始祖なる者、ヴァンパイアマスター16-2
皇帝シェルキアの傷を、合流したルキアが癒してくれた。
浮竹の血でも癒せるが、京楽が血を与えるのにいい顔をしないので、ルキアもいることだし、幸いにも命に関わるような傷でなかったので、皇帝シェルキアは傷を癒されて、改めて浮竹たちに礼をいった。
「この子は、皇女マリアだった。かわいそうに。シスター・ノヴァの転生先に選ばれてしまった」
皇帝シェルキアは、封印された元聖女シスター・ノヴァの氷の封印に、手で触れた。
「この封印は、神族が代々皇族に伝えていく。地下に厳重に管理して、封印は解けないようにしよう」
「そうしてくれ。もう、シスター・ノヴァなんかにうろちょろされるのはご免だ。後、シスター・ノヴァが所属していた黒魔術の組織があるようだ。取り潰してくれ」
「浮竹殿が、そういうなら、そうなるよう取り計らいましょうぞ」
浮竹と京楽たちは、今度の戦争で聖帝国を救ってくれた恩人であると、国民たちに紹介をして、数日聖帝国に滞在した。
シスター・ノヴァを封印した氷は、宮殿の地下深くに置かれ、シェルキアの手により再度封印され、二重の封印を受けた。
黒魔術の組織はすぐに見つかり、シスター・ノヴァに手を貸していた者は全て極刑となった。
「では、俺たちはこれで」
「ありがとうございました、浮竹殿、京楽殿、それに仲間のお方がた」
「俺たちは仲間のお方がたかよ」
冬獅郎が文句を言うが、浮竹がその頭を撫でた。
「冬獅郎君には、感謝している。フェンリルがいないと、いろいろ不便だっただろし。力を貸してくれてありがとう」
「お、おう」
改めて褒められて、冬獅郎はぷいっと横を向いた。照れているのは丸わかりだった。
「では、浮竹、別れはもういいか?」
「ああ、白哉。恋次君、帰りも頼むよ」
「任せてくださいっす!」
一護とルキアと冬獅郎は、まだいる神族の負傷者を診るために、半月ほど聖帝国に滞在することが決まっていた。
「後のことは頼む、ルキア君、一護君、冬獅郎君!」
「任せてください」
「任せとけ」
「では、浮竹殿、京楽殿、兄様、恋次、しばしの別れだ!」
「ルキア、くれぐれも魔力切れを起こさないように」
ルキアは、重症の患者を治療しすぎて、1日だけ魔力切れを起こして癒しの魔法が使えなくなったことがあった。
「わかっています、兄様!」
浮竹、京楽、白哉を乗せた、竜化した恋次が羽ばたく。
空を渡り、聖都アルカディアを後にした。
一方、魔族の国アルカンシェルでは、藍染が悔しがっていた。
「くそ、あのシスター・ノヴァの誘惑に乗ったら、私の部隊が壊滅だと!始祖浮竹め!」
なんのために、浮竹の血を抜いて、魔族の戦士たちに与えたのかその意味が、全てなくなったのだ。
魔力が増大するが、時間の経過と共に、その魔力が消えていくことは分かった。
筋力はそのままであるが。
「始祖浮竹に、洗脳はほとんど通じない。どうしたものか」
「藍染様!」
「なんだ!」
「その、ブラッディ・ネイ様が来られております!」
「なんだと!通せ!」
「はい!」
ブラッディ・ネイは、分身体で魔国アルカンシェルを訪れていた。
「今回の件もあり、ボクは君たちの国と、正式に敵対することを決めた。兄様を拉致監禁した件もあるしね。もう、国交は断絶する。この国いるヴァンパイアは、皆血の帝国が引き受ける」
「ブラッディ・ネイ。始祖の浮竹を、自分のものにしたくないか?」
ピクリと、ブラッディ・ネイは動きを止めた。
「それはどういう意味?」
「そのままの意味だ。自分だけのものにしたくはないか?お前の血の力があれば・・・」
