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始祖なる者、ヴァンパイアマスター37

魔女の秘薬。

それは様々な効果をもつ。

媚薬だったり、一時的な若返りの薬だったり、一時的な性別転換の薬だったり。

京楽は、浮竹に内緒で猫の魔女乱菊から、一時的な若返りの薬を買った。おまけに効果は5歳児になるというもの。

いつの日だったか、3歳児になった東洋の浮竹と京楽の可愛さにやられて、自分のところの浮竹が5歳になったらどうなるのだろうかという、純粋な好奇心からきていた。

浮竹の飲み物に、5歳児になる魔女の秘薬を混ぜた。

「京楽、お前俺に何か・・・・」

そう言って、ぼふんと音をたてて、その場に5歳の子供の姿に若返った浮竹がいた。

自分の体を見て、小さく縮んでいるのを確認して、5歳の浮竹はぷりぷり怒りだした。

「魔女の秘薬を飲ませたな!京楽のアホ!」

「浮竹、かわいい!」

ひげづらでほっぺに頬すりされて、浮竹は苦しがった。

「痛い!ひげが痛い!」

「ああごめん。君は、5歳になっても中身はあんまり変わらないんだね。少し残念だよ」

「変わってほしいのか。春水お兄ちゃん」

「今の、今のもう一回言って!」

「春水お兄ちゃん」

見上げながらの浮竹に、京楽は鼻血を出しながら、浮竹を抱きしめた。

「うわあああ、鼻血、鼻血!」

浮竹が、ティッシュを探す。

「この秘薬の効果はどれくらいだ」

「3日間くらいかな」

「長いぞ。京楽のばか!」

ぷりぷり怒る5歳の浮竹がかわいすぎて、京楽はまた浮竹のほっぺに頬ずりしていた。

「痛い!ひげが痛い!!」

ぽかぽかと殴ってくるが、所詮5歳児。

力は全然なくて、京楽は浮竹の手をって服を買いにいこうと言い出した。

今浮竹が着ている衣服も一緒に縮んでいたが、他に着る服がないので、まずは町に服の買い出しにいくことにした。

「迷子にならないようにね?」

「恥ずかしい・・・・」

二人は、ずっと手を繋いでいた。

子供服の店にくると、京楽は浮竹が疲れて帰りたいと言い出すまで、着せ替え人形にした。

「じゃあ、この服とこの服をこの服を買うよ。会計、たのめるかな」

「合計で金貨1枚と銀貨20枚になります」

そこそこ有名なブランドで、少しお高めだった。

「浮竹、その服は着て帰るから、そのままの姿でいてね?」

「納得できん。何故俺の服が猫耳つきのフードの猫の服なんだ」

浮竹の恰好は、猫の着ぐるみの恰好に頭に猫耳のフードがついたものだった。

「それはかわいいから。浮竹はかわいすぎてなんでも似合うけど、着ぐるみみたいな服はめちゃくちゃかわいくて僕がけしからんとなるから」

「言ってることがむちゃくちゃだぞ」

「うん、君のかわいさにやられたから」

帰り道は、浮竹が疲れた様子だったので、京楽が抱き上げて帰った。

古城に戻ると、まずは写真をとられた。

「勝手にとるな!」

「かわいい君の姿を残しておきたいからね」

「むう」

ぷくーっとほっぺを膨らませる浮竹に、京楽はまた鼻血を出しそうになっていた。

「か、かわいい・・・」

「こんな姿、誰にも見せられない・・・」

(やぁ、元気にしてた・・・って、東洋の浮竹、その姿は?)

(西洋の俺!かわいすぎる!)

何故そんな姿になったかも聞かずに、東洋の浮竹は小さくなってしまった西洋の浮竹を抱きしめて、頭をなでて抱き上げた。

「京楽に、若返りの魔女の秘薬を飲まされた、今日から3日間はこの姿だ。中身は元のままだからな」

「それでもかわいい!」

「ちょっと、東洋の俺。東洋の京楽、止めてくれ」

(かわいからいいじゃない。十四郎に、好きなだけ可愛がられるといいよ)

「むう、覚えてろ」

ぷくーっと頬を膨らませる西洋の浮竹に、東洋の浮竹は手土産にもってきたドーナツをちらつかせた。

「ドーナツ!」

味覚は子供に戻ってしまっているようで、東洋の浮竹からドーナツを受け取って、西洋の浮竹はそれをもぐもぐ食べていく。

ちなみに、東洋の浮竹の膝の上だった。

(かわいいなぁ、西洋の俺。ああ、このまま持ち帰りたい)

ダメだよ?西洋の浮竹は西洋のボクのものなんだから持ち帰っちゃダメ!

