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始祖なる者、ヴァンパイアマスター18

古城に、訪問者がいた。

自分を、始祖精霊にして、炎の精霊王クルル・ルデール・ファイアオブファイアと言い出した。

燃えるような赤い髪に、赤い瞳の若い美青年だった。

「単刀直入に聞く。精霊王の力を、欲しくはないか」

「あ、別にいらん」

ズコー。

炎の精霊王は、ずっこけた。

今まで、魔法を極めた者は皆、精霊王を使役することを望んだ。

それを、この浮竹という始祖ヴァンパイアは、いらないのだという。

浮竹は、身に着けている、邪気を感じとることのできる水晶を見た。

濁ってはいなかった。少なくとも、敵意はないようであった。

「我を使役できれば、もっと力が増すぞ」

「いや、俺は十分に今のままでもやっていけるからな。どうせ、試練だとかいって、我を倒してみよとか言い出すんだろう?」

「ぎくっ」

「無益な争いは好まない。炎の最高位精霊フェックスを使役だけるだけでも、十分だ」

「我の誘いを断った者は、貴殿が初めてだ」

「浮竹、この子本当に精霊王なの?」

「そうみたいだぞ。宿している魔力が半端じゃない」

「うーん、僕にはわからないけどなぁ」

炎の精霊王は、自分の魔力を隠蔽していた。それを感じ取ることができるのは、精霊王を使役できる力を有している証でもあった。

「本当に、いらぬのか」

「いらん。帰れ」

「ぐ・・・・今日は帰るが、またくる」

「もうこなくていいぞ」

「うん、こなくていいよ。ばいばい」

京楽は、浮竹に近づく怪しい青年だと、警戒しているようだった。

精霊王が帰った後の訪問者に、浮竹と京楽が驚いた。

東洋の浮竹と京楽だった。

(久しぶりだな)

(元気にしてた?)

「ああ、元気にしている。水晶のペンダントありがとう。いつでも身に着けている。おかげで、邪気があるかないかが分かって便利でいい」

「うん、ありがとね東洋の僕と浮竹」

(役に立っているようならよかった)

(うん、プレゼントした甲斐があるってもんだね)

東洋の浮竹と京楽は、仲睦まじく寄り添い合っていた。

「ねぇ、浮竹・・・・」

「却下!」

「クスン」

東洋の浮竹と京楽は、お茶をしてから、西洋の浮竹と京楽の影に潜ってしまった。

蛇神であるので、影に潜むことができるのだ。

「S級ダンジョンに行こうと思っていたんだが、一護君という少年を鍛えるために、連れていこうと思っていた。一緒に行動すればややこしくなるんだが、影に潜んでいられるなら、問題ないな」

(危なくなったら、いつでも加勢するぞ?)

(うん、ボクも)

「いや、一護君の手前もあるから、なるべく姿を潜めてほしい」

(分かったよ)

(なるべく、静かにしとく)

--------------------------------------------------

「一護君、俺たちと一緒に、S級ダンジョンにもぐらないか」

浮竹の突然の訪問に驚いたのと同時に、自分を指名する浮竹に、一護は首を傾げた。

「はあ、別にいいっすけど」

「ルキア君を守りたいんだろう?もっと強くなりたいと、思わないか?」

「そうだよ。今回は、一護君を鍛える意味も兼ねているから」

「俺だけっすか?ルキアや冬獅郎は?」

「ルキアちゃんは聖女だ。別に強くなくてもいい。冬獅郎君は、ちょっと今回炎の精霊王なる者が訪ねてきたので、氷の精霊をもつ冬獅郎君とは相性が悪いだろうから、一護君だけにすることにした」

「はぁ。なんか良く分からないけど、強くなれるんなら、そのS級ダンジョンとやらに同行するっす」

こうして、浮竹と京楽と一護は、影に東洋の浮竹と京楽を潜ませながら、S級ダンジョンに行くことになった。

50階層まである、S級ダンジョンを選んだ。

攻略に3日ほどはかかるので、3人分+2人分の食料と水をアイテムポケットに入れて、テントやら布団やら寝泊まりするのに必要なものを用意した。

「東洋の君らの食事も、一応用意するからな」

「うんうん」

(ありがとう。気を使ってくれなくても、いいんだぞ?)

