始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝
西洋の浮竹と京楽は、東洋の浮竹と京楽とお茶をしていた。
ここは古城。
西洋の浮竹と京楽が暮らす世界。そこに、友人である東洋の浮竹と京楽がきていた。
夢渡りを利用して、こちらの世界にきてくれたのだ。
「茶葉はアッサムの皇室御用達のものを。お菓子はドーナツとチーズケーキで」
西洋の京楽は、同じ西洋の浮竹に一番にお茶を出してやった。
次に、東洋の浮竹に、その次に自分用に、最後に東洋の京楽に。
「この茶を入れる順番に、お前の好感度が反映されてるみたいで、見ていて楽しい」
西洋の浮竹は、そう言ってアッサムの紅茶を飲み、ドーナツを食べた。
東洋の浮竹は、もくもくとお菓子を食べていた。
その瞳が嬉しそうに輝いていた。
(俺の春水と同じくらい、おいしいな。お茶もおいしいし)
(ええ、ボクが作ったほうが、きっともっとおいしいよ)
にこにこと、東洋の浮竹を見ながら、同じ東洋の京楽はそんなことを言う。
「いや、僕の方が美味しいよ」
ここは譲れないのだと、西洋と東洋の京楽はばちばちと火花を散らせた。
お互い、本来の仲は悪くはないのだが、愛する伴侶のことになると、自慢大会をしそうなくらいに、火花を散らせた。
それに、西洋の浮竹は呆れていた。東洋の浮竹はというと、もっと仲良くできないのだろうかと、心配そうな表情をするのであった。
(十四郎、ほっぺにドーナツの砂糖がついてるよ)
東洋の京楽は、同じ東洋の浮竹のほっぺについた砂糖を、ぺろりと舌でとってしまった。
それに、東洋の浮竹が真っ赤になった。
(こら、春水、西洋の俺たちが見ているだろう!)
「いや、こっちの京楽も似たようなことしてくるから、別に隠さなくていいぞ」
「ふふふ、浮竹かわいい。愛してるよ」
西洋の浮竹は、西洋の京楽に抱き着かれて、赤くなりながら、次にそのほっぺをつねった。
「あいたたたた」
「東洋の俺たちが見ているだろうが!」
東洋の浮竹と同じようなこと口にするのであった。
(そうそう、この前S級ダンジョンとやらに潜っただろう。今度は、普通にみんなで攻略したいんだが)
(十四郎が、そう言ってきかなくてね。どうだい、もう一度そのS級ダンジョンとやらに、連れていってもらえないかい?)
「お前たちの頼みなら、叶えてやるしかないな」
「そうだね。あの時は一護君がいたから、戦闘には参加できなかっただろうし」
そうして、西洋と東洋の浮竹と京楽は、S級ダンジョンに潜るために、準備をするのであった。
4人分の水と食料を1週間分。あとはテントを2つに寝袋を4つ。
西洋の浮竹は、念の為に錬金術でエリクサーを作り、疲労回復、魔力回復のポーションを作った。
錬金術を見るのは初めてで、東洋の浮竹はきらきらした目で、西洋の浮竹の錬金術を見ていた。
(俺にもできるかな?)
「うーん、無理だろうな。こうなるまでに、休眠期間を除けば3千年かかった」
(3千年・・・・・そういえば、西洋のお前は何歳だっけ?)
「8千歳だが?」
(は、8千・・・・・・)
東洋の浮竹は、あんぐりと口を開けた。
(まぁ、始祖ヴァンパイアっていうくらいだから、年をとってても仕方ないよ)
「まるで、僕の浮竹がじいさんみたいな言い方だね?」
(いや、そういうつもりじゃなかっただんよ。気に障ったのなら謝る)
(初めに年齢を聞いて驚いた俺が悪い。春水、謝らなくていいぞ)
「別に怒ってなんていない。8千年も生きいる存在なんて、この世界でもほとんど存在しないからな」
(そ、そうだよな!でも、俺もあと2百年くらいしたら漸く千年生きたことになるな!)
(あ、うん・・・そうだね)
東洋の浮竹と京楽は、輪廻転生を繰り返していた。
(俺も、そうしたら錬金術が使えるかも!)
本気で錬金術士になりそうな勢いの東洋の浮竹に、東洋の京楽が本気で止めた。
(だめだよ、十四郎。そんな変なのになっちゃ)
「変ではないぞ。錬金術士は、ちゃんとした職業だ。ちなみに、俺は最高位クラスのミスリルランクの錬金術士だ」
(最高位・・・ミスリルランク・・・かっこいい)
まるで、自分で自分に惚れるかのように、輝く瞳で東洋の浮竹は、西洋の浮竹を見ていた。
(十四郎、絶対にだめだからね。錬金術なんて、ボクの十四郎には必要ない)
「そうだぞ。ここに、俺という錬金術士がいる。錬金術士なんて、一人いれば十分だ」
「浮竹の作る薬は、とてもよくきくよ?試しに、何かポーションでも飲んでみる?」
「こら、京楽、健康な体でポーションを飲むのは意味がない」
「ああ、それもそうか」
「とりあえず、必要になりそうな薬は全て作ってもっていく」
西洋の浮竹は、そう言って錬金術で、必要になるであろう薬を調合していくのだった。
ちなみに、東洋の京楽は千里眼をもっていた。自分の浮竹が錬金術を覚えたら、住んでいる雑居ビルを吹き飛ばす。
そんな未来が見えて、東洋の京楽はお菓子をだしたりして、東洋の浮竹から錬金術への興味削いでいくのだった。
-----------------------------------------
「ヘルインフェルノ!」
出てきたモンスターを西洋の浮竹が魔法で屠る。
(やっぱいいなぁ、魔法。かっこいい。俺も使ってみたい)
キラキラした瞳で、東洋の浮竹は西洋の浮竹を見ていた。
「魔法は、流石にこちらの世界の存在じゃないと使えないな」
(むう、残念だ)
(僕らは蛇神、蛇がいるでしょ?)