東洋の浮竹は、まるでおかんのような目つきで、東洋の浮竹をたしなめた。

「ちょっと、いくら東洋の浮竹でも持ち帰りは許さないよ。こんな姿になっても、浮竹は僕のものなんだから」

「お前が悪いんだろが!」

東洋の浮竹の膝の上で、西洋の浮竹は近づいてきた西洋の京楽のひげをひっぱった。

「あいたたた、ひげひっぱるのはやめて!」

「ふん」

(西洋の俺、食事はまだか?)

「ああ、まだだな。そう言えばそろそろ夕飯の時間だな、腹が減った」

(よし、俺がお子様ランチを作ってやろう。春水、手伝ってくれるか?)

(もちろんだよ。立派なお子様ランチを作ってあげるね?)

「むう、俺は見かけはこうだが中身は元のままなんだがな」

「浮竹、彼らの気が済むまで付き合ってあげたら?」

「仕方ない。そうする」

やがてできあがったお子様ランチは、とても美味しくて西洋の浮竹は残さず食べた。

(残さないなんて偉いぞ)

東洋の浮竹に頭を何度も撫でられる。

(ああ、弟ができたみたいで、こういうのいいなぁ)

その日は一緒に風呂に入りたいという東洋の浮竹に負けて、西洋の浮竹は東洋の浮竹に風呂に入れてもらい、髪と体を洗われた。

パジャマは、カエルさんだった。

(ああ、可愛すぎる・・・・)

「東洋の僕ら。ゲストルームで泊まってね?」

(むう、この小さな東洋の俺を独占する気だな)

「まだ、この姿の日は続く。明日はお前と寝るから、とりあえず今日は就寝しよう。俺も疲れて、眠い・・・・・」

こっくりこっくり船をかぐ西洋の浮竹をベッドに寝かしつけて、東洋の二人は仕方なくゲストルームで寝た。

次の日の朝、朝食を皆でとった後、西洋の浮竹がこう言い出した。

「なんだか、むしょうに遊びたい。体がうずうずする」

(じゃあ、木登りでもする?こう見えて俺は木登りが得意なんだ)

「する!中庭に生えている大樹なら、俺も何度か上ったことがある!」

「気をつけるんだよ、浮竹。怪我しないよにね」

(気をつけてね、十四郎と西洋の十四郎。僕とこっちの僕は、食事の後片付けと昼食の用意、それにお菓子を作っておくから)

「お菓子!」

(お菓子、俺の分もあるよな?)

きらきらを目を輝かせる東洋の浮竹と、西洋の浮竹だった。


「ほら、この木の上からだと、一番近い街がよく見えるだろう」

(いい景色だな)

二人は、木登りをした。

東洋の浮竹がするするとあまりにも自然に上るものだから、西洋の浮竹は東洋の自分に助けてもらいながら、木登りした。

「じゃあ、後は追いかけっこ」

(いいよ。僕が鬼になるから、西洋の俺は逃げてね)

(はーち、きゅうー、じゅう!)

数を数えて、東洋の浮竹は逃げる西洋の浮竹を追いかけた。

(待てーーーー)

「うわ、早いな!負けるものか!エアウォーキング!」

魔法を唱えて、西洋の浮竹は空を飛んでしまった。

(じゃあ、俺はこうだ)

東洋の浮竹は、巨大な白蛇を召還してその上に乗ると、宙にいる西洋の浮竹を捕まえてしまった。

「まいった、降参だ」

白蛇は、東洋の浮竹の服を掴んで離さない。

そんな様子を、古城の窓から西洋と東洋の京楽が、微笑ましそうに見つめていた。

(捕まえた。そろそろお昼だな。昼食を食べに行こうか)

「ああ」

東洋の浮竹は西洋の浮竹の小さな手を握って、古城の中に戻った。

昼食を食べ終えて、西洋の浮竹は眠そうに船をこいでいた。

「お昼寝の時間かな」

(そうみたいだね。中身は元の西洋の十四郎のままでも、体が子供だから、お昼寝を体が求めてるんだと思うよ)

(じゃあ、俺が寝かしつけてくるな)

東洋の浮竹は、西洋の浮竹を抱き上げて、寝室に入るとベッドの上にそっと寝かせて、毛布をかぶせた。

(早く元に戻るといいな。その姿もかわいくて大好きだけど、普通の西洋の俺に会いたい)

やがて3日が経ち、西洋の浮竹は元の姿に戻った。

そろそろだろうと、ぶかぶかの元のサイズの衣服を着せれていたので、いきなり裸になるとかいうハプニングは起きずに済んだ。

「世話をかけた。でも、楽しかった」

(俺も楽しかった!まるで弟ができたみたいで!)