「でも、影に潜んでいても腹はすくし、喉は乾くだろう」

(それはまぁ・・・・)

「5人分の食料と水を、3日分ほど用意しておいた」

(ありがとう)

(感謝するよ。S級ダンジョンなるもの、見ておきたいって、十四郎が言うものだから)

(こら、春水、それは秘密だろう)

(ああ、ごめんよ十四郎。まぁもう言ちゃったものは仕方ない)

「何ごちゃごちゃ言ってるんすか?」

「ああ、一護君、なんでもないんだ。出発しようか」

「あの、なんか準備した荷物、明らかに二人分多いんですけど」

「浮竹、隠し通すのは無理だよ」

「はぁ、仕方ないなぁ。なぁ、出てきてくれ。一護君に紹介する」

「え?」

一護は、目が点になった。

「東洋の僕らだ」

「そうそう、東洋の。蛇神で、神様でもあり妖でもあるよ」

(はじめまして、こちらの世界の一護君)

(いやぁ、ボクらの世界の一護クンにそっくりだね)

「はえ?浮竹さんと京楽さんが二人?ええええ!?」

「話せば長くなるが、東洋の、極東の島国に僕らと同じ存在がある世界があるんだ。いつもは夢渡りで俺たちもいくんだが、今回はわざわざ遊びにきてくれたんだ。まぁ、陰に潜んでいてもらうし、ダンジョン攻略は基本俺と京楽と一護君で行う。いいな?」

「え、あ、なんだか分かりませんが、違う世界の浮竹さんと京楽さんでいいんすね?」

「そうだ。飲みこみが早くて助かる」

影から姿を現していた東洋の浮竹と京楽は、蛇の形になって、それぞれ自分を同じ西洋の浮竹と京楽の影に潜った。

「なんかすげぇ。影渡り・・・。影があれば移動できる。すごいっすね」

「まぁ、神様でもあるからね」

「そういう浮竹さんも、始祖だしある意味神様に近いっすよ」

「浮竹はまぁ、神々が生きてまだこの世界にいた頃から、生きているからね」

「とりあえず、出発しましょう!」

一護は、混乱することをすっかりなかったことにして、S級ダンジョンへと足を伸ばしていった。

-------------------------------------------

S級ダンジョン、第一階層。

草原が、広がっていた。

「うわぁ、ダンジョンの中に草原がある!」

「宝箱だ!」

草原のど真ん中に置いてあった、宝箱は見るからに怪しかった。

浮竹は、早速宝箱を開けた。

ミミックだった。

「暗いよ、怖いよ、狭いよ、息苦しいよ~~~」

「何してんすか、あれ」

「いや、浮竹はダンジョンで宝箱を見たら、ミミックにかじられるのが好きなんだよ」

(何してるのあれ)

(ミミックに齧られるんじゃないの?)

「浮竹、ほら、東洋の僕らも呆れているよ!君のミミック好きにも、困ったものだね」

「京楽さん、助けなくていいんすか」

「一護君が助けてごらん」

「ていや!えい!」

一護は、ミミックを蹴ったり殴ったりしていた。

「うわあああ、ミミックが更に噛んでくる!」

「俺じゃ無理みたいっす」

(ねぇ、西洋の十四郎は、本当にヴァンパイアの始祖なんだよね?全然そうは見えないんだけど)

(う、それは俺も思った)

「ほらほら、東洋の僕らが、呆れているよ」

「京楽、助けてくれー」

「仕方ないねぇ」

京楽は、浮竹の体を引っ張り出すのではなく、押し込んだ。

ミミックがおえっとなって、浮竹を離す。

「ファイアボール!」

浮竹は、ミミックを退治した。

後には、魔法書が残されていた。

「やった、魔法書だ。何々、雨の色を変える魔法。へぇ、面白そうだ」

早速、浮竹は習得する。

すると、都合のいいことに、空の天気が崩れて小ぶりの雨が降ってきた。

「ブルーレイン!」

浮竹が呪文を唱えると、雨粒が青くなった。

「レッドレイン」

今度は、赤くなった。

「なんだこれ、けっこうおもしろい。それに綺麗だ」

「いい魔法書でよかったね、浮竹」

「ああ」

浮竹はにこにこしていた。

雨は、すぐにやんでしまった。

一階層は、色違いのスライムが出た。スライムといっても、巨大な個体で、一護がジャンプしてコアのある部分に、魔剣で電撃を浴びせた。

スライムを、そんな風に倒して、2階層にまできた。

ゴースト系のモンスターが出た。

浮竹が、炎の魔法で屠っていく。

そんな調子で、5階層まで進み、ボスのワイバーン3体をやっつけると、宝物個への扉が開いた。

「金銀財宝だ!金だ!」

「うわぁ、浮竹さん世俗にまみれてる」

一護がそう言った。

うきうきと浮竹は宝物個の宝箱を開けた。

中には、金銀財宝がつまっていたが、浮竹はあからさま残念そうだった。

「どうしたの、浮竹」

「宝箱が、普通だった。ミミックじゃなかった・・・・・」

「そこ、残念がるとこなんすか!?」

(あっはははは)

