始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝
西洋の浮竹と京楽は、東洋の自分たちに会いにきていた。
「温泉宿を貸し切ったんだ。一緒に、温泉に入りに行かないか」
「どうやって・・・とか思ってるでしょ。浮竹ってば、金の延べ棒を出して貸し切ったんだよ。払いすぎだと思うけど、お釣りはいらないっていって、旅館の人たちが卒倒しそうに喜んでたよ」
「ここから、バスとやらに揺られて1時間の場所なんだが、どうだ?」
(いいね。温泉なんて、久しぶりだよ。それに、貸し切りなら十四郎の裸、他人に見られるわけじゃないから)
(温泉!俺も久しぶりだ。でも、貸し切りなんていいのか?)
首を傾げる東洋の浮竹に、西洋の浮竹が首を傾げる。
「金の延べ棒じゃ足りなかったか?じゃあ、このダイヤモンドのネックレスでも・・・・」
(わあああ!そういう問題じゃない!払い過ぎだ!)
東洋の浮竹は、貸し切りなんて負担にならないのかと思っていたようだったが、杞憂であった。
こうして、4人はバスに揺られて1時間の場所にある、山の麓の温泉旅館に来ていた。
あまり広い温泉旅館だと、節約の暮らしをしている東洋の浮竹が困るだろうと思い、中規模な温泉旅館にしておいた。
「いらっしゃいませ。ようこそおいでくださりました、浮竹様、京楽様。荷物をお運びいたしますね」
西洋の浮竹と京楽は、この世界ではアイテムポケットを人前で使ってはいけないと分かってたので、鞄に着替えの衣服やらを詰め込んでいた。
それは、東洋の浮竹と京楽も同じで、大きなカバンを取り出すと、旅館の者が運んでくれた。
「本日お泊りにいただく、スィートルームでございます」
案内されて、その広さに東洋の浮竹が驚いた。
(わぁ、広いなぁ)
24畳の部屋が、ふすまでそれぞれ3つの部屋に分かれている部屋だった。
ふすまが開かれているので、全部で72畳の広さの部屋になった。
(綺麗だし、広いし、畳のイグサいい匂いがする)
西洋の京楽は、茶菓子とお茶を4人分用意して、それぞれに渡した。
「茶菓子も美味いな。口コミでいい温泉と聞いたんだが、貸し切って正解だったな」
みんな、こくこくと頷いた。
「さぁ、風呂に入りにいこう!」
西洋の浮竹は、お風呂グッズを手に、着替えの浴衣とバスタオルを手にしていた。西洋の京楽も同じような姿だった。
東洋の浮竹と京楽も、浴衣とバスタオルだけを手に、露天風呂に向かう。
シャンプーやボディーソープ、リンスなどは備え付けられているので、東洋の浮竹と京楽はそれを使った。
「一緒に洗いっこしよう、東洋の俺」
(あ、うん)
西洋の浮竹に背中を洗われて、東洋の浮竹は少し恥ずかしそうにしていた。
「へえ、東洋の俺は、肌の所々に蛇の鱗があるんだな」
そこを中心に、泡だらけのタオルでこすってやると、東洋の浮竹がこそばゆそうにしていた。
(西洋の俺には、鱗はないんだな)
急に体を触られるものだから、西洋の浮竹は。
「ひゃあ!」
そんな悲鳴を漏らしていた。
東洋の京楽は、それに注意をしながら、クスリと笑っていた。
(次は、俺がお前を洗ってやる)
「ああ、ボディソープはこれを使ってくれ」
いい匂いのする、金木犀の香りのボディーソープをタオルにつけて、それで西洋の浮竹の背中を洗ってやった。
東洋の浮竹は、お返しだとばかりに、泡だらけのタオルで全身をこそばした。
「ひゃあああ!びっくりするじゃないか!」
西洋の浮竹は、こそばゆそうに笑っていた。釣られて、東洋の浮竹も笑う。
洗いっこする二人を、西洋と東洋の京楽は、自分の体を洗いながらほっこりした気分で見ていた。
「東洋の僕、君の体も僕が洗ってあげようか?」
(十四郎に洗ってもらうから、いい)
「じゃあ、僕も浮竹に洗ってもらおっと」
西洋と東洋の京楽は、それぞれの伴侶に背中を洗ってもらった。
お互いに髪も洗いっこをして、長い髪をまとめあげて露店風呂に湯船に入る。
「ああ、いい湯だ。体に染みる」
「浮竹、じじ臭いよ」
「ほっとけ」
(いい湯だな。貸し切りでもないと、人前でこの肌を晒すわけにはいかないからな)
(そうだね。鱗を気味悪がる人も中にはいるだろうし)
「ん、俺は気にしてないぞ」
「僕もだよ」
(あくまで、赤の他人が見たらだ)
「なるほど」
温泉にじっくり浸かり、日頃の疲れを癒した。
温泉からあがると、東洋の浮竹と京楽は、互いの髪の水分を拭き取りあっていた。
「仲かがいいな。見ていてほっこりする」
そう言いながらも、西洋の浮竹も西洋の京楽に髪を拭かれていた。
(そっちも人のこと言えないぞ?)
