮竹の意識はなかった。
「だから、そんなに怒らないでよ。君も感じてたじゃない」
「潮吹きだなんて、おもらししているようで嫌なんだ!」
「ただ感じちゃってるだけだから、大丈夫だよ」
「嫌なものは嫌だ。2週間は、もう京楽とはセックスしない」
「そんなぁ」
禁欲令を出されて1週間もしないうちに、京楽が浮竹を抱いてしまったのは、また別のお話。
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「君の名は?」
「京楽春水」
「君の主は?」
「ブラッディ・ネイ」
「あははは、ねぇ兄様!兄様、愛しい者を奪われるってどんな気持ち?」
「ブラッディ・ネイ!お前は!」
浮竹の体は、十代のヴァンパイアの少女になっていた。
「ボクの子供、産ませてあげる、兄様。ボクの子供、孕んで?」
「ブラッディ・ネイ。何処までも、愚かな俺の妹よ・・・・・」
「アハハハハハ、愛してるよ兄様、兄様!」
実に妹に体を好き勝手されて、浮竹は目を閉じた。
京楽を無事取り戻すためなら、妹に服従してもいい、と。
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