(ちょっと、十四郎、笑っちゃかわいそうだよ。ぷくくく)

「俺はミミック教を布教している。信者は俺一人!だけど東洋の俺たち、ぜひミミック教に」

うわぁ、西洋の俺少しやばいと言うかイカれているな

(ミミック教。いくところまで、いっちゃってるね。ミミック教ってネーミングセンスもばいね)

影の中で、東洋の京楽は肩すくめていた。

「ほらほら浮竹、東洋の僕らが引いてるよ。ミミック教は君一人で楽しんでなさいな」

「残念。ミミックのかじられるあの快感が、分からないとは」

「いや、普通痛いっすよ!」

「一護君、ミミックに関したら浮竹はただのアホだから、放置してていいよ」

「アホっていうな!聞こえてるぞ」

浮竹は、炎の矢で京楽の尻を燃やした。

「あちちちち」

(仲いいのか悪いのか、分からないな)

(仲はいいでしょ。じゃなきゃ、一緒にいないさ)

「じゃあ、6階層に行こう」

浮竹は、文句を垂れながらも、財宝をアイテムポケットにしまいこんだ。

一護を中心として、敵を倒していく。

「俺、強くなってるんすかね?」

「初めの頃より、動きが綺麗だし、魔法も使えるようになってる」

そう、一護はこのS級ダンジョンにきて、初めて魔法が使えるようになっていた。

今まで、魔剣を通してしか、魔法は使えなかったし、雷系の魔法のみだった。

10階層で、水の精霊の乙女、ウンディーネを倒したことで、一護は魔剣の媒介なしに、雷と水の魔法を使えるようになっていた。

「このダンジョンに来てよかったっす。まさか、俺が魔法を使えるようになるなんて。ルキアのやつ、驚くだろうな。冬獅郎も、驚くな、きっと」

「俺も驚いている。ここまで一気に成長するとは思わなかった。一護君は、精霊を使役していなかったから、今まで使えなかっただけで、魔法の素質はあったんだろうな。10階層のウンディーネを倒した時、強制契約になったんだろう。それがきっかけで、魔法が使えるようになったんだと思うぞ」

「確かに、一護クンがもってる魔力は高いからね。魔法が、魔剣を媒介にしないと使えないと聞いて、少し不思議におもっていたんだよ。素質はあったんだね、やっぱり」

京楽と浮竹に褒められて、一護は照れ臭そうにしていた。

10階層の財宝をもっていたのは、ミミックだった。

「ミミックだ!やった!」

浮竹が、ミミックだと分かっているのに突っ込んでいく。

「いつもより痛い~。暗いよ狭いよ怖いよ痛いよ~」

「はいはい」

京楽が、浮竹を救出する。

ミミックは、ハイミミックだった。

エンシェントミミックの次に強いミミックだった。

「ウォーターボール!」

一護が、ハイミミックにトドメを刺した。

ばさりと、古代の魔法書が3冊と、金銀財宝が出てきた。

浮竹は、金銀財宝よりも、古代の魔法書に興奮していた。

「何々、髪がアフロになる魔法、どこでも耳かき棒が出る魔法、しもやけが治る魔法・・・・民間魔法ばかりか」

浮竹が、何故か熱のこもった視線で京楽を見つめていた。

「嫌だからね!僕を実験台にしないでよ!アフロになんて、なりたくないからね!」

「一護君・・・・」

「俺も嫌っす」

しゅんと、浮竹は項垂れた。

(・・・・ボクもパス)

(・・・・おれも遠慮しとく)

京楽と浮竹の影から、そんな声が聞こえてくる。

----------------------------------------------------------

(ボクの十四郎は、いっちゃたりしてないし、やっぱりボクの十四郎が一番だね)

「そんなことないよ!確かに今の浮竹はいっちゃってるけど、いつもはかわいいし、美人だし、気品があるし、強いし、頼りがいがあるし、それからそれから」

(ボクの十四郎は、更にその上をいくからね)