「断るよ。どうせ失敗するに決まってる。それに、最近の兄様はボクにも優しい。今の関係を、壊したくない」
「ちっ、どいつもこいつも!使えない!」
「自分だけの力で、どうにかしてみたら?ちなみに、今度兄様を拉致したら、血の帝国は総力を挙げて、魔国アルカンシェルを攻め滅ぼす」
ヴァンパイアと魔族では、再生能力の高い、ヴァンパイアの方が強かった。
このまま戦争になれば、血の帝国に勝てないだろう。
血の帝国は広い。多種族を、血族という形でヴァンパイアにできるので、魔族だったヴァンパイアも多い。
人口は、魔国アルカンシェルの4倍はいる。
「死ね!」
藍染は、ブラッディ・ネイの首をはねた。
「あはははは!ボクの分身体を殺しても、呪っても、意味ないからね。この分身体は式の応用だ」
ブラッディ・ネイは首だけになって、笑った。
「お前なんて、死んでしまえ、藍染」
ブラッディ・ネイの言葉は、毒のように、藍染を数日苦しめるのだった。
----------------------------------------------
「兄様、お帰りなさい」
「ただいま」
ブラッディ・ネイは大好きな兄を出迎えて、抱きしめた。
以前なら警戒されて、触らせてもくれなかったが、兄妹の仲は大分良好な方へと進んでいた。
「これ、土産のサボテン」
「あはははは!兄様から土産もらうなんて、はじめて!」
「ブラッディ・ネイ?いくら実の妹だからって、それ以上浮竹にくっついているのは、僕が許さないよ?」
「何さ、もじゃひげの京楽。兄様を抱いているんだから、少しくらいボクが触ってもいいじゃない」
ブラッディ・ネイの言葉に浮竹は真っ赤になった。
その場には、ブラッディ・ネイの寵姫や家臣、白哉に恋次もいたからだ。
皆、聞かなかったふりをした。
「あっかんべー」
「きいいい、浮竹、ブラッディ・ネイやっつけていい?」
「やめとけ。バカにされるだけだぞ」
「やーいもじゃひげー。バーカバーカ」
「ムキーーー!」
「京楽、その、今夜・・・・」
暴走する京楽を止めるために、そう言ってみたのだが、浮竹は墓穴を掘った。
「よし、今すぐ古城に帰って、お風呂に入って睦み合おう。この2週間、君に触れるだけで、抱けなかったからね」
「おい、ちょ、京楽!」
その場で、誰もが目を閉じた。
「んんん!」
濃厚なキスをされて、浮竹は腰が砕けた。
「バカ、血の帝国内ではするなと!」
「君が欲しい」
真剣な表情で、京楽は浮竹に求愛した。
「古城に、戻ろう」
「うん。いっぱい、愛してあげるからね」
「またね、兄様」
「ああ、皆またな」
京楽は、立てないでいる浮竹をお姫様抱っこして、翼を広げて宮殿を抜けると、空間転移の魔法陣までやってきて、魔力を流しこみ、古城の地下に戻った。
「京楽、落ち着け。まだ、食事も・・・ううん」
「うん。先に、お風呂入って、君を抱きたい。いいよね?」
「好きにしろ」
浮竹は、京楽の下で乱れるのは久しぶりだった。
聖帝国では、キスやハグはしていたけど、京楽に抱かれていなかった。
「ああ!」
京楽の逞しいもので突き上げられて、浮竹は宙にその白い髪を舞わせた。
「んあああ!!」
騎乗位だった。
久しぶりの睦み合いは、濃厚なものだった。
もう、三度も京楽の熱を体内で受け止めていた。
一向に、京楽のものが硬さを失うことはなかった。
「あああ!」
前立腺をすりあげられて、浮竹は白濁した液体を、京楽の腹に滴らせていた。
「ひあ!」
ちゅどんと、音をたてて、結腸にまで入り込んできた熱に、浮竹は背をしならせる。
ドライのオーガズムでいきながら、浮竹は京楽の手で追い詰められて、また精液を出していた。