(いるが・・・火とか吐いたらカッコいいと思う)
(ごめん、周り燃やしそうだから却下で・・・・・)
そう東洋の京楽に言われて、東洋の浮竹はしょんぼりするのだった。
「そっちにいったぞ」
(うん、任せて)
向かってきたマンティコアを、東洋の京楽が影の蛇をけしかけて、戒めるとその毒牙でとどめをさしてしまった。
「蛇でそんなことができるのか。さすがは蛇神。東洋の京楽だな」
(あ、そっちにもいったよ)
西洋の浮竹に向かっていったマンティコアは、西洋の京楽の剣で斬り裂かれて、息絶えた。
「僕の浮竹に襲い掛かるなんて、一億年早い」
「なんだそれは」
西洋の浮竹が笑う。釣られて、西洋の京楽も笑った。
同じように、東洋の浮竹も京楽も笑うのだった。
----------------------------------------------------
宝箱があった。
西洋の浮竹は、素早い動きで動いた。
「ちょっと、浮竹、絶対ミミックだって!」
「ミミックだからいいんだ」
そう言って、西洋の浮竹は宝箱をあけた。ミミックだった。
「狭いよ暗いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
ミミックに上半身をかじられて、西洋の浮竹はじたばたしていた。
それに、西洋の京楽がため息をつく。一方、東洋の浮竹と京楽は。
(またやってる。すごいな)
(真似できないね。というか、学習能力がない)
そう言って、ドン引きされるのであった。
ミミックから救出された、西洋の浮竹は、炎の魔法でミミックを倒した。
ミミックは、魔法書をドロップして消えてしまった。
「やった、魔法書だ。民間魔法か・・・・どれどれ」
「また、変な魔法じゃないだろうね」
「毒の効き目を遅くさせる魔法だそうだ」
「へぇ、珍しく使えそうなやつじゃない」
(いつもはどんな魔法を覚えているんだ?)
「頭がアフロになったり、水虫ができたり、10円ハゲができたりする魔法だよ」
「おい、京楽、片寄りしすぎだろう。もっといい魔法もあるんだぞ」
「まぁね。でも、浮竹が覚える魔法のほとんどが、役に立たないのは事実だよね」
本当のことを言われて、西洋の浮竹は落ち込む。
「ああ、そんなつもりじゃなかったんだよ。ごめんね、浮竹。愛してるよ?」
西洋の京楽は、西洋の浮竹の顎に手をかけて、口づけた。
「んっ」
それを見ていた東洋の浮竹は真っ赤になって、京楽のほうはというとだたじっと、自分と同じ姿をした西洋の京楽を見ていた。
「ばか、東洋の俺たちが見てるだろうが!」
そう言いつつも、まんざらでもなさそうだった。
(こっちの十四郎も、僕の十四郎ほどじゃないけど、綺麗だね)
(え、ああ、まぁそうだな)
自分のことも褒められて、真っ赤になりながら、東洋の浮竹はペロリと唇を舐めている、妖艶な西洋の自分を見ていた。
「喉が渇いた」
(あ、お茶でものむか?)
「そういう渇きじゃない。京楽、血を吸わせろ」
そう言って、西洋の浮竹は、自分の血族である西洋の京楽に噛みつき、血を啜った。
(わぁ、本当に吸血するんだ。さすがヴァンパイア)
驚く東洋の京楽と違って、東洋の浮竹は心配そうにしていた。
(痛くないのか?貧血になったりはしないのか?)
西洋の浮竹は、血の付いた唇を舐めた。
「吸血行為は快感を伴うから、痛くない。飲みすぎると貧血には確かになるが、命に別状はない」
そう言って、西洋の浮竹は同じ西洋の京楽に、人工血液を与えた。
「君の血のほうがいいんだけどね」
「文句を言うな。どうせ夜に俺を抱いて、渇きを訴えるまで血を飲むんだろうが」
ベッドで吸血しあいながらもつれる二人を想像して、東洋の浮竹は更に真っ赤になった。
「どうした、東洋の俺」
(いや、なんていうか、本当にヴァンパイアなんだなと思って)
「心配しなくても、お前たちの血をくれなんて言わないぞ」
(当たり前じゃない!ボクの十四郎の血は、一滴たりとも与えないよ!)
警戒して、東洋の浮竹を抱きしめる東洋の京楽に、西洋の浮竹が笑う。
「本当に、お前は同じ東洋の俺が大事なんだな」
(当たり前でしょ。ボクの一番大切なものは十四郎だよ。十四郎はボクのものだ。例え西洋の君にだって、あげないよ)
「いや、別にいらん。同じ顔をの相手の血を吸いたいとも思わないし」
いらんと言われたことに少し寂しさを感じながらも、東洋の浮竹も自分の京楽が西洋の浮竹に血をい吸われることを想像して、きゅっと東洋の京楽の服の裾を掴んだ。
(春水も、血をやってはだめだぞ。お前は、俺のものでもあるんだから)
(当たり前でしょ)
「おいおい、だからお前たちの血は吸わんといってるだろう。蛇神だ。血に毒をもっているだろう?」
「うわぁ、毒の血なんて飲みたくないね。それにしても、東洋の浮竹は反応がかわいいね」
「どうせ、俺は可愛くない。ふん」
「そんなことないよ!浮竹が一番かわいくて綺麗だから!エロいし!」
いらんこと言う西洋の京楽に、西洋の浮竹はアイテムポケットから取り出したハリセンで、その頭をスパンと殴るのであった。
そんな様子を、これまた東洋の京楽と浮竹は、呆れながら見ていた。
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64階層の深層まできていた。
このS級ダンジョンは、65層で終わりだった。
「いよいよボスだ。覚悟はできているな?」
「うん。僕はいつでもいけるよ」
(俺も、いつでも大丈夫だ)
(十四郎、無茶はしないでね?)