東洋の浮竹は拭かれながら微笑みながら言う。
浴衣に着替えて、風呂上がりにはこれだと、西洋の浮竹と京楽はフルーツ牛乳を自動販売機から買った。
腰に手をあてて、ごくごくと飲んでいく。
「ふう、美味いな」
「おいしいね」
(俺もやる!)
(十四郎)
(春水もやろう)
(仕方ないね)
東洋の浮竹と京楽も、自動販売機からフルーツ牛乳を買うと、飲んでいった。
体を綺麗にして、水分補給もまして、夕飯までまだ時間があるので、中庭までやってきた。
中庭には、遅咲きの桜が満開だった。
「花見をするのもいいかもな」
「それもいいね」
(うん、俺も思う)
(今日はとりあえず、この桜で我慢しようね)
やがて夕暮れになり、夕食の時間になった。
夕飯は、カニ鍋にカニの蒸し焼き、カニの刺身に天ぷらと、カニ尽くしであった。
(カニだ!カニだぞ!)
東洋の浮竹は、めちゃくちゃ目をキラキラさせて、東洋の京楽の服の袖を引っ張る。
(うん、おいしそうだね)
(おいしそうだな)
東洋の浮竹は、目をキラキラ輝かせたまま、まずは一口。
(うん、うまい)
「確かに、うまいな。カニの時期は少し過ぎている気もしたが、悪くない」
西洋の浮竹も美味しそうに食べていた。
西洋と東洋の京楽は、そんな二人を微笑まく見つめつつ、自分たちもカニを食べていく。
最後の〆の雑炊を食べ終えて、4人は満足した。
(もう食べられない)
「西洋の京楽の分も、一部たべるからだ」
(だって、食べていいと言われたんだぞ。それにカニを食べるのは数年ぶりだ)
そう言いながら、お腹いっぱいになったのか、東洋の浮竹は眠そうにしていた。
うつらうつらと船をこぐ東洋の浮竹の頭を、東洋の京楽が膝枕をした。
眠り始めた東洋の浮竹は、もう食べれないとかむにゃむにゃ言っていた。
そんな東洋の浮竹の頭を優しく撫でながら、東洋の京楽は。
「お酒飲んでいい?」
そんなことを言い出した。
「ああ、そういえば酒を準備させていたが、飲みそこなっていたな」
西洋の浮竹が、冷えたビールと、冷たい日本酒をもってきてくれた。
「俺も飲むぞ」
「浮竹は控えめにね?酒に強くないんだから」
(西洋のボクは、飲めるほうなの?)
「自慢じゃないが、酔いつぶれたことはない」
(へぇ。じゃあ、ボクと飲み比べしよう)
「いいぞ。日本酒で飲み比べをしよう」
二人は、酒豪だった。
酔いつぶれた西洋の浮竹と、膝枕で眠っている東洋の浮竹をそれぞれしかれてあった布団に寝かしつけて、二人の酒豪は酒を飲みかわし合うのだった。
「んー・・・・もう朝か?」
(むにゃむにゃ・・・・)
気づくと、西洋の浮竹の布団の中に東洋の浮竹がいた。
「おい、起きろ。朝だぞ」
(はっ、カニの大軍が!)
「どんな夢見てたんだ」
(いや、昨日久しぶりにカニを堪能したものだから)
「朝風呂に行かないか」
(行く!)