(ボクはやっぱりその姿のままが一番だと思うね。今回はどこの誰かさんのせいで、苦労したね)

「全くだ。おい、京楽。覚悟はできてるんだろうな?」

「ぎくり」

「マンドレイク、5本生のまままるかじりだ。いいな?」

「はい」

東洋の京楽は、しゅんとする西洋の京楽の肩をぽんと叩いて満面の笑みで。

(がんばれ)

しょんぼりする今回の騒ぎの犯人あった、西洋の京楽は皆が見ている前でマンドレイクを生で5本まるかじりの刑に処された。

(じゃあ、俺たちは戻るな)

「ああ、本当に世話になった。兄ができたようで、嬉しかった」

(じゃあね、西洋の十四郎。あと、西洋のボクはほどほどにね)

「マンドレイクが、マンドレイクがあああ」

ちょっと混乱に陥っている西洋の京楽を残して、東洋の浮竹と京楽は元の世界へ戻っていった。

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「やっと、帰った・・・・・」

古城の様子を伺っていたゼイラムは、浮竹と京楽が二人いるのに驚き、身を潜めていた。

そして、改めて古城に乗り込んだ。

「やっと出てきたか」

「気配は察知していたんだよね」

浮竹と京楽は、追いかけてくるゼイラムを利用して、庭にまでやってきた。

古城の中では、思う存分に暴れれないからだった。

「俺の、存在が、ばれて?俺は、ゼイラム」

「ばればれでしょ。女神アルテナと藍染の匂いをそこまでさせといて」

ゼイラムは、血の刃を作りだすとそれで京楽に切りかかった。

「な、血の魔法!?ヴァンパイアか!?」

「違う。こいつ、俺の細胞を持っているようだ。気を付けろ。お前が狙われている」

「力の、弱い、血族の、京楽、殺す」

ゼイラムは、浮竹にも攻撃するが、しつこく京楽を狙ってきた。

「京楽、強い、何故?」

「僕は再覚醒したからね。今までの僕と思ったら、痛い目をみるよ!」

京楽は渦巻く魔力を血の鎌にかえて、ゼイラムを袈裟懸けに斬り裂いた。

その傷口は、シュウシュウと音をたてて癒されていく。

「く、ヴァンパイアの癒しの力か」

「灰になるまで攻撃すれば、それも意味をなさないだろう」

「そうだね」

「俺が、殺す、血族の、京楽」

「お前の力を、そいつに見せつけてやれ!」

「分かったよ!」

浮竹の言葉を受けて、京楽は渦巻く魔力を炎に変えて、次に雷にかえた。

「フレイムサンダースピア!」

炎と雷の2重の属性を持った槍が、ゼイラムに襲い掛かる。

「ぎゃあああ!でも、俺には、浮竹の、細胞がある、死なない」

ゼイラムは、血の刃で京楽の首の動脈をかき切った。

「京楽!」

「大丈夫だよ、これしきの傷」

しゅうしゅうと、音を立てて鮮血を噴き上げていた傷がなおっていく、

「俺の存在を、忘れるな」

浮竹が、血の刃を操り、ゼイラムの背中を斬り裂いた。

京楽は、ニタリと笑って、ゼイラムに埋め込まれていた浮竹の細胞を、えぐり取っていた。

「ぎゃああああ、俺の、俺の、力の、源が・・・・・・」

浮竹の細胞は、ゼイラムの右目に集中していた。

ただ、全身にもあるようで、右目をくりぬいたものの、凄まじい速度で再生が始まる。

京楽は残忍に笑った。

「僕の浮竹を傷つけようとする存在は、許さないよ」

右手で、再生されていったゼイラムの右目を再度くりぬいた。

「京楽、行くぞ!」

「うん!」

「「エターナルアイシクルワールド!!」」

それは禁呪の氷の封印魔法。

それをもろに浴びて、ゼイラムは氷ついていく。

「何故、京楽、魔法、使える?」

徐々に氷ついてく体を、ゼイラムはなんとか血の魔法でどうにかしようとするが、浮竹と京楽の魔力は絶大であった。

「俺、死にたく、ない・・・・・」

完全に凍り付いた体に、京楽がトドメをさす。

「アイアンメイデン!」

鋼鉄の処女、拷問器具のアイアンメイデンが現れて、ゼイラムを閉じ込めると、その中にある針で串刺しにした。

血が滲みでていく。

それを、京楽がアイアンメイデンごと、ゼイラムの体ごと業火で焼き払った。

「ヘルインフェルノ!」

アイアンメイデンの鉄が溶けていった。

「終わったね」

「ああ。それにして、京楽、本当に強くなったな。それに残酷になった」