扉をあけると、ヒドラがいた。
「ヒドラか。少しだけ、八岐大蛇のお前に、似ているかもしれないな」
(ボクは、こんな醜いモンスターじゃないよ)
「だた、首が複数あるところが似ていると言ってるだけだ。蛇神であるお前のほうが存在が上位だし、こんなモンスター楽勝だろ?」
(そうだね。見ていてごらん)
そう言って、東洋の京楽は、影からたくさんの蛇をだして、ヒドラに噛みついた。
ヒドラは苦しそうに暴れまわっている。
それを西洋の浮竹と京楽が、シールドを張ってヒドラの動きを封じた。
「東洋の俺。トドメをさしてやれ」
(分かった)
東洋の浮竹は、白い巨大な蛇を召還すると、ヒドラの体に巻き付き、その牙でヒドラをかみ殺してしまった。
「すでに、東洋の京楽の蛇の毒で弱くなっていたとはいえ、流石だな。蛇神の名を語るだけはある」
「本当だね。蛇を使役するところも新鮮でいいね」
「さて、財宝の間だ」
そう言って、西洋の浮竹は最後の扉をあけた。
ヒドラもドラゴンの一種である。宝をため込む性質があった。
いろんな金銀財宝で溢れていた。
「お前たちも、好きなだけもっていっていいぞ」
(いや、俺たちは遠慮しておく)
「じゃあ、せめてこれをもって帰れ。エリクサー。別名神の涙。どんな状態異常も傷もなおしてくれる。何かあった時に、役立つだろう」
(いいのか?確か、高いんだろう?)
「お前たちに何かあったほうが、俺にとってショックだ」
エリクサーは、1つで屋敷を建てられる値段がする。
東洋の浮竹と京楽は、金銀財宝には興味がないようだった。節約生活を送っているので、莫大な富など必要ないのだ。今の生活で、十分満足していた。
反対に、西洋の浮竹は金銀財宝に執着はしていないが、貴重な魔法書やらエリクサーの材料に金をかけたりするので、しっかりとアイテムポケットにしまいこんだ。
「あ、宝箱!」
奥の方に、宝箱があった。
見るからに怪しい。
(西洋の俺、気をつけろ。それ、多分ミミックだ!)
「ミミックだからいいんだ」
そう言って、西洋の浮竹はミミックにかじられていた。
「狭いよ暗いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
じたばたともがくその姿を見るのは、もう20回目をこえている。
「仕方ないねぇ」
(あ、俺も手伝う)
西洋の京楽と東洋の浮竹に手伝われて、西洋の浮竹はミミックから解放された。
「フレイムランス」
ズドンと、炎の槍が、ミミックを貫く。
ミミックは断末魔をあげて、消えていった。
後には、1冊の魔法書が残されていた。
「雷系の禁呪、ゴッドブレスサンダー・・・すでに習得済みだ」
西洋の浮竹は、興味なさそうにその魔法書を放り投げた。
それを、西洋の京楽がキャッチする。
「まだ、人間界で習得されていない魔法書でしょ?めちゃ高く売れるよ。そしたら、そのお金でまた古代の魔法書の覚えていない民間魔法を覚えられるよ?」
ぴくりと、西洋の浮竹の耳が動く。
「大切にして、高く魔法屋に売ろう」
本当に、現金なものである。
(・・・・やっぱり、なんか違う。おれが思ってた始祖のヴァンパイアはもっと、こう、気高く誇り高くて・・・・・・)
(だから、十四郎?考えたら負けだよ?)
東洋の京楽は西洋の浮竹の反応を見て既に呆れ、頭を抱えている。対して、東洋の浮竹は西洋の浮竹の反応を見てなんだかしょんぼりしている。
そんなこと気にしない、西洋の浮竹であった。
そうやって、西洋と東洋の京楽と浮竹は、3日かけて全65層のS級ダンジョンをクリアしてしまうのであった。
-------------------------------------------------------
古城に戻り、しばしのお別れとなるので、戦闘人形にフルコースの料理を作らせた。
そんな御馳走、めったなことでは食べれないので、東洋の浮竹はおいしいおいしいと言いながら、たくさん食べてしまった。
西洋の浮竹と京楽はほどほどに、東洋の京楽も食べてはいるが、幸せそうに食べる東洋の浮竹ばかりを見ていた。
「東洋の京楽も、東洋の俺ばかり見ていないでもっと食え。あと、このワイン年代ものでうまいんだ。飲んでみろ」
ワイングラスに注がれたワインを飲みほして、東洋の京楽は、東洋の浮竹にも美味しいからと、ワインを飲ませた。
(俺は果実酒ほうが好きなんだが)
そう言いつつも、ワインを飲んだ。
(ああ、おなかいっぱいだ)
「口にあったか?」
(すごくおいしかった)
(うん、まぁまぁだったよ)
「それならいい」
「僕がいなくても、戦闘人形が料理してくれるからね。まぁ、最近は僕が作ることもおおいけど、流石に複数の数のフルコースは作れないよ」
「何か、お土産に持って帰るか?」
(じゃあ、果実酒を)
「ああ、一番いいものを選んでやる」
(いや、普通のでいいから!高すぎるのはお前に悪い!)