睦み合う前に、せめて何か飲もうと言われて、甘い液体を、浮竹は飲ませられた。
浮竹は、それが媚薬だと知っていた。
知っていながら、服用した。
「ああああ!!」
体の熱は、治まることを知らず、何度も精液を吐き出した。
「やああああああ!もう、やぁっ!」
与えらる快感に泣きながら、それでも京楽にこたえた。
「んああああ!」
「血を、吸ってもいいかい?」
「あ、やあ!」
「吸うよ?」
「や、だめ、今、いってるから・・・・いやあああああああ!!」
ゴリゴリと結腸を抉られて、オーガズムでいっている最中に首に噛みつかれて、吸血された。
「やあああ!!」
ぷしゅわああ。
浮竹は、潮をふいていた。
「ああ、十四郎はエロい体になっちゃったね?男の僕に犯されて、女の子みたいに潮ふいちゃって」
「あ、あ、言うな、あああ!!」
ごりっと、奥の奥を抉られた。
騎乗位から、浮竹は押し倒されていた。
中に入ったままの、京楽のものに抉られて、啼いていた。
「あああ!ひあ、もうやぁ!許して、春水・・・・・」
「僕はまだまだいけるよ?浮竹も、まだまだいけるでしょ?」
耳を甘噛みされながら、耳元で囁かれた。
「やぁん」
「十四郎、かわいい」
「やぁ」
「また、女の子みたいに潮ふいて、きもちよくなって?十四郎の潮、すごく甘い」
「春水・・・・バカ。でも、愛してる」
浮竹は、自分から京楽に口づけた。
「ふあっ」
舌を絡み合わせていると、京楽の牙が舌を噛んだ。
「んあっ」
キスをしながら、吸血されてイっていた。
「あああ・・・・」
長く睦み合った。
夕方くらいに体を重ね合わせたのに、時計は11時を指していた。
時折休憩を混ぜて、京楽は浮竹を貪った。
浮竹も、休憩の間に人工血液を口にして、京楽に血を吸われた。
また、少し休憩を入れる。
トロトロと、浮竹の太ももを、京楽が出したものが伝い落ちていく。
「あ、や・・・・・・・・」
京楽は、濡れたタオルでそれをふいた。
「もういいよね?」
「あ、やっ」
唇を奪われていた。
「んんっ」
舌を絡めあい、京楽の下が歯茎をくすぐってくる。
それに、浮竹がさっきのお返しだとばかりに噛みついて、少しだけ吸血した。
「ああ、きもちういいよ、十四郎」
「ん・・・」
京楽は、浮竹の胸を撫で下ろし、先端を口に含んで舐め転がした。
「んあ」
ぴくりと、浮竹が反応する。
もう片方をつまみあげると、浮竹は可愛くお願いをしてきた。
「もっと、もっと、春水が欲しい。春水の色に、俺を染め上げて?」
「ああ、君は僕を煽るのが上手だね。ご褒美をあげなくちゃね?」
「あああああ!!」
熱い熱に貫かれて、浮竹は乱れる。
純粋に妖艶で、美しかった。
「ああ、あ!」
最奥までつきあげてくる熱を、浮竹は締め上げた。
「いって!俺の奥で、春水」
「うん。たくさん出すから、受け止めてね?」
「ああああ!」
びゅるびゅると、まだ濃い精子を胎の奥で受け止めて、浮竹は唇を舐めた。
ゾクリとした。
この愛する者は、サキュバスなのかと思った。
「愛してる、春水」
「僕も愛してるよ、十四郎」
「あああ!」
また、もう何十回目になるかも分からないオーガズムの波にさらわれながら、浮竹は眠りに落ちていった。
------------------------------------------------------------------------
「ん・・・・」
目覚めると、東洋だった。
「ああ、また夢渡りで世界を渡ったのか」
「気が付いた、浮竹?」
「ああ」
「東洋の僕らが、エメラルドのブローチをくれたお礼がしたいって」
(目覚めたのか。大丈夫か?)
