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始祖なる者、ヴァンパイアマスター外伝

東洋の浮竹と京楽が遊びにきた。

それは、西洋の浮竹が目を離している隙に起こった。

古代の魔道具を、出しっぱなしにしていたのだ。

東洋の浮竹と京楽は、その魔道具をただのランプと思って、部屋が暗かったので灯りをつけた。

「あ、それは!!」

気づいた時には、東洋の浮竹と京楽は、その年齢を一時的に3歳にするという魔道具のせいで、3歳の幼児になっていた。服も縮んでいた。

東洋の浮竹は、西洋の浮竹を見上げて、こう言った。

(お兄たん?)

自分によく似た西洋の浮竹を、兄と勘違いしているらしかった。

「くっ」

西洋の浮竹は、実の弟のようにかわいがっている東洋の浮竹から「お兄たん」と呼ばれて、頭がくらくらしていた。

「浮竹、何かあったの?」

そこに、西洋の京楽がやってきた。

「うわ、その二人の子供・・・・・もしかして」

「ああ。この魔道具を使ってしまったらしい。置いておくんじゃなかった」

東洋の京楽は、ただじーっと西洋の浮竹と京楽を見ていた。

人見知りが激しいらしく、感情を表に出すのが得意ではないようだった。

「浮竹、その魔道具の効果時間はどれくらい?」

「24時間だ」

「じゃあ、1日中彼らの世話をしなくちゃいけないんだね」

「元を正せば、そんな魔道具を置いていた俺のせいだ。二人は責任をもって、俺が見よう」

(お腹すいた。お兄たん、お菓子ちょーらい)

「確か、クッキーがあったはずだな。京楽、持ってきてくれるか」

「クッキーだね。確かキッチンにあったはず。あと、何か甘い飲み物ももってくるよ」

(・・・・・お腹すいたぁ。あーん)

(じゅーしろー。泣くな)

「おい、京楽、クッキーはまだか!」

「今、飲み物作ってるから、少しだけ待って!」

「十四郎に春水、ちょっとだけ、待ってくれ」

(うん)

キラキラした瞳で笑われて、西洋の浮竹はダメージをくらった。

(しゅんすい、どーしたの?)

(ん・・・手、放したくない)

東洋の京楽は、東洋の浮竹の手をぎゅっと握っていた。

「さぁ、クッキーだよ。あと、蜂蜜を入れたミルクももってきたよ」

西洋の京楽は、クッキーの入った籠と、2つのカップを持って戻ってきた。

カップに入った蜂蜜入りのミルクを受け取って、東洋の浮竹は小さい手でそれをこくこくと飲んでいった。

(おいしー。おかわりー)

「おかわりだね!今作ってくるから!」

西洋の京楽は、空になったカップを手に、またキッチンに急いだ。

(しゅんすい、クッキーたべる?)

(ん)

東洋の浮竹が差し出したクッキーを、さくりと齧る。

(おいしい)

(おいしーね?)

東洋の浮竹もクッキーをかじりながら、にこにこしていた。

そして、キラキラした瞳で西洋の浮竹を見上げた。

(おいしーい。お兄たん)

「ぐっ」

西洋の浮竹はまた、ダメージをくらった。

「このまま拉致したい」

それくらい、3歳になった二人はかわいかった。

(あ、おかわりだー)

西洋の京楽が、蜂蜜たっぷりのミルクをもってきてくれた。

(おいしーね)

(ん)

(あまーい)

(ん)

「東洋の京楽は、あまりしゃべらないんだな」

様子を見ていた西洋の浮竹が、東洋の京楽の頭を撫でた。

(やだ)

「かわいいなぁ。やだだって」

「かわいいねー。僕にも触らせて?」

西洋の京楽が、東洋の自分を触ろうとすると、東洋の京楽は影から蛇を出して威嚇してきた。

「お、小さいのにやるな」

(じゅーしろーは、渡さない)