「面白いことを言う。東洋の俺にあげるなら、最高級のものを与えたくなって当たり前だろう」
(そうなのか?)
一方、西洋の京楽と東洋の京楽は、レシピについて話し合っていた。
(新しいレシピ、渡しておくよ。中華料理がメインだ。こっちの世界にはない料理だと思う)
「ないわけじゃないけど、珍しいから戦闘人形でも作れない。ありがとう、ありがたくもらっておくよ」
そんなやりとりをしていうちに、眠気を催した東洋の浮竹が、東洋の京楽の傍にやってきた。
「どうしたの」
(いつものことだよ。酒に酔ったんだよ)
もたれかかってきた東洋の浮竹を、東洋の京楽はその肩をかした。
(うん・・春水、大好きだ・・・・・・)
寝言でそんなことを言う東洋の浮竹を、自慢するかのように東洋の京楽が西洋の京楽の顔を見る。
(かわいいでしょ、ボクの十四郎)
どや顔を見せる東洋の京楽に、負けてはいられないのだと。
「僕だって!」
「なんだ、京楽」
「愛してるよ、浮竹」
「知っている。だから何だ?」
どうやら、うまく甘いことにはならないようであった。
東洋の京楽はそれを見て、やっぱり自分の浮竹が一番かわいいと思った。
「君の血が欲しい。飲ませて」
「仕方のない・・・・ああっ!」
牙を立てられて、少し乱れる浮竹を、今度は西洋の京楽が東洋の京楽に見せつけた。
「僕の浮竹は、妖艶でエロいんだから」
「待て、なんの話だ」
「なんでもない」
「なんでもないは、ないだろう。こら、京楽!」
西洋の浮竹にハリセンでしばかれる西洋の京楽は、それでもどや顔で東洋の京楽を見るのであった。
東洋の京楽は、ワインを飲みながら。
(お熱いねえ〜)
そんなことを言うのであった。
-----------------------------------------------------------------------
東洋の浮竹と京楽は、古城に一夜泊まると、元の世界へと帰っていった。
「ねぇ、昨日の続きしようよ」
「なんのことだ」
「昨日、吸血したじゃない。その続き。あの二人に見せつけてやりかったけど、片方は眠ってる、もう片方はそんな相手ばっかり見ていて。西洋の僕の浮竹がどんなにかわいくて綺麗で美人でエロいのか見せつけてやりたかったよ」
「そんなこと、考えていたのか」
「ねぇ、続きしようよ・・・・・・・」
「待て、せめて風呂に入ってから・・・・・」
「じゃあ、一緒に入ろう」
一緒に風呂に入り、髪を乾かしてから、京楽はベッドの上に浮竹を押し倒した。
「待て、春水、がっつきすぎだ」
衣服を脱がしてくる京楽に、浮竹が待ったをかける。
「全然そんなことないよ。愛してるよ、十四郎。ああ、悔しいなぁ。東洋の僕に見せつけてあげたい、今の色っぽい浮竹を」
「また、ばかなことを・・・・ああ!」
胸の先端をきつくつまみあげられて、びくんと浮竹は体を反応させた。
「かわいい。十四郎、かわいい」
「あああ!」
体全体の輪郭を確かめるように撫でて、キスマークを残していく。
浮竹のものを口に含むと、浮竹は乱れた。
「やぁああ!!」
じゅるじゅると音を立てて吸い上げてやると、浮竹が甘い体液を弾けさせた。それを味わって飲み干してから、ローションを手にとって人肌までに温めると、指にからめて蕾を解してく。
「あ、あ、あ!」
じゅぷじゅぷと音を立てて、浮竹は京楽の指を受け入れた。
「あああ!」
前立腺をかすめる程度で、わざと触らない。
「あ、もう、春水・・・・・・早く来て」
「十四郎、愛してるよ」
ずちゅりと音を立てて、京楽が侵入してくる。
「ああ!」
そのままごりごりと最奥まで入られて、浮竹は背をしならせてオーガズムでいっていた。
「あああ、ああ!」
「僕のものだ。誰にも、渡さない」
「あ、春水、春水」
背中に手を回してくる浮竹の肩に噛みついて、血を啜ってやると、浮竹は涙を流して喜んだ。
「きもいい・・・・もっと、吸って?」
「いくらでも」
京楽は、抱え上げた浮竹の白い太ももに牙をたてて、吸血した。
「んああああ!!」
同時に、奥をぐりぐりと刺激してやる。
「あああ!」
浮竹は熱を自分の腹にぶちまけていた。
同時に、京楽もまた熱を浮竹の胎の奥深くへ注ぐのであった。
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「浮竹十四郎。私が愛したヴァンパイアマスター。私の主」
「・・・・・・ニィ?」
浮竹は、信じられない顔で、ニィを見つめてみた。
「ニィ、お前は死んだはずだ。何故、生きている」
「藍染という男に、反魂で蘇らせてもらいました。さぁ、愛しい浮竹。私と一緒に行きましょう」
浮竹の背後では、京楽が凄まじい顔で威嚇していた。
「ああ、今のあなたには、血族がいるんでしたね。排除すればあなたは私だけのものです」
「たとえニィでも、京楽を傷つけることは許さい!」
浮竹は瞳を真紅にして、ニィを睨みつける。
「ああ、怒らないで愛しい人。あなたは、私だけのもの・・・・・」
「違う。浮竹は、僕のものだ」
京楽は、瞳を真紅にしながら、ニィとという名の青年に、血の刃を向けるのだった。
ここは古城。
西洋の浮竹と京楽が暮らす世界。そこに、友人である東洋の浮竹と京楽がきていた。
夢渡りを利用して、こちらの世界にきてくれたのだ。
「茶葉はアッサムの皇室御用達のものを。お菓子はドーナツとチーズケーキで」
西洋の京楽は、同じ西洋の浮竹に一番にお茶を出してやった。
次に、東洋の浮竹に、その次に自分用に、最後に東洋の京楽に。
「この茶を入れる順番に、お前の好感度が反映されてるみたいで、見ていて楽しい」
西洋の浮竹は、そう言ってアッサムの紅茶を飲み、ドーナツを食べた。
東洋の浮竹は、もくもくとお菓子を食べていた。
その瞳が嬉しそうに輝いていた。
(俺の春水と同じくらい、おいしいな。お茶もおいしいし)
(ええ、ボクが作ったほうが、きっともっとおいしいよ)
にこにこと、東洋の浮竹を見ながら、同じ東洋の京楽はそんなことを言う。
「いや、僕の方が美味しいよ」
ここは譲れないのだと、西洋と東洋の京楽はばちばちと火花を散らせた。
お互い、本来の仲は悪くはないのだが、愛する伴侶のことになると、自慢大会をしそうなくらいに、火花を散らせた。
それに、西洋の浮竹は呆れていた。東洋の浮竹はというと、もっと仲良くできないのだろうかと、心配そうな表情をするのであった。
(十四郎、ほっぺにドーナツの砂糖がついてるよ)
東洋の京楽は、同じ東洋の浮竹のほっぺについた砂糖を、ぺろりと舌でとってしまった。
それに、東洋の浮竹が真っ赤になった。
(こら、春水、西洋の俺たちが見ているだろう!)