東洋の京楽と西洋の京楽は深夜まで飲み合いをしたのか、まだ眠っていた。
「もう少しだけ、寝かせてやろう」
(分かった)
二人は、朝風呂に入り、戻ってくると二人の京楽は起きていた。
(十四郎、ボクを起こしていってよ)
(すまん、あまりに気持ちよさそうに眠っていたもんだから)
「京楽は、起こさないでよかっただろう?」
「君と、東洋の君だけじゃ、心配だよ!」
「俺は始祖だぞ。それにこっちの俺は蛇神だ」
「それはそうだけど・・・・」
「朝食をとって、戻るか」
4人は、朝食を食べて、バスに1時間揺られて、東洋の浮竹と京楽の住まう雑居ビルに来ていた。
自分の家に戻ると、東洋の京楽は慌ただしくお菓子を作り出した。
「何をしているんだ?」
(君たちに持って帰ってもらう、お菓子を作ってるの)
「気を遣わなくていいだぞ?」
(ボクの十四郎があんなに楽しそうなの見るの、見ていて嬉しかったからね。そのお礼もこめて)
(春水、お土産のお菓子の俺の分はあるか?)
きらきら期待の眼差しで見つめられて、東洋の京楽は笑った。
(もちろん、あるよ)
(やった)
「東洋の俺は、何気に食いしん坊だな」
「それは君もでしょ」
「まぁ、そうなんだが」
お土産のチョコレートブラウニーのお菓子をもらって、西洋の浮竹と京楽は、東洋の自分たちに向かって手を振った。
「またな、東洋の俺、京楽!」
「またねぇ!」
(ああ、またな。今度は俺たちがそっちに行くから)
(元気でね)
4人は、そうして別れを告げて、西洋の浮竹と京楽は元の世界へ戻っていった。
(このチョコレートブラウニーとても美味しいな!)
東洋の浮竹は、そう言ってお土産の残りのチョコレートブラウニーをもきゅもきゅ頬張っていた。
(ああ、ボクの十四郎はかわいいね)
(ん、どうしたんだ春水。お前も食べるか?)
(ボクは、君が食べている姿を見るのが好きなの)
(知ってる)
(十四郎、大好きだよ)
愛を囁くと東洋の浮竹は真っ赤になって。
(お、俺もだ・・・)
そう答えるのであった。
「温泉宿を貸し切ったんだ。一緒に、温泉に入りに行かないか」
「どうやって・・・とか思ってるでしょ。浮竹ってば、金の延べ棒を出して貸し切ったんだよ。払いすぎだと思うけど、お釣りはいらないっていって、旅館の人たちが卒倒しそうに喜んでたよ」
「ここから、バスとやらに揺られて1時間の場所なんだが、どうだ?」
(いいね。温泉なんて、久しぶりだよ。それに、貸し切りなら十四郎の裸、他人に見られるわけじゃないから)
(温泉!俺も久しぶりだ。でも、貸し切りなんていいのか?)
首を傾げる東洋の浮竹に、西洋の浮竹が首を傾げる。
「金の延べ棒じゃ足りなかったか?じゃあ、このダイヤモンドのネックレスでも・・・・」
(わあああ!そういう問題じゃない!払い過ぎだ!)