「ああ、大丈夫だ」
(その、睦み合っていたんだな。タイミングが悪かっただろか)
「問題ない」
(これは、俺と春水で用意した、花の種だ)
東洋の浮竹は、花の種が入ったラッピングされた小さな包みをくれた。
(そうそう、この花の花言葉は「永遠の愛」。まさに、君たちにぴったりだと思ってね)
「永遠の愛か。俺と京楽の愛みたいで、本当にいいな。ありがとう。綺麗に咲かせてみせる」
(じゃあ、時間もないようだし、またね)
(ああ、また会おう)
「うん」
「また、夢渡りをして世界を渡ってくるから、その時はお茶でもしよう。この前、豆大福をもらった時みたいに。緑茶、取り寄せておく」
そうして、浮竹も京楽も、その夢渡りの先にある世界を去って行った。
(桔梗の花、綺麗に咲くといいな)
(ボクらみたいに、特殊な力をもっているから、花を咲かせるなんて容易いことじゃないかな)
(そうだな。大好きだ、春水)
(ふふふ、あっちの十四郎もかわいいけど、ボクの十四郎は世界一かわいいね)
東洋の浮竹は、真っ赤になって、同じ東洋の京楽から口づけをもらうのだった。
------------------------------------------------------------
「花の種か。自然に咲かせるのもいいが、早く見たいから、咲かせてしまおう」
「もったいなくない?」
「咲かせたら、すぐに種ができるようにしよう。後、全部は植えないで、自然に咲くのを待とうか」
「それがいいかもね」
浮竹と京楽は、古城の庭に出て、プランターに種を植え、そこに浮竹が数滴血を滴らせた。
みるみる芽が出て、成長していき、美しい花が咲いた。
「桔梗か。綺麗だな」
「うん。浮竹?」
浮竹は、2つほど摘み取って、溶けることのない氷の魔法で、桔梗の花を包み込んだ。
「これで、いつでも見れる」
「どこに置くの?」
「もちろん、寝室に」
二人は、手を繋ぎ合って、昇ってくる太陽を見ていた。
黄金色に輝く朝日は、美しかった。
「永遠だ。俺とお前の愛は。この花言葉のように」
「うん。永遠の愛を君に」
普通のヴァンパイアは太陽の光が苦手だ。すぐに灰になることはないが、やけどを負う。
浮竹と京楽は、始祖のヴァンパイアマスターで、京楽はその血族のヴァンパイアロード。
太陽の、特にヴァンパイアたちを灰にする朝日は、効かなかった。
美しい黄金の朝焼けを見れるヴァンパイアは限られている。
------------------------------------------------------------
聖帝国から帰還して、半年が経っていた。
「兄様?」
眠っていたブラッディ・ネイは、愛しい存在がすぐ近くにあるのに気づいて、実の兄の抱き着いた。
「愛している、ブラッディ・ネイ」
「兄様、ボクもだよ!兄様、兄様!」
ブラッディ・ネイが消えた。
血の帝国を震撼させた、女帝行方不明事件は、すぐに浮竹と京楽の耳に入り、平和な日々を壊していくのだった。
浮竹の血でも癒せるが、京楽が血を与えるのにいい顔をしないので、ルキアもいることだし、幸いにも命に関わるような傷でなかったので、皇帝シェルキアは傷を癒されて、改めて浮竹たちに礼をいった。
「この子は、皇女マリアだった。かわいそうに。シスター・ノヴァの転生先に選ばれてしまった」
皇帝シェルキアは、封印された元聖女シスター・ノヴァの氷の封印に、手で触れた。
「この封印は、神族が代々皇族に伝えていく。地下に厳重に管理して、封印は解けないようにしよう」
「そうしてくれ。もう、シスター・ノヴァなんかにうろちょろされるのはご免だ。後、シスター・ノヴァが所属していた黒魔術の組織があるようだ。取り潰してくれ」
「浮竹殿が、そういうなら、そうなるよう取り計らいましょうぞ」
浮竹と京楽たちは、今度の戦争で聖帝国を救ってくれた恩人であると、国民たちに紹介をして、数日聖帝国に滞在した。
シスター・ノヴァを封印した氷は、宮殿の地下深くに置かれ、シェルキアの手により再度封印され、二重の封印を受けた。
黒魔術の組織はすぐに見つかり、シスター・ノヴァに手を貸していた者は全て極刑となった。
「では、俺たちはこれで」
「ありがとうございました、浮竹殿、京楽殿、それに仲間のお方がた」
「俺たちは仲間のお方がたかよ」
冬獅郎が文句を言うが、浮竹がその頭を撫でた。
「冬獅郎君には、感謝している。フェンリルがいないと、いろいろ不便だっただろし。力を貸してくれてありがとう」
「お、おう」
改めて褒められて、冬獅郎はぷいっと横を向いた。照れているのは丸わかりだった。