「僕の浮竹だって、もっともっと、いいところいっぱいあるんだから!エロいし!」

東洋と西洋の京楽の言い合いに、東洋と西洋の浮竹は真っ赤になっていた。

真っ赤になった西洋の浮竹に、同じ西洋の京楽さんは殴られた。

そして、影の中で、東洋の浮竹は同じ東洋の京楽の着物の裾を引っ張るのだった。


15階層のボス、風の精霊シルフィードを倒して、今日はその宝物庫で寝ることにした。

テントを、3つはった。

それぞれ、一護、西洋の浮竹と京楽、東洋の京楽といった感じで別れた。

一護は、西洋の浮竹と京楽にまたびっくりしながらも、ごく普通に接してくれた。

「このダンジョン・・・・少しおかしい」

「何が?」

「ボスが精霊なんて、普通はありえない。このままいけば、最下層は多分・・・・炎の精霊王だ」

「なんだって!引き返すかい?」

「いや、ここまできたんだ。精霊王が相手でも、負ける気はしない」

「浮竹さん、京楽さん、最下層が精霊王ってほんとっすか。俺じゃあ足手まといになるんじゃないっすか」

「いや、このダンジョンの潜る理由は元々一護君を成長させるためだ。一護君にも、参戦してもらう。水の魔法が弱点だろうし」

「はい!」

一護は、顔を輝かせた。

そうやって三日かけて、やがて最深部の50階層に到達した。

合計、115回浮竹はミミックにかまれていた。

「きたな」

「やっぱりいたな、炎の精霊王」

「我が名は炎の精霊王クルル・ルデール・ファイアオブファイア。さぁ、我が試練に・・・・・・」

「アイシクルランス!」

「ウォーターボール!」

浮竹と一護が、最後まで言わせず氷と水の魔法を放つ。

「ちょっと待て、話を聞け、我は・・・・・・・」

「ブリザードオブデス!」

「アクアエレメンタルストーム!」

京楽も、剣に氷の魔法をエンチャントして、精霊王に切りかかった。

「だああああ、ファイアオブファイア!」

炎の精霊王が放った魔法に、三人は飲みこまれた。

浮竹が、炎のシールドを展開して、魔法を吸収して、放つ。

「ファイアオブファイア!」

「我に、炎の魔法など効かぬ・・・・うおおおおおおおおお」

その威力に、炎の精霊王は、長い見事な赤い髪を焦がしていた。

「我の魔法より、上だというのか。創造神ルシエードの子、始祖のヴァンパイアよ」

「創造神ルシエードは俺の父。俺は始祖のヴァンパイアマスター、浮竹十四郎。喰らうがいい、エターナルアイシクルワールド!」

氷の禁呪の魔法で、炎の精霊王は体を凍てつかせていた。

「見事だ、浮竹十四郎。我は汝、汝は我。我、炎の精霊王クルル・ルデール・ファイアオブファイアは、汝を主と認めよう」

「あれ?終わったの?」

京楽が、てっきり死闘になると思っていたがのだが、割とあっけなく精霊の使役としての契約が終わったことに、驚いていた。

「京楽も一護君もお疲れ!これで、S級ダンジョンは踏破だ!」

「やったあ!」

「本当っすか!?ルキアに、自慢できる」

「我は、これより汝の力となるであろう。だが、我の召還には膨大な魔力を伴う。そのリスクを、念頭に置いておけ」

そう言って、炎の精霊王は、浮竹の中に消えていった。

(炎の精霊王を使役する始祖ヴァンパイア・・・・・くやしいけど、かっこいいな)

(確かに精霊の王を従えるなんて、凄いね)

「そうだろう、そうだろう、東洋の僕。僕の浮竹は、精霊王、神に近い存在も操れる、大陸でも類を見ない魔法の使い手なんだよ」

ここぞとばかりに、いばりちらしてくる西洋の京楽に、東洋の京楽は頷いた。

(確かに、すごいね。でも、ボクの十四郎も負けていないよ?)

(あれは俺でもできないぞ?)

(知ってるけど?・・・・行け、影蛇)

突如、東洋の浮竹の影から蛇を出す東洋の京楽に、西洋の京楽も浮竹も驚く。

(・・・・・はい、どうぞ)

(え?ああ・・・・そう言うことか)

東洋の京楽は、東洋の浮竹にそれだけ言う。すると、東洋の浮竹は全てを察し、自身の指を切り血を滴らせ蛇に与える。

すると、ぼんやりとした影であった蛇が、黒い立派な蛇へと変わり西洋の浮竹と京楽を見て首を傾げている。

「おお、凄いな。そんなこともできるのか」

「これはまた、違った意味で凄いね」

そんな西洋と東洋の浮竹と京楽のやり取りを、一護は不思議な気持ちで見ていた。


そうして、S級ダンジョンを踏破した3人と2人は、ダンジョンの外に出た。


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