「今までの僕は、君を守りたいと思っても、結局は君に守られていた。君を傷つける存在は、僕が許さない」

「再覚醒すると、ここまで強くなれるものなんだな」

浮竹は、京楽を見た。

「それは、君が強いからだよ。血族として再覚醒した時、君と同じ力を手に入れた。やっと、君を守るための力を手に入れた」

京楽は、浮竹を胸にかき抱いた。

「愛しているよ、浮竹」

「ん、俺もだ、京楽」

------------------------------------------------------------------------

「ああ!」

ベッドの上で、浮竹は喘いでいた。

京楽のものに貫かれて、シーツの上にぽたぽたと欲望を零していた。

「あ!」

京楽のものが、ごりっと音を立てて最奥を抉る。

「ひあああ!!」

浮竹は、ドライのオーガズムでいっていた。

「ああ!」

「愛してるよ、十四郎」

そう耳元で囁かれて、浮竹は自然と唇を自分の舌で舐めていた。

その仕草が、京楽は好きだった。

「ああ、君はやっぱり淫らでエロいね」

「んっ」

浮竹に肩を噛まれて、吸血される。

その凄まじい快感をやり過ごしてから、浮竹も京楽の肩に噛みついて、吸血した。

「んっ・・・いいよ、十四郎。喉が渇いてるんだね?もっと吸っていいよ」

浮竹は、溢れる血を啜って何度も嚥下した。

「お腹いっぱいかな?じゃあ、ご褒美あげないとね?」

ごりっと、奥に侵入した京楽のものが爆ぜた。

「あああ・・・・・・・」

じんわりと広がっていく熱を感じながら、浮竹は自分が京楽のものであると、安堵した。

「春水、春水」

「どうしたの」

「愛している。何が起こっても」

「僕も、愛しているよ。何が起こっても」

「ずっとお前の傍にいたい」

「僕が、君を離さないよ」

二人は、舌が絡みあうキスを繰り返しながら、更に乱れていくのであった。


―-------------------------------------------------------------------------

それは、ずっと封印されていた。

魔王と人間たちが呼ぶ、存在であった。

魔王は、藍染の手で封印を解かれた。

「これが、始祖浮竹だよ」

水鏡で、魔王アレスは藍染に、始祖ヴァンパイアの浮竹の姿を見せられていた。

「強い。我の力と同じかそれ以上に。我の伴侶として、欲しい」

「え、伴侶に?」

「そうだ。我は力の強い者なら、男でも女でも妊娠させれる」

藍染めは、引き気味に魔王アレスを見ていた。

「汝も強い。だが、我の好みではない。この浮竹という始祖ヴァンパイアは美しい。我の妻に欲しい」

「できれば、殺してほしいのだけどね」

魔王アレスは、藍染を睨んだ。

「うわ!」

睨まれたあけで、藍染の手は石化していた。

「我のは絶対。我は欲のままに生きる」

そう言って、魔王アレスは浮竹のいる古城にまでやってきた。

「ヴァンパイアの始祖、浮竹十四郎」

「なんだ。また、藍染の手の者か?」

「ちょっと、浮竹、気をつけて。そいつ、藍染並みに強いよ!」

「我は魔王アレス。藍染に封印を解いてもらった。始祖浮竹よ、汝を我の伴侶とする」

「何を言っている!」

魔王アレスは、浮竹の背後にくると、浮竹の体を抱き寄せて、浮竹を自分の方に向かせると、唇を奪っていた。

がりっ。

浮竹は、魔王アレスの舌を思い切り噛んでいた。

「血迷ったことを。俺は京楽のものだ」

「ますます気に入った。汝を、我が花嫁としよう」

「俺は男だ!」

「我は男でも女でも妊娠させられる」

その言葉を聞いて、浮竹は暴れ出した。

「離せ!離せ、この!!」

「浮竹!」

京楽が血の鎌で切りかかると、魔王アレスは右腕を切り取られただが、すぐに再生してしまった。

「魔国アルカンシェルの離島、ハンニバルに我が城がある。この我が伴侶を助けたければ、そこまでこい」

「浮竹ーーーー!!」

浮竹を腕の中に、魔王アレスは影の中にとぷんと沈んでしまった。

「浮竹・・・・絶対に助け出すから、それまで無事でいてね!!」

京楽は、魔国アルカンシェルに向かうための助力を、星の精霊ドラゴン平子真子に頼むのであった。

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