「いや、こっちの京楽も似たようなことしてくるから、別に隠さなくていいぞ」
「ふふふ、浮竹かわいい。愛してるよ」
西洋の浮竹は、西洋の京楽に抱き着かれて、赤くなりながら、次にそのほっぺをつねった。
「あいたたたた」
「東洋の俺たちが見ているだろうが!」
東洋の浮竹と同じようなこと口にするのであった。
(そうそう、この前S級ダンジョンとやらに潜っただろう。今度は、普通にみんなで攻略したいんだが)
(十四郎が、そう言ってきかなくてね。どうだい、もう一度そのS級ダンジョンとやらに、連れていってもらえないかい?)
「お前たちの頼みなら、叶えてやるしかないな」
「そうだね。あの時は一護君がいたから、戦闘には参加できなかっただろうし」
そうして、西洋と東洋の浮竹と京楽は、S級ダンジョンに潜るために、準備をするのであった。
4人分の水と食料を1週間分。あとはテントを2つに寝袋を4つ。
西洋の浮竹は、念の為に錬金術でエリクサーを作り、疲労回復、魔力回復のポーションを作った。
錬金術を見るのは初めてで、東洋の浮竹はきらきらした目で、西洋の浮竹の錬金術を見ていた。
(俺にもできるかな?)
「うーん、無理だろうな。こうなるまでに、休眠期間を除けば3千年かかった」
(3千年・・・・・そういえば、西洋のお前は何歳だっけ?)
「8千歳だが?」
(は、8千・・・・・・)
東洋の浮竹は、あんぐりと口を開けた。
(まぁ、始祖ヴァンパイアっていうくらいだから、年をとってても仕方ないよ)
「まるで、僕の浮竹がじいさんみたいな言い方だね?」
(いや、そういうつもりじゃなかっただんよ。気に障ったのなら謝る)
(初めに年齢を聞いて驚いた俺が悪い。春水、謝らなくていいぞ)
「別に怒ってなんていない。8千年も生きいる存在なんて、この世界でもほとんど存在しないからな」
(そ、そうだよな!でも、俺もあと2百年くらいしたら漸く千年生きたことになるな!)
(あ、うん・・・そうだね)
東洋の浮竹と京楽は、輪廻転生を繰り返していた。
(俺も、そうしたら錬金術が使えるかも!)
本気で錬金術士になりそうな勢いの東洋の浮竹に、東洋の京楽が本気で止めた。
(だめだよ、十四郎。そんな変なのになっちゃ)
「変ではないぞ。錬金術士は、ちゃんとした職業だ。ちなみに、俺は最高位クラスのミスリルランクの錬金術士だ」
(最高位・・・ミスリルランク・・・かっこいい)
まるで、自分で自分に惚れるかのように、輝く瞳で東洋の浮竹は、西洋の浮竹を見ていた。
(十四郎、絶対にだめだからね。錬金術なんて、ボクの十四郎には必要ない)
「そうだぞ。ここに、俺という錬金術士がいる。錬金術士なんて、一人いれば十分だ」
「浮竹の作る薬は、とてもよくきくよ?試しに、何かポーションでも飲んでみる?」
「こら、京楽、健康な体でポーションを飲むのは意味がない」
「ああ、それもそうか」
「とりあえず、必要になりそうな薬は全て作ってもっていく」
西洋の浮竹は、そう言って錬金術で、必要になるであろう薬を調合していくのだった。
ちなみに、東洋の京楽は千里眼をもっていた。自分の浮竹が錬金術を覚えたら、住んでいる雑居ビルを吹き飛ばす。
そんな未来が見えて、東洋の京楽はお菓子をだしたりして、東洋の浮竹から錬金術への興味削いでいくのだった。
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「ヘルインフェルノ!」
出てきたモンスターを西洋の浮竹が魔法で屠る。
(やっぱいいなぁ、魔法。かっこいい。俺も使ってみたい)
キラキラした瞳で、東洋の浮竹は西洋の浮竹を見ていた。
「魔法は、流石にこちらの世界の存在じゃないと使えないな」
(むう、残念だ)
(僕らは蛇神、蛇がいるでしょ?)