「では、浮竹、別れはもういいか?」
「ああ、白哉。恋次君、帰りも頼むよ」
「任せてくださいっす!」
一護とルキアと冬獅郎は、まだいる神族の負傷者を診るために、半月ほど聖帝国に滞在することが決まっていた。
「後のことは頼む、ルキア君、一護君、冬獅郎君!」
「任せてください」
「任せとけ」
「では、浮竹殿、京楽殿、兄様、恋次、しばしの別れだ!」
「ルキア、くれぐれも魔力切れを起こさないように」
ルキアは、重症の患者を治療しすぎて、1日だけ魔力切れを起こして癒しの魔法が使えなくなったことがあった。
「わかっています、兄様!」
浮竹、京楽、白哉を乗せた、竜化した恋次が羽ばたく。
空を渡り、聖都アルカディアを後にした。
一方、魔族の国アルカンシェルでは、藍染が悔しがっていた。
「くそ、あのシスター・ノヴァの誘惑に乗ったら、私の部隊が壊滅だと!始祖浮竹め!」
なんのために、浮竹の血を抜いて、魔族の戦士たちに与えたのかその意味が、全てなくなったのだ。
魔力が増大するが、時間の経過と共に、その魔力が消えていくことは分かった。
筋力はそのままであるが。
「始祖浮竹に、洗脳はほとんど通じない。どうしたものか」
「藍染様!」
「なんだ!」
「その、ブラッディ・ネイ様が来られております!」
「なんだと!通せ!」
「はい!」
ブラッディ・ネイは、分身体で魔国アルカンシェルを訪れていた。
「今回の件もあり、ボクは君たちの国と、正式に敵対することを決めた。兄様を拉致監禁した件もあるしね。もう、国交は断絶する。この国いるヴァンパイアは、皆血の帝国が引き受ける」
「ブラッディ・ネイ。始祖の浮竹を、自分のものにしたくないか?」
ピクリと、ブラッディ・ネイは動きを止めた。
「それはどういう意味?」
「そのままの意味だ。自分だけのものにしたくはないか?お前の血の力があれば・・・」
「断るよ。どうせ失敗するに決まってる。それに、最近の兄様はボクにも優しい。今の関係を、壊したくない」
「ちっ、どいつもこいつも!使えない!」
「自分だけの力で、どうにかしてみたら?ちなみに、今度兄様を拉致したら、血の帝国は総力を挙げて、魔国アルカンシェルを攻め滅ぼす」
ヴァンパイアと魔族では、再生能力の高い、ヴァンパイアの方が強かった。
このまま戦争になれば、血の帝国に勝てないだろう。
血の帝国は広い。多種族を、血族という形でヴァンパイアにできるので、魔族だったヴァンパイアも多い。
人口は、魔国アルカンシェルの4倍はいる。
「死ね!」
藍染は、ブラッディ・ネイの首をはねた。
「あはははは!ボクの分身体を殺しても、呪っても、意味ないからね。この分身体は式の応用だ」
ブラッディ・ネイは首だけになって、笑った。
「お前なんて、死んでしまえ、藍染」
ブラッディ・ネイの言葉は、毒のように、藍染を数日苦しめるのだった。
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「兄様、お帰りなさい」
「ただいま」
ブラッディ・ネイは大好きな兄を出迎えて、抱きしめた。
以前なら警戒されて、触らせてもくれなかったが、兄妹の仲は大分良好な方へと進んでいた。
「これ、土産のサボテン」
「あはははは!兄様から土産もらうなんて、はじめて!」
「ブラッディ・ネイ?いくら実の妹だからって、それ以上浮竹にくっついているのは、僕が許さないよ?」
「何さ、もじゃひげの京楽。兄様を抱いているんだから、少しくらいボクが触ってもいいじゃない」
ブラッディ・ネイの言葉に浮竹は真っ赤になった。
その場には、ブラッディ・ネイの寵姫や家臣、白哉に恋次もいたからだ。
皆、聞かなかったふりをした。
「あっかんべー」
「きいいい、浮竹、ブラッディ・ネイやっつけていい?」
「やめとけ。バカにされるだけだぞ」
「やーいもじゃひげー。バーカバーカ」
「ムキーーー!」
「京楽、その、今夜・・・・」
暴走する京楽を止めるために、そう言ってみたのだが、浮竹は墓穴を掘った。
「よし、今すぐ古城に帰って、お風呂に入って睦み合おう。この2週間、君に触れるだけで、抱けなかったからね」
「おい、ちょ、京楽!」
その場で、誰もが目を閉じた。
「んんん!」
濃厚なキスをされて、浮竹は腰が砕けた。
「バカ、血の帝国内ではするなと!」
「君が欲しい」
真剣な表情で、京楽は浮竹に求愛した。
「古城に、戻ろう」
「うん。いっぱい、愛してあげるからね」
「またね、兄様」
「ああ、皆またな」