東洋の浮竹は、貸し切りなんて負担にならないのかと思っていたようだったが、杞憂であった。
こうして、4人はバスに揺られて1時間の場所にある、山の麓の温泉旅館に来ていた。
あまり広い温泉旅館だと、節約の暮らしをしている東洋の浮竹が困るだろうと思い、中規模な温泉旅館にしておいた。
「いらっしゃいませ。ようこそおいでくださりました、浮竹様、京楽様。荷物をお運びいたしますね」
西洋の浮竹と京楽は、この世界ではアイテムポケットを人前で使ってはいけないと分かってたので、鞄に着替えの衣服やらを詰め込んでいた。
それは、東洋の浮竹と京楽も同じで、大きなカバンを取り出すと、旅館の者が運んでくれた。
「本日お泊りにいただく、スィートルームでございます」
案内されて、その広さに東洋の浮竹が驚いた。
(わぁ、広いなぁ)
24畳の部屋が、ふすまでそれぞれ3つの部屋に分かれている部屋だった。
ふすまが開かれているので、全部で72畳の広さの部屋になった。
(綺麗だし、広いし、畳のイグサいい匂いがする)
西洋の京楽は、茶菓子とお茶を4人分用意して、それぞれに渡した。
「茶菓子も美味いな。口コミでいい温泉と聞いたんだが、貸し切って正解だったな」
みんな、こくこくと頷いた。
「さぁ、風呂に入りにいこう!」
西洋の浮竹は、お風呂グッズを手に、着替えの浴衣とバスタオルを手にしていた。西洋の京楽も同じような姿だった。
東洋の浮竹と京楽も、浴衣とバスタオルだけを手に、露天風呂に向かう。
シャンプーやボディーソープ、リンスなどは備え付けられているので、東洋の浮竹と京楽はそれを使った。
「一緒に洗いっこしよう、東洋の俺」
(あ、うん)
西洋の浮竹に背中を洗われて、東洋の浮竹は少し恥ずかしそうにしていた。
「へえ、東洋の俺は、肌の所々に蛇の鱗があるんだな」
そこを中心に、泡だらけのタオルでこすってやると、東洋の浮竹がこそばゆそうにしていた。
(西洋の俺には、鱗はないんだな)
急に体を触られるものだから、西洋の浮竹は。
「ひゃあ!」
そんな悲鳴を漏らしていた。
東洋の京楽は、それに注意をしながら、クスリと笑っていた。
(次は、俺がお前を洗ってやる)
「ああ、ボディソープはこれを使ってくれ」
いい匂いのする、金木犀の香りのボディーソープをタオルにつけて、それで西洋の浮竹の背中を洗ってやった。
東洋の浮竹は、お返しだとばかりに、泡だらけのタオルで全身をこそばした。
「ひゃあああ!びっくりするじゃないか!」
西洋の浮竹は、こそばゆそうに笑っていた。釣られて、東洋の浮竹も笑う。
洗いっこする二人を、西洋と東洋の京楽は、自分の体を洗いながらほっこりした気分で見ていた。
「東洋の僕、君の体も僕が洗ってあげようか?」
(十四郎に洗ってもらうから、いい)
「じゃあ、僕も浮竹に洗ってもらおっと」
西洋と東洋の京楽は、それぞれの伴侶に背中を洗ってもらった。
お互いに髪も洗いっこをして、長い髪をまとめあげて露店風呂に湯船に入る。
「ああ、いい湯だ。体に染みる」
「浮竹、じじ臭いよ」
「ほっとけ」
(いい湯だな。貸し切りでもないと、人前でこの肌を晒すわけにはいかないからな)
(そうだね。鱗を気味悪がる人も中にはいるだろうし)
「ん、俺は気にしてないぞ」
「僕もだよ」
(あくまで、赤の他人が見たらだ)
「なるほど」
温泉にじっくり浸かり、日頃の疲れを癒した。
温泉からあがると、東洋の浮竹と京楽は、互いの髪の水分を拭き取りあっていた。
「仲かがいいな。見ていてほっこりする」
そう言いながらも、西洋の浮竹も西洋の京楽に髪を拭かれていた。
(そっちも人のこと言えないぞ?)
東洋の浮竹は拭かれながら微笑みながら言う。
浴衣に着替えて、風呂上がりにはこれだと、西洋の浮竹と京楽はフルーツ牛乳を自動販売機から買った。
腰に手をあてて、ごくごくと飲んでいく。
「ふう、美味いな」
「おいしいね」
(俺もやる!)
(十四郎)
(春水もやろう)
(仕方ないね)
東洋の浮竹と京楽も、自動販売機からフルーツ牛乳を買うと、飲んでいった。
体を綺麗にして、水分補給もまして、夕飯までまだ時間があるので、中庭までやってきた。
中庭には、遅咲きの桜が満開だった。
「花見をするのもいいかもな」
「それもいいね」
(うん、俺も思う)
(今日はとりあえず、この桜で我慢しようね)
やがて夕暮れになり、夕食の時間になった。
夕飯は、カニ鍋にカニの蒸し焼き、カニの刺身に天ぷらと、カニ尽くしであった。
(カニだ!カニだぞ!)