(いるが・・・火とか吐いたらカッコいいと思う)
(ごめん、周り燃やしそうだから却下で・・・・・)
そう東洋の京楽に言われて、東洋の浮竹はしょんぼりするのだった。
「そっちにいったぞ」
(うん、任せて)
向かってきたマンティコアを、東洋の京楽が影の蛇をけしかけて、戒めるとその毒牙でとどめをさしてしまった。
「蛇でそんなことができるのか。さすがは蛇神。東洋の京楽だな」
(あ、そっちにもいったよ)
西洋の浮竹に向かっていったマンティコアは、西洋の京楽の剣で斬り裂かれて、息絶えた。
「僕の浮竹に襲い掛かるなんて、一億年早い」
「なんだそれは」
西洋の浮竹が笑う。釣られて、西洋の京楽も笑った。
同じように、東洋の浮竹も京楽も笑うのだった。
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宝箱があった。
西洋の浮竹は、素早い動きで動いた。
「ちょっと、浮竹、絶対ミミックだって!」
「ミミックだからいいんだ」
そう言って、西洋の浮竹は宝箱をあけた。ミミックだった。
「狭いよ暗いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
ミミックに上半身をかじられて、西洋の浮竹はじたばたしていた。
それに、西洋の京楽がため息をつく。一方、東洋の浮竹と京楽は。
(またやってる。すごいな)
(真似できないね。というか、学習能力がない)
そう言って、ドン引きされるのであった。
ミミックから救出された、西洋の浮竹は、炎の魔法でミミックを倒した。
ミミックは、魔法書をドロップして消えてしまった。
「やった、魔法書だ。民間魔法か・・・・どれどれ」
「また、変な魔法じゃないだろうね」
「毒の効き目を遅くさせる魔法だそうだ」
「へぇ、珍しく使えそうなやつじゃない」
(いつもはどんな魔法を覚えているんだ?)
「頭がアフロになったり、水虫ができたり、10円ハゲができたりする魔法だよ」
「おい、京楽、片寄りしすぎだろう。もっといい魔法もあるんだぞ」
「まぁね。でも、浮竹が覚える魔法のほとんどが、役に立たないのは事実だよね」
本当のことを言われて、西洋の浮竹は落ち込む。
「ああ、そんなつもりじゃなかったんだよ。ごめんね、浮竹。愛してるよ?」
西洋の京楽は、西洋の浮竹の顎に手をかけて、口づけた。
「んっ」
それを見ていた東洋の浮竹は真っ赤になって、京楽のほうはというとだたじっと、自分と同じ姿をした西洋の京楽を見ていた。
「ばか、東洋の俺たちが見てるだろうが!」
そう言いつつも、まんざらでもなさそうだった。
(こっちの十四郎も、僕の十四郎ほどじゃないけど、綺麗だね)
(え、ああ、まぁそうだな)
自分のことも褒められて、真っ赤になりながら、東洋の浮竹はペロリと唇を舐めている、妖艶な西洋の自分を見ていた。
「喉が渇いた」
(あ、お茶でものむか?)
「そういう渇きじゃない。京楽、血を吸わせろ」
そう言って、西洋の浮竹は、自分の血族である西洋の京楽に噛みつき、血を啜った。
(わぁ、本当に吸血するんだ。さすがヴァンパイア)
驚く東洋の京楽と違って、東洋の浮竹は心配そうにしていた。
(痛くないのか?貧血になったりはしないのか?)
西洋の浮竹は、血の付いた唇を舐めた。
「吸血行為は快感を伴うから、痛くない。飲みすぎると貧血には確かになるが、命に別状はない」
そう言って、西洋の浮竹は同じ西洋の京楽に、人工血液を与えた。
「君の血のほうがいいんだけどね」
「文句を言うな。どうせ夜に俺を抱いて、渇きを訴えるまで血を飲むんだろうが」
ベッドで吸血しあいながらもつれる二人を想像して、東洋の浮竹は更に真っ赤になった。
「どうした、東洋の俺」
(いや、なんていうか、本当にヴァンパイアなんだなと思って)
「心配しなくても、お前たちの血をくれなんて言わないぞ」
(当たり前じゃない!ボクの十四郎の血は、一滴たりとも与えないよ!)
警戒して、東洋の浮竹を抱きしめる東洋の京楽に、西洋の浮竹が笑う。
「本当に、お前は同じ東洋の俺が大事なんだな」
(当たり前でしょ。ボクの一番大切なものは十四郎だよ。十四郎はボクのものだ。例え西洋の君にだって、あげないよ)
「いや、別にいらん。同じ顔をの相手の血を吸いたいとも思わないし」
いらんと言われたことに少し寂しさを感じながらも、東洋の浮竹も自分の京楽が西洋の浮竹に血をい吸われることを想像して、きゅっと東洋の京楽の服の裾を掴んだ。
(春水も、血をやってはだめだぞ。お前は、俺のものでもあるんだから)
(当たり前でしょ)
「おいおい、だからお前たちの血は吸わんといってるだろう。蛇神だ。血に毒をもっているだろう?」
「うわぁ、毒の血なんて飲みたくないね。それにしても、東洋の浮竹は反応がかわいいね」
「どうせ、俺は可愛くない。ふん」
「そんなことないよ!浮竹が一番かわいくて綺麗だから!エロいし!」
いらんこと言う西洋の京楽に、西洋の浮竹はアイテムポケットから取り出したハリセンで、その頭をスパンと殴るのであった。
そんな様子を、これまた東洋の京楽と浮竹は、呆れながら見ていた。
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64階層の深層まできていた。
このS級ダンジョンは、65層で終わりだった。
「いよいよボスだ。覚悟はできているな?」
「うん。僕はいつでもいけるよ」
(俺も、いつでも大丈夫だ)
(十四郎、無茶はしないでね?)