京楽は、立てないでいる浮竹をお姫様抱っこして、翼を広げて宮殿を抜けると、空間転移の魔法陣までやってきて、魔力を流しこみ、古城の地下に戻った。
「京楽、落ち着け。まだ、食事も・・・ううん」
「うん。先に、お風呂入って、君を抱きたい。いいよね?」
「好きにしろ」
浮竹は、京楽の下で乱れるのは久しぶりだった。
聖帝国では、キスやハグはしていたけど、京楽に抱かれていなかった。
「ああ!」
京楽の逞しいもので突き上げられて、浮竹は宙にその白い髪を舞わせた。
「んあああ!!」
騎乗位だった。
久しぶりの睦み合いは、濃厚なものだった。
もう、三度も京楽の熱を体内で受け止めていた。
一向に、京楽のものが硬さを失うことはなかった。
「あああ!」
前立腺をすりあげられて、浮竹は白濁した液体を、京楽の腹に滴らせていた。
「ひあ!」
ちゅどんと、音をたてて、結腸にまで入り込んできた熱に、浮竹は背をしならせる。
ドライのオーガズムでいきながら、浮竹は京楽の手で追い詰められて、また精液を出していた。
睦み合う前に、せめて何か飲もうと言われて、甘い液体を、浮竹は飲ませられた。
浮竹は、それが媚薬だと知っていた。
知っていながら、服用した。
「ああああ!!」
体の熱は、治まることを知らず、何度も精液を吐き出した。
「やああああああ!もう、やぁっ!」
与えらる快感に泣きながら、それでも京楽にこたえた。
「んああああ!」
「血を、吸ってもいいかい?」
「あ、やあ!」
「吸うよ?」
「や、だめ、今、いってるから・・・・いやあああああああ!!」
ゴリゴリと結腸を抉られて、オーガズムでいっている最中に首に噛みつかれて、吸血された。
「やあああ!!」
ぷしゅわああ。
浮竹は、潮をふいていた。
「ああ、十四郎はエロい体になっちゃったね?男の僕に犯されて、女の子みたいに潮ふいちゃって」
「あ、あ、言うな、あああ!!」
ごりっと、奥の奥を抉られた。
騎乗位から、浮竹は押し倒されていた。
中に入ったままの、京楽のものに抉られて、啼いていた。
「あああ!ひあ、もうやぁ!許して、春水・・・・・」
「僕はまだまだいけるよ?浮竹も、まだまだいけるでしょ?」
耳を甘噛みされながら、耳元で囁かれた。
「やぁん」
「十四郎、かわいい」
「やぁ」
「また、女の子みたいに潮ふいて、きもちよくなって?十四郎の潮、すごく甘い」
「春水・・・・バカ。でも、愛してる」
浮竹は、自分から京楽に口づけた。
「ふあっ」
舌を絡み合わせていると、京楽の牙が舌を噛んだ。
「んあっ」
キスをしながら、吸血されてイっていた。
「あああ・・・・」
長く睦み合った。
夕方くらいに体を重ね合わせたのに、時計は11時を指していた。
時折休憩を混ぜて、京楽は浮竹を貪った。
浮竹も、休憩の間に人工血液を口にして、京楽に血を吸われた。
また、少し休憩を入れる。
トロトロと、浮竹の太ももを、京楽が出したものが伝い落ちていく。
「あ、や・・・・・・・・」
京楽は、濡れたタオルでそれをふいた。
「もういいよね?」
「あ、やっ」
唇を奪われていた。
「んんっ」
舌を絡めあい、京楽の下が歯茎をくすぐってくる。
それに、浮竹がさっきのお返しだとばかりに噛みついて、少しだけ吸血した。
「ああ、きもちういいよ、十四郎」
「ん・・・」
京楽は、浮竹の胸を撫で下ろし、先端を口に含んで舐め転がした。
「んあ」
ぴくりと、浮竹が反応する。
もう片方をつまみあげると、浮竹は可愛くお願いをしてきた。
「もっと、もっと、春水が欲しい。春水の色に、俺を染め上げて?」
「ああ、君は僕を煽るのが上手だね。ご褒美をあげなくちゃね?」
「あああああ!!」
熱い熱に貫かれて、浮竹は乱れる。
純粋に妖艶で、美しかった。
「ああ、あ!」
最奥までつきあげてくる熱を、浮竹は締め上げた。
「いって!俺の奥で、春水」
「うん。たくさん出すから、受け止めてね?」
「ああああ!」
びゅるびゅると、まだ濃い精子を胎の奥で受け止めて、浮竹は唇を舐めた。
ゾクリとした。
この愛する者は、サキュバスなのかと思った。
「愛してる、春水」
「僕も愛してるよ、十四郎」
「あああ!」
また、もう何十回目になるかも分からないオーガズムの波にさらわれながら、浮竹は眠りに落ちていった。
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「ん・・・・」
目覚めると、東洋だった。
「ああ、また夢渡りで世界を渡ったのか」
「気が付いた、浮竹?」
「ああ」
「東洋の僕らが、エメラルドのブローチをくれたお礼がしたいって」
(目覚めたのか。大丈夫か?)