「誰もとりあげたりしないぞ」

(あやしい)

「ぐっ。拉致したいとか思ってるけど、しないぞ」

(あたりまえ。じゅーしろーは、ボクの)

「3歳になっても、仲はいいんだなぁ」

「まるで僕たちの子供みたいだね」

(お兄たん)

「ん、どうした?」

(おしっこ)

「わーーー!京楽、おまるはあるか!?」

「そんなものあるわけないじゃない!」

「十四郎、トイレに行くぞ!」

(や)

東洋の京楽が、東洋の浮竹を抱き上げようとした、西洋の浮竹に反抗した。

「おい、春水。手を離してくれ」

(ボクもいく)

「分かったから、急ぐぞ」

東洋の二人を抱き上げて、西洋の浮竹はトイレに行き、無事用を足した東洋の浮竹が手を洗うのを手伝った。

(お兄たん、大きい。どうやったら、俺もおーきくなれる?)

「ん、いっぱい食べて、いっぱい寝ることかな」

(じゃあ、いっぱい食べていっぱい寝る!)

夕食の時間になり、西洋の京楽はお子様ランチを作った。

(おいしー)

(ん)

二人は、美味しそうにお子様ランチをゆっくり食べた。

それから、西洋の浮竹と京楽と一緒に風呂に入り、髪と体を洗ってもらった。

(お兄たん、くすぐったい)

急きょ買いに出かけた西洋の京楽のお陰で、うさぎさんの形をした3歳児くらい用のパジャマを着せた。

「今日は、俺たちと一緒に寝ような」

(お兄たん、絵本読んで)

「え、絵本か。京楽!」

「こんなこともあろうかと、古城の図書館に行って子供向けの本探してきたから」

「お前、なかなかやるな?」

「ふふん」

(ねむい)

東洋の京楽は、そう言って一足先に眠ってしまった。

「そこで、お姫様は王子様と結ばれて、幸せに過ごしました」

(すーすー)

「あら、東洋の浮竹も寝ちゃったね」

「ああ、今日は一日大変だったな。明日も、元に戻るまで大変だが、がんばるか」

「お菓子、作らないとね」

「俺も手伝おうか?」

「君は、幼い彼らを見ていてあげて?」

「分かった」

そうして、皆は就寝した。


(ピーマンやー。にがいー)

朝食はピラフだった。

ピーマンを嫌がる東洋の浮竹に、西洋の浮竹が困った顔をする。

「好き嫌いしてると、大きくなれないぞ」

「こっちの春水は、なんでも食べるんだけどね」

(じゅーしろーのピーマン、ボクが食べる)

そう言って、東洋の京楽は東洋の浮竹の食べていたピラフのピーマン全部食べてしまった。

「こら、春水」

(ふん)

「むー、お前は3歳児になっても、東洋の俺に甘いな」

(あたりまえ)

「まぁいい。あと8時間もすれば、元に戻るだろうし」

昼食を食べさせて、昼寝をさせて、お菓子のドーナツを与えた後、二人は元に戻った。

(あれ、俺は何をしていたんだ?)

「覚えてないのか」

(どうしたんだ?)

「いや、覚えてないなら、それはそれでいい。それにしても、かわいかったなぁ」

西洋の浮竹は、いい思い出ができたと、心の中で東洋の浮竹に起こった出来事をしまいこんだ。

(なんの話だ?)

(十四郎、覚えてないんだ)

(だから、何をだ?)

(いや、覚えないなら、思い出さなくていいよ。きっと、恥ずかしがるから)

(よくわからん)

「いやぁ、君は覚えてるんだ」

ニマニマした顔の西洋の京楽に、東洋の京楽は。

(貸しひとつだ。いずれ、返すよ)

「返してくれなくてもいいんだよ。君も十分にかわいかったから」

(十四郎には、内密にね)

「分かっているよ」

こうして、東洋の浮竹と京楽が、3歳児になってしまった事件は、終末を迎えるのだった。



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