扉をあけると、ヒドラがいた。
「ヒドラか。少しだけ、八岐大蛇のお前に、似ているかもしれないな」
(ボクは、こんな醜いモンスターじゃないよ)
「だた、首が複数あるところが似ていると言ってるだけだ。蛇神であるお前のほうが存在が上位だし、こんなモンスター楽勝だろ?」
(そうだね。見ていてごらん)
そう言って、東洋の京楽は、影からたくさんの蛇をだして、ヒドラに噛みついた。
ヒドラは苦しそうに暴れまわっている。
それを西洋の浮竹と京楽が、シールドを張ってヒドラの動きを封じた。
「東洋の俺。トドメをさしてやれ」
(分かった)
東洋の浮竹は、白い巨大な蛇を召還すると、ヒドラの体に巻き付き、その牙でヒドラをかみ殺してしまった。
「すでに、東洋の京楽の蛇の毒で弱くなっていたとはいえ、流石だな。蛇神の名を語るだけはある」
「本当だね。蛇を使役するところも新鮮でいいね」
「さて、財宝の間だ」
そう言って、西洋の浮竹は最後の扉をあけた。
ヒドラもドラゴンの一種である。宝をため込む性質があった。
いろんな金銀財宝で溢れていた。
「お前たちも、好きなだけもっていっていいぞ」
(いや、俺たちは遠慮しておく)
「じゃあ、せめてこれをもって帰れ。エリクサー。別名神の涙。どんな状態異常も傷もなおしてくれる。何かあった時に、役立つだろう」
(いいのか?確か、高いんだろう?)
「お前たちに何かあったほうが、俺にとってショックだ」
エリクサーは、1つで屋敷を建てられる値段がする。
東洋の浮竹と京楽は、金銀財宝には興味がないようだった。節約生活を送っているので、莫大な富など必要ないのだ。今の生活で、十分満足していた。
反対に、西洋の浮竹は金銀財宝に執着はしていないが、貴重な魔法書やらエリクサーの材料に金をかけたりするので、しっかりとアイテムポケットにしまいこんだ。
金銀財宝をアイテムポケットに突っ込む西洋の浮竹に、東洋の浮竹が頭を抱えていた。
(カッコいいと思っていた、そっちの俺のイメージが・・・・)
錬金術やら魔法でかっこよく見えた西洋の浮竹は、東洋の浮竹に呆れられているも気づかず、ひひたすら金銀財宝をアイテムポケットにしまいこむのであった。
錬金術やら魔法でかっこよく見えた西洋の浮竹は、東洋の浮竹に呆れられているも気づかず、ひひたすら金銀財宝をアイテムポケットにしまいこむのであった。
「あ、宝箱!」
奥の方に、宝箱があった。
見るからに怪しい。
(西洋の俺、気をつけろ。それ、多分ミミックだ!)
「ミミックだからいいんだ」
そう言って、西洋の浮竹はミミックにかじられていた。
「狭いよ暗いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
じたばたともがくその姿を見るのは、もう20回目をこえている。
「仕方ないねぇ」
(あ、俺も手伝う)
西洋の京楽と東洋の浮竹に手伝われて、西洋の浮竹はミミックから解放された。
「フレイムランス」
ズドンと、炎の槍が、ミミックを貫く。
ミミックは断末魔をあげて、消えていった。
後には、1冊の魔法書が残されていた。
「雷系の禁呪、ゴッドブレスサンダー・・・すでに習得済みだ」
西洋の浮竹は、興味なさそうにその魔法書を放り投げた。
それを、西洋の京楽がキャッチする。
「まだ、人間界で習得されていない魔法書でしょ?めちゃ高く売れるよ。そしたら、そのお金でまた古代の魔法書の覚えていない民間魔法を覚えられるよ?」
ぴくりと、西洋の浮竹の耳が動く。
「大切にして、高く魔法屋に売ろう」
本当に、現金なものである。
(・・・・やっぱり、なんか違う。おれが思ってた始祖のヴァンパイアはもっと、こう、気高く誇り高くて・・・・・・)
(だから、十四郎?考えたら負けだよ?)
東洋の京楽は西洋の浮竹の反応を見て既に呆れ、頭を抱えている。対して、東洋の浮竹は西洋の浮竹の反応を見てなんだかしょんぼりしている。
そんなこと気にしない、西洋の浮竹であった。
そうやって、西洋と東洋の京楽と浮竹は、3日かけて全65層のS級ダンジョンをクリアしてしまうのであった。
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古城に戻り、しばしのお別れとなるので、戦闘人形にフルコースの料理を作らせた。
そんな御馳走、めったなことでは食べれないので、東洋の浮竹はおいしいおいしいと言いながら、たくさん食べてしまった。
西洋の浮竹と京楽はほどほどに、東洋の京楽も食べてはいるが、幸せそうに食べる東洋の浮竹ばかりを見ていた。
「東洋の京楽も、東洋の俺ばかり見ていないでもっと食え。あと、このワイン年代ものでうまいんだ。飲んでみろ」
ワイングラスに注がれたワインを飲みほして、東洋の京楽は、東洋の浮竹にも美味しいからと、ワインを飲ませた。
(俺は果実酒ほうが好きなんだが)
そう言いつつも、ワインを飲んだ。
(ああ、おなかいっぱいだ)
「口にあったか?」
(すごくおいしかった)
(うん、まぁまぁだったよ)
「それならいい」
「僕がいなくても、戦闘人形が料理してくれるからね。まぁ、最近は僕が作ることもおおいけど、流石に複数の数のフルコースは作れないよ」
「何か、お土産に持って帰るか?」
(じゃあ、果実酒を)
「ああ、一番いいものを選んでやる」
(いや、普通のでいいから!高すぎるのはお前に悪い!)