東洋の浮竹は、めちゃくちゃ目をキラキラさせて、東洋の京楽の服の袖を引っ張る。
(うん、おいしそうだね)
(おいしそうだな)
東洋の浮竹は、目をキラキラ輝かせたまま、まずは一口。
(うん、うまい)
「確かに、うまいな。カニの時期は少し過ぎている気もしたが、悪くない」
西洋の浮竹も美味しそうに食べていた。
西洋と東洋の京楽は、そんな二人を微笑まく見つめつつ、自分たちもカニを食べていく。
最後の〆の雑炊を食べ終えて、4人は満足した。
(もう食べられない)
「西洋の京楽の分も、一部たべるからだ」
(だって、食べていいと言われたんだぞ。それにカニを食べるのは数年ぶりだ)
そう言いながら、お腹いっぱいになったのか、東洋の浮竹は眠そうにしていた。
うつらうつらと船をこぐ東洋の浮竹の頭を、東洋の京楽が膝枕をした。
眠り始めた東洋の浮竹は、もう食べれないとかむにゃむにゃ言っていた。
そんな東洋の浮竹の頭を優しく撫でながら、東洋の京楽は。
「お酒飲んでいい?」
そんなことを言い出した。
「ああ、そういえば酒を準備させていたが、飲みそこなっていたな」
西洋の浮竹が、冷えたビールと、冷たい日本酒をもってきてくれた。
「俺も飲むぞ」
「浮竹は控えめにね?酒に強くないんだから」
(西洋のボクは、飲めるほうなの?)
「自慢じゃないが、酔いつぶれたことはない」
(へぇ。じゃあ、ボクと飲み比べしよう)
「いいぞ。日本酒で飲み比べをしよう」
二人は、酒豪だった。
酔いつぶれた西洋の浮竹と、膝枕で眠っている東洋の浮竹をそれぞれしかれてあった布団に寝かしつけて、二人の酒豪は酒を飲みかわし合うのだった。
「んー・・・・もう朝か?」
(むにゃむにゃ・・・・)
気づくと、西洋の浮竹の布団の中に東洋の浮竹がいた。
「おい、起きろ。朝だぞ」
(はっ、カニの大軍が!)
「どんな夢見てたんだ」
(いや、昨日久しぶりにカニを堪能したものだから)
「朝風呂に行かないか」
(行く!)
東洋の京楽と西洋の京楽は深夜まで飲み合いをしたのか、まだ眠っていた。
「もう少しだけ、寝かせてやろう」
(分かった)
二人は、朝風呂に入り、戻ってくると二人の京楽は起きていた。
(十四郎、ボクを起こしていってよ)
(すまん、あまりに気持ちよさそうに眠っていたもんだから)
「京楽は、起こさないでよかっただろう?」
「君と、東洋の君だけじゃ、心配だよ!」
「俺は始祖だぞ。それにこっちの俺は蛇神だ」
「それはそうだけど・・・・」
「朝食をとって、戻るか」
4人は、朝食を食べて、バスに1時間揺られて、東洋の浮竹と京楽の住まう雑居ビルに来ていた。
自分の家に戻ると、東洋の京楽は慌ただしくお菓子を作り出した。
「何をしているんだ?」
(君たちに持って帰ってもらう、お菓子を作ってるの)
「気を遣わなくていいだぞ?」
(ボクの十四郎があんなに楽しそうなの見るの、見ていて嬉しかったからね。そのお礼もこめて)
(春水、お土産のお菓子の俺の分はあるか?)
きらきら期待の眼差しで見つめられて、東洋の京楽は笑った。
(もちろん、あるよ)
(やった)
「東洋の俺は、何気に食いしん坊だな」
「それは君もでしょ」
「まぁ、そうなんだが」
お土産のチョコレートブラウニーのお菓子をもらって、西洋の浮竹と京楽は、東洋の自分たちに向かって手を振った。
「またな、東洋の俺、京楽!」
「またねぇ!」
(ああ、またな。今度は俺たちがそっちに行くから)
(元気でね)
4人は、そうして別れを告げて、西洋の浮竹と京楽は元の世界へ戻っていった。
(このチョコレートブラウニーとても美味しいな!)
東洋の浮竹は、そう言ってお土産の残りのチョコレートブラウニーをもきゅもきゅ頬張っていた。
(ああ、ボクの十四郎はかわいいね)
(ん、どうしたんだ春水。お前も食べるか?)
(ボクは、君が食べている姿を見るのが好きなの)
(知ってる)
(十四郎、大好きだよ)
愛を囁くと東洋の浮竹は真っ赤になって。
(お、俺もだ・・・)
そう答えるのであった。
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