「ああ、大丈夫だ」
(その、睦み合っていたんだな。タイミングが悪かっただろか)
「問題ない」
(これは、俺と春水で用意した、花の種だ)
東洋の浮竹は、花の種が入ったラッピングされた小さな包みをくれた。
(そうそう、この花の花言葉は「永遠の愛」。まさに、君たちにぴったりだと思ってね)
「永遠の愛か。俺と京楽の愛みたいで、本当にいいな。ありがとう。綺麗に咲かせてみせる」
(じゃあ、時間もないようだし、またね)
(ああ、また会おう)
「うん」
「また、夢渡りをして世界を渡ってくるから、その時はお茶でもしよう。この前、豆大福をもらった時みたいに。緑茶、取り寄せておく」
そうして、浮竹も京楽も、その夢渡りの先にある世界を去って行った。
(桔梗の花、綺麗に咲くといいな)
(ボクらみたいに、特殊な力をもっているから、花を咲かせるなんて容易いことじゃないかな)
(そうだな。大好きだ、春水)
(ふふふ、あっちの十四郎もかわいいけど、ボクの十四郎は世界一かわいいね)
東洋の浮竹は、真っ赤になって、同じ東洋の京楽から口づけをもらうのだった。
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「花の種か。自然に咲かせるのもいいが、早く見たいから、咲かせてしまおう」
「もったいなくない?」
「咲かせたら、すぐに種ができるようにしよう。後、全部は植えないで、自然に咲くのを待とうか」
「それがいいかもね」
浮竹と京楽は、古城の庭に出て、プランターに種を植え、そこに浮竹が数滴血を滴らせた。
みるみる芽が出て、成長していき、美しい花が咲いた。
「桔梗か。綺麗だな」
「うん。浮竹?」
浮竹は、2つほど摘み取って、溶けることのない氷の魔法で、桔梗の花を包み込んだ。
「これで、いつでも見れる」
「どこに置くの?」
「もちろん、寝室に」
二人は、手を繋ぎ合って、昇ってくる太陽を見ていた。
黄金色に輝く朝日は、美しかった。
「永遠だ。俺とお前の愛は。この花言葉のように」
「うん。永遠の愛を君に」
普通のヴァンパイアは太陽の光が苦手だ。すぐに灰になることはないが、やけどを負う。
浮竹と京楽は、始祖のヴァンパイアマスターで、京楽はその血族のヴァンパイアロード。
太陽の、特にヴァンパイアたちを灰にする朝日は、効かなかった。
美しい黄金の朝焼けを見れるヴァンパイアは限られている。
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聖帝国から帰還して、半年が経っていた。
「兄様?」
眠っていたブラッディ・ネイは、愛しい存在がすぐ近くにあるのに気づいて、実の兄の抱き着いた。
「愛している、ブラッディ・ネイ」
「兄様、ボクもだよ!兄様、兄様!」
ブラッディ・ネイが消えた。
血の帝国を震撼させた、女帝行方不明事件は、すぐに浮竹と京楽の耳に入り、平和な日々を壊していくのだった。
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