「面白いことを言う。東洋の俺にあげるなら、最高級のものを与えたくなって当たり前だろう」
(そうなのか?)
一方、西洋の京楽と東洋の京楽は、レシピについて話し合っていた。
(新しいレシピ、渡しておくよ。中華料理がメインだ。こっちの世界にはない料理だと思う)
「ないわけじゃないけど、珍しいから戦闘人形でも作れない。ありがとう、ありがたくもらっておくよ」
そんなやりとりをしていうちに、眠気を催した東洋の浮竹が、東洋の京楽の傍にやってきた。
「どうしたの」
(いつものことだよ。酒に酔ったんだよ)
もたれかかってきた東洋の浮竹を、東洋の京楽はその肩をかした。
(うん・・春水、大好きだ・・・・・・)
寝言でそんなことを言う東洋の浮竹を、自慢するかのように東洋の京楽が西洋の京楽の顔を見る。
(かわいいでしょ、ボクの十四郎)
どや顔を見せる東洋の京楽に、負けてはいられないのだと。
「僕だって!」
「なんだ、京楽」
「愛してるよ、浮竹」
「知っている。だから何だ?」
どうやら、うまく甘いことにはならないようであった。
東洋の京楽はそれを見て、やっぱり自分の浮竹が一番かわいいと思った。
「君の血が欲しい。飲ませて」
「仕方のない・・・・ああっ!」
牙を立てられて、少し乱れる浮竹を、今度は西洋の京楽が東洋の京楽に見せつけた。
「僕の浮竹は、妖艶でエロいんだから」
「待て、なんの話だ」
「なんでもない」
「なんでもないは、ないだろう。こら、京楽!」
西洋の浮竹にハリセンでしばかれる西洋の京楽は、それでもどや顔で東洋の京楽を見るのであった。
東洋の京楽は、ワインを飲みながら。
(お熱いねえ〜)
そんなことを言うのであった。
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東洋の浮竹と京楽は、古城に一夜泊まると、元の世界へと帰っていった。
「ねぇ、昨日の続きしようよ」
「なんのことだ」
「昨日、吸血したじゃない。その続き。あの二人に見せつけてやりかったけど、片方は眠ってる、もう片方はそんな相手ばっかり見ていて。西洋の僕の浮竹がどんなにかわいくて綺麗で美人でエロいのか見せつけてやりたかったよ」
「そんなこと、考えていたのか」
「ねぇ、続きしようよ・・・・・・・」
「待て、せめて風呂に入ってから・・・・・」
「じゃあ、一緒に入ろう」
一緒に風呂に入り、髪を乾かしてから、京楽はベッドの上に浮竹を押し倒した。
「待て、春水、がっつきすぎだ」
衣服を脱がしてくる京楽に、浮竹が待ったをかける。
「全然そんなことないよ。愛してるよ、十四郎。ああ、悔しいなぁ。東洋の僕に見せつけてあげたい、今の色っぽい浮竹を」
「また、ばかなことを・・・・ああ!」
胸の先端をきつくつまみあげられて、びくんと浮竹は体を反応させた。
「かわいい。十四郎、かわいい」
「あああ!」
体全体の輪郭を確かめるように撫でて、キスマークを残していく。
浮竹のものを口に含むと、浮竹は乱れた。
「やぁああ!!」
じゅるじゅると音を立てて吸い上げてやると、浮竹が甘い体液を弾けさせた。それを味わって飲み干してから、ローションを手にとって人肌までに温めると、指にからめて蕾を解してく。
「あ、あ、あ!」
じゅぷじゅぷと音を立てて、浮竹は京楽の指を受け入れた。
「あああ!」
前立腺をかすめる程度で、わざと触らない。
「あ、もう、春水・・・・・・早く来て」
「十四郎、愛してるよ」
ずちゅりと音を立てて、京楽が侵入してくる。
「ああ!」
そのままごりごりと最奥まで入られて、浮竹は背をしならせてオーガズムでいっていた。
「あああ、ああ!」
「僕のものだ。誰にも、渡さない」
「あ、春水、春水」
背中に手を回してくる浮竹の肩に噛みついて、血を啜ってやると、浮竹は涙を流して喜んだ。
「きもいい・・・・もっと、吸って?」
「いくらでも」
京楽は、抱え上げた浮竹の白い太ももに牙をたてて、吸血した。
「んああああ!!」
同時に、奥をぐりぐりと刺激してやる。
「あああ!」
浮竹は熱を自分の腹にぶちまけていた。
同時に、京楽もまた熱を浮竹の胎の奥深くへ注ぐのであった。
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「浮竹十四郎。私が愛したヴァンパイアマスター。私の主」
「・・・・・・ニィ?」
浮竹は、信じられない顔で、ニィを見つめてみた。
「ニィ、お前は死んだはずだ。何故、生きている」
「藍染という男に、反魂で蘇らせてもらいました。さぁ、愛しい浮竹。私と一緒に行きましょう」
浮竹の背後では、京楽が凄まじい顔で威嚇していた。
「ああ、今のあなたには、血族がいるんでしたね。排除すればあなたは私だけのものです」
「たとえニィでも、京楽を傷つけることは許さい!」
浮竹は瞳を真紅にして、ニィを睨みつける。
「ああ、怒らないで愛しい人。あなたは、私だけのもの・・・・・」
「違う。浮竹は、僕のものだ」
京楽は、瞳を真紅にしながら、ニィとという名の青年に、血の刃を向けるのだった。
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